ライト級12回戦 中谷正義対ワシル・ロマチェンコ

  • 2021/06/18

3試合続けてアメリカでビッグネームと対戦
中谷正義は体格の優位性を生かせるか

 元東洋太平洋ライト級V11王者で、現在はWBO同級5位、WBC9位、IBF10位にランクされる中谷正義(32=帝拳)が、つい8ヵ月前まで階級の壁を超越した最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」でトップの座にいたワシル・ロマチェンコ(33=ウクライナ)と対戦する。昨年12月、フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)との世界ランカー対決で劇的な9回TKO勝ちを収めた中谷にとっては、2試合続けてアメリカのネバダ州ラスベガスでの試合となる。さらに2年前のテオフィモ・ロペス(アメリカ)戦から数えると3戦連続、アメリカで大物との対戦ということになる。アマチュア時代に五輪連覇、プロでは3階級制覇を成し遂げている天才サウスポーが相手だけに厳しい戦いが予想されるが、中谷は「ロマチェンコ戦は世界チャンピオンになるための通過点。勝つ自信しかない」と意気込みを口にしている。

ロペス戦とベルデホ戦で知名度と注目度を上げた中谷正義

 中谷はアマチュアを経て2011年6月にプロデビューし、わずか7戦目に東洋太平洋ライト級王座を獲得した。この王座を4年半に11度防衛したあと、一昨年7月、ロペスとのIBF挑戦者決定戦に臨んだが、奮闘したものの12回判定負けという結果に終わった。採点上は118対110(二者)、119対111とポイントで大差がついたが、各ラウンドとも競っており、接戦という印象を与えた試合だった。が、このあと中谷は「一度でも負けたら引退するつもりで戦ってきた」という自身の覚悟に従い、いったんは現役を退いた。
 しかし、元WBA暫定世界スーパー・ウェルター級王者、石田順裕氏らのアドバイスもあり翻意。帝拳ジムに移籍して再出発することになった。その初戦となるベルデホ戦では序盤に2度のダウンを喫するなどポイントで大きく引き離されたが、9回に2度倒し返して逆転のTKO勝ちを収めた。この試合は年間最高試合の候補に挙がるほどドラマチックなものだった。中谷が底力を見せ、世界的に知名度を上げた試合でもあるが、「自分がダウンを喫しているので……」と内容には満足していない。
 本人にとっては不本意な部分が残る2試合だが、このロペス戦とベルデホ戦の内容が濃かったこともあって「Masayoshi Nakatani」の知名度と評価は急上昇。その実績が今回のロマチェンコ戦に結びついたといえる。3戦連続でビッグネームとの対戦となる中谷は「ロペスと戦ったときに感じたことでもあるが、アジアの選手は過小評価されていると思う。そんな印象も変えたい」と腕を撫している。

12戦目で3階級制覇を成し遂げた天才サウスポー

 とはいえ無冠になった現在もロマチェンコの壁が厚く高いことに変わりはない。「ハイテク(高性能)」と呼ばれるサウスポーはアマチュア時代に五輪と世界選手権を連覇し、397戦396勝1敗という信じがたい戦績を残しているうえ、プロでは3戦目でフェザー級、7戦目でスーパー・フェザー級、そして12戦目でライト級を制覇。ロペスに敗れて現在は無冠だが、8ヵ月前の試合では右肩を痛めていたという情報もある。もしもロペスとの再戦が実現すれば11対8でロマチェンコ有利というオッズが出ているほどだ。現在はWBC1位、WBAとWBO2位、IBF5位にランクされている。
 ロマチェンコは細かく位置どりを変えながら連続して速いパンチを繋ぎ、相手が対応できないような状況をつくりだすことに長けている。一発の破壊力は平均の域を出ないが、相手の呼吸を読んで繰り出すタイミングのいいボディブローや右フックなどは要注意といえる。

ロマチェンコ有利は不動 中谷は右ストレートと左ボディブローに活路

 プロでの試合数では20戦(19勝13KO1敗)の中谷が16戦(14勝10KO2敗)のロマチェンコを上回っているが、実績面で大きな差があることは否めない。なにしろロマチェンコは16戦のうち15試合が世界戦なのだ。ただ、30歳でライト級に転向してからは歴戦の疲労と年齢、体格(身長170センチ、リーチ166センチ)の差などロマチェンコ自身が壁に直面している印象もある。キャリア初ダウンを喫したり、肩の故障がぶり返したりと、以前のような無敵ぶりが影を潜めつつあるのは事実だ。中谷の言葉を借りるならば「魔法が解けている感がある」ということになる。
 そんなロマチェンコに対し、中谷は「体の大きさ(身長182センチ、リーチ180センチ)と距離、体の強さ、パンチ力という自分の特徴を生かした戦いをする」と話している。その計画どおり左ジャブから得意の右ストレート、そして返しの左フックをボディ、顔面に打ち込むというのが理想のパターンだ。
 逆に、避けたい展開として中谷は「ロマチェンコが早い段階からポイントを取りに来て距離を詰められ、僕が懐に入らせないようにするけれど入られてしまう」というパターンを挙げている。
 実績に加え総合力で勝るロマチェンコが絶対的有利な立場であることは否めないが、中谷にも十分にチャンスはありそうだ。相手が入ってくるところに右ストレート、あるいは距離を詰めてきた際に左ボディブローを見舞うことができれば、ビッグネームを相手に歓喜のシーンも期待できる。

<TALE OF THE TAPE 中谷正義&ロマチェンコ データ比較>

  • 名前

    中谷正義

    ロマチェンコ

  • 生年月日/年齢

    1989年3月8日/32歳

    1988年2月17日/33歳

  • 出身地

    大阪府大阪市

    ビルホロドドニストロフシキ―(ウクライナ)

  • アマチュア実績

    08年北京五輪フェザー級金
    09年世界選手権フェザー級優勝
    11年世界選手権フェザー級優勝
    12年ロンドン五輪ライト級金

  • アマチュア戦績

    30戦25勝(7KO)5敗

    397戦396勝1敗

  • プロデビュー

    2011年6月

    2013年10月

  • 獲得王座


    東洋太平洋ライト級王座

    WBO世界フェザー級王座
    WBO世界S・フェザー級王座
    WBA世界ライト級王座

  • 戦績

    20戦19勝(13KO)1敗

    16戦14勝(10KO)2敗

  • KO率

    65%

    63%

  • 世界戦の戦績

    14戦13勝(9KO)1敗

  • 身長/リーチ

    182センチ/180センチ

    170センチ/166センチ

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型

    左ボクサーファイター型

  • トレーナー

    田中繊大

    アナトリー・ロマチェンコ(父)

  • ニックネーム

    「ハイテク(高性能)」

ライト級トップ戦線の現状

WBA S
:テオフィモ・ロペス(アメリカ)
:ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
暫定
:ローランド・ロメロ(アメリカ)
WBC F
:テオフィモ・ロペス(アメリカ)
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
IBF
:テオフィモ・ロペス(アメリカ)
WBO
:テオフィモ・ロペス(アメリカ)

 2018年から2020年にかけてワシル・ロマチェンコ(33=ウクライナ)が絶対的な地位を築きかけたが、それを23歳のホープ、IBF王者のテオフィモ・ロペス(アメリカ)が崩し、同時に4団体統一を果たした。この事実だけで世代交代とは言い切れないが、ロペスに加えWBAレギュラー王者のジャーボンテイ・デービス(26=アメリカ)、WBCレギュラー王者のデビン・ヘイニー(22=アメリカ)、前WBC暫定王者のライアン・ガルシア(22=アメリカ)、それにWBA暫定王者のローランド・ロメロ(25=アメリカ)といった無敗の若手が台頭してきていることは事実だ。
 ライト級の近未来はロペス、デービスが軸になって展開されていくものと思われるが、ロペスはまだ評価を定める段階とはいえず、もう数試合は内容と結果を見ていく必要があるだろう。デービスは体重の上げ下げが激しく、ライト級に留まる気があるのかないのか、こちらも様子を見ていかなければならない。
 そこにロマチェンコ、ハビエル・フォルトゥナ(32=ドミニカ共和国)、ホルヘ・リナレス(35=帝拳)、リチャード・コミー(34=ガーナ)らチャンピオン経験者と、中谷正義(32=帝拳)、爆発力のあるイサック・クルス(23=メキシコ)らが絡んでいくものと思われる。

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