中米の小さな巨人 ローマン・ゴンサレス特集

  • 2020/05/11

 ボクサーの総合偏差値ともいえる「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で、かつて現役最強と評されたこともあるローマン・ゴンサレス(32=ニカラグア)が今回のエキサイトマッチの主役だ。日本では親しみを込めて「ロマゴン」と呼ばれるゴンサレスはミニマム級、ライト・フライ級、フライ級、そしてスーパー・フライ級の4階級で世界制覇を成し遂げている軽量級のスター選手で、現在もスーパー・フライ級のWBAスーパー王座に君臨している。この8割を超えるKO率を誇る連打型強打者は、これまでに数多くの印象的なダウンシーン、KOシーンを生み出してきた。その倒しざまは華麗で残酷だ。
※文中 敬称略

21歳で新井田から王座奪取 23歳で2階級制覇

 中米ニカラグア出身のゴンサレスは12歳のときにボクシングを始め、少年時代には同国の英雄でもある世界3階級制覇王者のアレクシス・アルゲリョの指導を受けたこともあった。2016年6月のWOWOWのインタビューにゴンサレスは「私のなかでは彼(アルゲリョ)が常にナンバー1の存在」と答えている。アマチュア戦績は89戦88勝1敗で、唯一の敗北に関してゴンサレスは「勝利を盗まれたもの」と判定に不満を唱えている。
 2005年7月に18歳でプロデビューし、期待に応えるように次から次に圧勝していった。初陣からの連続KO勝ちが14に伸びたときに初来日。そのとき元WBA暫定世界ミニマム級王者のエリベルト・ゲホン(フィリピン)に1回KO勝ちを収め、ホンモノであることを強く印象づけた。
 2008年9月、WBA世界ミニマム級王座を7度防衛中の新井田豊(横浜光)に4回TKO勝ちを収め、21歳の若さで初戴冠。高山勝成(当時 真正)らを退け3度防衛後に王座を返上するとライト・フライ級に転向し、2010年10月にはWBA暫定王座を獲得した(のちに正王者に昇格)。ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)らを相手に5度の防衛を果たしてスーパー王者に昇格したあと、後継王者になった井岡一翔(現DANGAN AOKI)との団体内統一戦が課されたが、対戦が実現することはなかった。ちなみにエストラーダと井岡も現在はスーパー・フライ級に転向しており、エストラーダはWBC、井岡はWBO王座に君臨している。115ポンド(約52.1キロ=スーパー・フライ級)でそれぞれが持つベルトをかけて対戦する日が来ることを期待したい。

エストラーダや井岡との統一戦に期待

 三つめの王座獲得は2014年9月のこと。八重樫東(大橋)に9回TKO勝ちを収めてWBC世界フライ級のベルトを手にしている。ちなみに八重樫戦を含め、ここまでの3度の王座はいずれも日本のリングで獲得したことになる。身長160センチ、リーチ163センチのゴンサレスにとって、若さと経験がほどよくマッチする27歳~28歳で迎えたフライ級はベストのコンディションをつくれる階級だったのかもしれない。付け入る隙を与えずに元世界王者のエドガル・ソーサ(メキシコ)を2回TKO、ブライアン・ビロリア(アメリカ)を9回TKOで退けたころ(2015年)は、誰もが認めるPFP最強の戦士といえた。
 ゴンサレスは80パーセントを超えるKO率(51戦49勝41KO2敗)を誇るハードパンチャーだが、一発でフィニッシュするタイプではない。巧みな防御と圧力をバランスよく組み合わせながら相手を追い立て、射程に入るとタイミングのいいパンチを顔面、ボディに打ち分ける。パンチはストレート、フック、アッパーと多彩で、回転を上げながら空いているところを正確に打ち抜く。穴のない万能型といっていいだろう。
 2016年9月にカルロス・クアドラス(メキシコ)を下してWBC世界スーパー・フライ級王座を獲得。恩師ともいえるアルゲリョを超える4階級制覇を成し遂げたが、このころは体格面でハンデがある印象を与えたものだ。その延長上にシーサケット・ソールンビサイ(タイ)戦での連敗(12回判定負け、4回KO負け)があったともいえよう。
 しばしの休養を挟んで戦線復帰したゴンサレスは今年2月、カリド・ヤファイ(イギリス)の持つWBA世界スーパー・フライ級王座に挑戦。初めて不利のオッズで臨んだ試合だったが、ラウンドを重ねるごとに攻勢を強め、26戦全勝(15KO)のV5王者を9回TKOで仕留めて返り咲きを果たした。
 新井田を破って初戴冠を果たしてから12年。6月16日で33歳になるゴンサレスだが、ヤファイ戦ではこのクラスに馴染んだようにも見えた。そんな4階級制覇王者は次の大仕事――エストラーダや井岡、IBF王座を8度防衛中のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)らとの統一戦――に向かって歩を進めるはずだ。その日が待ち遠しい。

ローマン・ゴンサレス 世界戦 全戦績

2008年 9月15日 新井田豊 〇4回TKO
(WBA世界ミニマム級王座獲得)
2009年 2月28日 フランシスコ・ロサス 〇12回判定 防衛1
2009年 7月14日 高山勝成 〇12回判定 防衛2
2010年 1月30日 イバン・メネセス 〇4回TKO 防衛3
2010年10月24日 フランシスコ・ロサス 〇2回KO
(WBA暫定世界ライト・フライ級王座獲得 のちに正王者昇格)
2011年 3月19日 マヌエル・バルガス 〇12回判定 防衛1
2011年 7月16日 オマール・サラド 〇7回TKO 防衛2
2011年10月 1日 オマール・ソト 〇2回KO 防衛3
2012年 4月28日 ラモン・ガルシア 〇4回KO 防衛4
2012年11月17日 ファン・F・エストラーダ 〇12回判定 防衛5
2014年 9月15日 八重樫東 〇9回TKO
(WBC世界フライ級タイトル獲得)
2014年11月22日 ロッキー・フエンテス 〇6回TKO 防衛1
2015年 2月28日 バレンティン・レオン 〇3回TKO ノンタイトル戦
2015年 5月16日 エドガル・ソーサ 〇2回TKO 防衛2
2015年10月17日 ブライアン・ビロリア 〇9回TKO 防衛3
2016年 4月23日 マクウィリアムス・アローヨ 〇12回判定 防衛4
2016年 9月10日 カルロス・クアドラス 〇12回判定
(WBC世界スーパー・フライ級タイトル獲得)
2017年 3月18日 シーサケット・ソールンビサイ ●12回判定
(WBC世界スーパー・フライ級タイトル失う)
2017年 9月 9日 シーサケット・ソールンビサイ ●4回KO
(WBC世界スーパー・フライ級タイトル挑戦)
2020年 2月29日 カリド・ヤファイ 〇9回TKO
(WBA世界スーパー・フライ級タイトル獲得)

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