2階級制覇狙う久保
自国で初防衛戦に臨むツァン

  • 2018/05/24

 2017年4月から9月までWBA世界スーパー・バンタム級王座に君臨した久保隼(29=真正)が、2階級制覇を狙ってシュー・ツァン(25=中国)の持つWBA世界フェザー級王座に挑む。久保が176センチ、シューが175センチと長身同士の一戦だが、得意とする距離が異なる。中長距離を保って戦いたい久保、中近距離の攻防に持ち込みたいシュー。序盤から距離を巡る主導権争いが繰り広げられそうだ。

1階級上げて王座に挑むサウスポーの久保

 久保はアマチュアを経て13年5月にプロデビューし、3年後に東洋太平洋王座を獲得。2度の防衛後、2年前にはベテランのネオマール・セルメニョ(ベネズエラ)を攻略して世界の頂点に立った。この試合、10回終了時点ではジャッジ三者とも95対94のスコアだったが、2対1でセルメニョがリードしていた。しかし、限界に達していた王者が11回のゴングを待たずに棄権、久保が勝利を手にしたという試合だった。久保にとってはプロ4年、12戦目での戴冠だった。初防衛戦では指名挑戦者のダニエル・ローマン(アメリカ)を迎えたが、距離を潰されて劣勢に追いやれたすえ9回TKOで完敗。5ヵ月足らずでベルトを手放している。これを機にフェザー級に上げた久保は昨年4月、世界挑戦経験者の大澤宏晋(オール)とのサバイバル戦に2対1の判定で競り勝ち、今回の大舞台を引き寄せた。戦績は14戦13勝(9KO)1敗。これが大澤戦以来13ヵ月ぶりの実戦となる。

3階級下げて成功を収めたシュー

 そんな久保の挑戦を受けるシューは13年11月にプロデビューし、2戦目には来日して金沢市で濱本康太(カシミ)に4回判定勝ちを収めている。3戦目と5戦目に判定負けを喫したが、15年以降は13連勝(2KO)と好調を維持している。そのなかには15年5月、のちに世界ランカーとなるハリケーン風太(カシミ)を6回判定で下した勝利も含まれている。5年半にわたるシューのキャリアをチェックしたときに興味をひかれるのは、久保とは逆に徐々に階級を下げてきている点だ。デビュー8戦目まではスーパー・ライト級やライト級だったが、15年から17年まではスーパー・フェザー級で戦い、17年以降はフェザー級に下げて成功を収めている。その間、各階級でWBA傘下の地域王座を獲得しており、さらに17年10月には久保に敗れたあとのセルメニョにも7回TKO勝ちを収めている。ちなみにシューにとってはセルメニョ戦がプロ15戦目で初のKO(TKO)勝ちだった。現在の王座は今年1月、ヘスス・マヌエル・ロハス(プエルトリコ)を12回判定で破って獲得したもので、中国では熊朝忠(シャオ・チャオジョン)、雛市明(ゾウ・シミン)に次いで3人目の世界王者である。18戦16勝(2KO)2敗とKO率は低く、左右とも破壊的なパンチは見当たらない。その分、手数が多く、スタミナも旺盛だ。

体力で勝る王者の出足を止められるか

 ともに長身だが、身長176センチ/リーチ181センチの久保が左構えからフェイントを用いながら右ジャブを差し込んで左ストレートを狙うタイプなのに対し、身長175センチ/リーチ175センチのシューはガードを固めながら距離を潰して接近戦に持ち込むことが多い。久保は足をつかいながらフェイントや右ジャブで相手をコントロールしたいところだが、体力で勝るシューの出足を止めるのは容易ではないだろう。ときにはスタミナ配分を無視して力の入った左ストレートを連発する必要も出てきそうだ。シューは接近すると執拗に手数を出して上下に打ち分けてくるだけに、久保はサイドへの動きも忘れずに戦いたい。

フェザー級トップ戦線の現状

WBA SC :レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
WBA   :シュー・ツァン(中国)
WBC   :ゲイリー・ラッセル(アメリカ)
IBF   :ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)
WBO   :オスカル・バルデス(メキシコ)

 3階級制覇の実績を持つWBAスーパー王者のレオ・サンタ・クルス(30=メキシコ)が現状では最も高い評価を受けているが、最近は試合のペースが落ち着き、また良くも悪くも試合内容まで落ち着いてしまった印象だ。サンタ・クルスはアマチュア時代(06年)に全米選手権決勝で敗れているWBC王者、ゲイリー・ラッセル(30=アメリカ)との統一戦を望んでいるが、いまだ実現には至らない。今後はいかにモチベーションを上げるかというテーマとも向き合うことになりそうだ。
 サンタ・クルスからラブコールを受けているラッセルはサウスポーの技巧派で、30戦29勝(17KO)1敗の戦績を残している。総合的には高い能力を有しているが、15年の戴冠後の故障もあって防衛は年1回という超スローペースになっている。もっとアクティブな活動が望まれるところだ。WBO王者のオスカル・バルデス(28=メキシコ)は16年7月の戴冠後はコンスタントに防衛を重ねていたが、昨年3月のスコット・クィッグ(30=イギリス)でアゴを骨折、11ヵ月のブランクを強いられた。今年2月、五輪戦士の加ルミネ・トマソーネ(35=イタリア)を7回KOで屠って復帰した。
IBF王者のジョシュ・ウォーリントン(28=イギリス)はキッド・ギャラード(29=イギリス)との指名防衛戦を控えている。5人の王座保持者のなかではWBAレギュラー王者のシュー・ツァン(25=中国)が最も若いが、まだ評価を定める段階とはいえない。今回の久保隼(30=真正)との初防衛戦の内容と結果が注目される。
 無冠組ではWBC1位のトゥグッソト・ニャンバヤル(26=モンゴル)と、16年リオデジャネイロ五輪バンタム級銀メダリストのシャクール・スティーブンソン(21=アメリカ)に要注目だ。
 この階級には日本人世界ランカーも多い。久保のほか日本王者の源大輝(28=ワタナベ)、源と引き分けた阿部麗也(26=KG大和)、12年ロンドン五輪バンタム級銅メダリストの清水聡(33=大橋)、2度目の世界挑戦を目指す大澤宏晋(34=ロマンサジャパン)、WBOアジアパシフィック王者の森武蔵(19=薬師寺)らが王座を狙っている。

1階級下げて挑戦する木村
カニサレスが打撃戦に応じるか

 前WBO世界フライ級王者の木村翔(30=青木)が1階級下げて カルロス・カニサレス(26=ベネズエラ)の持つWBA世界ライト・フライ級王座に挑む。年齢やキャリアを積むにしたがって体重を上げる選手が多いなか、逆2階級制覇を狙う。

直近の13戦で12勝(11KO)1敗の木村

 木村は13年4月のプロデビュー戦で1回KO負けという最悪のスタートを切ったが、以後はふたつの引き分けを挟んで5年間に17連勝(10KO)をマーク。この間、17年7月には中国の上海でゾウ・シミン(中国)に11回TKO勝ちを収めて世界王座を奪取した。五輪連覇後にプロでも世界王者になって人気を集めていたゾウを破ったことで、木村の知名度と注目度は中国で急上昇。五輪戦士で元王者の五十嵐俊幸(帝拳)を9回TKOで下したあと、V2戦では再び中国のリングに上がり、青島でフロイラン・サルダール(フィリピン)に6回KO勝ちを収めている。その2ヵ月後、田中恒成(畑中)に12回判定負けを喫してベルトを失った。今年3月に上海(中国)で行われた再起戦では世界挑戦経験者のウィチャ・プライカオ(タイ)を圧倒して3回KO勝ちを収めている。
 木村は両ガードを比較的高い位置に置いた構えでプレッシャーをかけ、距離を潰したあと上下にパンチを打ち分ける攻撃型で、スタミナに加え耐久力もある。戦績は22戦18勝(11KO)2敗2分。KO率は50パーセントだが、直近の13戦に限ってみれば12勝(11KO)1敗と極めて高いKO率を残している。

日本で戴冠果たしたカニサレス

 カニサレスは通算で木村以上のKO率を誇る。14年7月のプロデビューから5年、22戦21勝(17KO)1分という軽量級ばなれした戦績を残しているのだ。唯一勝てなかったのは16年12月の田口良一(ワタナベ)戦で、終盤に追い上げられてWBA世界ライト・フライ級王座を取りそこなっている。その後、IBF王座も獲得した田口がWBAスーパー王者に昇格。カニサレスは空いたレギュラー王座を小西伶弥(真正)と争い、12回判定勝ちを収めている(18年3月@神戸)。初防衛戦ではプロ2戦目で戴冠を狙ったルー・ビン(中国)を圧倒、最終12回TKOで一蹴した。
 カニサレスは77パーセントのKO率が示すとおりの強打者ではあるが、足で間合いを計りながら出入りするボクシングがベースになっている。田口戦では序盤こそ圧力をかけて出たが、以後は距離とタイミングをずらしながら戦う巧者ぶりを発揮している。

3年ぶりのL・フライ級戦 木村の調整にも注目

 勝負のカギはいくつか考えられるが、まずは木村のコンディションに注目したい。これまで木村は香港を含め4度、中国のリングに上がってきたが、フライ級よりも約1.8キロ軽いライト・フライ級でベストの状態をつくれるのかどうか。3年前まではライト・フライ級が主戦場だったとはいえ、今回は国外での試合に加え再起第2戦でもある。不安が皆無とはいえない。
 試合では、カニサレスがどんな戦い方を選択するのか、それがカギになりそうだ。田口戦と小西戦では序盤に攻めて主導権を掌握。以後、ペースダウンしながらも折々で印象点を稼いでいる。先行して逃げ切る策をとったといえよう。それが木村を相手にしても通用するかどうか。仮に序盤で噛み合って打撃戦になれば攻撃力で勝る木村のボディ打ちが効果を発揮しそうだ。
 その一方、カニサレスがリスクを回避して最初から足を多用しながら距離を保つ可能性もある。そうなると挑戦者は強引な仕掛けが必要になる。追わされているというマイナスのイメージではなく、圧力をかけて王者を下がらせているというプラスの印象をジャッジに与えることができるかどうか。そのあたりにも注目したい。

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