旧ソ連出身者同士の全勝王者対決
グボジークのスキルかベテルビエフのパワーか

  • 2019/10/25

 今年はバンタム級の井上尚弥(日本/大橋)対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)やウェルター級のエロール・スペンス(アメリカ)対ショーン・ポーター(アメリカ)など、世界王者同士の統一戦が数多く実現している。ファンにとっては歓迎すべき状況といえる。そんななか今度はライト・ヘビー級のWBC王者、オレクサンダー・グボジーク(32=ウクライナ)とIBF王者のアルツール・ベテルビエフ(34=ロシア)が頂上決戦を行うことになった。90年代以降、旧ソビエト連邦出身の選手が世界のボクシングシーンを席捲しているが、彼らが世界王座の統一戦で拳を交えることは珍しい。近年の勢力傾向を表しているカードといえる。17戦全勝(14KO)のグボジーク、14戦全KO勝ちのベテルビエフ。様々な角度からみて興味深い全勝対決だ。
 グボジークは10歳のときにボクシングを始め、26歳までアマチュアのリングに上がった。09年4月にはトルコのイスタンブールで開催された国際大会のライト・ヘビー級1回戦でベテルビエフと対戦したが、そのときは2回でレフェリー・ストップ負けを喫している。グボジークにとって今回の統一戦は10年越しのリベンジマッチとしての意味もあるわけだ。12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得したグボジークは14年4月、アメリカのネバダ州ラスベガスで行われたマニー・パッキャオ(フィリピン)対ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)Ⅱの前座でプロデビューした。2年後のトミー・カーペンシー(アメリカ)戦では不覚のダウンを喫するなど危ない橋も渡ったが、ここまで無敗をキープしている。昨年3月にWBC暫定王座を獲得し、12月にはV9王者のアドニス・スティーブンソン(ハイチ/カナダ)を11回KOで破って自力で正王者に昇格した。今年3月の初防衛戦ではドゥドゥ・ヌグンブ(コンゴ民主共和国/フランス)を5回TKOで退けている。暫定王座獲得後にテディ・アトラス・トレーナーの指導を受けるようになり、これが新コンビで迎える3戦目となる。
 IBF王者のベテルビエフもアマチュアで輝かしい実績を残している。08年北京五輪ではライト・ヘビー級2回戦敗退、12年ロンドン五輪ではオレクサンダー・ウシク(ウクライナ)に小差のポイント負けを喫してヘビー級8強に甘んじたが、世界選手権では07年大会で準優勝、09年には優勝している。ちなみにベテルビエフは11年大会でもウシクにポイント負けを喫し、ベスト8止まりだった。アマチュア戦績については「100戦目ぐらいまでは数えていたが、それからはカウントをやめた。数百試合は戦っている」という。現WBO王者のセルゲイ・コバレフ(ロシア)にも2度勝っている。09年4月のグボジーク戦に関しては「あれは昔のこと。いまはグボジークも力をつけている」と警戒している。
 カナダのグループ・イボン・ミシェル(GYM)とプロモート契約を交わして13年6月にプロに転向。以後、マッチメークされた14試合すべてを規定ラウンド内に終わらせてきた。見る者に恐怖心を抱かせるような獰猛なスラッガーだけに、同じ階級のトップ選手たちからも敬遠され続けたが、17年11月にIBF王座を獲得。今年に入ってトップランク社とプロモート契約を結び、今回の大一番をセットしてもらった。
 グボジークはロンドン五輪で銅メダルを獲得してはいるものの、両者の直接対決に加え総合的にみてもアマチュア時代の実績ではベテルビエフの方が上回っているといえる。しかし、プロ転向後の実績と経験値は五分といえる。そのためオッズもほぼイーブンと出ている。
 ふたりとも右構えだが、戦闘スタイルは大きく異なる。左ジャブで切り込んで右ストレートに繋げる正統派のグボジークに対し、ベテルビエフは徹底して圧力をかけて飛び込むファイター型だ。グボジークはカーペンシー戦で防御と耐久力に不安を見せたが、ベテルビエフも7戦目と1年前の初防衛戦では攻め急いだところに被弾してダウンを喫している。ディフェンスとタフネスに疑問符がつくのはIBF王者も同じだ。それだけに試合展開となると予想しづらいところがある。ベテルビエフの猛攻にWBC王者が抗いきれずに途中で倒されてしまう可能性もあれば、グボジークの左ジャブに邪魔されてベテルビエフが集中力を欠き、そこに右を浴びて倒れることも考えられる。確かなのは初回から目の離せない戦いになるということだ。

<資料1>TALE OF THE TAPE 両選手の体格比較

  • 名前

    グボジーク

    ベテルビエフ

  • 生年月日/年齢

    1987年4月15日/32歳

    1985年1月21日/34歳

  • 出身地

    ハルキウ(ウクライナ)

    ハサヴュルト(ロシア)

  • アマチュア実績

    12年ロンドン五輪Lヘビー級銅

    08年北京五輪Lヘビー級出場
    09年世界選手権Lヘビー級優勝
    12年ロンドン五輪ヘビー級出場

  • アマチュア戦績

    255戦175勝80敗

  • プロデビュー

    14年4月

    13年6月

  • 獲得王座

    WBC世界Lヘビー級王座

    IBF世界Lヘビー級王座

  • プロ戦績

    17戦全勝(14KO)

    14戦全勝(14KO)

  • KO率

    82%

    100%

  • 世界戦の戦績

    3戦全勝(2KO)

    3戦全勝(3KO)

  • 身長/リーチ

    188センチ/192センチ

    182センチ/185センチ

  • 戦闘タイプ

    右ボクサーファイター型

    右ファイター型

  • ニックネーム

    ネイル(釘)

  • トレーナー

    テディ・アトラス

    マーク・ラムジー

ライト・ヘビー級トップ戦線の現状

WBA    :ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)
WBA 暫定 :ジャン・パスカル(ハイチ/カナダ)
WBC    :オレクサンダー・グボジーク(ウクライナ)
IBF    :アルツール・ベテルビエフ(ロシア)
WBO    :セルゲイ・コバレフ(ロシア)

 ハイチ出身でカナダ在住のWBA暫定王者のジャン・パスカル(36)を除き、4王者がいずれも旧ソビエト連邦出身者という特徴がある階級だ。WBA王者のドミトリー・ビボル(28=キルギス/ロシア)は暫定王者時代から数えて8度の防衛を重ねており、いまや安定政権ともいえるが、このところ4連続判定勝ちという点が少々気になる。WBO王者のセルゲイ・コバレフ(36=ロシア)は3度の戴冠を果たしており、この階級の第一人者といえる。次戦でサウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)の挑戦を受けることになっているが、この結果次第ではトップ戦線の様相と今後の展望が大きく変わってきそうだ。
 同じことは今回の統一戦にもいえる。17戦全勝(14KO)のWBC王者、オレクサンダー・グボジーク(32=ウクライナ)と、14戦全KO勝ちのIBF王者、アルツール・ベテルビエフ(34=ロシア)の勝者は評価を大きく上げることは確実で、さらなる統一戦を期待する声は大きくなるはずだ。ただ、その前にグボジーク、ベテルビエフと同じトップランク社傘下のヒルベルト・ラミレス(28=メキシコ)が割り込むことも考えられる。
 12戦全勝(10KO)のジョシュア・ブアチ(26=ガーナ/イギリス)、コバレフに雪辱を許した前WBO王者のエレイデル・アルバレス(35=コロンビア)、長身強打者のジェシー・ハート(30=アメリカ)らにも注目したい。

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