激闘から1年8ヵ月 因縁のリマッチ
序盤からスリルに富んだ展開か

  • 2019/11/15

 2015年1月の戴冠から4年10ヵ月、WBC世界ヘビー級王座を9度防衛中のデオンテイ・ワイルダー(34=アメリカ)が元WBA暫定王者のルイス・オルティス(40=キューバ)を相手にV10戦に臨む。この両者は昨年3月にニューヨークのバークレイズ・センターで対戦し、激闘のすえワイルダーが10回TKO勝ちで7度目の防衛を果たしている。同じ立場で行われる1年8ヵ月ぶりのリマッチはワイルダーの返り討ちで終わるのか、それともオルティスが雪辱と王座獲得を成し遂げるのか。互いに手の内を知っているだけに、偵察時間が省かれ序盤からヒートアップする可能性もある。

4年10ヵ月の在位で9度の防衛を果たしているワイルダー

 ワイルダーは高校まではフットボールとバスケットボールの選手だったが、05年にボクシングに転向した。若くして授かった愛娘の病気の治療代を稼ぐ必要があったのだという。08年北京五輪で91キロ以下のヘビー級で銅メダルを獲得するなどアマチュアで35戦30勝5敗の戦績を残し、五輪から3ヵ月後にプロデビュー。
 09年は7試合、10年は6試合、11年と12年も6試合と早いペースでリングに上がり、すべて規定ラウンド内で片づけた。201センチと長身の割に体重は100キロ前後と細身だが、最重量級ばなれしたスピードと破壊力抜群の右ストレートを武器に連続KOを史上4位タイの32まで伸ばした。戴冠試合となった15年1月のバーメイン・スティバーン(41=ハイチ/アメリカ)戦は初の判定決着となったが、代わりにWBCのベルトを手に入れ、さらにスタミナや耐久力にも問題がないことを証明した。以後、以下のように9度の防衛を果たしてきた。

[1]エリック・モリナ(アメリカ) 9回KO
[2]ヨアン・デュオパ(フランス) 11回TKO
[3]アルツール・ズピルカ(ポーランド) 9回KO
[4]クリス・アレオーラ(アメリカ) 8回終了TKO
[5]ジェラルド・ワシントン(アメリカ) 5回TKO
[6]バーメイン・スティバーン(ハイチ/アメリカ) 1回KO
[7]ルイス・オルティス(キューバ) 10回TKO
[8]タイソン・フューリー(イギリス) 12回引き分け
[9]ドミニク・ブリージール(アメリカ) 1回KO

 このなかで最も厳しい戦いがタイソン・フューリー戦であることは誰もが認めるところだが、同じくらい苦戦したのがオルティス戦だった。5回にダウンを奪い10回には2度のダウンを追加してけりをつけたものの、7回には自身がKO負け寸前の窮地に陥るという綱渡りの内容だった。それだけに今度は一方的な内容で蹴散らしたいという思いが強いはずだ。

再起後3連勝を収め復調のオルティス

 オルティスは選手層の厚さとレベルの高いことで知られるキューバでは2番手、あるいは3番手に甘んじたものの、アマチュアで368戦349勝19敗(362戦343勝19敗説もある)という戦績を残している。国際大会の実績では05年世界選手権ヘビー級ベスト8入りを果たしている。
 プロデビューは10年2月で、このときすでに30歳10ヵ月だった。3戦目にWBC中米カリブ王座を獲得し、8戦目には世界挑戦経験者のバート・クーパー(アメリカ)に2回TKO勝ちを収めた。34歳のときにはWBA世界ヘビー級暫定王座決定戦に出場して1回TKO勝ちを収めたが、のちにドーピング検査で陽性反応が出たため結果が無効試合に変更され、戴冠も取り消された。15年10月、再びWBAの暫定王座決定戦に臨み、3回KO勝ちでベルトを手に入れた。2ヵ月後にはブライアント・ジェニングス(35=アメリカ)を相手に技とパワーを見せつけて7回TKOで退けて初防衛に成功。しかし、正規王者やスーパー王者との団体内統一戦は実現せず、やがて暫定王座も手放すことになった。
 そうしたなか18年3月にワイルダーに挑戦。互角に渡り合って地力のあるところを見せたが、10回に2度のダウンを喫してTKOで敗れた。その後は世界挑戦経験者のラズバン・コジャヌ(32=ルーマニア)に2回KO勝ち、ワイルダー対フューリの前座で元世界ランカーのトラビス・コーフマン(34=アメリカ)に10回KO勝ち。さらに今年3月にはWBO12位のクリスチャン・ハマー(32=ルーマニア/ドイツ)に大差の10回判定勝ちを収めている。

オッズは9対2で王者有利 KO決着濃厚

 42戦41勝(40KO)1分、95パーセントのKO率を誇るワイルダーと、34戦31勝(26KO)1敗2無効試合、KO率76パーセントのオルティス。しかも1年8ヵ月前に10ラウンドにわたってパンチを交換して互いの手の内は分かっているだけに、勝負が判定に持ち込まれる可能性は低いといえる。
 体格で勝るワイルダーは速い左ジャブを突いて距離とタイミングを計り、破壊力のある右ストレートを狙うものと思われる。これに対しサウスポーのオルティスは相手の打ち終わりに左ストレートや右フックをカウンターで合わせるチャンスを待つことになりそうだ。これらの策とパンチはともに初戦でも効果を発揮しており、今回もカギを握ることになるだろう。ワイルダー有利は1年8ヵ月前と変わらないが、初戦の11対4から9対2とオッズは少し差が開いた。今回も序盤からKOのスリルをはらんだパンチの交換が見られそうだ。

<資料1>TALE OF THE TAPE 両選手の体格比較

  • 名前

    ワイルダー

    オルティス

  • 生年月日/年齢

    1985年10月22日/34歳

    1979年3月29日/40歳

  • 出身地

    タスカルーサ(米国アラバマ州)

    カマグエイ(キューバ)

  • アマチュア実績

    08年北京五輪ヘビー級銅

    05年世界選手権ヘビー級8強

  • アマチュア戦績

    35戦30勝5敗

    368戦349勝19敗

  • プロデビュー

    08年11月

    10年2月

  • 獲得王座

    WBCヘビー級王座

    WBA暫定ヘビー級王座

  • プロ戦績

    42戦41勝(40KO)1分

    34戦31勝(26KO)1敗2無効試合

  • KO率

    95%

    76%

  • 世界戦の戦績

    10戦9勝(8KO)1分

    4戦2勝(2KO)1敗1無効試合

  • 身長/リーチ

    201センチ/211センチ

    193センチ/198センチ

  • 戦闘タイプ

    右ボクサーファイター

    左ボクサーファイター

  • ニックネーム

    「ブロンズ・ボマー」

    「キングコング」

  • トレーナー

    マーク・ブリーランド

    ハーマン・カイセド

ヘビー級トップ戦線の現状

WBA SC :アンディ・ルイス(アメリカ)
WBA    :マヌエル・チャー(レバノン/シリア)
WBA 暫定 :トレバー・ブライアン(アメリカ)
WBC    :デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)
IBF    :アンディ・ルイス(アメリカ)
WBO    :アンディ・ルイス(アメリカ)
WBO    :タイソン・フューリー(イギリス)

 今年6月、アメリカ進出初試合でアンソニー・ジョシュア(30=イギリス)がアンディ・ルイス(30=アメリカ)に7回TKO負け、WBAスーパー王座とIBF王座、WBO王座を明け渡したのを機に一気に混戦模様になった。そのジョシュアとルイスは12月7日(日本時間8日)にサウジアラビアのリヤド近郊ディリヤで再戦が決まっている。その試合と今回のデオンテイ・ワイルダー(34=アメリカ)対ルイス・オルティス(40=キューバ)のWBCタイトルマッチの結果しだいでは、ヘビー級はさらなる混乱に陥る可能性もある。この2試合は近未来の最重量級を占う意味でも絶対に見逃せない試合といえる。
 いまは無冠だが王者と同等の実力を持っているのが元3団体王者のタイソン・フューリー(31=イギリス)だ。長期政権を誇ったウラディミール・クリチコ(ウクライナ)を破った達成感からか、あるいは3団体王者というプレッシャーからか、あるいは単にタガが緩んだからか、一時はアルコールやドラッグを手にして逃避したフューリーだが、戦線復帰後にワイルダーと引き分けるなどして評価を再上昇させている。
9月の試合で右目上を47針も縫合する傷を負ったため来年2月22日に計画されているワイルダーとの再戦は微妙な状況だが、フューリーが主役のひとりであることは間違いない。今回のWBCタイトルマッチにも強い関心を寄せているはずだ。
 ここに来て新しい勢力の台頭もみられる。特に元クルーザー級4団体王者のオレクサンデル・ウシク(32=ウクライナ)は現王者たちを脅かす存在といっていいだろう。
下のクラスから上げてきたとあってサイズ不足の感は否めないが、最重量級では稀有なスピードのあるサウスポーというアドバンテージがある。10月にヘビー級転向後の初戦で7回終了TKO勝ちを収めており、IBFでは1位にランクされている。
 そのほか10戦全勝(9KO)の16年リオデジャネイロ五輪銀のジョー・ジョイス(34=イギリス)、11戦全勝(9KO)のイファ・アジャバ(25=ナイジェリア)、13戦全勝(12KO)の英連邦王者、ダニエル・ドゥボア(22=イギリス)らも来年、あるいは再来年には王座に絡んできそうだ。サスペンドが解けてリングに戻ってきたリオデジャネイロ五輪金、7戦全勝(6KO)のトニー・ヨカ(27=フランス)にも注目したい。

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