「パーフェクト王者」テレンス・クロフォード特集

  • 2020/06/19

 3階級制覇、スーパー・ライト級時代には主要4団体の王座を統一、36戦全勝(27KO)、世界戦で7連続KO勝ち――実績も実力も抜群のWBO世界ウェルター級チャンピオン、テレンス・クロフォード(32=アメリカ)が今回の主役だ。「ハンター」の異名を持つクロフォードは構えを左右に変えて戦うことができる器用な選手で、パンチを見切る防御勘と好機に一気に畳みかける攻撃力をバランスよく身に着けている。スター選手が揃ったウェルター級トップ戦線の真のリーダーになれるか。

ガンボアを4度倒してライト級王座初防衛

 テレンス・アラン・クロフォードは1987年9月28日、アメリカの中央部に位置するネブラスカ州オマハで生まれた。ここはボクシングに関しては長く不毛の地だったが、クロフォードの出現でこの6年ほどは湧いている。アマチュアで70戦58勝12敗の戦績を残したクロフォードは2008年3月、20歳でプロデビューした。その年の秋には頭部に銃弾を受けたが、奇跡的に軽傷で済んだという逸話もある。2011年にトップランク社とプロモート契約を交わし、それを機にスター選手への軌道に乗った。マニー・パッキャオ(フィリピン)と3度拳を交えるティモシー・ブラッドリー(アメリカ)のスパーリング・パートナーを務めたことも貴重な財産になったはずだ。
 2014年3月、相手の地元イギリスのスコットランド、グラスゴーに乗り込んでリッキー・バーンズを翻弄、明白な12回判定で下してWBO世界ライト級王座を獲得。その時点では評価は定まっていなかったが、オマハで42年ぶりとなる世界戦で当時23戦全勝(16KO)のユリオルキス・ガンボア(キューバ)から4度のダウンを奪って9回TKO勝ちを収めて初防衛を果たすと、一気に株が上昇した。
 V2後にスーパー・ライト級に転向したクロフォードは、その初戦でトーマス・デュロルメ(プエルトリコ)を6回TKOで屠って空位のWBO王座を獲得。2016年7月には28戦全勝(12KO)のWBC王者、ビクトル・ポストル(ウクライナ)から2度のダウンを奪って12回判定の快勝、2団体王座を統一した。翌年にはWBAとIBFのベルトを持っていたジュリウス・インドンゴ(ナミビア)を豪快な3回KOに討ち取り、4団体の王座を統一を果たした。自力での主要4団体王座統一はミドル級時代のバーナード・ホプキンス(アメリカ)に次ぐ史上2人目の快挙だ(のちにオレクサンダー・ウシクが達成)。

対スペンス、対パッキャオ 夢のカードは実現するか

 スーパー・ライト級でライバルのいなくなったクロフォードは、さらに階級をアップ。2018年6月にはジェフ・ホーン(オーストラリア)に9回TKOで圧勝、WBO世界ウェルター級王座を獲得して3階級制覇を成し遂げた。初防衛戦では身長で10センチ上回るホセ・ベナビデス(アメリカ)を最終12回で仕留め、V2戦では世界的なビッグネームのアミール・カーン(イギリス)にも6回TKOで快勝。3度目の防衛戦では指名挑戦者のエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)を9回TKOで退けた。
 173センチの身長に対してリーチが188センチとボクサーとして恵まれた体格バランスのクロフォードは、左右どちらの構えでも戦える器用なスイッチヒッターで、アウトボクシングも攻撃的なボクシングもこなせる。もともとスピードとスキルには定評があるが、最近はKOを過剰に意識してか強引な攻めが目立つ。これは同じ階級のライバルたち――WBC&IBF王者のエロール・スペンス(アメリカ)、WBAスーパー王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)――に対するアピールともとれる。その分、ボクシングがやや雑になっている印象があるのも事実だ。そもそもの力量に差があったカバラウスカス戦などはその典型といえよう。
 いま、147ポンド(約66.6キロ)を体重上限とするウェルター級にはクロフォード、スペンス、パッキャオの3王者をはじめショーン・ポーター(アメリカ)、ダニー・ガルシア(アメリカ)、キース・サーマン(アメリカ)ら実績を残している実力者が揃っている。特にクロフォード対スペンスは現在のボクシングシーンにおいて誰もが見たい試合のトップに挙げられるカードといっても過言ではないだろう。クロフォード自身は最強を証明するために誰とでも戦うと意欲をみせているが、彼らとはプロモーターとテレビ局が異なることなどから実現のハードルが高くなっている現状がある。
 今回のコロナ禍で危機感を抱く業界が大きく動き、従来のビジネスの枠を超えたマッチメークが促進されていくことを願いたいものだ。

 29日のエキサイトマッチでは、ガンボア戦、デュロルメ戦、インドンゴ戦、ホーン戦、そして直近のカバラウスカス戦などを放送する予定。

TALE OF THE TAPE テレンス・クロフォードのデータ

生年月日/年齢 1987年9月28日/32歳
出身地 オマハ(米国ネブラスカ州)
アマチュア実績 07年全米選手権3位など
アマチュア戦績 70戦58勝12敗
プロデビュー 08年3月
獲得王座 WBOライト級王座
WBA、WBC、IBF、WBO スーパー・ライト級王座
WBOウェルター級王座
戦績 36戦全勝(27KO)
KO率 75%
世界戦の戦績 14戦全勝(11KO)
身長/リーチ 173センチ/188センチ
戦闘スタイル 左ボクサーファイター型(右構えにスイッチすることもある)
ニックネーム 「ハンター」「バド」
トレーナー ブライアン・マッキンタイア

クロフォードの3階級制覇の足跡

2014年3月 26歳 WBO世界ライト級王座獲得(2度防衛後に返上)
2015年4月 27歳 WBO世界スーパー・ライト級王座獲得(6度防衛後に返上)
2016年7月 28歳 WBC世界スーパー・ライト級王座獲得
2017年8月 29歳 WBA&IBF世界スーパー・ライト級王座獲得 ※4団体統一
2018年6月 30歳 WBO世界ウェルター級王座獲得(3度防衛中)

WBA、WBC、IBF、WBO 自力で主要4団体の王座統一を果たした選手

【1】バーナード・ホプキンス(アメリカ) ミドル級(2004年)
【2】テレンス・クロフォード(アメリカ) スーパー・ライト級(2017年)
【3】オレクサンダー・ウシク(ウクライナ) クルーザー級(2019年)
※ジャーメイン・テイラー(アメリカ)も4団体統一王者だったが、これはホプキンスに勝って4本のベルトを引き継いだもの

クロフォードの世界戦全戦績

2014年
3月 リッキー・バーンズ 〇12回判定
(WBO世界ライト級タイトル獲得)
6月 ユリオルキス・ガンボア 〇9回TKO 防衛1
11月 レイムンド・ベルトラン 〇12回判定 防衛2
2015年
4月 トーマス・デュロルメ 〇6回TKO
(WBO世界スーパー・ライト級タイトル獲得)
10月 ディエリー・ジャン 〇10回TKO 防衛1
2016年
2月 ヘンリー・ランディ 〇5回TKO 防衛2
7月 ビクトル・ポストル 〇12回判定 防衛3
(WBCタイトル獲得)
12月 ジョン・モリナ 〇8回TKO 防衛4
2017年
5月 フェリックス・ディアス 〇10回終了TKO 防衛5
8月 ジュリウス・インドンゴ 〇3回KO 防衛6
(WBA、IBFタイトル獲得)
2018年
6月 ジェフ・ホーン 〇9回TKO
(WBO世界ウェルター級タイトル獲得)
10月 ホセ・ベナビデス 〇12回TKO 防衛1
2019年
4月 アミール・カーン 〇6回TKO 防衛2
12月 エギディウス・カバラウスカス 〇9回TKO 防衛3

ウェルター級トップ戦線

WBA SC
:マニー・パッキャオ(フィリピン)
:アレクサンダー・ベスプーチン(ロシア)
WBC
:エロール・スペンス(アメリカ)
IBF
:エロール・スペンス(アメリカ)
WBO
:テレンス・クロフォード(アメリカ)
:ショーン・ポーター(アメリカ)※WBC1位
:ダニー・ガルシア(アメリカ)※WBO1位
:クドラティロ・アブドカホロフ(ウズベキスタン)※IBF1位
:ヨルデニス・ウガス(キューバ)※WBA1位

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの