WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパー・ウェルター級4団体王座統一戦 ジャーメル・チャーロ対ブライアン・カスターニョ

  • 2021/07/09

スピードのチャーロ 馬力のカスターニョ
オッズは9対4で3団体王者有利

 スーパー・ウェルター級のWBA、WBC、IBF3本のベルトを持つジャーメル・チャーロ(31=アメリカ)と、WBO王座に君臨するブライアン・カスターニョ(31=アルゼンチン)が4団体の王座統一をかけて拳を交える。2度の戴冠を果たしているチャーロが7度の世界戦で6勝(5KO)1敗なのに対し、WBAからWBOに乗り換えて2度の王座獲得を果たしているカスターニョも6戦5勝(3KO)1分と実績では譲らない。スピードに加えパンチの切れが増してきたチャーロが9対4のオッズで有利と見られてはいるが、逆の結果も考えられるカードだ。

技巧派からパンチャー型に変貌したジャーメル・チャーロ

 兄のジャモールとともに双子兄弟世界王者として知られるチャーロは、アマチュアで64戦(56勝8敗)経験後、兄より8ヵ月早く17歳でプロの世界に飛び込んだ。最初はウェルターだったが、2010年からスーパー・ウェルター級に上げ、WBC米大陸王座やUSBA全米王座を獲得。その勢いのまま2016年5月にWBCで世界の頂点に立った。出世に関しては兄よりも8ヵ月の遅れをとったかたちだ。それ以前はスピードを生かした技巧派という印象が強かったチャーロだが、自信が増したことがプラス効果をもたらしたのか戴冠を機にパンチャー型に変身。チャールズ・ハトレイ(アメリカ)、エリクソン・ルビン(アメリカ)を鮮やかなKOで斬って落として評価を上げ、元王者のオースティン・トラウト(アメリカ)からもダウンを奪って王座を守った。
 このまま成長を続けるのかと期待されたが、V4戦で伏兵トニー・ハリソン(アメリカ)に競り負けてしまう。採点と結果が発表されると場内からブーイングが出るほど不評な判定だったが、チャーロは王座を失い、デビューからの連勝も31で止まった。2018年12月のことである。王座を取り戻すチャンスが訪れたのは1年後。リマッチはまたも接戦になったが、今度はチャーロが合計3度のダウンを奪って11回KOで雪辱、同時にベルトを奪回した。そして昨年9月、WBAスーパー王座とIBF王座を持つジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)との統一戦に臨み、またも合計3度のダウンを奪って8回KO勝ちを収めている。通算戦績は35戦34勝(18KO)1敗。KO率は51パーセントだが、パンチの切れと破壊力はその数字以上のものがある。

アマチュア時代にスペンスに勝ったこともあるカスターニョ

 WBO王者のカスターニョはプロボクサーだった父親の影響でボクシングを始め、アマチュア時代から南米の強豪として知られていた。2009年には世界選手権に出場(3回戦敗退)し、2010年の南米大会では準決勝でエスキーバ・ファルカン(ブラジル)に勝ってウェルター級で優勝している。それ以上に価値があるのは、2011年にベネズエラで行われたパンナム大会準々決勝でエロール・スペンス(アメリカ)に20対11でポイント勝ちを収めたことであろう。また、2012年から2013年にかけて開催されたWSB(ワールド・シリーズ・オブ・ボクシング)ではセルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)にも勝っている。アマチュア戦績は191戦181勝5敗5分。
 プロ転向は2012年9月で、チャーロよりも5年遅いスタートだった。2015年からアメリカのリングに上がるようになり、世界戦の前座に出場したこともある。翌年7月には実績らしいものがないまま突然としてWBA15傑入りし、11月には暫定王座の決定戦に出場する機会を得た。ここでダウン応酬の乱戦を6回KOで制したカスターニョはプロで初の戴冠を果たした。その後、フランスで2度の防衛戦を行い2対1の判定勝ちと12回TKO勝ちを収めたが、世界的な認知と評価が上がったわけではなかった。カスターニョの名前が広く知られるようになったのは元王者のエリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)とのV3戦で引き分けてからだ。予想どおり厳しい戦いを強いられたカスターニョだが、終盤に猛烈な追い込みをみせて三者三様のドローに持ち込んだのだ。その後、指名試合を拒否してWBA王座を放棄すると、標的をWBOに変更。今年2月、指名挑戦者としてパトリック・テイシェイラ(ブラジル)に挑み、大差の判定勝ちで現在の王座を手に入れた。戦績は18戦17勝(12KO)1分。

