KO率80%のV5王者 vs 14戦全勝のホープ
打撃戦必至 バルデスが圧倒的有利

  • 2019/06/28

 アマチュア時代に08年北京大会、12年ロンドン大会と2度の五輪出場したほか09年と11年世界選手権にも出場した経験を持ち、プロでは16年7月に獲得したWBO世界フェザー級王座を5度防衛しているオスカル・バルデス(28=メキシコ)が、「サソリ」のニックネームを持つ24歳のホープ、WBO11位のジェイソン・サンチェス(アメリカ)の挑戦を受ける。ともに好戦的なタイプとあって打撃戦が予想されるが、パワーのほか経験値など総合力で勝るバルデスが圧倒的有利といっていいだろう。
 バルデスは五輪のほか世界ユース選手権優勝(08年)、パンナム大会で2度準優勝(09年、11年)するなど輝かしいアマチュア実績を誇る。「204戦177勝27敗」がバルデスが自己申告しているアマチュア戦績だ。
 トップランク社と契約を交わして12年11月にプロ転向を果たし、順調に出世の階段を上ってきた。3年前、同じトップランク社のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が返上して空位になったWBO世界フェザー級王座決定戦に出場し、マティアス・カルロス・ルエダ(アルゼンチン)に2回TKO勝ちを収めて戴冠を果たした。初防衛戦では大澤宏晋(ロマンサジャパン ⇒ オール)を7回TKOで退け、その後、4度の防衛を重ねている。V3戦では不覚のダウンを喫し、V4戦では体重超過のスコット・クィッグ(イギリス)のパンチでアゴを骨折するというハプニングにも遭遇したが、いずれも判定勝ちを収めている。今年2月のカーミネ・トマソーネ(イタリア)との5度目の防衛戦では計4度のダウンを奪って一蹴(7回TKO)、大澤戦以来のKO勝ちを飾った。戦績は25戦全勝(20KO)。KO率は80パーセントと高い。
 身長166センチとフェザー級では小柄な部類に入るが、距離を詰めながら打撃戦を仕掛けパワーでねじ伏せてしまうことが多い。リスクを恐れずに攻める反面、被弾することも少なくないため試合は常にスリリングだ。
 今回、もともとバルデスはエリック・イトゥアルテ(メキシコ)との防衛戦を予定していた。しかし、2月までWBO12位だったイトゥアルテが3月のランキングで15傑から外れたため統括団体が世界戦としての認定を見送った経緯がある。バルデスはイトゥアルテと無冠戦を強行するか、あるいは別の相手を探して防衛戦を行うかという選択を迫られなか、1ヵ月前になってサンチェス戦を決めたというわけだ。
 このサンチェスは兄弟3人がプロボクサーで、4年前に25歳で亡くなった兄アランがライト級で5戦3勝2KO2敗の戦績を残しており、現役のスーパー・ウェルター級、兄ホセ・ルイス(26歳)はここまで10戦9勝(4KO)1敗と好調だ。ジェイソン・サンチェス自身は12年12月にプロデビューし、6年半のキャリアで14戦全勝(7KO)をマークしている。昨年10月、WBA15位にランクされていたジャン・カルロス・リベラ(プエルトリコ)に勝ってWBOユース王座を獲得したが、これが唯一といっていい強豪との対戦だ。左右のパンチはややチョップ気味でもあるが、思い切りがいいだけにKO率(50パーセント)以上の破壊力が感じられる。
 とはいえサンチェスは10ラウンドと8ラウンドをフルに戦いきったことが1度ずつしかなく、経験値という点では王者に遠く及ばない。パワー、テクニックでもバルデスが明らかに上だ。慢心さえなければバルデスが力量差をみせつけて中盤あたりで仕留める可能性が高い。

フェザー級トップ戦線の現状

WBA SC :レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
WBA   :シュー・ツァン(中国)
WBC   :ゲイリー・ラッセル(アメリカ)
IBF   :ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)
WBO   :オスカル・バルデス(メキシコ)

 スーパー・ライト級、スーパー・ウェルター級、ミドル級、スーパー・ミドル級のように目まぐるしく王座が移動している階級があるなか、このフェザー級は安定しているクラスといっていいかもしれない。IBF王者のジョシュ・ウォーリントン(28=イギリス)は昨年5月、WBAレギュラー王者のシュー・ツァン(25=中国)は今年1月と王座獲得時期は比較的最近だが、ほかの3王者は在位が長い。WBAスーパー・王者のレオ・サンタ・クルス(30=メキシコ)は17年1月の戴冠で防衛が3度、WBC王者のゲイリー・ラッセル(31=アメリカ)は15年3月の戴冠で防衛が4度、WBO王者のオスカル・バルデス(28=メキシコ)は16年7月の戴冠で防衛が5度と、いずれも2年半以上の長期政権を築いている。
 それだけに統一戦が期待されるところだが、それぞれがライバル王者を牽制はするものの実現に向けた具体的な交渉が進んでいるという情報はない。せめてアマチュア時代に対戦経験があるラッセルとサンタ・クルス(06年にラッセルが13対6でポイント勝ち)の因縁の対決ぐらいは実現してほしいものだが……。
 王者たちが安定政権を築いている一方、下からの突き上げも始まっている。16年リオデジャネイロ五輪バンタム級銀メダリストのシャクール・スティーブンソン(22=アメリカ)、12年ロンドン五輪フライ級銀メダリストのトゥグッソト・ニャンバヤル(27=モンゴル)が猛スピードで台頭してきているのだ。すでにニャンバヤルはWBCの指名挑戦権を手にしており、スティーブンソンもWBAとIBFで3位、WBOでは1位にランクされている。ふたりとも1年以内には大きな勝負に出るものと思われる。また、このところやや足踏み状態とはいえ2度の五輪出場経験(12年ロンドン五輪フライ級銅、16年リオデジャネイロ五輪バンタム級8強)を持つマイケル・コンラン(27=アイルランド)も世界挑戦圏内に入ってきており、来年は一転して賑やかなクラスになりそうだ。

13戦全勝の20歳 vs 24歳の元中米王者
アメリカ西海岸の人気者フローレスに注目

 現時点では世界ランキングに入ってはいないが、いまから「ガブリエル・フローレス」というライト級ホープの名前は覚えておいた方がいいかもしれない。近い将来、センセーションを巻き起こす可能性があるからだ。
 2000年5月生まれのフローレスは、ボクシングジムのオーナーでトレーナーを務めている父親のもとで7歳のときにこの格闘技を始めた。17歳でプロに転向するまでジュニアで98戦91勝7敗のアマチュア戦績を収めている。全米シルバー選手権優勝(14年、16年)のほか15年世界ジュニア選手権では準優勝している。私生活では、母親がパーティー会場で射殺されるという悲劇に遭ったことが広く知られている(13年)。トップランク社と契約してプロ転向を果たしたのは17年5月のこと。生まれ育ったストックトンがあるカリフォルニア州ではプロライセンスは18歳以上と定められているため、フローレスは8戦目までネバダ州やテキサス州で戦うことになった。12連勝のあと今年5月にはストックトンで行われたダブル世界戦の際にセミファイナル扱いでリングに登場。1万人以上の地元ファンから熱狂的な声援を受けるなか鮮やかな左フックで3回KO勝ち、凱旋試合に花を添えた。その試合まで6試合続けてKOを逃していただけに、この快勝でひと皮むけているかもしれない。
 相手のサルバドール・ブリセノ(24=メキシコ)は13年5月にプロデビューした6年選手で、ここまで18戦15勝(9KO)3敗の戦績を残している。こちらも世界的には無名だが、3年前にはWBC中米スーパー・フェザー級王座を獲得した実績を持っている。17年10月にはWBO中南米ライト級王座に挑んで2回KO負けを喫したが、再起して2連続KO勝ちと復調している。
 13戦全勝(6KO)の20歳のホープ、フローレスが元中米王者のブリセノを相手にどんなリング・パフォーマンスを披露するのか要注目だ。

もっと見る

閉じる

My番組登録とは?

My番組登録で見逃し防止!

見たい番組、気になる番組をあらかじめ登録。
放送時間前のリマインドメールで番組をうっかり見逃すことがありません。

利用するには?

WEB会員IDをご登録のうえ、ログインしてご利用ください。

WEB会員IDをお持ちでない方
WEB会員IDを登録する
WEB会員IDをお持ちの方
ログインする
閉じる

番組で使用されているアイコンについて

初回放送
新番組
最終回
生放送
5.1chサラウンド放送
二カ国語版放送
吹替版放送
字幕版放送
字幕放送
ノンスクランブル(無料放送)
オンデマンドでの同時配信
オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの