立場を変えて2年4ヵ月ぶりに再戦
V4中の現王者に死角なし?

  • 2019/06/14

 2017年1月に戴冠を果たしてから安定した強さを見せつけ4度の防衛を果たしているWBC世界スーパー・フェザー級王者のミゲール・ベルチェルト(27=メキシコ)が、前王者のフランシスコ・バルガス(34=メキシコ)を相手にV5戦に臨む。初戦で11回KO勝ちを収めて王座を獲得したベルチェルト(36戦35勝31KO1敗)が前王者を返り討ちにするのか、それともバルガス(28戦25勝18KO1敗2分)が雪辱を果たして王座を取り戻すのか。
 両者の初戦はアメリカのカリフォルニア州インディオで行われた。バルガスが好スタートを切って序盤をリードしたあとベルチェルトが盛り返し、中盤は主導権を奪い合うというシーソーゲームになった。こうしたなか終盤、両目上をカットして流血に悩まされた王者に対しベルチェルトがワンツーから繋ぐ左ストレートを突いて均衡を破り、11回に連打をまとめてレフェリー・ストップに持ち込んだという試合だった。10回終了時点の採点は二者が96対94でベルチェルト優勢、もうひとりは95対95のイーブンだった。このスコアからも競った内容だったことが分かる。
 25歳で世界王者になったベルチェルトは、半年後の初防衛戦で2代前の王者、三浦隆司(帝拳)と対戦。この試合では「ボンバー・レフト」と呼ばれて恐れられた三浦の強打をテクニックで徹底的に封じ、大差の判定勝ちを収めた。スムーズさには欠ける印象を残したが、アウトボクシングもできることを証明している。以後、マクスウェル・アウク(ガーナ)と元世界王者のジョナサン・バーロス(アルゼンチン)を3回TKOで一蹴、昨年11月のV4戦ではミゲール・ローマン(メキシコ)を9回TKOで退けている。
 一方、32歳で世界王座を失ったバルガスは、17年12月に世界ランカーのスティーブン・スミス(イギリス)の耳を切り裂いて再起(9回負傷判定勝ち)。昨年4月には中堅どころのロッド・サルカ(アメリカ)に6回終了TKO勝ちを収めている。ベルチェルトに比べると試合のペースや相手の質という点で見劣りはするが、まずは順調に再起ロードを歩んでいるといっていいだろう。もともと今回の再戦は3月に行われる予定だったが、ベルチェルトが拳を痛めたため延期になった経緯がある。そのためバルガスは1年以上のブランクをつくることになった。
 「バンディド(山賊)」の異名を持つバルガスが仕掛け、「アラクラン(サソリ)」のニックネームで知られるベルチェルトが迎え撃つ展開が予想されるが、現在の勢いから考えて現王者が先に主導権を握る確率が高そうだ。バルガスは初戦でも多用したボディ攻撃で相手の戦力を削ぎ落としたいところだが、自信を増しているベルチェルトがそれを簡単に許すとは思えない。初戦で効果を発揮したワンツーのあとにフォローする左ストレートを打ち込み、ベルチェルトが前王者にダメージを与えていくのではないだろうか。10対1のオッズが示すとおり、サソリの毒は初戦よりも早い段階で効いてくるものと思われる。

スーパー・フェザー級トップ戦線の現状

WBA SC :ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBA   :アンドリュー・カンシオ(アメリカ)
WBC   :ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)
IBF   :テビン・ファーマー(アメリカ)
WBO   :ジャメル・ヘリング(アメリカ)

 5月25日にWBO王座の持ち主が伊藤雅雪(横浜光)からジャメル・ヘリング(アメリカ)に移動した。2対1のオッズが出ていたように伊藤有利と見られていた試合だが、サウスポーのヘリングが右ジャブとテクニックで上回った。そのヘリングとWBC王者のミゲール・ベルチェルト(メキシコ)はトップランク社とプロモート契約を結んでいるため、近い将来の統一戦が期待されている。
 このふたりよりも現時点で高い評価を得ているのがWBAスーパー王者のジャーボンテイ・デービス(アメリカ)だ。「TANK(装甲戦車)」というニックネームを持つ24歳のデービスは、一時は自らの不注意により計量で失格、IBF王座を失ったが、昨年4月にWBAで返り咲いた。今年2月には元2階級制覇王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)を1回で仕留め初防衛を果たしている。21戦全勝(20KO)の戦績が示すとおりの強打者で、スピードもある。慢心さえなければ中量級戦線の核になる可能性を秘めた逸材である。夏にリカルド・ヌニェス(パナマ)とのV2戦が予定されている。
 そのデービスとの統一戦を呼びかけているのがIBF王者のテビン・ファーマー(アメリカ)だ。こちらは35戦29勝(6KO)4敗1分1無効試合の戦績から想像できるようにパワーに欠けるサウスポーのテクニシャンだが、スピードと防御技術には定評がある。7月6日には東京・後楽園ホールで尾川堅一とアジンガ・フジレ(南アフリカ共和国)がファーマーへの挑戦権を賭けて対戦することになっている。
 無冠組ではWBC3位にランクされる28戦全勝(25KO)の21歳、エドゥアルド・エルナンデス(メキシコ)に注目したい。まだ骨のある相手との対戦は少ないが、KO率の高さと若さは魅力だ。ゴールデンボーイ・プロモーションズがどのタイミングで勝負をかけさせるのか。
 WBO1位のラモント・ローチ(アメリカ)も伸び盛りの23歳だが、やや決め手不足といえる(20戦19勝7KO1分)。

番狂わせを受けたダイレクト・リマッチ
自信を増した現王者にアドバンテージ

 両者は昨年12月に今回とは逆の立場で拳を交え、不利が予想された挑戦者のエマヌエル・ナバレッテ(24=メキシコ)がガーナ出身のアイザック・ドグボエ(24=イギリス)に12回判定勝ち、WBO世界スーパー・バンタム級王座を奪った。中盤まではポイントで競っていたが、終盤にナバレッテが相手にダメージを与えて116対112、116対112、115対113の採点でジャッジ三者から支持を得るという試合だった。半年足らずで実現することになったダイレクト・リマッチは、15対8のオッズでナバレッテ有利と出ている。
 ナバレッテは先のドグボエ戦を前に26戦25勝(22KO)1敗の戦績を残してはいたが、すべてメキシコ国内での試合であったことや世界的強豪との対戦経験が少ないことなどから過小評価されていたようだ。ところがドグボエ戦ではワイルドなパンチに加えインサイドから左右のアッパーを突いたり構えを左にスイッチしたりと、幅広い攻撃パターンを披露、前評判を覆して一気に頂点に駆け上がった。戴冠後に24歳になったばかりで、慢心せずに経験値を上げていけばさらなるスケールアップが期待できる。
 王座奪回を狙うドグボエはアマチュア時代に12年ロンドン五輪に出場したが、1回戦で清水聡(現IBF世界フェザー級3位)にポイント負け。その1年後、スイスでプロデビューを果たした。18年1月、WBO暫定世界スーパー・バンタム級王座を獲得したあと4月には正規王者のジェシー・マグダレノ(アメリカ)に11回KO勝ちを収め、自身が正規王者に昇格した。初防衛戦では大竹秀典(金子)を1回TKOで退けている。長期政権が期待されるなかで迎えたV2戦の相手がナバレッテだったというわけだ。
 今回の再戦を占う際、やはり初戦の終盤でドグボエがナバレッテの体力、パワーに圧倒されて甚大なダメージを負ったことを無視するわけにはいかない。体格で勝るナバレッテが序盤から大小織り交ぜたパンチで前王者を攻め立てる展開になるようだと、初戦の続きを思わせる試合になりそうだ。身長157センチと小柄なドグボエは思いきりよく踏み込んで相手の懐に入ったうえで攻めたいが、これが容易な作業ではないことは昨年末に体験済みだ。初戦を経て両者の勢いと評価はがらりと変わっており、その差が試合でも出そうだ。

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