12年ロンドン五輪戦士 vs 04年アテネ五輪戦士
10対1でブラウン有利だが不安も

  • 2019/09/13

 今年1月、実績もあって知名度も高いバドゥ・ジャック(35=スウェーデン)を12回判定で破ってWBA暫定世界ライト・ヘビー級王座を獲得したマーカス・ブラウン(28=アメリカ)が、2009年から2011年にかけてWBC王座に君臨した元王者のジャン・パスカル(36=ハイチ/カナダ)を相手に初防衛戦に臨む。2012年ロンドン五輪戦士のブラウンが新時代到来をアピールするのか、それとも2004年アテネ五輪戦士のパスカルが8年ぶりの返り咲きを果たすのか。若くて上り調子のブラウンが10対1のオッズで圧倒的有利とみられているが、打たれ脆さがあるだけに番狂わせの可能性もある。
 ブラウンは身長185センチ、リーチ191センチという大柄なサウスポーのボクサーファイター型で、多彩な右を繰り出す技巧派として知られている。ここまでの戦績は23戦全勝(16KO)で、約70パーセントのKO率を誇るが、強打者のイメージは薄い。右ジャブと足で相手との間合いを計り、腕を折り畳んで打ち込むタイミングのいい右フック、飛び込むようにして放つ左で勝ち進んできた。もちろんアマチュア時代に五輪に出場した基礎テクニックがあってのことだ。特別に高度なディフェンス技術を持ち合わせているわけではないが、相手が懐に入り込んでくるとクリンチで追撃を断つなど狡猾な一面もある。これは耐久力に課題を抱えていることの裏返しともいえよう。世界ランカー対決となった2016年4月のラディボヤ・カライジッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)戦ではワンツーから左フックを浴びてダウンを喫しており、世界前哨戦となった2018年のレニン・カスティージョ(ドミニカ共和国)戦でもカウントを聞かされている。こうしたマイナス面をどうカバーしていくか、それが今後のブラウンの課題といえる。
 対するパスカルはカリブ海のハイチ生まれだが、幼少時に家族でカナダに移住し、現在はカナダ国籍を取得している。2004年アテネ五輪にもカナダ代表として出場している。121戦103勝18敗のアマチュア戦績を残して2005年にプロに転向。4年後にWBC世界ライト・ヘビー級王座を獲得し4度の防衛に成功したが、46歳4ヵ月のバーナード・ホプキンス(アメリカ)に敗れてベルトを失った。
パスカルは図らずも史上最年長記録(当時)の対戦相手として名を刻むことになってしまった。その後は返り咲きをかけてセルゲイ・コバレフ(36=ロシア)に2度挑戦したが8回TKO、7回終了TKOで連敗。WBA王者のドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)にも12回判定負けを喫した(2018年11月)。通算戦績は41戦33勝(20KO)6敗1分1無効試合だが、15年以降の8戦に限っては4勝(3KO)4敗だ。
 比較的ゆったりとした構えから圧力をかけて出るパスカルが先に仕掛け、長身サウスポーのブラウンが懐深く構えて迎え撃つ展開になりそうだ。耐久力に課題を抱えるブラウンは、被せるように打ち込んでくるパスカルの左フックと右フックには十分な注意が必要だろう。そのためにも生命線ともいえる右ジャブでしっかりと相手をコントロールしておきたいところだ。

ライト・ヘビー級トップ戦線の現状

WBA    :ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)
WBA 暫定 :マーカス・ブラウン(アメリカ)
WBC    :オレクサンデル・グボジーク(ウクライナ)
IBF    :アルツール・ベテルビエフ(ロシア)
WBO    :セルゲイ・コバレフ(ロシア)

 16戦全勝(11KO)のWBA王者ドミトリー・ビボル(28=キルギス/ロシア)、WBA暫定王者マーカス・ブラウン(28=アメリカ)、17戦全勝(14KO)のWBC王者オレクサンデル・グボジーク(32=ウクライナ)、14戦全KO勝ちのIBF王者アルツール・ベテルビエフ(34=ロシア)と4王者が全勝をキープしている。
 すでにビボルは暫定王者時代を含め7度の防衛を果たしているものの直近の3試合は判定勝ちに留まり、一時の勢いは感じられない。ハンマーによる破壊作業をイメージさせるベテルビエフは、自身の故障とビジネス面の摩擦などが重なり試合数が少ないのが気がかりだ。そんななか元気なのがグボジークだ。昨年3月に暫定王座を獲得し、V9王者のアドニス・スティーブンソン(ハイチ/カナダ)を11回KOで仕留めて正王者の座を取って代わり、今年3月にはドゥドゥ・ヌグンブ(37=コンゴ民主共和国/フランス)を5回TKOで退けている。秋にベテルビエフとの統一戦が予定されており、これがライト・ヘビー級の主役決定戦となりそうだ。
 こうした一方、酸いも甘いも噛み分けながら3度目のWBO王座に君臨しているセルゲイ・コバレフ(36=ロシア)も忘れてはならない。18戦全勝(17KO)のアンソニー・ヤード(28=イギリス)との初防衛戦が正念場になりそうだが、これを乗り切ることを前提に下の階級から進出してくるサウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)との対戦プランも浮上しているだけに今後の動きに注目だ(コバレフ対ヤードは10月14日に放送)。
 無冠組では、WBO世界スーパー・ミドル級王座を返上して転向してきた40戦全勝(26KO)のヒルベルト・ラミレス(28=メキシコ)、2016年リオデジャネイロ五輪ライト・ヘビー級銅メダリストで12戦全勝(10KO)のジョシュア・ブアチ(26=ガーナ/イギリス)に注目したい。

強豪連破の「ベビーフェイス」 vs 経験豊富な「悪夢」
最重量級サバイバルマッチ

 直近の4試合で世界挑戦経験者と元世界王者を相手に勝利を収めているアダム・コウナツキ(30=ポーランド)と、3度の世界挑戦を経験しているベテランのクリス・アレオーラ(38=アメリカ)がトップ戦線生き残りをかけて対戦する。KO率はWBA7位、WBC6位、IBF4位のコウナツキが79パーセント(19戦全勝15KO)、WBC30位のアレオーラが72パーセント(46戦38勝33KO5敗1分2無効試合)。ともに攻撃力が自慢の選手だけに最重量級らしい打撃戦が見られそうだ。
 コウナツキはポーランド生まれだが、2009年10月のプロ初戦からアメリカ東海岸をベースに戦ってきた。現在の居住地でもあるニューヨークが活動拠点で、バークレイズ・センターでの試合は今回が9度目となる。西海岸を活動拠点とするメキシコ系アメリカ人のアレオーラよりもニューヨーカーにとってはコウナツキの方が親しみがあるかもしれない。無名時代が長かったコウナツキだが、2年前から強豪との対戦が増え、それらをすべてクリアしてきた。世界挑戦経験者のアルツール・ズピルカ(30=ポーランド)を4回TKOで破ったあと、IBF15位にランクされていたイアゴ・キラッツェ(33=ジョージア)に6回KO勝ち。サウスポーの元IBF王者チャールズ・マーティン(33=アメリカ)との打撃戦にも10回判定勝ちを収め、今年1月には世界挑戦経験者のジェラルド・ワシントン(37=アメリカ)は2回TKOで屠った。上昇気流に乗っている選手のひとりといっていいだろう。
 大型化が顕著な現在のヘビー級では身長191センチ、リーチ193センチと目立って大きいわけではないが、体重は120キロ前後ある。
3団体統一王者のアンディ・ルイス(29=アメリカ 身長188センチ/リーチ188センチ/体重約118キロ)ほどではないが、コウナツキもなかなかのぽっちゃり体型といえる。その体でアップライトに構え、ワンツーで飛び込み、チャンスをつかんだら一気に攻め込 む攻撃型だ。
 アレオーラは2003年9月のプロデビューで、2009年9月にビタリ・クリチコ(ウクライナ)、2014年5月に決定戦でバーメイン・スティバーン(ハイチ/アメリカ)、2016年7月にデオンテイ・ワイルダー(33=アメリカ)に挑んだが、3度の世界戦はいずれも実らなかった。ワイルダー戦後は引退状態だったが、昨年12月に戦線復帰して2連続TKO勝ちを収めている。復活の手応えをつかんでいる様子で、「コウナツキに勝てないようなら引退する」とまで言っているほどだ。身長とリーチはコウナツキと同じ191センチ/193センチだが、体重は12キロほど軽い(108キロ前後)。アレオーラはディフェンスよりも攻撃重視の選手で、投げ込むように放つ右ストレート、右フックをきっかけにして攻め込むことが多い。
 ともに小細工なしの攻撃型ということで、打撃戦になることは間違いない。注目すべきはどちらが前に出て主導権を握るかという点であろう。打って打たれての総力戦になりそうだが、12対1のオッズほどではないものの近況で勝るコウナツキにアドバンテージがあるカードといえる。

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