チャーロ有利だが…カスターニョが体力で押し切る可能性も

 対戦相手のクォリティや潜在的な能力で勝るチャーロが有利であることは多くの識者やファンが認めるところといえる。持ち味のスピードを生かして序盤から主導権を握り着々と加点していく姿を想像することは難しくないはずだ。WBO王者が雑に出てきたところにカウンターを浴びせることができればKO、あるいはレフェリー・ストップ勝ちも考えられる。
 その一方、両者の相性を考えるとカスターニョが体力で押し切ってしまう可能性も十分にありそうだ。チャーロはペースメイクという点に課題を抱えており、過去には受けにまわって局面の打開に時間がかかったケースがある。カスターニョは低い姿勢で頭から突っ込むことが多いため、そのスタイルにチャーロが戸惑うことは十分にあり得ることだ。そこを突いてカスターニョが序盤から圧力をかけて主導権を掌握。そのまま旺盛なスタミナを生かして逃げ切るというパターンである。チャーロがカスターニョの攻撃ボクシングに抗いきれなくなりギブアップという可能性も捨てきれないものがある。

<バーチャル> TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表

  • 名前

    チャーロ

    カスターニョ

  • 生年月日/年齢

    1990年5月19日/31歳

    1989年9月12日/31歳

  • 出身地

    アメリカ テキサス州リッチモンド

    アルゼンチン イシドロ・カサノバ

  • アマチュア実績

    05年ジュニア五輪3位

    09年世界選手権出場

  • アマチュア戦績

    64戦56勝8敗

    191戦181勝5敗5分

  • プロデビュー

    07年12月

    12年9月

  • 獲得世界王座

    WBC,WBA,IBF世界Sウェルター級

    WBA,WBO世界Sウェルター級

  • 身長/リーチ

    180センチ/185センチ

    171センチ/171センチ

  • プロ戦績

    35戦34勝(18KO)1敗

    18戦17勝(12KO)1分

  • KO率

    51%

    67%

  • 世界戦の戦績

    7戦6勝(5KO)1敗

    5戦4勝(2KO)1分

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型

    右ファイター型

  • ニックネーム

    「アイアンマン(鉄人)」

    「EL BOXI」

  • トレーナー

    デリック・ジェームス

    カルロス・カスターニョ(父)

<主要4団体の世界王座を自力で統一した選手>

選手 達成年 階級
①バーナード・ホプキンス(アメリカ) 2004年9月 ミドル級
②テレンス・クロフォード(アメリカ) 2017年8月 スーパー・ライト級
③オレクサンデル・ウシク(ウクライナ) 2018年7月 クルーザー級
④テオフィモ・ロペス(アメリカ) 2020年10月 ライト級
⑤ジョシュ・テイラー(イギリス) 2021年5月 スーパー・ライト級
  • ※ジャーメイン・テイラー(アメリカ)はホプキンスに勝って4団体王座を継承

<スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状>

WBA S
:ジャーメル・チャーロ(アメリカ)
:エリスランディ・ララ(キューバ)
WBC
:ジャーメル・チャーロ(アメリカ)
IBF
:ジャーメル・チャーロ(アメリカ)
WBO
:ブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)

 3団体のベルトを持つジャーメル・チャーロ(31=アメリカ)が主役で、その座をWBO王者のブライアン・カスターニョ(31=アルゼンチン)が狙うという構図になっている。今回の4団体統一戦で実力の順位づけが明らかになる。WBAレギュラー王者のエリスランディ・ララ(38=キューバ)はカスターニョと引き分けており、彼らと同等の力量があることは証明されている。しかし、スーパー・ウェルター級の王座を持ったままWBAのミドル級王座決定戦に出場して勝っていることから、今後はどちらの階級を軸に活動していくのか注目される。サウスポーの技巧派として知られるララは自ら強い光を放つことはないが、相手との絡み次第で鈍く味わいのある光を反射するタイプといえる。スーパー・ウェルター級に残留するならばジャーメル・チャーロとの対戦を期待したい。カスターニョとの決着戦も話題になりそうだ。
 ランカー陣では、WBO1位のティム・チュー(26=オーストラリア)、WBC1位のエリクソン・ルビン(25=アメリカ)が王者を脅かす存在といえる。身長197センチ、リーチ203センチのサウスポー、セバスチャン・フンドラ(23=アメリカ)は先行していた話題に実力が追いついてきた印象だ。ただ、仮にチャーロ、カスターニョ、ララらと戦って勝てるかと問われたら答えに窮するところといえる。
 元WBO王者のリアム・スミス(32=イギリス)に勝ってWBO2位に上がってきた22戦全勝(13KO)のマゴメド・クルバノフ(25=ロシア)、WBA1位にランクされる7戦全勝(5KO)のイスライル・マドリモフ(26=ウズベキスタン)にも注目したい。

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