39歳の「ジャッカル」 vs 37歳の曲者
経験値の高い元王者同士の対決

  • 2020/02/24

 昨年11月、階級最強を決めるトーナメント戦、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」のバンタム級決勝で井上尚弥(26=大橋)がノニト・ドネア(37=フィリピン)に勝って優勝、IBF王座に加えWBAスーパー王座を獲得した。これにともない井上が持っていたWBA王座が空位になったため、今回の決定戦が組まれた経緯がある。かつてスーパー・バンタム級で世界王座を10度防衛した実績を持つギジェルモ・リゴンドー(39=キューバ)が体重を下げて逆2階級制覇を成し遂げるのか、それとも元WBA世界スーパー・フライ級王者のリボリオ・ソリス(37=ベネズエラ)が悲願のバンタム級制覇を果たすのか。経験値の高いベテラン同士の注目カードだ。
 リゴンドーは2000年シドニー五輪バンタム級、2004年アテネ五輪バンタム級連覇、世界選手権でも2度優勝するなど輝かしいアマチュア実績を残した。アマチュア戦績は475戦463勝12敗とも247戦243勝4敗ともいわれる。このほかにも386戦374勝12敗説、400戦以上して12敗など諸説あるが、いずれにしても驚異的な勝率を残している。亡命してプロに転向後、2010年11月に7戦目で世界王座(当時は暫定王座)を獲得すると、17年まで通算10度の防衛を果たした。この間、ドネアに勝って2団体の王座統一や試合枯れから王座剥奪、返還なども経験した。戦績は21戦19勝(13KO)1敗1無効試合。唯一の敗北は17年12月、ワシル・ロマチェンコ(32=ウクライナ)戦で6回終了時に自ら勝利を諦めたものだ。ただし、ベスト体重よりも3キロ以上も重い階級での試合だったことなどリゴンドーに同情すべき材料が多々あったことも付記しておく必要があるだろう。その後は2連続KO勝ちを収めている。
 「ジャッカル」の異名を持つリゴンドーはサウスポーの技巧派で、スピードと勘に天才的なものが感じられる。しかし直近の試合では、ボクシングの幅を広げるためか、あるいは「スキルに富んでいるがエキサイティングはない」という批判的な声を意識してか、はたまた年齢的な衰えから足の動きが制限されてしまったためか、危険な距離でやり合うシーンが多く、8回TKO勝ちを収めるまでは相手にリードを許していた。この戦い方を今後も続けるとしたらリスクが大きく跳ね上がることは確実だ。
 1階級落として今回の決定戦に臨むリゴンドーとは対照的に、ソリスはバンタム級に上げてから4度目の世界挑戦となる。スーパー・フライ級時代には来日して河野公平(ワタナベ)に競り勝ったものの、2013年12月の亀田大毅(亀田=当時)戦では体重超過のためWBA王座を剥奪されるなど問題を起こした。が、バンタム級転向後は17戦14勝(7KO)2敗1無効試合と比較的好調だ。勝てなかったのは判定で敗れた山中慎介(帝拳)戦、ジェイミー・マクドネル(英国)との2戦(1敗1無効試合)だけである。もっともバンタム級をはるかに上回る133ポンド(約60.3キロ)超で戦ったこともあり、相変わらず体重調整に関してアバウトな印象は拭えない。
 37歳になった現在の実力に関しては疑問符も付くソリスだが、山中戦では相手の打ち終わりにパンチを合わせるなど高い技術力を披露したりもしたものだ。
 ともに相手が打ってきたところを巧みに迎え撃つタイプだが、後手に回ることを避けるためソリスが仕掛けて出るものと思われる。ソリスが2階級制覇を果たすためには、リゴンドーがリズムを掴む前にダメージを与える、または仕留める必要があるからだ。リゴンドーの打たれ脆さを考えると、ソリスが殊勲を挙げることも考えられないわけではない。
 ただ、両者の戦力を冷静に比較するとリゴンドー有利は絶対的なものといえる。9対2というオッズが出ているが、まずは順当な数字ではないだろうか。KOは難しいかもしれないが、リゴンドーがスピードとスキルでソリスにフラストレーションを与え、毎ラウンドのように翻弄するシーンが目に浮かぶ。

バンタム級トップ戦線の現状

WBA SC :井上尚弥(大橋)
WBA 空位 :※決定戦 リゴンドー対ソリス
WBC    :ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)
IBF    :井上尚弥(大橋)
WBO    :ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)

 井上尚弥(26=大橋)の4団体王座統一は道半ばではあるが、すでに現時点で彼がバンタム級最強であることは誰もが認めるところであろう。4月25日(日本時間26日)にアメリカのネバダ州ラスベガスで行われるWBO王者、ジョンリエル・カシメロ(30=フィリピン)との3団体王座統一戦は興味深いカードではあるが、これさえも井上は通過点にしてしまうはずだ。
 その先にはWBC王者との対決が待っているが、WBCはノルディーヌ・ウバーリ(33=フランス)に対して元5階級制覇王者のノニト・ドネア(37=フィリピン)との指名防衛戦を義務づけている。井上の弟・拓真に判定勝ちを収めているウバーリが勝ち残るのか、それとも一度は井上と激闘を展開したドネアが返り咲くのか、WBC王座の行方に要注目だ。
 井上対カシメロの前座で組まれているジェイソン・マロニー(29=オーストラリア)対ジョシュア・グリー(25=アメリカ)にも注目したい。この試合はWBOの挑戦者決定戦として行われる予定だ。21戦20勝(17KO)1敗のマロニー、24戦22勝(12KO)1敗1分のグリー。どちらが挑戦権を獲得するのか。
 また、今回行われるギジェルモ・リゴンドー(39=キューバ)対リボリオ・ソリス(37=ベネズエラ)のWBA王座決定戦で、リゴンドーが勝った場合は井上との対戦が急浮上する可能性もある。まずは勝負の行方に注目したい。
 このほかIBFの指名挑戦権を持つサウスポーの強打者、マイケル・ダスマリナス(27=フィリピン)、前IBF王者のエマヌエル・ ロドリゲス(27=プエルトリコ)らが控えている。

年1回ペースで登場の王者のV5戦
五輪銅メダリストを捌けるか

 ゲイリー・ラッセル(31=アメリカ)は15年3月に王座を獲得してから5年近くになるが、この間にリングに上がったのは4度と少ない。自身の故障や相手の負傷で試合が延期になるなど事情はあるものの、このサウスポーの才能を考えると惜しい気がする。もっともっと暴れてほしいものだ。そんな王者にとって今回のトゥグッソト・ニャンバヤル(27=モンゴル)戦は気の抜けない試合になりそうだ。
 ラッセルは11年のプロキャリアで31戦30勝(18KO)1敗のレコードを残している。唯一の敗北は6年前、プロ3戦目のワシル・ロマチェンコ(32=ウクライナ)に小差の判定で敗れたもので、その後は6連勝(4KO)を収めている。ジョニー・ゴンサレス(38=メキシコ)を4回TKOで下して戴冠を果たし、4度の防衛戦では3KO勝ちと挑戦者たちに力の差を見せつけている。スピードスキルを生かしたサウスポーのボクサーファイター型で、多彩なブローとパンチの回転力に定評がある。
 挑戦者のニャンバヤルは2012年ロンドン五輪フライ級銀メダリストで、5年前にアメリカでプロデビューしてから11連勝(9KO)の快進撃を続けている。右を中心とした攻撃型の選手だが、タイミングのいいカウンターも持っている。1年前に元暫定世界王者のクラウディオ・マレロ(30=ドミニカ共和国)に勝って指名挑戦権を手にしたもののスピードのあるサウスポーに苦戦しており、この試合でラッセルに攻略のヒントを与えてしまったかもしれない。
 ニャンバヤルが仕掛け、ラッセルが迎え撃つ展開が予想される。挑戦者の攻撃が一本調子になるようだと、その隙をついて王者が着々とポイントを加えていくことになりそうだ。ニャンバヤルが勝てばラクバ・シン(1999年にWBAスーパー・フェザー級王座、2004年にWBAライト級王座を獲得)に続くモンゴル2人目の世界王者誕生となるが、その確率は4対1のオッズ(ラッセル有利)同様、25パーセントといったところか。

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