WBC世界ミドル級タイトルマッチ ジャモール・チャーロ対ファン・マシアス・モンティエル

  • 2021/07/02

村田の対抗王者 チャーロ兄のV5戦
挑戦者はKO率79%のスラッガー

 双子の世界王者として知られるチャーロ兄弟の兄、WBC世界ミドル級王者のジャモール・チャーロ(31=アメリカ)が、同級4位にランクされるスラッガー、ファン・マシアス・モンティエル(27=メキシコ)を相手に5度目の防衛戦に臨む。スピードや経験値など総合力で大きく勝る31戦全勝(22KO)のチャーロが圧倒的有利と見られているが、79パーセントのKO率を誇るモンティエルの強打も侮れない。
 チャーロはアマチュアで71戦65勝6敗の戦績を残したあと2008年9月にプロデビューした。弟よりも9ヵ月遅い初陣だったが、出世は兄の方が早かった。7戦目から14連続KO勝ちを収めるなどしてトップ戦線に浮上し、2015年9月にはコーネリアス・バンドレイジ(アメリカ)から4度のダウンを奪う3回TKOの圧勝でIBF世界スーパー・ウェルター級王座を獲得。3度目の防衛戦を前に眼疾のため試合を延期するといったアクシデントもあったが、リング上では印象的なパフォーマンスを見せてスター候補の仲間入りを果たした。
 その王座を返上してミドル級に転向したのは2017年2月のこと。転級初戦でホルヘ・ヘイランド(アルゼンチン)を4回で蹴散らしてWBC王座への挑戦権をゲットすると、次戦でウーゴ・センテノ(アメリカ)を2回で粉砕、WBC暫定王座を獲得した。その後、2019年6月にWBCはサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)に“フランチャイズ王者”の称号を与えて正王座を空け、その地位にチャーロを昇格させた経緯がある。
 暫定王座時代から数えて3年間に4度の防衛を果たしているチャーロだが、ここに来て勢いにやや陰りが見られる点が気になる。派手なKO勝ちが予想されたマット・コロボフ(ロシア/アメリカ)戦、ブランドン・アダムス(アメリカ)戦がいずれも判定勝負になっているのはどうしたことか。一時は「ミドル級最強なのでは?」とまで言われたほどの勢いが失せた印象は拭えない。V4戦でセルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)を圧倒したことで再評価されてはいるものの、直近の4戦でKOがひとつだけでは物足りなさが残る。それは才能に恵まれたチャーロに対する期待度の大きさの裏返しでもあるのだが……。
 チャーロのV5戦の相手に選ばれたモンティエルは28戦22勝(22KO)4敗2分のレコードを残している強打者で、アメリカのリングは3試合連続となる。昨年12月、元世界ランカーのジェームス・カークランド(アメリカ)から116秒の間に3度のダウンを奪う派手な1回KO勝ちを収めWBC13位から4位に浮上、今回のチャンスをつかんだ。その1年前には、チャーロに2回で粉砕されたセンテノと戦い引き分けている。さらに遡れば2017年2月には、のちに世界王者になるハイメ・ムンギア(メキシコ)とも対戦経験がある。ただし、そのときは2回KO負けを喫している。こうしたキャリアをみる限りチャーロと伍する力量を備えているとは思えないのだが、それでもこのモンティエルは油断できない相手といえる。
 その最たる理由は、やはりパンチ力である。勝率は8割に満たないが、22の勝利がすべてKOによるものである点は無視できない。特にチャンスをつかんでからの右ストレート、左アッパーは強烈だ。さらに基本は右構えだが、左構えにチェンジして戦うこともできる器用さを備えている点も挙げておきたい。全体的な動きはスムーズとは言い難く、ディフェンスは甘め、スピードも平均の域を出ないが、微妙なズレのタイミングを持った選手で、そのうえスイッチするのだから相手にとっては戦いにくいタイプといえる。まずは初の大舞台で臆することなくチャーロと対峙できるのか、そして右構えで戦うのか左構えで戦うのか注目したい。
 チャーロにとってはKO防衛がノルマといってもいいカードで、その予想どおりならばスピードで圧倒して何もさせないまま序盤で片づけてしまうはずだ。ただ、モンティエルのパンチ力と微妙なタイミングのズレには十分な注意が必要だろう。チャーロが感覚と間隔をつかむために時間がかかるようだと手を焼く可能性もある。

<チャーロ双子兄弟のデータ比較>

  • 名前

    兄ジャモール

    弟ジャーメル

  • 生年月日

    1990年5月19日(31歳)

    1990年5月19日(31歳)

  • 出身地

    米国テキサス州リッチモンド

    米国テキサス州リッチモンド

  • アマ戦績

    71戦65勝6敗

    64戦56勝8敗

  • プロデビュー

    08年9月

    07年12月

  • 身長/リーチ

    183センチ/187センチ

    180センチ/185センチ

  • 好きな色

  • 好きな音楽

    80年代のソウル

    ヒップホップ、R&B

  • 好きなスポーツ

    ホースレース(競馬)

    バスケットボール

  • 尊敬するボクサー

    トーマス・ハーンズ
    イベンダー・ホリフィールド

    ホアン・グスマン

  • 獲得王座

    IBF世界Sウェルター級
    WBC世界ミドル級

    WBC、WBA、IBF
    世界Sウェルター級

  • 世界戦の戦績

    9戦全勝(5KO)

    7戦6勝(5KO)1敗

  • プロ戦績

    31戦全勝(22KO)

    35戦34勝(18KO)1敗

  • KO率

    71%

    51%

  • トレーナー

    ロニー・シールズ

    デリック・ジェームス

  • 戦闘タイプ

    右ボクサーファイター型

    右ボクサー型

  • ニックネーム

    「ヒットマン」

    「IRON MAN(鉄人)」

<双子の兄弟世界チャンピオン>

①カオサイ&カオコーのギャラクシー兄弟(タイ)
②チャナ&ソンクラームのポーパイン兄弟(タイ)
③ラウル&ラモンのガルシア兄弟(メキシコ)
④ジャモール&ジャーメルのチャーロ兄弟(アメリカ)
⑤フェリックス&レネのアルバラード兄弟(ニカラグア)

<ミドル級トップ戦線の現状>

WBA S
:村田諒太(帝拳)
:エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)
暫定
:クリス・ユーバンク・ジュニア(イギリス)
WBC
:ジャモール・チャーロ(アメリカ)
IBF
:ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)
WBO
:デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)

 この階級のWBC“フランチャイズ・チャンピオン”だったサウル・カネロ・アルバレス(30=メキシコ)が、5月のランキングからスーパー・ミドル級に移動。これにともないIBF王者のゲンナディ・ゴロフキン(39=カザフスタン)とWBC王者のジャモール・チャーロ(31=アメリカ)が双頭という位置づけになった。
 このふたりをWBAスーパー王者の村田諒太(35=帝拳)、WBO王者のデメトリアス・アンドレイド(33=アメリカ)、エリスランディ・ララ(38=キューバ/アメリカ)、WBA暫定王者のクリス・ユーバンク・ジュニア(31=イギリス)が追うという構図だ。いまは無冠だが、元WBOのスーパー・ウェルター級王者で現在はミドル級でWBCとWBO1位にランクされるハイメ・ムンギア(24=メキシコ)、チャーロには完敗したがゴロフキンとは接戦を演じたセルゲイ・デレビヤンチェンコ(35=ウクライナ)も追走グループに入る。これだけのタレントが揃っているのだから、総当たり戦は無理としてもトーナメント戦が実現すれば面白いのだが……。
 2012年ロンドン五輪決勝で村田に惜敗したエスキーバ・ファルカン(31=ブラジル)も28戦全勝(20KO)と元気だ。さらに元スーパー・ウェルター級王者のジャレット・ハード(30=アメリカ)に判定勝ちを収めたルイス・アリアス(31=アメリカ)もトップ戦線に再浮上してきそうだ。



ライト級10回戦
イサック・クルス対フランシスコ・バルガス

23歳の「闘犬」 vs 36歳の「山賊」
新旧交代か 元王者が意地を見せるか

 このところ引き分けを挟んで16連勝(12KO)と勢いづくイサック・クルス(23=メキシコ)が、三浦隆司(帝拳)らとの激闘で知られる元WBC世界スーパー・フェザー級王者のフランシスコ・バルガス(36=メキシコ)と拳を交える。23歳のホープのために組まれたような試合だが、その期待に応えてクルスは圧勝することができるか。それとも2階級制覇に照準を合わせているベテランが意地をみせるか。
 祖父、父親、兄、叔父が元プロボクサーというボクシング一家に育ったクルスは7歳でグローブを握り、アマチュアで85戦(73勝)したあと16歳10ヵ月でプロデビュー。6戦目に判定負けを喫し、13戦目に6回引き分けを経験した以外、21試合で勝者コールを受けてきた。3年ほど前から対戦者の質を上げ、まずは世界挑戦経験者のホセ・フェリックス(メキシコ)を3回TKOで撃破。WBO12位のトーマス・マティセ(アメリカ)には競り勝ち、昨年10月にはジャーボンテイ・デービス(アメリカ)対レオ・サンタ・クルス(メキシコ)の前座に出場。ここで世界挑戦経験者のディエゴ・マグダレノ(アメリカ)を53秒で豪快に沈めて注目度を上げた。さらに今年3月にはWBA世界ライト級挑戦者決定戦に臨み、24戦全勝のホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)に12回判定勝ちを収めた。戦績は23戦21勝(15KO)1敗1分。
 身長163センチ、リーチ160センチとライト級では小柄だが、その小さな体をさらに前傾させて相手に肉薄。射程に入ると思い切り左右のフック、アッパーを打ち込む。ニックネームは「ピットブル(闘犬)」。闘志を前面に出して攻め込むスタイルから「メキシコのタイソン」と呼ぶ人もいる。
 バルガスは2008年の北京五輪に出場した2年後にプロ転向し、強豪を相手に連勝してトップ戦線に浮上。2015年11月、アメリカのネバダ州ラスベガスで三浦に挑戦し、年間最高試合に選ばれるほどの激闘を9回TKOで制してWBC世界スーパー・フェザー級王座を獲得した。この王座はオルランド・サリド(メキシコ)と引き分けて防衛したが、V2戦でミゲール・ベルチェルト(メキシコ)に11回KOで敗れて失った。勝敗を問わず、この3試合はバルガスを語る上では欠かせない名勝負といえる。2年前には王座奪回を狙ってベルチェルトに挑んだが、このときは勝機を見出せず6回終了時点で棄権した。これを機にライト級に転向し、格下相手に2連勝を収めている。戦績は31戦27勝(19KO)2敗2分。中間距離で左右フックを打ち込む攻撃型で、特に外から巻き込むように放つ右は強烈だ。ニックネームは「バンディット(山賊)」。
 実績では36歳のバルガスが大きく勝るが、現在の勢いに加えランキングでもIBF2位、WBA3位、WBO11位のクルスが、WBC7位のバルガスを上回っている。オッズも11対2の大差で23歳のクルス有利と出ている。
 クルスが小さな体を丸めながら圧力をかけて機を見て飛び込み、左右フックとアッパーを力いっぱい叩きつけるものと思われる。バルガスは得意の中間距離をつくるために押したり引いたりしながら、好機が来ればコンビネーションを浴びせたいところ。ともに攻撃が売りのファイター同士だけにスリリングな試合になることが予想されるが、若い「闘犬」がベテランの「山賊」を追い払ってしまいそうだ。

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの