WBC世界バンタム級タイトルマッチ ノルディーヌ・ウバーリ対ノニト・ドネア

  • 2021/05/21

V3狙うサウスポー王者 vs 元5階級制覇王者
17戦全勝のウバーリか 23度目の世界戦のドネアか

 コロナ禍のなか何度も組まれては延期を繰り返してきた注目カードが、やっと実現する。ふたりは2019年11月7日、さいたまスーパーアリーナで井上尚弥・拓真の兄弟(大橋)との試合で日本でも雄姿は披露済みだ。その日、WBC世界バンタム級王者のノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)は暫定王者の井上拓真からダウンを奪って12回判定勝ち。WBAスーパー王者だったノニト・ドネア(38=フィリピン/アメリカ)はWBA王座とIBF王座を持つ井上尚弥との「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」決勝戦に臨んだが、11回にダウンを喫して判定で敗れた。
明暗を分けたかたちとなったが、その後、以下のような紆余曲折を経て今回、拳を交えることになった。

ウバーリ対ドネア 実現までの経緯

  • ※2020年1月――WBCがウバーリにドネアとの指名防衛戦を義務化
  • ※興行権入札で唯一参加のTGBプロモーションが40万1000ドルで落札。勝者のボーナスとなる10%を引いた残りの60%がウバーリ、40%がドネアという報酬配分
  • ※コロナ禍のなか2020年5月16日に試合が計画されたが6月27日に延期 ⇒ さらに12月12日に延期
  • ※2020年11月中旬、ウバーリがコロナウィルスに感染していることが判明 ⇒ 出場不可に
  • ※ドネア対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)にカードを変更し、開催日も1週間延ばして12月19日に
  • ※WBCはウバーリを休養王者にスライドさせ、ドネア対ロドリゲスをWBC王座決定戦として承認(11月25日)
  • ※12月に入りドネアが新型コロナウィルスの検査で陽性反応 ⇒ 出場不可に
  • ※12月19日、ロドリゲスと前座に出場予定だったレイマート・ガバリョ(フィリピン)が暫定王座決定戦を行うことに ⇒ 不可解な判定勝ちでガバリョが暫定王座獲得
  • ※2021年1月、WBCは回復したウバーリを正規王者に復帰させたうえで、あらためてドネアとの指名防衛戦を課した
  • ※正規王者に復帰したウバーリは3月13日にフランスでナワポーン・カイカニャ(タイ)との防衛戦を計画したが、コロナ禍のため挑戦者の入国が困難になったためキャンセル
  • ※2021年4月、ウバーリ対ドネアが5月29日にカーソンで行われることが発表された

筋骨隆々の体からテンポよく打ち込んでくるウバーリ

 ウバーリはモロッコ系のフランス人で、アマチュア時代には2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪に出場した実績を持っている。北京ではライト・フライ級で金メダルを獲得するゾウ・シミン(中国)に敗れ3回戦進出ならず。ロンドンでは準々決勝でマイケル・コンラン(アイルランド)に敗れてフライ級ベスト8に甘んじた。アマチュア戦績は223戦207勝16敗(諸説あり)ともいわれる。
 2014年3月にモロッコでプロデビュー戦を行い、4回判定勝ち。地域王座獲得を経てトップ戦線に割り込み、2019年1月、ラウシー・ウォーレン(アメリカ)に競り勝って空位のWBC世界バンタム級王座を獲得した。初防衛戦ではアーサー・ビリャヌエバ(フィリピン)を6回終了で棄権に追い込み、4ヵ月後に井上拓真を下して団体内の王座を統一するとともにV2を果たした。
 身長は161センチと小柄だが、鍛え抜かれた上半身は筋骨隆々だ。その体を左構えにして短い間合いでポンポンとテンポよくパンチを繰り出してくる。肉体から想像するほどのパワーは感じられないが、むしろ井上拓真からダウンを奪った左のようにタイミングのいいパンチの方が印象に残る。反面、終盤になって失速することが多い点や耐久力には課題と疑問が残る。

一撃必倒の左フックと井上尚弥をグラつかせた右ストレートを持つドネア

 ドネアは17歳のときに全米選手権ライト・フライ級優勝などアマチュアで86戦78勝(8KO)8敗の戦績を残し、2001年2月にプロデビューした。今年がキャリア20年の節目ということになる。2007年7月、飛ぶ鳥を落とす勢いだったIBF世界フライ級王者のビック・ダルチニャン(アルメニア)を鮮やかな左カウンターで斬って落とし、世界の舞台にセンセーショナルなかたちで登場。以後、スーパー・フライ級(暫定王座)、バンタム級、スーパー・バンタム級、フェザー級と5階級を制覇してきた。
体格差を痛感させられたあとはバンタム級に戻り、WBSSに参戦。2018年11月の準々決勝でWBAスーパー王座を獲得し、初防衛戦では十八番の左フックを炸裂させて6回KO勝ちを収めた。決勝では井上尚弥に敗れたが、株を落とすような内容ではなかった。
 ドネア=左フック という連想ができるほどで、それが5階級制覇王者の最も得意なパンチであることは間違いない。さすがに近年は20代のときのような絶妙なタイミングやコンパクトさは感じられないが、相手に警戒心を植え付ける効果があることも忘れてはなるまい。もちろん井上尚弥を窮地に追い込んだ右ストレートやインサイドから突き上げるアッパーなどパンチは多彩だ。また、世界戦だけで22戦(17勝11KO5敗)という経験値の高さもドネアの強みだ。

素早く出入りするウバーリ ドネアはカウンター狙いか

 ともに2019年11月のさいたまスーパーアリーナ以来、約1年半ぶりのリングとなるため、まずはコンディションに注目が集まる。特に井上尚弥と歴史に残る激闘を展開した38歳のドネアの調子が気になるところだ。
 両者は2019年1月、ウバーリがサウスポーのウォーレンに挑戦する際にスパーリングの経験がある。その際にWBAスーパー王者だったドネアが左構えで臨んだのかどうかは不明だが、互いに体の大きさやパワーなど大まかなことは感触として残っているはず。そうしたデータが生きるのか、あるいはマイナス作用を及ぼすのか、そのあたりも興味深いところだ。
 サウスポーのウバーリが立ち位置を変えながらテンポよく左右のパンチを繰り出し、ドネアがじりじりとプレッシャーをかける展開が予想される。ドネアは攻撃的なサウスポーに対しては苦手意識がなさそうだが、動きの速いサウスポーとの相性は良くない。ウバーリはジェシー・マグダレノ(アメリカ=2016年11月、ドネアに12回判定勝ち)のように動いて的を絞らせず、打っては離れてポイントを奪っていく作戦をイメージしているのではないだろうか。その出入りのタイミングにドネアが左フック、あるいは右ストレートを合わせることができるか。
 4団体の王座統一を狙う井上尚弥にとって、WBC王座はターゲットとなっているものでもある。その大舞台に上がる権利をウバーリがキープするのか、それともドネアが奪い取るのか。

TALE OF THE TAPE ウバーリ ドネア 両選手のデータ比較表

  • 名前

    <ウバーリ>

    <ドネア>

  • 生年月日/年齢

    1986年8月4日/34歳

    1982年11月16日/38歳

  • 出身地

    ランス(フランス)

    タリボン(フィリピン)

  • アマチュア実績

    08年北京五輪Lフライ級出場
    12年ロンドン五輪フライ級8強

    2000年全米選手権優勝

  • アマチュア戦績

    223戦207勝16敗

    86戦78勝(8KO)8敗

  • プロデビュー

    14年3月

    01年2月

  • 獲得王座

    WBCバンタム級

    IBFフライ級
    WBA暫定Sフライ級
    WBA、WBC、WBOバンタム級
    IBF、WBO Sバンタム級
    WBAフェザー級

  • 戦績

    17戦全勝(12KO)

    46戦40勝(26KO)6敗

  • KO率

    71%

    57%

  • 世界戦の戦績

    3戦3勝(1KO)

    22戦17勝(11KO)5敗

  • 身長/リーチ
    ※2人とも2019年11月の来日時のJBC測定データ

    161.4センチ/170センチ

    170.2センチ/174センチ

  • 戦闘スタイル

    左ボクサーファイター型

    右ボクサーファイター型

  • ニックネーム

     

    「フィリピーノ・フラッシュ」

  • トレーナー

    アリ・ウバーリ(兄)

    ケニー・アダムス

<バンタム級トップ戦線の現状>

WBA S
:井上尚弥(大橋)
:ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)
WBC
:ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)
  暫定
:レイマート・ガバリョ(フィリピン)
IBF
:井上尚弥(大橋)
WBO
:ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)

 井上尚弥(28=大橋)を筆頭に、荒っぽい攻撃型のWBO王者ジョンリエル・カシメロ(32=フィリピン)、アマチュア時代の五輪連覇とプロでの2階級制覇が光る究極の技巧派、WBA王者のギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)、そして2度の五輪出場とプロで17戦全勝(12KO)のWBC王者ノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)――個性的な選手がベルトを保持しており、なかなか充実した階級といっていい。
 タレントが揃ったこのクラスは、5月30日を皮切りに「バンタム級ウォーズ」に突入する。※試合日はいずれも日本時間

■5月30日 ウバーリ対ノニト・ドネア(38=フィリピン) WBC
■6月20日 井上尚弥対マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン) WBAスーパー、IBF
■7月10日 レイマート・ガバリョ(24=フィリピン)対相手未定 WBC暫定
■8月15日 カシメロ対リゴンドー WBO

 IBFの指名挑戦者ダスマリナスは油断ならないサウスポーだが、試合ごとに総合力がアップしている井上尚弥の圧倒的有利は動かない。その一方、ウバーリ対ドネア、カシメロ対リゴンドーは、どう転ぶか予想が難しいカードといえる。いずれにしても、この2試合の勝者が近未来の井上の対戦候補ということになる。
 5月30日に火ぶたがきって落とされる「バンタム級ウォーズ」から目が離せない。

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