WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
テレンス・クロフォード対ケル・ブルック

  • 2020/11/06

3階級制覇の絶対王者 vs 総合力の高い元王者
ブルックは右ストレートに活路

 3階級制覇、4団体の王座統一、デビューから36連勝、世界戦14戦全勝、目下7連続KO勝ち……アピールできる数字をいくつも持っているWBO世界ウェルター級王者のテレンス・クロフォード(33=アメリカ)が、元IBF王者で現WBO5位のケル・ブルック(34=イギリス)を迎えて4度目の防衛戦に臨む。卓抜したスピードとテクニックに加え、最近は力強さを増してきたクロフォードが圧倒的有利とみられているカードだが、ブルックも番狂わせを起こすだけの高い総合力を備えた実力者だ。
 36戦全勝(27KO)の「ハンター」が今回も確実かつ獰猛な狩りに成功するのか、それとも「スペシャル・ワン」と呼ばれる41戦39勝(27KO)2敗の挑戦者が特別な男であることを自らの拳で証明するのか。ハイレベルの攻防が期待される。

モチベーション維持が不安視されるクロフォード

 クロフォードはアマチュア時代、2006年に全米ゴールデングローブ大会ライト級準優勝、全米選手権ライト級3位の実績を持ってはいるが、国際大会で華々しい活躍をしたわけではない。せいぜい2007年にベネズエラで開催されたパンナム大会で銅メダルを獲得したぐらいか。このときは準決勝でヨルデニス・ウガス(キューバ=現WBA世界ウェルター級王者)にポイント負けを喫している。アマチュア戦績は70戦58勝12敗。決して悪い数字ではないが、83パーセントの勝率は驚くほどではない。
 20歳でプロに転向後も最初から順調だったわけではない。2008年秋には頭部に銃弾を受けるなどトラブルに見舞われたこともあり、試合では1度も負けていないのに4回戦を10度も経験することになった。転機は2011年にマネージャーをキャメロン・ダンキン氏に変え、トップランク社とプロモート契約を結んだことであろう。これを機に強豪との対戦が増えたが、それらを順調にクリアしていき、2014年にはイギリス遠征でリッキー・バーンズ(イギリス)に12回判定勝ち、WBO世界ライト級王座を獲得した。その後の6年間の活躍については詳述するまでもないだろう。
 世界戦のリングで際立った数字を残しているクロフォードだが、最近はモチベーションの維持に関して心配する向きもある。WBCとIBFの王座を持つ最大のライバル、エロール・スペンス(アメリカ)や、世界的な知名度と人気を持つWBAスーパー王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)らウェルター級のライバルの多くがトップランク社とは対抗関係にあるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)傘下にあるためだ。ウェルター級進出後のクロフォードの防衛戦の相手をみると、ホセ・ベナビデス(アメリカ)は全勝の元スーパー・ライト級暫定王者、アミール・カーン(イギリス)は知名度十分の元王者、そしてエギディユス・カバラウスカス(リトアニア)はWBO1位の指名挑戦者だったが、いずれもクロフォードに危機感を抱かせるほどの相手とはいえなかった。では今回の相手、ブルックはどうだろうか。

体格も戦力もバランスのいいブルック

 現在のブルックはスペンスやパッキャオほどのビッグネームではないが、身長175センチ、リーチ175センチと均整のとれた体格の持ち主で、戦闘能力という点でもバランスのいい選手だ。打ち下ろすように放つ右ストレートには破壊力があり、カウンター技術も高い。基本はオーソドックスだが、機を見て左構えにチェンジするなど器用な一面もある。クロフォードにとってはベナビデスやカーン、カバラウスカスよりも危険な相手といえる。
 ブルックはアマチュアを経て2004年9月に18歳でプロデビューし、英国王座など複数の地域王座を獲得後、2014年8月にアメリカで突貫ファイターのショーン・ポーター(アメリカ)に12回判定勝ち、自国にIBF世界ウェルター級王座を持ち帰った。
戴冠後、モロッコで休暇中に暴漢に大腿部を刺されるトラブルに遭ったが、リングでの活動に大きな影響はなく3連続KO防衛を果たした。この王座を持ったまま2016年9月、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)の持つWBC、IBF世界ミドル級王座に挑む冒険を企てたが、善戦したものの5回途中で陣営が棄権を選択。試合後、左目眼窩底骨折が判明した。休養後、スペンスの挑戦を受けたが、11回KOで敗れウェルター級王座を失った。今度は右目眼窩底骨折が明らかになった。そのため10ヵ月近いブランクをつくったが、2018年3月に戦線復帰。その再起戦を含め3試合連続でスーパー・ウェルター級の体重でリングに上がった。今回はスペンス戦以来の147ポンド(約66.6キロ)となる。減量を含めたコンディション調整も課題のひとつといえよう。

近況に大差 クロフォードが中盤で仕留める?

 個々の戦力を比較してみると、スピードや防御技術、スタミナ、戦術などではクロフォードが上回っていそうだ。パワー、タフネス、攻撃技術などはほぼ互角とみていいだろう。大きな差がみてとれるのは両者の近況である。クロフォードが2014年3月以来、世界戦で14連勝、目下7連続KO中なのに対し、ブルックは最近の4年間で5戦3勝(2KO)2敗と一時の勢いが感じられないのだ。3年半前とはいえクロフォードと同じサウスポーのスペンスの右ジャブに対応が不十分だったことも悲観的な材料といえよう。
 クロフォードはスイッチヒッターだが、最近は左構えで戦うことが多い。スペンス戦でサウスポー対策が十分ではなかったブルックが相手だけに今回も左構えでスタートするものと思われる。クロフォードが速い右ジャブを差し込んできた際、ブルックに十分な反応がみられないようだと試合は一方的になる可能性がある。その場合、中盤あたりに大きなヤマが訪れそうだ。もしも大番狂わせが起こるとしたら、ブルックが右を当てて多彩なコンビネーションをまとめた場合だろう。10月末の時点でオッズは12対1でクロフォード有利と出ているが、そこまでの戦力差は感じられない。ブルックが特別な男であることを証明する可能性も十分にある。

TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表

  • 名前

    テレンス・クロフォード

    ケル・ブルック

  • 生年月日/年齢

    1987年9月28日/33歳

    1986年5月3日/34歳

  • 出身地

    オマハ(米国ネブラスカ州)

    シェフィールド(イギリス)

  • アマチュア実績

    07年全米選手権3位など

  • アマチュア戦績

    70戦58勝12敗

    31勝or36勝(試合数は不明)

  • プロデビュー

    08年3月

    04年9月

  • 獲得世界王座

    WBOライト級王座
    WBA、WBC、IBF
    WBO Sライト級王座
    WBOウェルター級王座

    IBFウェルター級王座

  • プロ戦績

    36戦全勝(27KO)

    41戦39勝(27KO)2敗

  • KO率

    75%

    66%

  • 世界戦の戦績

    14戦全勝(11KO)

    6戦4勝(3KO)2敗

  • 身長/リーチ

    173センチ/188センチ

    175センチ/175センチ

  • 戦闘スタイル

    左ボクサーファイター型
    (右構えにスイッチすることも)

    右ボクサーファイター型

  • ニックネーム

    「ハンター」

    「スペシャル・ワン」

  • トレーナー

    ブライアン・マッキンタイア

    ドミニク・イングル

主要4団体の世界王座を自力で統一した選手

選手 達成年 階級
(1)バーナード・ホプキンス(アメリカ) 2004年9月 ミドル級
(2)テレンス・クロフォード(アメリカ) 2017年8月 スーパー・ライト級
(3)オレクサンデル・ウシク(ウクライナ) 2018年7月 クルーザー級
(4)テオフィモ・ロペス(アメリカ) 2020年10月 ライト級

※ジャーメイン・テイラー(アメリカ)はホプキンスに勝って4団体王座を継承

テレンス・クロフォード 世界戦全戦績

■2014年
3月1日 リッキー・バーンズ
(WBO世界ライト級王座獲得)
〇12回判定
6月28日 ユリオルキス・ガンボア 〇9回TKO 防衛(1)
11月29日 レイムンド・ベルトラン 〇12回判定 防衛(2)
■2015年
4月18日 トーマス・デュロルメ
(空位のWBO世界スーパー・ライト級王座獲得)
〇6回TKO
10月24日 ディエリー・ジャン 〇10回TKO 防衛(1)
■2016年
2月27日 ヘンリー・ランディ 〇5回TKO 防衛(2)
7月23日 ビクトル・ポストル
(WBC王座獲得)
〇12回判定 防衛(3)
12月10日 ジョン・モリナ 〇8回TKO 防衛(4)
■2017年
5月20日 フェリックス・ディアス 〇10回終了TKO 防衛(5)
8月19日 ジュリウス・インドンゴ
(WBA、IBF王座獲得=4団体統一)
〇3回KO 防衛(6)
■2018年
6月9日 ジェフ・ホーン
(WBO世界ウェルター級王座獲得)
〇9回TKO
10月13日 ホセ・ベナビデス 〇12回TKO 防衛(1)
■2019年
4月20日 アミール・カーン 〇6回TKO 防衛(2)
12月14日 エギディユス・カバラウスカス 〇9回TKO 防衛(3)

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA S
:マニー・パッキャオ(フィリピン)
WBA
:ヨルデニス・ウガス(キューバ)
WBA 暫定
:ジャマル・ジェームス(アメリカ)
WBC
:エロール・スペンス(アメリカ)
IBF
:エロール・スペンス(アメリカ)
WBO
:テレンス・クロフォード(アメリカ)

 6階級制覇を成し遂げているWBAスーパー王者のマニー・パッキャオ(41=フィリピン)、WBCとIBFの2冠王者、エロール・スペンス(30=アメリカ)、そして3階級制覇のWBO王者、テレンス・クロフォード(33=アメリカ)が、このクラスの3強だ。3人のなかでは実績や知名度ではパッキャオが文句なしの一番だが、現時点での実力となるとスペンスとクロフォードがトップ2ということになろう。ともにサウスポーで、スペンスが26戦全勝(21KO)、クロフォードが36戦全勝(27KO)、両者とも高いKO率を誇る。ビジネス路線が異なるなるため直接対決は難しい状況といえるが、共通のメリットが見えた場合は実現も考えられる。そのためには両王者が内容のある防衛を重ねる必要がある。クロフォードは今回のケル・ブルック(34=イギリス)戦、スペンスは12月5日(日本時間6日)に予定されるダニー・ガルシア(32=アメリカ)戦で、それぞれどんなパフォーマンスを見せるのか注目される。
 3強に続く実力者というと前出のガルシア、スペンスを苦しめた元IBF、WBC王者のショーン・ポーター(33=アメリカ)、WBAのレギュラー王座を獲得したヨルデニス・ウガス(34=キューバ)といったあたりか。
 若手ではWBC5位、WBO2位にランクされる16戦全KO勝ちの22歳、バージル・オルティス(アメリカ)、WBC10位、IBF10位、WBO9位に名を連ねる26戦全勝(24KO)のジャロン・エニス(23=アメリカ)に大きな期待が寄せられている。次世代のスペンス&クロフォードになれるか。

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの