2団体王者の真価問われる初防衛戦
ロサリオの右には注意が必要

  • 2020/02/10

 昨年5月、大柄で馬力のあるジャレット・ハード(アメリカ)からダウンを奪って12回判定勝ち、スーパー・ウェルター級のWBAスーパー王座とIBF王座を同時に獲得したジュリアン・ウィリアムス(29=アメリカ)が、WBAで9位、IBFでは5位にランクされるジェイソン・ロサリオ(24=ドミニカ共和国)を相手に初防衛戦に臨む。ハード戦で6対1のオッズをひっくり返したウィリアムスは、その試合で評価が急上昇。今回は16対1の大差で支持されている。今回は生まれ育ったペンシルベニア州フィラデルフィアでの凱旋防衛戦だが、新王者にとっては真価が問われる試合といえる。
 ウィリアムスはアマチュア時代はエロール・スペンス(アメリカ=現WBC、IBF世界ウェルター級王者)らの後塵を拝したが、プロでは同じ世界王者として肩を並べる地位に辿り着いた。まだまだ総合評価という点ではスペンスに及ばないが、今後の活躍次第では直接対決も夢ではない。11年前に全米選手権でポイント負けした借りを返す機会が訪れる可能性もある。そのためにも勝利はもちろんのこと存在感を示す内容が求められる。
 身長178センチのウィリアムスはスピード、パワー、テクニック などをバランスよく備えた右のボクサーファイター型で、10年のプロキャリアで30戦(27勝16KO1敗1分1無効試合)をこなすなど経験値も上げてきている。もともと実力派として注目はされていたが、3年前、IBF世界スーパー・ウェルター級王者時代のジャーマル・チャーロ(アメリカ)に2度のダウンを喫して5回KO負けしたマイナス点がいまだに尾を引いている印象だ。ハードに勝って評価を上げた現在、次のステップを踏むためにも再停止はしていられない。
 挑戦者のロサリオはドミニカ共和国の出身で、13年5月のプロデビューから12戦は自国で戦っていた。17年に入ってアメリカ進出を図ったが、その初戦でナサニエル・ガリモア(ジャマイカ/アメリカ)に6回TKO負け、初の挫折を味わわされた。ちなみに、このガリモアは1年後にはウィリアムスとも対戦したが、そのときは12回判定で敗れた。3段論法が通用しないとはいえ、ガリモアを挟んでウィリアムスとロサリオの大まかな力関係は計れそうだ。17年以降、主戦場をアメリカに移したロサリオは引き分けを挟んで7連勝(4KO)と好調を維持している。通算戦績は21戦19勝(13KO)1敗1分。
 ロサリオは180センチの長身から繰り出す右ストレート、アッパー、左フックなどを主武器とする右のボクサーファイター型で、KO率(約64パーセント)以上にパンチ力が感じられる。反面、ガリモア戦では3度のダウンを喫しており、ウィリアムス同様、鉄のアゴの持ち主というわけではなさそうだ。
 ふたりともスピードとパンチ力があるだけに序盤から緊張感のある試合になるものと思われる。2度の世界戦を経験しているウィリアムスに分があることは間違いないが、ロサリオの右ストレートには細心の注意が必要といえる。

スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :ジュリアン・ウィリアムス(アメリカ)
WBA    :エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)
WBC    :ジャーメル・チャーロ(アメリカ)
IBF    :ジュリアン・ウィリアムス(アメリカ)
WBO    :パトリック・テイシェイラ(ブラジル)

 3年ほど前まではサウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)とジャーマル&ジャーメルのチャーロ兄弟(29=アメリカ)が王座に君臨するなど高次元での群雄割拠状態といえたが、チャーロ兄とアルバレスが転級したあとは混戦模様となっている。それを如実に表しているのが4王者の戴冠時期だ。
 ジュリアン・ウィリアムス(30=アメリカ)    :19年 5月
 エリスランディ・ララ(36=キューバ/アメリカ) :19年 8月
 ジャーメル・チャーロ(29=アメリカ)      :19年12月
 パトリック・テイシェイラ(29=ブラジル)    :19年11月
主役になるはずだったジャーメル・チャーロはトニー・ハリソン(29=アメリカ)に敗れて王座陥落後、再戦でリベンジしてWBCのベルトを奪還。しかし、ジャレット・ハード(29=アメリカ)はウィリアムスに敗れて2団体王座(WBAスーパー王座、IBF王座)を失い、再起戦では大差の判定勝ちを収めたものの精彩を欠く内容だった。サウスポーのテクニシャン、ララはWBAのレギュラー王座に舞い戻りはしたが、年齢的にも多くを望むことはできないだろう。
 WBO王者のテイシェイラはカルロス・アダメス(25=ドミニカ共和国)を破って戴冠を果たしたが、まだ実力を証明したとはいえない。対戦が課されている元WBA王者のブライアン・カスターニョ(30=アルゼンチン)との初防衛戦が大きなヤマになりそうだ。
 無冠組では、かつてジャーメル・チャーロに1回KO負けを喫したエリクソン・ルビン(24=アメリカ)に注目したい。再起後はタフで鳴らした元王者イシェ・スミス(アメリカ)に初のKO負けを味わわせるなど4連勝(3KO)と復調、WBC1位の座に舞い戻ってきた。
 混戦状態だけに、先に名前の出たハードやハリソン、アダメス、カスターニョのほか、ウィリアムスに挑むジェイソン・ロサリオ(24=ドミニカ共和国)、さらにランキング下位に甘んじている井上岳志(30=ワールドスポーツ)や元世界王者コンスタンチン・チュー(ロシア/オーストラリア)の息子、ティム・チュー(25=オーストラリア)にもチャンスは十分にありそうだ。

13戦全勝の23歳 vs 元スーパー王者
スイッチヒッター同士の頭脳戦か

 WBAのスーパー・フェザー級にはスーパー王者としてレオ・サンタ・クルス(31=メキシコ)が存在し、正王座にはレネ・アルバラード(30=ニカラグア)が君臨。そんななか暫定王座決定戦が挙行される。
 3位にランクされるクリス・コルバート(23=アメリカ)はアマチュアを経て15年5月にプロデビュー。ここまで13戦全勝(5KO)の戦績を残している。まだハードな関門を突破したわけではないが、元世界ランカーのアルベルト・メルカド(アメリカ/プエルトリコ)に8回判定勝ち、昨年9月には世界挑戦経験者のミゲール・ベルトラン(メキシコ)に1回KO勝ちを収めている。基本は右構えだが機を見て左構えにスイッチすることもある。昨年4月の試合では左構えからのワイルドな左でダウンを奪ったすえ再開後の連打でストップ(2回TKO勝ち)。ベルトラン戦では右構えからの右ストレート一発で鮮やかなKO勝ちを収めている。足の動きとハンドスピードはあるが、全体的にパンチは手打ちの印象が強い。それでも直近の3戦で2KO勝ちを収めているのだから、ここにきて覚醒しつつあるのかもしれない。
 一方のコラレスもスイッチヒッターだ。こちらは左構えがベースで、そこから繰り出す左ストレート、左フックが主武器といえる。4年前、内山高志(ワタナベ)のV12を阻止したのもこれらのパンチだった。頻繁にスタンスを組み替えるため相手にとっては的を絞りにくくなるが、コラレス自身も相応のリスクを背負っている。またコンディション調整も大雑把で、内山に連勝したあとゴールデンボーイ・プロモーションズと契約したもののV3戦では規定体重が作れずに失格。試合では途中までリードしていたにもかかわらず逆転の8回KO負けを喫した。1年半のブランクを経て再起したが、昨年7月には26歳のホープ、ラダリウス・ミラー(アメリカ)に10回判定で敗れている。戦績は27戦23勝(9KO)3敗1無効試合。現在はWBA10位に踏みとどまっている。
 スイッチヒッター同士のカードだけに、まずは両者が左右どちらの構えでスタートするのかという点に注目したい。その先の展開としては、足をつかって動くコルバートをコラレスが追うことになるだろう。大きな力量差はないだけに、中盤から終盤にかけて頭脳戦になる可能性もある。

16年リオ五輪戦士 vs 元世界ランカー
長身強打者のアジャバに要注目

 「16年リオデジャネイロ五輪組は出世が遅い」といわれてきたが、ここにきてシャクール・スティーブンソン(アメリカ)やテオフィモ・ロペス(アメリカ)らが世界王座を獲得。「ふたりに続け」とばかりに、同期たちにも勢いが出てきた感じだ。そのなかのひとりがエフェ・アジャバ(25=ナイジェリア)だ。
 アジャバはリオ五輪スーパー・ヘビー級でベスト8の実績を引っ下げて17年7月にアメリカでプロデビュー。以後、2年半で11戦全勝(9KO)をマークしている。このなかには開始ゴングから1秒、相手のカーティス・ハーパー(アメリカ)が背中を向けて試合放棄した「1回1秒 相手の失格負け」という史上最短決着試合も含まれている。もちろんアジャバは話題だけの選手ではない。19年4月には元世界ランカーのミハイル・ワリシュ(ドイツ)に2回TKO勝ち、7月にはWBO12位のアリ・エレン・デミレゼン(トルコ)に10回判定勝ちを収めるなど着実に力をつけてきているのだ。現在はWBC18にランクされており、14戦全勝(13KO)のダニエル・デュボア(イギリス)、16年リオ五輪金のトニー・ヨカ(フランス)らとともに次世代のスター候補として注目を集めている。
 キラッツィーは07年8月にプロデビューした33歳のベテランで、アジャバの3倍近い31戦のキャリアを持つ(26勝18KO4敗1分)。クルーザー級時代の11年1月にはWBAインターコンチネンタル王座を獲得し、世界ランク入り。ヘビー級に転向後も17年から18年にかけてトップ15に名を連ねたことがある。18年にはアダム・コウナツキ(ポーランド)、マイケル・ハンター(アメリカ)、ジョー・ジョイス(イギリス)に3連続KO負けを喫したが、直近の試合では08年北京五輪出場のロベルト・アルフォンソ(キューバ)と引き分けている。峠を過ぎたという見方もできるが、油断ならない相手といえそうだ。
 体格とパンチ力で勝るアジャバが正面からプレッシャーをかけ、キラッツィーがまわり込みながら応戦する展開が予想される。アジャバの右ストレートが炸裂した時点で試合は終わるものと思われるが、最重量級だけに予断は禁物といえよう。

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