アジアの英雄パッキャオ特集!

  • 2020/04/24

 今回のエキサイトマッチは、19キロの体重差を乗り越えて世界6階級制覇を成し遂げたフィリピンの英雄、マニー・パッキャオを特集する。試合2週間前に決まった代理挑戦を生かして大出世の足掛かりとしたリーロ・レジャバ(南アフリカ共和国)戦、1勝1敗のタイで迎えたエリック・モラレス(メキシコ)との決着戦、ベストファイトともいえるリッキー・ハットン(イギリス)戦、復活を印象づけたルーカス・マティセ(アルゼンチン)戦――強烈なダウンシーン、戦慄的なKOシーン試合が次から次に出てくる。※文中、敬称略

19歳で戴冠 体重超過により20歳で王座陥落

 エマヌエル・ダピドラン・パッキャオは1978年12月17日、フィリピンのミンダナオ島キバウェで生まれた。まもなく41歳5ヵ月になるが、現在もWBA世界ウェルター級スーパー王者の肩書を持っている。同じ1978年生まれとしては元WBA世界ミニマム級王者の新井田豊(横浜光)、元WBA世界ヘビー級王者のルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン)、元IBF世界スーパー・フライ級王者のドミトリー・キリロフ(ロシア)らがいる。彼らが大仕事を終えて引退してから久しいことを考えると、パッキャオの息の長さが分かるはずだ。
 貧しい農家の出身だったパッキャオは12歳のときにマニラに移り住み、道端でタバコを売って家計を助ける一方、路上の賞金マッチにも出場したという。アマチュアで64戦60勝4敗の戦績を残したあと、16歳の誕生日を迎えた1ヵ月後の1995年1月にプロデビューした。このころは106ポンド(約48.0キロ)、107ポンド(約48.5キロ)のライト・フライ級だった。12戦目に契約体重をオーバーして臨んだ試合で3回KO負けを喫したものの、それ以外は順調に白星を重ね、1998年5月の初来日試合では寺尾新(八王子中屋)に1回KO勝ちを収めている。寺尾戦の約半年後、20歳の誕生日を13日後に控えたパッキャオは敵地に乗り込んでチャッチャイ・サーサクン(タイ)に逆転の8回KO勝ち、WBC世界ライト級王座を獲得した。
 しかし、2度目の防衛戦を前に体重超過のため失格、戦う前に王座を失った。試合でも精彩を欠いて3回TKOで敗れた。天賦の才に恵まれた早熟型が辿る典型的な破滅パターンといえた。

22歳で渡米 数々の幸運を呼び寄せる

 過去の多くの失敗例と異なるのは、パッキャオが一気に3階級アップして再起したこと、さらに大出世の機会を求めて渡米した点であろう。そこには揺るぎない覚悟と決意があったものと思われる。
 渡米後、のちに名伯楽と呼ばれるようになるフレディ・ローチ・トレーナーと巡り合った22歳のサウスポーは、運にも恵まれた。ほどなくして急遽、IBF世界スーパー・バンタム級王者のリーロ・レジャバ(南アフリカ共和国)への挑戦が決まったのだ。対戦予定だったエンリケ・サンチェス(メキシコ)が負傷したため、代役としてリングに上がることになったのである。サンチェスと同じサウスポーであることが幸いしたといえる。試合の2週間前だったが、打診されたパッキャオは迷うことなく「イエス」と返事したという。
 さらなる幸運は、この試合がスーパースターのオスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ)が5階級制覇をかけてハビエル・カスティジェホ(スペイン)に挑む注目ファイトの前座だったことだ。そんな大舞台でパッキャオは前評判の高かったレジャバを圧倒、2回に左ストレートで先制のダウンを奪ったあと6回に2度倒してTKO勝ち、1万5000人の観衆と大勢のテレビ視聴者の前で2階級制覇を成し遂げた。この試合でトップランク社のボブ・アラム・プロモーターの目に留まったことも忘れてはならない。

メキシコのライバルたちを連破

 トップランク社のイベントに出場するようになったパッキャオは2003年11月、中量級のスター選手、マルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)を11回TKOで破る殊勲をあげ、さらにスケールアップ。するとアラム・プロモーターは次から次にメキシコのトップ選手たちとの試合を組んだ。これに応えるようにパッキャオは中身の濃い内容でライバルたちを撃破していった。下記のとおり2003年11月のバレラ①戦から2008年3月までの11戦中、なんと10戦がメキシコの強豪との対戦だったほどだ。この間に3階級制覇を成し遂げたパッキャオは2008年6月にデビッド・ディアス(アメリカ)を9回TKOで下して4つめのクラスでも戴冠を果たす。

マルコ・アントニオ・バレラ(1)戦 11回TKO勝ち
ファン・マヌエル・マルケス(1)戦
(WBA、IBF世界フェザー級王座挑戦)
12回引き分け
エリック・モラレス(1)戦 12回判定負け
エクトル・ベラスケス戦 6回TKO勝ち
エリック・モラレス(2)戦 10回TKO勝ち
オスカー・ラリオス戦 12回判定勝ち
エリック・モラレス(3)戦 3回KO勝ち
ホルヘ・ソリス戦 8回KO勝ち
マルコ・アントニオ・バレラ(2)戦 12回判定勝ち
ファン・マヌエル・マルケス(2)戦
(WBC世界スーパー・フェザー級王座獲得)
12回判定勝ち

