WBO世界スーパー・フェザー級タイトルマッチ
ジャメル・ヘリング対ジョナサン・オケンド

  • 2020/10/5

技巧派サウスポー vs カリブの曲者
体格で勝るヘリングが支配か

 2019年5月に伊藤雅雪(伴流⇒横浜光)を破ってWBO世界スーパー・フェザー級王者になった長身の技巧派サウスポー、ジャメル・ヘリング(34=アメリカ)の2度目の防衛戦。挑戦者のオケンドはWBO11位だが、強豪との対戦経験が豊富な曲者だ。体格や総合力で勝るヘリング有利は揺るがないが、小柄なオケンドの攻撃に手を焼く可能性もある。

 ヘリングは2012年ロンドン五輪に出場(ライト・ウェルター級初戦敗退)するなどトップアマとして活躍した。この間、海兵隊員としてイラクにも2度派遣されている。ちなみにニックネームの「Semper Fi(センパー・ファーイ)」とは「常に忠誠を誓います」という海兵隊の標語だ。96戦81勝15敗(92戦78勝14敗説もある)のアマチュア戦績を残し、五輪から4ヵ月後の2012年12月にプロ転向を果たした。
 身長178センチ、リーチ183センチの大柄なサウスポーで、距離をとりながら右ジャブを突いてコントロール。相手が出てくると巧みに迎え撃つなど高い技術力を前面に出したボクシングを身上としている。その一方、伊藤戦を含め直近の4戦は判定勝ちに留まっており、パンチ力や爆発力という点では物足りなさも残る。戦績は24戦22勝(10KO)2敗。ふたつの敗北はサウスポー相手に喫したもので、プロではオーソドックスの選手には負けたことがない。戴冠後の昨年11月には指名挑戦者のラモント・ローチ(アメリカ)に明確な差をつけて初防衛を果たしている。
 もともと2度目の防衛戦は6月にカール・フランプトン(イギリス)を相手に計画していたが、コロナ禍のため交渉が頓挫。代わってオケンドを相手に7月2日に行われることになったが、ウィルス検査で陽性が判明。無症状だったため12日後にリセットされたが、試合前日に今度も陽性であることが確認されたため再延期された経緯がある。

 挑戦者のオケンドは、ヘリングがアマチュアで活躍する以前の2004年6月にプロとしてデビューした。キャリアは16年ということになる。戦績は38戦31勝(19KO)7敗。負けた相手のリストにはファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ)、ウィルフレド・バスケス・ジュニア(プエルトリコ)、アブネル・マレス(メキシコ)、ヘスス・クェジャル(アルゼンチン)ら未来、元、現役の世界王者たちの名前が並ぶ。12回判定で敗れたクェジャル戦はWBAのフェザー級王座への挑戦試合だった。下した相手のリストには元世界2階級制覇王者のジョニー・ゴンサレス(メキシコ)、世界挑戦経験者のダリウス・プレスコット(コロンビア)らが含まれている。
 身長163センチ、リーチ170センチと小柄なオケンドは距離を詰めないと自分の仕事ができないため強引な接近戦を仕掛けることが多い。自らのリスクも高いが、相手にとっては厄介なタイプといえるだろう。
 身長とリーチで大きく勝るサウスポーのヘリングにとってオケンドは自分のアドバンテージを最大限に生かせる相手といえよう。右ジャブで突き放し、入ってくるところを左ストレート、アッパーで迎撃するパターンが目に浮かぶ。その一方、懐に潜り込まれたらオケンドは面倒な相手といえる。かき回され、ボディから顔面にラフなパンチを浴びてヘリングが苦戦する可能性もありそうだ。

スーパー・フェザー級トップ戦線の現状

WBA S
:レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
WBA
:レネ・アルバラード(ニカラグア)
WBA 暫定
:クリス・コルバート(アメリカ)
WBC
:ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)
IBF
:ジョセフ・ディアス(アメリカ)
WBO
:ジャメル・ヘリング(アメリカ)

 2017年1月の戴冠から4年近い在位を誇るWBC王者のミゲール・ベルチェルト(28=メキシコ)がこの階級のリーダーといえる。初防衛戦は三浦隆司(帝拳)を相手に判定勝ちだったが、以後はV2戦からV6戦まで5連続KO防衛を飾っている。
 同じトップグループにいるのがWBAスーパー王者のレオ・サンタ・クルス(32=メキシコ)だが、この4階級制覇王者はフェザー級のWBAスーパー王座も保持している。10月24日(日本時間25日)には5階級制覇をかけてライト級のWBA王者、ジャーボンテイ・デービス(25=アメリカ)と対戦する。若くて攻撃力のあるデービスが相手ということで厳しい戦いが予想される。デービスが勝った場合はサンタ・クルスの王座を奪うことになるが、かつて体重苦のため計量で失格したことのあるデービスが再びスーパー・フェザー級に留まることはないだろう。
 IBF王者のジョセフ・ディアス(27=アメリカ)は元オリンピアンで、今年1月にテビン・ファーマー(30=アメリカ)に競り勝って戴冠を果たした。サウスポーのボクサーファイター型だが、もうひと回りスケールアップがほしいところだ。同じ元オリンピアンのWBO王者、ジャメル・ヘリング(34=アメリカ)にも同様のことがいえる。こちらは大柄な技巧派サウスポーだが、アピール度という点で物足りなさは残る。
 WBA王座に君臨するレネ・アルバラード(31=ニカラグア)は遠回りをしたすえに栄光を手にしたが、安定政権を築く力があるかとなると疑問だ。WBA暫定王者のクリス・コルバート(24=アメリカ)は14戦全勝のうち5KOとKO率は低いが、数字以上にパンチ力はあるはず。若く素質がある選手だけに急成長の可能性もある。
 こうしたなかフェザー級から元WBO王者のオスカル・バルデス(29=メキシコ)と前WBO王者のシャクール・スティーブンソン(23-アメリカ)が参入してきた。ベルチェルトとのメキシカン対決を希望しているバルデスが28戦全勝(22KO)、ヘリングとのサウスポー対決を望んでいるスティーブンソンが14戦全勝(8KO)。
 このままいけば2組の好カードは実現しそうだ。ただし、その前にヘリングは今回のジョナサン・オケンド(37=プエルトリコ)戦と、その先に計画されているカール・フランプトン(33=イギリス)戦をクリアする必要がある。

ミドル級10回戦
ロブ・ブラント対ビタリ・コピレンコ

前王者ブラントの再起戦
相手は村田の元スパーリング・パートナー

 昨年7月、村田諒太(34=帝拳)とのリマッチで2回TKO負けを喫してWBA世界ミドル級王座を失ったロブ・ブラント(29=アメリカ)が、その村田のスパーリング・パートナーとして来日したこともあるビタリ・コピレンコ(36=ウクライナ)を相手に再起戦に臨む。
 ブラントは2009年全米選手権、2010年ゴールデングローブ大会で優勝するなどアマチュアで124戦102勝22敗の戦績を収めたあとプロに転向した。しばらくはミドル級で戦っていたが、3年前にはスーパー・ミドル級に転向して「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」に参戦。しかし、初戦で元世界王者のユルゲン・ブレーマー(ドイツ)に判定で敗れた。ミドル級に戻ったあと2018年10月に村田を破って戴冠を果たしたが、再戦では完敗、在位は9ヵ月に終わった。スピードと手数が身上の右ボクサーファイター型で、戦績は27戦25勝(17KO)2敗。
 コピレンコはウクライナ出身だが、現在はアメリカのカリフォルニア州オックスナードに居を構えて活動している。2008年2月のプロデビューから12年間に30戦28勝(16KO)2敗の戦績を残している。自国ウクライナをはじめスイス、ベラルーシ、ブルガリア、ロシア、アメリカ、ドミニカ共和国と7ヵ国で戦った経験を持っている。2敗はいずれものちに世界挑戦するウィリー・モンロー(アメリカ)とスティーブン・バトラー(カナダ)に判定で敗れたものだ。バトラー戦では8回に左ボディブローでダウンを奪っている。7ヵ月後、バトラーは村田に挑戦することになるが、その際にコピレンコは村田のスパーリング・パートナーとして来日している。コピレンコはガードを比較的高めに置いて左ジャブから右ストレートに繋げる攻撃パターンを持つ。左のボディブローも得意なパンチのひとつといえる。
 村田戦で負ったブラントの心身のダメージが気になるところだが、それが問題なければ前王者が大きなトラブルに陥る可能性は低いとみる。スピードに乗った軽打でリズムをつかみ、徐々に手数を増やしていって引き離していくのではないだろうか。

WBO世界ライト・ヘビー級挑戦者決定戦
エレイデル・アルバレス対ジョー・スミス

36歳の巧者 vs Mr.アップセット
オッズは2対1でアルバレス有利だが・・・

 在位は半年だったもののWBO世界ライト・ヘビー級王座に君臨したこともある元王者のエレイデル・アルバレス(36=コロンビア)と、あのバーナード・ホプキンス(アメリカ)に引導を渡したジョー・スミス(30=アメリカ)が拳を交える。現在のランキングはアルバレスがWBO3位、スミスは4位に名を連ねている。試合はWBO世界ライト・ヘビー級挑戦者決定戦として行われる。
 アルバレスは2007年の世界選手権や2008年の北京五輪に出場するなどアマチュアで活躍後、カナダに移り住んでプロに転向した。強豪を連破しながらも大きなチャンスに恵まれなかったが、2年前にセルゲイ・コバレフ(ロシア)を逆転の7回KOで破って世界王座を獲得。再戦で敗れたものの今年1月には再起して再戴冠が狙える位置につけている。26戦25勝(13KO)1敗。「STORM(嵐)」というニックネームがあるが、戦いぶりは荒々しいものではなく、むしろ技巧をベースにしたものといえる。
 スミスもアマチュアを50戦ほど経験(勝敗数は不明)したあと2009年10月に20歳でプロに転向。以後、11年間に28戦25勝(20KO)3敗の戦績を収めている。どこにでもいそうな「ジョー・スミス」という名がボクシングファンに広く知られるようになったのは2016年のことだ。その年の6月、当時WBC2位だった世界挑戦経験者のアンドレイ・フォンファラ(ポーランド)に1回TKO勝ち。半年後には元世界2階級制覇王者のバーナード・ホプキンス(アメリカ)をリング外に叩き落して8回KO勝ちを収めたのだ。オッズはフォンファラ戦が13対1、ホプキンス戦は5対2、いずれもスミス不利の予想だった。一躍トップ戦線に躍り出たスミスは2019年3月にWBA王座に挑んだが、このときはドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)に12回判定で敗れた。今年1月、ジェシー・ハート(アメリカ)との世界ランカー対決を10回判定で制して再起を果たしている。
 右ストレートという切り札を持つスミスが積極的に攻め、柔軟性のあるアルバレスが迎え撃つ展開が予想される。スミスの攻撃がいなされ続けるようだとポイントはアルバレスに転がり込むことになるだろう。そのパターンを予想する人は多く、オッズは2対1でアルバレス有利と出ている。大事な試合でスミスは三たびアップセット(番狂わせ)を起こすことができるか。

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2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの