WBC世界ミドル級タイトルマッチ
ジャモール・チャーロ対セルゲイ・デレビヤンチェンコ

  • 2020/09/18

全勝王者チャーロの真価が問われるV4戦
オッズは3対2と接近

 WBAスーパー王座に世界的なスター選手のサウル・カネロ・アルバレス(30=メキシコ)が居座り、同じ団体の正規王座には村田諒太(34=帝拳)が君臨。さらに、かつて20度の防衛を果たした実力者のゲンナディ・ゴロフキン(38=カザフスタン)がIBF王座を保持し、WBO王座はサウスポーの技巧派、デメトリアス・アンドレイド(32=アメリカ)がキープしている。そんな役者揃いのミドル級でWBC王者として2年5ヵ月の間に3度防衛中のジャモール・チャーロ(30=アメリカ)が、王者級の実力を持つセルゲイ・デレビヤンチェンコ(34=ウクライナ)の挑戦を受ける。
スピードやパンチの切れなど目に見える戦力で勝るチャーロ有利とはいえ、オッズは3対2と接近している。波瀾が起こる可能性も十分にある。
 チャーロは双子の弟ジャーメルとともに兄弟世界王者として知られる。アマチュアでは71戦65勝6敗と高い勝率を残しているチャーロだが、国際大会の実績は乏しく、エリート色は薄かった。2008年9月のプロ転向後も6勝した時点で2KOと、決め手に欠ける印象を与えるスタートだった。ところが7戦目から14連続KO勝ちを収めて注目される存在になり、5年前にはコーネリアス・バンドレイジ(アメリカ)に4度のダウンを与えて3回TKO勝ち、IBF世界スーパー・ウェルター級王座を奪った。
 3度目の防衛戦では、のちに世界王者になるジュリアン・ウィリアムス(アメリカ)を右アッパーで屠っている。これを最後にミドル級に転じると、2018年4月にWBCの暫定王座を獲得し、1年後、アルバレスが「フランチャイズ王者」にスライドしたのにともない正王者に昇格した。初防衛戦とV2戦でKOを逃して株を落としたが、3度目の防衛戦では格下相手に7回TKOで圧勝した。
 身長183センチ、リーチ187センチと恵まれた体格の持ち主で、総合的に高い戦力を備えている。これまで世界戦で8戦全勝(5KO)と申し分ない数字を残しているものの実力の拮抗した相手との対戦は少なく、まだ評価が定まっていないともいえる。
今回の試合で派手な勝ち方をするようならばチャーロ株は一気に上がるはずだ。逆に惨敗するようなことがあるとトップ戦線から大きく後退することになりかねない。

 チャーロとは対照的にデレビヤンチェンコは2008年北京五輪(2回戦敗退)や2007年(3位)と2009年(ベスト8)の世界選手権に出場するなど輝かしいアマチュア実績を持っている。準プロ形式で戦うワールド・シリーズ・オブ・ボクシング(WSB)では4年間に24戦23勝(7KO)1敗の戦績を残している。アマチュアの通算戦績は410戦390勝20敗と伝えられる。
 プロ転向は2014年7月で、1年後には世界挑戦経験者のエルビン・アヤラ(アメリカ)に8回判定勝ち。2016年7月にはタフで鳴らした元世界王者、サム・ソリマン(オーストラリア)を3度倒したすえ2回TKOに斬って落とした。その1年後にはトゥレアノ・ジョンソン(バハマ)に12回TKO勝ちを収め、IBFの指名挑戦権を獲得。その流れでダニエル・ジェイコブス(アメリカ)との王座決定戦に臨んだが、僅少差の判定で敗れた。初回に喫したダウンが勝敗を分けたかたちだった。2019年4月、再起戦は再びIBFの挑戦者決定戦だったが、元WBA世界スーパー・ウェルター級王者のジャック・クルカイ(エクアドル/ドイツ)に中差の判定勝ち。半年後、再びIBF王座の決定戦に臨んだが、今度はゴロフキンに小差の判定で敗れた。またも初回の軽いダウンが響いての惜敗だった。
 「テクニシャン」というニックネームのデレビヤンチェンコは、もちろん細かなスキルは持ち合わせているが、戦い方はファイターに近い。身長175センチ、リーチ171センチとミドル級にしては小柄なため自ら動いて距離を潰し、中近距離で戦う必要があるのだ。自分の型に持ち込めるかどうか――常に勝利のカギはその一点に絞られる。

 体格とスピードで勝るチャーロは、その利点を生かして中長距離での戦いを望むものと思われる。挑戦者の動きが止まるようならば王者が一気に攻勢に出て仕留めてしまう可能性もある。その一方、デレビヤンチェンコの圧力に押され受けに回るようだとチャーロのリスクは高まるだろう。消耗戦に持ち込まれスタミナをロスするようなことがあると中盤から終盤に窮地が訪れるかもしれない。

TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表

  • 名前

    ジャモール・チャーロ

    セルゲイ・デレビヤンチェンコ

  • 生年月日/年齢

    1990年5月19日/30歳

    1985年10月31日/34歳

  • 出身地

    米国テキサス州リッチモンド

    ウクライナのクリミア半島フェオドシヤ

  • アマチュア実績

    07年世界選手権ミドル級3位
    08年北京五輪ミドル級出場
    09年世界選手権ミドル級8強

  • アマチュア戦績

    71戦65勝6敗

    410戦390勝20敗

  • プロデビュー

    08年9月

    14年7月

  • 獲得世界王座

    IBF Sウェルター級
    WBC ミドル級

  • 身長/リーチ

    183センチ/187センチ

    175センチ/171センチ

  • プロ戦績

    30戦全勝(22KO)

    15戦13勝(10KO)2敗

  • KO率

    73%

    67%

  • 世界戦の戦績

    8戦全勝(5KO)

    2戦2敗

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型

    右ボクサーファイター型

  • トレーナー

    ロニー・シールズ

    アンドレ・ロジール

  • ニックネーム

    「ヒットマン」

    「テクニシャン」

ミドル級トップ戦線の現状

WBA S
:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBA
:村田諒太(帝拳)
WBA 暫定
:クリス・ユーバンク・ジュニア(イギリス)
WBC
:ジャモール・チャーロ(アメリカ)
IBF
:ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)
WBO
:デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)

 世界的なスター選手でもあるサウル・カネロ・アルバレス(30=メキシコ)がこの階級の主役であることは自他ともに認めるところだが、アルバレスはスーパー・ミドル級でもWBA王座を持っている。今後に関しては憶測も含め様々な情報が飛び交っているが、次戦はスーパー・ミドル級で戦うことになりそうな気配だ。
 アルバレスと互角の勝負を展開(2戦1敗1分)したゲンナディ・ゴロフキン(38=カザフスタン)は昨年10月にIBFで返り咲きを果たしたが、王座決定戦ではセルゲイ・デレビヤンチェンコ(34=ウクライナ)の攻勢にたじたじとなる場面もあった。年齢的なこともあり、今後に多くの期待はかけられないだろう。IBFから最上位(3位)のカミル・シェレメタ(ポーランド)との指名防衛戦が課されているが、コロナ禍の影響で先延ばしになっている。
 WBA王者の村田諒太(34=帝拳)はアルバレスかゴロフキンとの対戦を熱望しているが、コロナ禍の影響もあってかなかなか大一番が決まらない。同様のことはWBO王者のデメトリアス・アンドレイド(32=アメリカ)にもいえるが、こちらは技巧派サウスポーということでランカー人から敬遠されているのも事実だ。
 そんななかで行われる今回のジャモール・チャーロ(30=アメリカ)対デレビヤンチェンコのWBCタイトルマッチは、今後のミドル級トップ戦線を占ううえで興味深い試合といえる。特にチャーロにとってはアルバレスやゴロフキンとの対戦をアピールするためにも重要な一戦となる。内容のともなった勝利を収めれば一気にスーパーファイトの機運が盛り上がるはずだ。
 この階級は30代の選手が中心になっているが、スーパー・ウェルター級から転向したハイメ・ムンギア(メキシコ)は10月6日で24歳と際立って若い。まだ転級後はゲイリー・オサリバン(36=アイルランド)に11回TKO勝ちを収めただけだが、馴染んでくれば怖い存在になりそうだ。

WBO世界バンタム級タイトルマッチ
ジョンリエル・カシメロ対デューク・マイカー

3階級制覇王者 vs 24戦全勝の「ターミネーター」
井上戦先送りのカシメロに注目

 ジョンリエル・カシメロ(31=フィリピン)は4月25日にアメリカのネバダ州ラスベガスでWBAスーパー王座とIBF王座を持つ井上尚弥(27=大橋)と統一戦を行う予定だったが、この試合はコロナ禍のためひとまず先送りになった。代わりに組まれたのが24戦全勝(19KO)のデューク・マイカー(29=ガーナ)との防衛戦だ。爆発力のあるカシメロ有利のカードではあるが、この3階級制覇王者は好不調の波があるだけに番狂わせの可能性も決して低くはないとみる。
 カシメロは2009年12月に20歳でWBO暫定世界ライト・フライ級王座を獲得したのに始まり、2012年2月に同じ階級のIBF暫定王座(のちに正王者に昇格)、2016年5月にIBF世界フライ級王座、そして2019年4月にはWBO暫定世界バンタム級王座を獲得して3階級制覇を成し遂げた。そして昨年11月にはゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)との団体内統一戦で3回TKO勝ちを収めて正王者に昇格している。このテテ戦の衝撃的な勝利で一気に評価と知名度を上げた感がある。
 そのテテ戦に代表されるようにカシメロは劣勢のなかでも逆転のチャンスをうかがい、ここぞというところで強引な勝負を仕掛けるタイプだ。初戴冠試合やフライ級王座獲得試合もポイントで相手にリードを許しながら逆転KO(TKO)勝ちを収めている。なかなか勝負強いタイプといえる。これまで33戦29勝(20KO)4敗の戦績を残しているが、自国のほかメキシコ、南アフリカ共和国、アルゼンチン、パナマ、ニカラグア、タイ、中国、イギリスと9ヵ国で戦った経験を持っている。ちなみに4度の戴冠はいずれも異国で果たしている。
 こうした逞しさを持つ一方、モルティ・ムザラネ(南アフリカ共和国)への挑戦試合では相手の左ジャブに接近を阻まれて完敗(5回TKO負け)。3年前のIBF世界スーパー・フライ級挑戦者決定戦では巧みに距離を操るジョナス・スルタン(フィリピン)の前に強打が不発、12回判定で敗れている。IBFのライト・フライ級王者時代には体重超過のため計量で失格したこともある。調子の波、相手との相性、気持ちのムラが大きい選手といえるかもしれない。

 挑戦者のマイカーはアマチュア時代に2012年ロンドン五輪に出場、フライ級ベスト8入りをかけた試合でマイケル・コンラン(イギリス/アイルランド)に敗れている。 その年の11月にプロ転向を果たし、WBOアフリカ王座、英連邦王座、WBCインターナショナル王座を獲得するなど順調に出世した。2018年9月から12月までの3ヵ月間、WBO世界バンタム級1位にランクされたが、その後、試合から遠ざかったため15傑から外れた。1年2ヵ月のブランクを経て昨年8月に戦線復帰(2回TKO勝ち)し、12月には世界挑戦経験者のハニエル・リベラ(プエルトリコ)に8回判定勝ちを収めている。戦績は24戦全勝(19KO)で、KO率ではカシメロの61パーセントを大きく上回る79パーセントをマークしている。
 「ターミネーター(抹殺者)」というニックネームを持つマイカーだが、そのボクシングにはKO率や異名ほどの迫力は感じられない。両ガードを比較的高めに置き、肩からスーっと伸ばす左ジャブで突破口を開き、クロスで打ち込む右ストレート、チョップ気味の左フックなどで攻めることが多い。右のボクサーファイター型のカテゴリーに入るが、ボクサー寄りといっていいだろう。直近の6戦に関しては全勝ながらKOは2で、接戦も目立つ。安全策を採る傾向が強まっているのかもしれない。

 コロナ禍のなか2月からアメリカに留まって調整を続けてきたカシメロが心身ともにベストのコンディションをつくったとしたら、勝利を得るのは難しくないだろう。鋭く踏み込んで左右のフックやアッパーで中盤当たりで攻め落としてしまうシーンが見られるかもしれない。そうした一方、カシメロが十分とはいえないモチベーション、コンディションでリングに上がった場合は苦戦も考えられる。マイカーの左ジャブを外しきれずに集中力を失い、ずるずると失点を重ねる可能性も低くはないように思える。勝敗の行方、内容に関してはカシメロしだいということになりそうだ。

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの