24歳の「装甲戦車」 vs パナマの「科学者」
V2狙うデービスのスピードと強打に注目

  • 2019/09/06

 すでにスーパー・フェザー級で2度の戴冠を果たしているWBA王者のジャーボンテイ・デービス(24=アメリカ)が、2位にランクされるリカルド・ヌネス(26=パナマ)を相手に2度目の防衛戦に臨む。21戦全勝(20KO)という驚異的なレコードを誇る攻撃型のサウスポー、デービスが序盤から飛ばしそうだ。
 デービスは5歳でボクシングを始め、12年全米ゴールデングローブ大会で優勝するなどアマチュアで220戦205勝15敗の戦績を残し13年2月にプロデビューした。プロ生活は6年を超えたが、9戦目に2度のダウンを奪いながら相手に6回判定まで逃げられた以外は20人をKOで仕留めている。このなかにはIBF王座を明け渡したホセ・ペドラサ(プエルトリコ)、元世界フェザー級王者のヘスス・クェジャル(アルゼンチン)、元2階級制覇王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)らが含まれている。
 130ポンド(約58.9キロ)を体重リミットとするスーパー・フェザー級では、前WBO王者の伊藤雅雪(横浜光=身長174センチ)、現WBO王者のジャメル・ヘリング(アメリカ=身長178センチ)のように170センチを超す選手が数多くいるが、デービスは166センチと小柄な部類に入る。その分、上体が発達しており、「TANK(装甲戦車)」というニックネームはイメージに近いものといえるかもしれない。左構えでプレッシャーをかけ、クロス気味に打ち込む左や右フック、近距離で突き上げる左アッパーなど多彩なパンチを持っており、加えて顔面とボディの打ち分けも巧みだ。
 不安があるとすればコンディション調整であろう。IBF王者時代の17年8月には規定体重をつくれず前日計量で失格、王座を剥奪されている。直近のルイス戦でも1回目の計量で約180グラム超過、全裸で測った2度目も約90グラム超過。30分後にやっとパスするという綱渡りだった。天才型にありがちなことだが、最大の敵は自分自身といえるかもしれない。
 挑戦者のヌネスは10年10月のプロデビューで、9年間に23戦21勝(19KO)2敗という戦績を残しており、KO率の高さが目を引く。19KOのうち18度は3ラウンド以内のKOだ。しかも最近の4年間は10戦全勝(9KO)と絶好調だ。ただし、地域王座を獲得しながらランクを上げてきたため世界的な強豪との対戦経験という点では物足りなさが残る。また、パナマを離れて試合をするのは2度目で、アメリカのリングは初めてとなる。このあたりは不安要素といえよう。由来は不明だがニックネームは「エル・シエンティフィコ(科学者)」。
左ジャブで相手を止め、右ストレート、右アッパーに繋げる攻撃パターンが多い。
 若さ、攻撃力、経験値など多くの部分で勝るデービスが圧倒的に有利なカードといえる。ヌネスの右ストレート、右アッパーには注意が必要だが、いまのデービスがこれらを被弾するとは思えない。
王者が低い構えから圧力をかけ、左クロスから右フック、回転の速い上下の打ち分けで攻め落としてしまう可能性が高そうだ。他団体王者との統一戦やライト級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)との対決を熱望しているデービスが、ヌネスを相手にどんなパフォーマンスを見せるのか要注目だ。

スーパー・フェザー級トップ戦線の現状

WBA SC :ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
       :アンドリュー・カンシオ(アメリカ)
WBC    :ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)
IBF    :テビン・ファーマー(アメリカ)
WBO    :ジャメル・ヘリング(アメリカ)