失神KO負けなど挫折を乗り越える

 そのあとは体重という最大の敵との戦い続いたが、無冠戦でオスカー・デラ・ホーヤ、リッキー・ハットン(イギリス)を圧倒。そしてミゲール・コット(プエルトリコ)、アントニオ・マルガリート(メキシコ)を下して32歳を前に6階級制覇を成し遂げた。
 しかし、下記のように2012年から2017年までは何度かの挫折を味わわされてもいる。特にマルケスとの第4戦では戦慄を覚えるような痛烈な失神KO負けを喫しており、多くのファンや関係者が「パッキャオの時代は終わった」と感じたはずだ。さらにフロイド・メイウェザー(アメリカ)との世紀の一戦で判定負け、2017年には世界的には無名だったジェフ・ホーン(オーストラリア)に不覚をとった。38歳という年齢から考えて、「今度こそ引退だろう」という見方が多かったが、そこから再び這い上がる。

<2012年6月~2017年7月 パッキャオの試合結果>

 
2012年 6月 ティモシー・ブラッドリー ●12回判定
(WBO世界ウェルター級タイトル失う)
2012年12月 ファン・マヌエル・マルケス ●6回KO
2013年11月 ブランドン・リオス 〇12回判定
2014年 4月 ティモシー・ブラッドリー 〇12回判定
(WBO世界ウェルター級タイトル獲得)
2014年11月 クリス・アルジェリ 〇12回判定
防衛(1)
2015年 5月 フロイド・メイウェザー ●12回判定
(WBO世界ウェルター級タイトル失う)
2016年 4月 ティモシー・ブラッドリー 〇12回判定
2016年11月 ジェシー・バルガス 〇12回判定
(WBO世界ウェルター級タイトル獲得)
2017年 7月 ジェフ・ホーン ●12回判定
(WBO世界ウェルター級タイトル失う)

 トップランク社と袂を分かち、自らのMPプロモーションズで開催したイベントでルーカス・マティセ(アルゼンチン)を7回TKOで下し、実に4度目のウェルター級王座獲得を成し遂げた。初防衛戦では4階級制覇王者のエイドリアン・ブローナー(アメリカ)を一方的な判定で退け、昨年7月のWBA内統一戦ではスーパー王者のキース・サーマン(アメリカ)からダウンを奪って判定勝利をもぎ取った。これが現時点での最新試合だ。
 リングを下りれば、パッキャオはフィリピンの上院議員という別の顔も持っている。
未来の大統領として期待を寄せる国民も多いと伝えられる。41歳のスーパーマンの活躍は、今後もリングの内外で続きそうだ。

<パッキャオの戴冠履歴>

1998年12月 WBC世界フライ級王座獲得(19歳11ヵ月)
2001年6月 IBF世界スーパー・バンタム級王座獲得(22歳)
2008年3月 WBC世界スーパー・フェザー級王座獲得(29歳)
2008年6月 WBC世界ライト級王座獲得(29歳)
2009年11月 WBO世界ウェルター級タイトル獲得(30歳)
2010年11月 WBC世界スーパー・ウェルター級タイトル獲得(31歳)
2014年4月 WBO世界ウェルター級王座獲得(35歳)
2016年11月 WBO世界ウェルター級王座獲得(37歳)
2018年7月 WBA世界ウェルター級王座獲得(39歳)2度防衛中

<TALE OF THE TAPE  マニー・パッキャオのデータ>

生年月日/年齢 1978年12月17日/41歳
フルネーム エマヌエル・ダピドラン・パッキャオ
出身地 キバウェ(フィリピンのミンダナオ島)
アマチュア実績 64戦60勝4敗
プロデビュー 95年1月(16歳1ヵ月)
獲得世界王座 フライ級
スーパー・バンタム級
スーパー・フェザー級
ライト級
ウェルター級(4度)
スーパー・ウェルター級
世界戦の戦績 25戦19勝(9KO)4敗2分
通算戦績 71戦62勝(39KO)7敗2分
KO率 約55%
身長/リーチ 166センチ/170センチ
戦闘タイプ 左ファイター型
トレーナー ブボイ・フェルナンデス
フレディ・ローチ
ニックネーム 「パックマン」「デストロイヤー」
<ボクシングの17階級> パッキャオ関連
ミニマム級 105ポンド≒47.6キロ以下
ライト・フライ級 108ポンド≒48.9キロ以下 ※デビュー戦(106P)
フライ級 112ポンド≒50.8キロ以下 ※王座獲得
スーパー・フライ級 115ポンド≒52.1キロ以下
バンタム級 118ポンド≒53.5キロ以下
スーパー・バンタム級 122ポンド≒55.3キロ以下 ※王座獲得
フェザー級 126ポンド≒57.1キロ以下 ※王座挑戦(引き分け)
スーパー・フェザー級 130ポンド≒58.9キロ以下 ※王座獲得
ライト級 135ポンド≒61.2キロ以下 ※王座獲得
スーパー・ライト級 140ポンド≒63.5キロ以下
ウェルター級 147ポンド≒66.6キロ以下 ※王座獲得(4度)
スーパー・ウェルター級 154ポンド≒69.8キロ以下 ※王座獲得
ミドル級 160ポンド≒72.5キロ以下
スーパー・ミドル級 168ポンド≒76.2キロ以下
ライト・ヘビー級 175ポンド≒79.3キロ以下
クルーザー級 200ポンド≒90.7キロ以下
ヘビー級 200ポンド以上 上限なし

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劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの