08年北京五輪銅メダリスト vs 12年ロンドン五輪戦士
王者にスピードと経験のアドバンテージ

  • 2019/06/14

 2015年1月の戴冠後、4年以上にわたって王座を守り続けているWBC世界ヘビー級王者、デオンテイ・ワイルダー(33=アメリカ)が、同級4位のドミニク・ブリージール(33=アメリカ)を迎えて9度目の防衛戦に臨む。41戦40勝(39KO)1分のワイルダー、21戦20勝(18KO)1敗のブリージール。最重量級らしいKO決着必至のカードだ。
 ワイルダーは難病の娘の治療費を稼ぐため20歳直前でボクシングを始め、2年足らずで全米ゴールデングローブ大会と全米選手権を制覇。08年の北京五輪ではヘビー級(91キロ以下)で銅メダルを獲得した。高校時代まではフットボールとバスケットボールの選手だったというだけあって、並外れた運動神経の持ち主であることが分かる。ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)と契約して08年11月にプロデビューし、以後の10年半で驚異的ともいえるレコードを残している。現在の王座はハイチ出身のバーメイン・スティバーン(40=アメリカ)を12回判定で下して奪ったもので、7連続KO防衛後、昨年12月には元3団体統一王者のタイソン・フューリー(30=イギリス)と引き分けてV8に成功している。KO率は95パーセントを超える。
 近年、ヘビー級は超大型化の傾向があるが、身長201センチのワイルダーも例外ではない。ただ、このWBC王者はベスト体重が97キロ~104キロで、いわゆる“細マッチョ”体型といえる。ワイルダーは贅肉を削ぎ落とした体から速く伸びのある左ジャブを飛ばし、すかさず右ストレートに繋げる攻撃パターンを持っている。これで仕留めるときもあれば、相手が粘った場合は一気に左右を乱打してけりをつけてしまうこともある。パワーはもちろんだが、ヘビー級では傑出したスピードが特徴だ。かつては耐久力とスタミナに疑問符がついていたが、V7戦のルイス・オルティス(40=キューバ)戦では被弾したあとも踏ん張って平均以上のタフネスを示し、フューリー戦では最終12回にダウンを奪ってスタミナも証明した。これらを経て、いまでは経験値も高いものになった。
 挑戦者のブリージールもアマチュア時代にオリンピックに出場した実績を持っている。11年全米選手権3位、12年全米選手権優勝後、12年ロンドン大会スーパー・ヘビー級にアメリカ代表として出場したものだが、こちらは初戦で敗退している。プロ転向はオリンピックの3ヵ月後で、3年半に17連勝(15KO)を収めて世界挑戦にこぎ着けた。しかし、IBF王者のアンソニー・ジョシュア(29=イギリス)への挑戦は7回TKOの完敗だった。以後は世界ランカーのイズアグベ・ウゴノー(32=ポーランド)とのダウン応酬戦を5回KOで制し、ワイルダーに挑んで9回KO負けのエリック・モリナ(37=アメリカ)には8回終了TKO勝ち。そして直近の試合では元オリンピアンでWBC米大陸王者経験者のカルロス・ネグロン(32=プエルトリコ)に9回KO勝ちを収めている。
 「トラブル」というニックネームを持つブリージールは身長はワイルダーと同じ201センチだが、体重は114キロ~118キロと王者よりも15キロ前後も重い。その分、体そのもののスピードに欠ける傾向があるが、横殴りの右フックには破壊力がある。
 6対1というオッズが出ているようにワイルダー有利のカードであることは間違いない。特にスピードに大きな差があるだけに、序盤で歯車が噛み合えば早期決着も考えられる。左ジャブで牽制し、相手のガードを割って右ストレートでKO――というワイルダーが得意とする破壊パターンが目に浮かぶ。その一方、ブリージールが体力を生かして混戦に持ち込み、中間距離で死角から右フックを叩き込むことも考えられる。いずれにしても最重量級らしいダイナミックなKOシーンが見られそうだ。

ヘビー級トップ戦線の現状

WBA SC :アンディ・ルイス(アメリカ)
WBA   :マヌエル・チャー(レバノン/シリア)
WBA 暫定:トレバー・ブライアン(アメリカ)
WBC   :デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)
IBF   :アンディ・ルイス(アメリカ)
WBO   :アンディ・ルイス(アメリカ)

 つい先日までWBAスーパー王座とIBF王座、WBO王座を持つアンソニー・ジョシュア(29=イギリス)、WBC王座を8度防衛中のデオンテイ・ワイルダー(33=アメリカ)、そして昨年12月にワイルダーと引き分けた元3団体王者のタイソン・フューリー(30=イギリス)がヘビー級の「3強」といわれていた。しかし、ジョシュアがメキシコ系アメリカ人のアンディ・ルイス(29)に不覚の7回TKO負けを喫したことで、一転して混乱状態に陥りそうな気配だ。新3団体統一王者のルイスは34戦33勝(22KO)1敗の戦績を残している強打者で、身長188センチ、体重120キロという寸胴体型ながらハンドスピードとパンチの回転力に定評がある。
契約によって年内にもジョシュアとの再戦が組まれることになりそうだ。
 第2グループには元WBA暫定王者のルイス・オルティス(40=キューバ)、WBCとWBOで1位にランクされるディリアン・ホワイト(31=ジャマイカ/イギリス)、IBFの指名挑戦権を持つクブラト・プーレフ(38=ブルガリア)らがいる。しかし、オルティスは世界戦でワイルダーに10回TKO負け。ホワイトは世界王者になる前のジョシュアに7回TKOで敗れており、ふたりとも再戦でライバルを超えるのは容易ではないだろう。プーレフは5年前に当時の3団体王者、ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)に4度のダウンを喫して5回KOで敗れている。
 こうした一方、クルーザー級で4団体王座を統一したオレクサンダー・ウシク(32=ウクライナ)がヘビー級に参入してきた。ジョシュア(身長198センチ、リーチ208センチ)、ワイルダー(201センチ/211センチ)、フューリー(206センチ/216センチ)と比較すると身長190センチ、リーチ198センチのウシクは体格で明らかに不利といえる。スピードとサウスポーという利点はあるが、「3強」もスピードには定評があるだけに、そこにウシクが割って入るのは簡単なことではないだろう。それだけにやりがいのある仕事ともいえる。
 このほか先物買いになるが、9戦全KO勝ちのジョー・ジョイス(33=イギリス)、そのヨカに16年リオデジャネイロ五輪決勝で競り勝っているトニー・ヨカ(27=フランス)、WBC16位に上がってきたリオデジャネイロ五輪ベスト8のエファ・アジャバ(25=ナイジェリア)、そしてWBO12位に名を連ねるダニエル・ドゥボア(21=イギリス)といったニューフェイスが控えている。