 ジャーボンテイ・デービス(24=アメリカ)の持つWBAスーパー王座をはじめ5本のベルトがすべて北米に集まっている。そんななかでも最注目選手はデービスであろう。5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(アメリカ)がプロモートしている話題性に加え、常にエキサイティングな試合をするため中量級の核にある可能性を秘めている。ホセ・ペドラサ(30=プエルトリコ)やヘスス・クェジャル(33=アルゼンチン)ではパワーを止めきれなかったほどで、この進撃がどこまで続くのか楽しみだ。同時に減量苦が続いているデービスはライト級への転向も視野に入れており、そのタイミングも重要になってくる。
 そのデービスとの統一戦が具体化しかけては消えているのがIBF王者のテビン・ファーマー(29=アメリカ)だ。同じサウスポーだがパワーで格段の差があり、対戦が実現した場合はデービス有利の予想に傾くものと思われる。ファーマーは昨年8月に戴冠を果たしたが、その試合を含め1年間に5度もリングに上がり、すでに4度の防衛を果たしている。
 WBC王者のミゲール・ベルチェルト(27=メキシコ)は5度の防衛をマークし、安定した力を見せつけている。やはりデービスとの統一戦に乗り気だが、すぐにというわけにはいかないだろう。
 WBAレギュラー王者のアンドリュー・カンシオ(30=アメリカ)はアルベルト・マチャド(28=プエルトリコ)を連破して評価を上げたばかりだ。11月に指名挑戦者のレネ・アルバラード(30=ニカラグア)との防衛戦が計画されている。
 伊藤雅雪(28=横浜光)からWBO王座を奪ったジャメル・ヘリング(33=アメリカ)は、年内にラモント・ローチ(24=アメリカ)との初防衛戦を計画している。
 ランカー陣では日本勢5人――伊藤、尾川堅一(31=帝拳)、末吉大(28=帝拳)、西谷和宏(32=VADY)、仲村正男(31=渥美)が挑戦圏内にいる。

キューバのサイクロン vs カリブのロッキー
元王者同士のサバイバルマッチ

 暫定王座を含め世界3階級制覇を成し遂げているユリオルキス・ガンボア(37=キューバ)と、スーパー・フェザー級のWBO王座を3度獲得した実績を持つローマン・マルチネス(36=プエルトリコ)がトップ戦線生き残りをかけて拳を交える。
 キューバのグアンタナモ出身のガンボアは04年アテネ五輪フライ級で金メダルを獲得後、亡命してプロに転向(07年4月)。09年にWBA暫定世界フェザー級王座を獲得(のちに正王者に昇格)し、IBF王座も吸収した。12年にはスーパー・フェザー級に転向してWBA暫定王座につき、さらに13年にはライト級でWBA暫定王者になった。ここまでは順風満帆といえたが、14年6月にテレンス・クロフォード(31=アメリカ)に初の敗北(9回TKO負け)を喫してからは流れが変わった。ビジネス面の摩擦から試合枯れ状態になったり、2年前にロビンソン・カスティジャノス(メキシコ)に7回終了TKO負けの不覚をとったり、加えて年齢の問題もあり厳しい状況が続いているのだ。しかし、このところは3連続判定勝ちと安定している。ニックネームは「グアンタナモのサイクロン」で、戦績は31戦29勝(17KO)2敗。
 一方、「ロッキー」というニックネームを持つマルチネスもキャリア18年のベテランで、ワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)に5回KO負け(16年6月)後に引退、そして戦線復帰とガンボア同様、必ずしも近況は芳しいものとはいえない。ここで敗れるようならば再度の引退に追い込まれる可能性もある。
 マルチネスは09年にWBO世界スーパー・フェザー級王座を獲得。2度防衛後に手放したが、1年後に再獲得した。これもV3戦で失ったが、1年5ヵ月で取り戻した。そして初防衛戦でロマチェンコに王座を明け渡した。この試合後に実戦から遠ざかったが、今年3月に8回TKO勝ちを収めてカムバックしている。4連敗中の相手に勝ってWBO14位にランクされたわけだが、お膝元でもあるWBOの庇護があったといっても過言ではなかろう。戦績は36戦30勝(18KO)3敗3分。
 ともに経験値の高い選手だが、マルチネスが慎重な面もある右のボクサーファイター型なのに対し、ガンボアはリスクを承知で攻め込む攻撃型という違いがある。一方、ディフェンスと耐久力に課題を抱えている点は共通している。距離を潰して攻めたいガンボアが積極的にアプローチし、マルチネスが迎え撃つ展開が予想される。
マルチネスが対応に手間取るようだとサイクロンが早いラウンドで根こそぎ持って行ってしまう可能性もある。

ラダリウス・ミラー対ジェスレル・コラレス

 ラダリウス・ミラー(26=アメリカ)対ジェスレル・コラレス(28=パナマ)は、サウスポーのホープが元世界王者に挑む構図のカードだ。ともに20代後半だが、結果によっては新旧交代となる。
 ミラーは20戦19勝(6KO)1敗の長身(175センチ)サウスポーで、メイウェザー・プロモーションズと契約を交わしている。トレーナーは元5階級制覇王者の叔父にあたるジェフ・メイウェザーが務めている。5年半のプロキャリアのなかで光っているのは、17年8月に現WBO世界スーパー・フェザー級王者のジャメル・ヘリング(33=アメリカ)に10回判定勝ちを収めていることだ。今年2月には、世界挑戦の経験もあるダウリス・プレスコット(33=コロンビア)に1回KO勝ちを収めている。
 コラレスは16年に2度来日して内山高志(ワタナベ)に連勝したことで知られるサウスポーで、その2勝を含めて10年のプロ生活で26戦23勝(9KO)2敗1無効試合というレコードを残している。戴冠後にゴールデンボーイ・プロモーションズと契約を交わしたが、V2戦を前に体重超過のため計量で失格、王座を剥奪された。試合でもアルベルト・マチャド(29=プエルトリコ)に8回KOで敗れた。今年4月、2回KO勝ちで戦線復帰し、これが再起第2戦となる。WBAスーパー・フェザー級7位の肩書を持っているだけに、これはキープしたいところだ。
 サウスポー同士のカードだが、変則型のコラレスが仕掛け、慎重なタイプのミラーが迎え撃つパターンが予想される。噛み合わせが甘くなるようだとジャッジ泣かせの試合になる可能性がある。

ミシェル・ソロ対アンダーソン・プレストット

 もともとミシェル・ソロ(31=コートジボアール/フランス)はWBA王者のブライアン・カスターニョ(29=アルゼンチン)に挑戦する予定だった。しかし、フランス行きを固辞したカスターニョが王座を返上したため、ソロはマゴメド・クルバノフ(24=ロシア)と王座決定戦を行うことになっていた。ところが、ビザのトラブルから今度はクルバノフの入国が間に合わないことが判明。そこで急遽、アンダーソン・プレストット(28=フランス)と対戦することになったという経緯がある。試合はソロの持つWBAスーパー・ウェルター級“ゴールド王座”の防衛戦として行われる。
 西アフリカのコートジボアール出身のソロは11年のプロキャリアで36戦33勝(22KO)2敗1分の戦績を残しており、世界挑戦圏内に入ってからも8年以上が経った。この間、12年5月と17年7月に世界挑戦を試みたが、いずれも判定で敗れている。右のボクサーファイター型で、攻め落とすパターンに持ち込むまで慎重な傾向があるものの右ストレートには切れがある。
 代役としてリングに上がるプレストットは24戦23勝(12KO)1敗という好戦績を残しており、ミドル級でWBC40位にランクされている。世界的強豪との対戦は皆無だが、フランス国内王座やEBU欧州連合王座、WBC地中海王座などを獲得した実績を持っている。
 スピードやパンチ力で勝るソロがプレッシャーをかけ、プレストットが迎え撃つ展開になりそうだが、どこまでプレストットが抵抗し、どれだけ耐えられるか――そのあたりが焦点になりそうだ。

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