3階級を制覇した絶対王者のV3戦
挑戦者は五輪2度出場経験者

  • 2019/12/06

 ライト級でWBO王座を獲得後に転向したスーパー・ライト級では主要4団体すべての王座を獲得。さらに体重を上げ、いまはウェルター級でWBO王座に君臨する「ハンター」、テレンス・クロフォード(32=アメリカ)が、1位のエギディウス・カバラウスカス(31=リトアニア)を相手に3度目の防衛戦に臨む。井上尚弥(大橋)やワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)らと体重無差別の最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」のトップを争う絶対王者が、指名挑戦者を相手にどんなパフォーマンスを見せるのか要注目だ。

13度の世界戦で全勝 直近は6連続KOの王者

 70戦(58勝12敗)を経験したアマチュア時代には国際的な活躍はなかったクロフォードだが、プロ転向後は大出世したといっていいだろう。デビューした08年秋に頭部に銃弾を受けたことがあるために大事をとったわけではなかろうが、12年までは比較的イージーな相手との対戦が続いたクロフォードだが、13年から強豪との手合わせが増えた。それらをクリアし、14年3月には敵地イギリスに乗り込んでWBO世界ライト級王座を獲得。初防衛戦では出身地のネブラスカ州オマハで42年ぶりとなる世界戦を行い、ユリオルキス・ガンボア(キューバ)に9回TKO勝ちを収めた。
この勝利がクロフォードの自信をアップさせ、才能を一気に開花させたように思える。
左右どちらの構えでも同じように戦うことができ、最近は経験を積むごとに高い次元で安定感を増している印象だ。
以下はクロフォードの全世界戦の相手と結果だ。

14年3月 リッキー・バーンズ(イギリス)
(WBO世界ライト級王座獲得)
〇12回判定
14年6月 ユリオルキス・ガンボア(キューバ) 〇9回TKO 防衛①
14年11月 レイムンド・ベルトラン(メキシコ) 〇12回判定  防衛② 返上
15年4月 トーマス・デュロルメ(プエルトリコ)
(WBO世界スーパー・ライト級王座獲得)
〇6回TKO
15年10月 ディエリー・ジャン(ハイチ/カナダ) 〇10回TKO 防衛①
16年2月 ヘンリー・ランディ(アメリカ) 〇5回TKO  防衛②
16年7月 ビクトル・ポストル(ウクライナ)
(WBC世界スーパー・ライト級王座獲得)
〇12回判定  防衛③
16年12月 ジョン・モリナ(アメリカ) 〇8回TKO  防衛④
17年5月 フェリックス・ディアス(ドミニカ共和国) 〇10回終了TKO 防衛⑤
17年8月 ジュリウス・インドンゴ(ナミビア)
(WBA、IBF世界スーパー・ライト級王座獲得)
〇3回KO   防衛⑥ 返上
18年6月 ジェフ・ホーン(オーストラリア)
(WBO世界ウェルター級王座獲得)
〇9回TKO
18年10月 ホセ・ベナビデス(アメリカ) 〇12回TKO  防衛①
19年4月 アミール・カーン(イギリス) 〇6回TKO  防衛②

 3階級にわたって計13度の世界戦を行い、13勝(10KO)という高いKO率を残している。注目すべきは直近の6試合すべてをKOで片づけている点だ。三十路に入り円熟期を迎えた感がある。

アマチュアで300戦を経験しているカバラウスカス

 挑戦者のカバラウスカスはプロボクシングでは珍しい北欧のリトアニアで生まれ育ち、現在はアメリカのカリフォルニア州オックスナードに住んでいる。プロでの実績ではクロフォードに後れをとっているカバラウスカスだが、アマチュア時代の実績では大きく上回っている。08年北京五輪と12年ロンドン五輪に出場したほか世界選手権には3度出場しており、09年大会はライト・ウェルター級ベスト8、11年大会ではウェルター級で3位に食い込んだ。カバラウスカスによると「アマチュアでは300回ほどリングに上がり、およそ260勝40敗という戦績を残した」ということだ。
 13年3月、アメリカのカリフォルニア州カーソンで行われたティモシー・ブラッドリー(アメリカ)対ルスラン・プロボドニコフ(ロシア)のWBO世界ウェルター級タイトルマッチの前座でプロデビュー。余談だが、この日はオスカル・バルデス(メキシコ)、アンディ・ルイス(アメリカ)、ジェシー・マグダレノ(アメリカ)、ジェシー・バルガス(アメリカ)と、のちの世界王者が4人も前座に出場している。
 2戦目から11連続KO勝ちを収めるなど順調に白星を重ねたカバラウスカスはNABF北米王座を獲得後、18年2月には元世界王者のダビド・アバネシャン(ロシア)に6回TKO勝ちを収め、その9ヵ月後にはWBA8位にランクされていたロベルト・アリアザ(ニカラグア)に3回KO勝ち。この試合でWBOインターコンチネンタル王座を獲得したことでWBO1位にランクアップした。

クロフォードが圧倒的有利だが…油断は禁物

 両者の戦闘スタイルは対照的だ。スピードとスキル、柔軟性に富んだクロフォードに対し、カバラウスカスは柔軟性と器用さに欠ける傾向があり、腕力で押し込むようなボクシングを身上としている。前哨戦となった今年3月のレイ・ロビンソン(アメリカ)戦ではサウスポーの相手に苦しんでおり、攻略のヒントを王者に与えてしまったといえるかもしれない。
 プロでの経験値で大きく勝っているクロフォードがスピードと巧みな位置どりで挑戦者をコントロールし、ポイントを重ねていく姿がイメージできる。十分に引きつけたうえで左ストレートや右フックのカウンターをボディ、顔面に合わせダメージを与えていきそうだ。そうなった場合はカバラウスカスがどこまで耐えられるかが焦点になるかもしれない。
 もしも大番狂わせが起こるとしたら、挑戦者が飛び込みながら打ち込む右が命中した場合だろう。カバラウスカスはチャンスをつかんだら一気に畳みかけるタイプだけに、クロフォードも油断は禁物だ。

<資料1>TALE OF THE TAPE 両選手の体格比較

  • 名前

    クロフォード

    カバラウスカス

  • 生年月日/年齢

    1987年9月28日/32歳

    1988年6月29日/31歳

  • 出身地

    オマハ(米国ネブラスカ州)

    カウナス(リトアニア)

  • アマチュア実績

    07年全米選手権3位など

    06年世界選手権出場
    08年北京五輪出場
    09年世界選手権出場(LW級8強)
    11年世界選手権W級3位
    12年ロンドン五輪出場

  • アマチュア戦績

    70戦58勝12敗

    約300戦約260勝約40敗

  • プロデビュー

    08年3月

    13年3月

  • 獲得王座

    WBOライト級王座
    WBA、WBC、IBF
    WBO Sライト級王座
    WBOウェルター級王座

  • プロ戦績

    35戦全勝(26KO)

    22戦21勝(17KO)1分

  • KO率

    74%

    77%

  • 世界戦の戦績

    13戦全勝(10KO)

  • 身長/リーチ

    173センチ/188センチ

    175センチ/180センチ

  • 戦闘タイプ

    左ボクサーファイター型
    (右構えにスイッチすることも)

    右ボクサーファイター型

  • ニックネーム

    「ハンター」

    「ミーン・マシーン」

  • トレーナー

    ブライアン・マッキンタイア

    マルコス・コントレラス

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :マニー・パッキャオ(フィリピン)
WBA    :アレクサンダー・ベスプーチン(ロシア)
WBC    :エロール・スペンス(アメリカ)
IBF    :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO    :テレンス・クロフォード(アメリカ)

 17階級のなかで最も熾烈な戦いが繰り広げられているクラスといっていいかもしれない。バンタム級やヘビー級もトップ選手同士の直接対決が盛んに行われているが、このウェルター級は世界的なスター選手の絶対数という点で群を抜いている。6階級制覇を成し遂げているWBAスーパー王者のマニー・パッキャオ(41=フィリピン)、パウンド・フォー・パウンド上位常連のWBO王者テレンス・クロフォード(32=アメリカ)、この両雄に勝るとも劣らぬ評価を得ているWBC、IBF2団体統一王者エロール・スペンス(29=アメリカ)。この3人が主役といっていいだろう。クロフォードだけ契約しているプロモーターが異なるため総当たり戦は難しいかもしれないが、その壁を乗り越えて注目ファイトを実現させてほしいものだ。
 返り咲きを狙う実力派の元王者が多いのも、この階級の特徴といえよう。ショーン・ポーター(32=アメリカ)、ダニー・ガルシア(31=アメリカ)、キース・サーマン(31=アメリカ)、下の階級から上げてきたマイキー・ガルシア(31=アメリカ)、セルゲイ・リピネッツ(30=カザフスタン/ロシア)が控えているのだ。
 このほか、クロフォードに挑むエギディウス・カバラウスカス(31=リトアニア)、IBFの指名挑戦権を持つクドラティロ・アブドカホロフ(26=ウズベキスタン)、ポーターと互角の戦いをしたヨルデニス・ウガス(33=キューバ)らにも注目していきたい。

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