スピードと技巧に定評の王者のV4戦
マルチネスは2階級制覇かけて挑戦

 126ポンド(約57.1キロ)を体重上限とするフェザー級で高度安定政権を築いているWBC王者のゲイリー・ラッセル(30=アメリカ)が、元IBF世界スーパー・バンタム級王者のキコ・マルチネス(33=スペイン)を相手に4度目の防衛戦に臨む。
 ラッセルはアマチュアで173戦163勝10敗の戦績を残している。16歳で全米選手権と全米ゴールデングローブ大会を制し、17歳で出場した05年の世界選手権は3位、07年の世界選手権でもベスト8入りを果たしている。08年北京五輪のアメリカ代表にも選ばれたが、体調を崩して本選のリングに上がることはなかった。09年1月にプロ転向を果たし、10年間で30戦29勝(17KO)1敗の戦績を収めている。唯一の黒星は5年前、WBO世界フェザー級王座決定戦でワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に12回判定で敗れたものだ。現在の王座は15年3月にジョニー・ゴンサレス(メキシコ)を4回TKOで破って獲得したもので、3度の防衛に成功している。ただ、故障もあって試合間隔が空き気味で、戴冠を果たした15年を含め16年、17年、18年と年1回ペースが続いている。今回もV3戦から1年ぶりのリングとなる。
 挑戦者のマルチネスは「La Sensacion(ラ・センサシオン=感動、衝撃)」というニックネームを持つ元IBF世界スーパー・バンタム級王者で、日本では長谷川穂積(真正)の挑戦を7回TKOで退けたことで知られている(14年4月)。フェザー級に上げてからは5回TKOで敗れた16年2月のレオ・サンタ・クルス(メキシコ)戦以来、2度目の世界挑戦となる。一時期、世界ランキングから外れていたが、昨年10月にEBU欧州王座を獲得してトップ戦線に復帰、今回のチャンスをつかんだ。
 両者の戦闘スタイルについてみると、ラッセルはサウスポーの技巧派、マルチネスは右構えの攻撃型といえる。マルチネスが積極的に攻め、ラッセルがサイドに動きながらカウンターで迎え撃つ展開が予想されるが、スピードと細かなスキルで勝る王者が挑戦者を巧みに捌く可能性が高い。圧倒的に有利とみられるラッセルにとっては、勝利はもちろんのこと内容が問われる試合といえそうだ。

元王者同士が返り咲きを賭けて対戦
オッズは19対5でイースター有利

 ロバート・イースター(28=アメリカ)は16年9月から18年7月にかけてIBF世界ライト級王座に君臨したことがある元王者。一方のランセス・バルテレミー(32=キューバ)も元世界王者で、こちらはスーパー・フェザー級とライト級で戴冠実績を持っている。
その両者がWBA世界ライト級王座決定戦で拳を交える。
 身長180センチ、リーチ193センチとミドル級並みの恵まれた体格を持つイースターは、アマチュアで230戦(213勝17敗)を経験後、12年11月にプロに転向した。以前は広めのスタンスと左ガードを下げた構えからアウトボクシングをベースにして戦うことが多かったが、最近は中近距離で戦うことが目立つ。アピールする必要性を感じているからかもしれないが、なかなか結果に結びついていない。デビューから8連続KO勝ちをマークしたこともあるが、16年9月に世界王者になった試合を含め直近の世界戦5試合はいずれも判定勝負となっている。22戦21勝(14KO)1敗。
 一方のバルテレミーはアマチュアで約200戦をこなしたあと09年8月にプロデビュー。以後、10年間で29戦27勝(14KO)1敗1無効試合という戦績を残している。14年7月にIBF世界スーパー・フェザー級王座、15年12月にはIBF世界ライト級王座を獲得した実績を持っている。昨年3月には3階級制覇を狙ってWBA世界スーパー・ライト級王座決定戦に出場したが、キリル・レリク(ベラルーシ)に12回判定負けを喫した。再起戦を挟み、今回はライト級に戻って返り咲きを狙う。こちらも身長178センチ、リーチ184センチと恵まれた体格の持ち主で、しなりの効いた左フックが主武器だ。
 世界的な実績のある長身同士のカードで、総合力は互角に近いと思われる。前戦で世界王座を失っているイースター、再起第2戦となるバルテレミーと、近況も似ている。オッズは19対5でイースター有利と出ているが、接戦が予想される。

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R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの