IBF世界スーパー・フライ級タイトルマッチ
ジェルウィン・アンカハス対ジョナタン・ロドリゲス

  • 2021/04/23

在位4年半 アンカハスのV9戦
挑戦者はトップ戦線に急浮上の25歳

 2016年9月にIBF世界スーパー・フライ級王座を獲得してから4年半。長期政権を築いているジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)が同級3位にランクされるジョナタン・ロドリゲス(25=メキシコ)を相手に9度目の防衛戦に臨む。戴冠試合を含め9度の世界戦で8勝(6KO)1分の戦績を収めているサウスポーの王者が防衛のテープを伸ばすのか、それともトップ戦線に急浮上してきた新鋭が前評判を覆すのか。中身の濃い戦いが期待できそうだ。
 アンカハスは世界王座を奪った試合は自国フィリピンでの開催だったが、以後はマカオ(中国特別行政区)、ブリスベン(オーストラリア)、ベルファスト(イギリス)、コーパスクリスティ(アメリカ テキサス州)、フレズノ(アメリカ カリフォルニア州)、オークランド(アメリカ カリフォルニア州)、ストックトン(アメリカ カリフォルニア州)、プエブラ(メキシコ)と相手国か中立地で防衛戦を行ってきた。世界的なビッグネームとの対戦がない点は物足りないが、V8は価値ある記録といえる。世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)のMPプロモーションズと契約を交わしており、2017年秋以降はトップランク社とも提携してきた。今回はPBC(プレミアム・ボクシング・チャンピオンズ)の下での初試合となる。
 アンカハスはスピード、パワー、スタミナなど高い次元でバランスのとれた戦力を備えたサウスポーで、観戦者にも大きな刺激を与える攻撃的なタイプといえる。35戦32勝(22KO)1敗2分という戦績もみごとである。ただ、その実力に見合った評価が得られているかというと疑問だ。この階級にはローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、井岡一翔(Ambition)、シーサケット・ソールンビサイ(タイ)といったビッグネームが揃っており、前三者は各2度の直接対決を済ませている。しかし、現時点では井岡とアンカハスは蚊帳の外といった状況だ。アンカハスの評価が突き抜けないのは、そうした点にも原因があるといえよう。
 挑戦者のロドリゲスは2015年8月にプロデビューした25歳のホープで、これが24戦目(22勝16KO1敗)にして初の大舞台登場となる。両ガードをアゴの前に置いた安心感を与える構えからワンツー主体で攻めるボクサーファイター型で、右ストレートは伸びがある。パンチ力も見た目以上にありそうだ。ただ、経験値という点では物足りなさが残る。世界的強豪との対戦は2年前のフェリペ・オルクタ(メキシコ)と、昨年12月のフリアン・イエドラス(メキシコ)戦の2度だけなのだ。しかもオルクタはエストラーダとの無冠戦で敗れたあとの再起戦だったし、イエドラスに至っては6連敗中だった点を割り引かなければならない。メキシコ国外での初試合という点も不安要素のひとつだ。
 総合力から判断してアンカハスが圧倒的に有利であることは間違いない。サウスポーから繰り出す多彩な右、どの距離からも打ち込める左、そしてコンビネーションで序盤から一方的に挑戦者を攻め立てる可能性もある。不安があるとすればコロナ禍の影響もあって前戦から1年4ヵ月ぶりのリングである点だろう。もしもアンカハスに心身の調整に狂いがあるようだと思わぬ苦戦も考えられる。

スーパー・フライ級トップ戦線の現状

WBA S
:ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
WBA
:ジョシュア・フランコ(アメリカ)
WBC F
:ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
IBF
:ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)
WBO
:井岡一翔(Ambition)

 この3年ほど、トップ戦線の主役に大きな変動は見られない。WBAスーパー王座とWBCのフランチャイズ(特権)王座を持つファン・フランシスコ・エストラーダ(31=メキシコ)、そのエストラーダに物議をかもす判定で敗れてWBAスーパー王座を失ったローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)、エストラーダと1勝1敗、ゴンサレスには2勝している前WBC王者のシーサケット・ソールンビサイ(34=タイ)。この3選手にIBF王座を8度防衛中のジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)とWBO王者の井岡一翔(32=Ambition)を含めた5人が団子状態といえる。
 こうしたなかWBCはエストラーダ対、ゴンサレス、シーサケットに元王者のカルロス・クアドラス(32=メキシコ)を加えた4選手でトーナメントを行う計画を打ち出している。エストラーダ対ゴンサレス第3戦とシーサケット対クアドラスの王座決定戦を同日開催し、勝者同士が最終決戦を行うというものだ。興味深い構想だが、新鮮味に欠ける点がマイナスか。どうせならビジネスの垣根や団体の枠を越えてWBO王者の井岡とIBF王者のアンカハス、さらに田中恒成(25=畑中)、戦線復帰を果たしたドニー・ニエテス(38=フィリピン)を加えた8人で最強決定トーナメントにしてほしいものだ。
 注目すべきは、ここまでに名前が出てきた8人のうちアンカハスと田中を除く6人が三十代である点だ。これは彼らが5年、10年という長いスパンで世界のトップをキープし続けていることを意味している。その一方で、そう遠くない将来に新しい波が押し寄せることをも暗示している。田中はその波の先頭にいるといっていいだろう。もちろん今回、アンカハスに挑むジョナタン・ロドリゲス(25=メキシコ)にも可能性がある。

ウェルター級12回戦
ジャロン・エニス対セルゲイ・リピネッツ

新たなスター候補エニスに試練
元王者リピネッツの壁を越えられるか

 近い将来、テレンス・クロフォード(アメリカ)やエロール・スペンス(アメリカ)らウェルター級のスター選手の脅威になるといわれているジャロン・エニス(23=アメリカ)が登場。元IBF世界スーパー・ライト級王者で現在はウェルター級でIBF3位、WBO9位にランクされるセルゲイ・リピネッツ(32=カザフスタン/ロシア)と対戦する。すでにエニスもIBFで9位、WBOで7位にランクされており、世界ランカー同士のサバイバルマッチとしても注目のカードだ。
 エニスはボクシング一家としても知られる。トレーナーを務める父親のデリックはプロで6戦の経験を持ち、17歳上の兄デレクはスーパー・ウェルター級で世界10傑入りしたほどの実力者だった。14歳上の兄ファラーも元プロで、のちに世界王者になるバドゥ・ジャック(スウェーデン)と対戦したこともある。ジャロン自身は15歳でボクシングを始め、アマチュアで61戦58勝3敗の戦績を残した。この3敗はいずれも2016年リオデジャネイロ五輪に出場してベスト8入りしたゲイリー・アントワヌ・ラッセル(アメリカ)に喫したものだ。ちなみに、このラッセルも五輪後にプロ転向を果たし、スーパー・ライト級で13戦全KO勝ちの快進撃を続けている。両者が舞台をプロのリングに変えて拳を交える日が来るかもしれない。
 五輪出場の夢が潰えた直後の2016年4月にプロデビューし、5年間で27戦26勝(24KO)1無効試合という戦績を残している。2017年5月から16連続KO勝ちをマークしたが、昨年12月、元世界ランカーのクリス・バン・ヘーデン(南アフリカ)戦で相手が負傷、1回無効試合という結果に終わった。一方的に攻め立て、KOは時間の問題というなかでのアクシデントだっただけに悔しい思いをしたはずだ。
 エニスは左右どちらの構えでも戦えるスイッチヒッターだが、サウスポーで対峙する時間の方が長い。身長178センチ、リーチ188センチの恵まれた体格とスピードを生かして積極的に攻めて出るタイプで、24KOのうち3ラウンド以内の決着が17度もある。左ストレート、右フックに加え左右のアッパーも鋭い。今回は元世界王者を相手にしたテストマッチだが、10対1という一方的なオッズで支持を集めている。エニスに対する期待と評価の高さがうかがえる数字だ。
 一方のリピネッツはカザフスタンの出身だが、現在はアメリカのカリフォルニア州に住んでいる。キックボクシングを経てエニスより2年早い2014年4月にプロデビューしたが、まだ18戦(16勝12KO1敗1分)と試合数は多くない。2017年11月に近藤明広(一力)に12回判定勝ちを収めて空位のIBF世界スーパー・ライト級王座を獲得したものの、4ヵ月後の初防衛戦でマイキー・ガルシア(アメリカ)に完敗、ベルトを失った。それを機にウェルター級に転向し、昨年10月にはIBF暫定王座決定戦に出場したが、引き分けで2階級制覇を逃している。エニスを下すようなことがあれば再びスポットライトを浴びることになるはずだ。
 エニスがスピードとパンチの回転力を生かして序盤から飛ばしそうだ。リピネッツは頑丈な方だが、なるべく被弾は少なく抑えたいところ。そのうえで右ストレートを軸に応戦したい。髭に覆われたエニスのアゴに右をお見舞いすることができるか。もしもリピネッツがエニスのスピードについていけず、正面に立ってパンチを受け続けるようならば終盤を待たずにけりがつく可能性が高い。

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