33歳の雑草派・船井が「パッキャオの後継者」に挑戦
十八番の右ストレートに活路

  • 2019/04/26

 IBF世界スーパー・フライ級1位にランクされる船井龍一(33=日本)が、同級王座を6度防衛中のジェルウィン・アンカハス(27=フィリピン)に挑む。キャリアの途中までは数々の挫折を味わった船井だが、最近は日本王座獲得と2度の防衛、WBOアジアパシフィック王座獲得とIBF挑戦者決定戦を含め7戦全勝(6KO)と絶好調だ。その勢いのまま異国で王座奪取を狙う。

挑戦者決定戦で会心の2回TKO勝ち 充実期の船井

 船井は2005年2月にプロデビューしたベテランで、14年のキャリアで38戦31勝(20KO)7敗の戦績を残している。最初の4年間に12戦したが、その時点では8勝(5KO)4敗という平凡な戦績だった。ちなみに12戦目には、のちに世界王者になる山中慎介(帝拳)に7回TKOで敗れている。井上尚弥(26=大橋)や田中恒成(23=畑中)に代表されるエリート組とは異なり、船井は敗北を糧にして力をつけてきた雑草派といっていいだろう。挫折を味わいながら大きく根を張ってきた船井は16年4月を最後に敗北と縁が切れ、以降は快進撃を続行中だ。17年に日本一になって2度防衛すると、18年6月にはアジア圏の王座を獲得。さらに11月には世界挑戦権をかけてIBF7位にランクされていた22歳のビクトル・オリボ(メキシコ)と対戦し、右ストレートを浴びせて2回TKO勝ちを収めた。8月に34歳になるが、いまが最も充実している時期といってよさそうだ。

7度目の防衛戦に臨むサウスポーのアンカハス

 そんな船井の挑戦を受けるアンカハスは27歳と若いが、戴冠試合を含めて7度の世界戦を経験している。09年7月のプロデビューから10年、33戦30勝(20KO)1敗2分の戦績を誇る。勝率は約91パーセント、KO率は約61パーセントで、いずれも船井の約82パーセント、約53パーセントを大きく上回っている。オーストラリアやイギリス、さらにマカオ、中国本土など自国フィリピンを離れて戦った経験も10度を数え、アメリカでの試合は4戦連続となる。この点でも国外初試合となる船井とは対照的だ。
 アンカハスはサウスポーのボクサーファイター型で、スピード、パワー、テクニックなどバランスのとれた戦力を身に着けている。それに経験値が加わっており、総合力の高い実力派王者といっていいだろう。大きな欠点は見当たらないが、あえてマイナス要素を探すとすれば、かつての勢いに陰りが見えているという点だろうか。16年9月にマクジョー・アローヨ(33=プエルトリコ)を12回判定で下して現王座を獲得したアンカハスは、国外で4連続KO防衛を果たすなど「パッキャオ2世」の呼び声に相応しい実績を残した。しかし、5度目の防衛戦で同国人のジョナス・スルタン(27)に連続KOをストップされる(12回判定勝ち)と、圧勝が予想された昨年9月のV6戦では下位ランカーのアレハンドロ・バリオス(23=メキシコ)に苦戦。辛うじて三者三様のドローで王座を守った。このところ試合ごとに内容、結果が芳しくなくなってきているのだ。相手から研究されてきたからなのか、それともアンカハス自身に問題があるからなのか。その答えが今回の船井戦で出るかもしれない。

オッズは7対2で王者 船井は序盤で主導権掌握狙う

 船井にとっては初の国外試合が世界戦の大舞台となるが、出遅れて追いかける展開は避けたいところだ。臆することなく序盤から慎重かつ積極的なボクシングをすることができるかどうか。まずは挑戦者の度胸が試されることになる。早い段階で船井が主導権を握ることができれば勝機は広がるだろうが、逆にアンカハスのスピード、強打に押されて後手にまわるようだと、その後も厳しい戦いを強いられる可能性が高くなりそうだ。アンカハスは顔面へのパンチだけでなくボディブローも巧みなだけに、船井とすれば気持ちのスタミナも試されることになるだろう。7対2のオッズが出ているように経験値を含めた総合力で勝るアンカハス有利は動かしがたいが、船井の右ストレートが番狂わせを起こす可能性もある。

<資料1>アメリカで世界王座を獲得した日本人選手

1968年 西城正三(協栄) 12回判定 ラウル・ロハス @ロサンゼルス
1973年 柴田国明(ヨネクラ) 12回判定 ベン・ビラフロア @ホノルル
1980年 上原康恒(協栄) 6回KO サムエル・セラノ @デトロイト
1981年 三原正(三迫) 12回判定 ロッキー・フラット @ロチェスター
2018年 伊藤雅雪(伴流) 12回判定 クリストファー・ディアス @キシミー


<資料2>日本のジム所属選手の世界戦データ(2014年以降)

海外世界戦/全世界戦 全体に占める比率
2014年 5/26 19%
2015年 9/28 32%
2016年 6/28 21%
2017年 14/40 35%
2018年 9/31 29%
2019年 8/12 67%(5月31日までの予定を含めた数)


<資料3>2019年 日本のジム所属選手の世界戦(5月31日まで 予定を含む)

1月18日 TJ・ドヘニー対高橋竜平 @アメリカ
26日 ハイメ・ムンギア対井上岳志 @アメリカ
2月26日 ビック・サルダール対谷口将隆 @日本
3月15日 田中恒成対田口良一 @日本
5月4日 ジェルウィン・アンカハス対船井龍一 @アメリカ
13日 モルティ・ムサラネ対黒田雅之 @日本
18日 井上尚弥対エマヌエル・ロドリゲス @イギリス
19日 フェリックス・アルバラード対小西伶弥 @日本
24日 ワンヘン・メナヨーティン対福原辰也 @タイ
25日 伊藤雅雪対ジャメル・へリング @アメリカ
26日 シュー・ツァン対久保隼 @中国
26日 カルロス・カニサレス対木村翔 @中国

※このほか岡田博喜、岩佐亮佑、小原佳太、木村翔、江藤光喜(予定)らがアメリカ、中国で挑戦者決定戦やそれに準じた試合に出場

スーパー・フライ級トップ戦線の現状

WBA   :カリド・ヤファイ(イギリス)
WBC   :シーサケット・ソールンビサイ(タイ)※
IBF   :ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)
WBO   :空位
※井岡対パリクテで決定戦

 軽量級の選手層はアジアや中南米およびカリブ地域が厚いが、それが現在のスーパー・フライ級トップ戦線に反映されたかたちになっている。ヨーロッパ圏の選手ではカリド・ヤファイ(29=イギリス)がWBA王座に君臨している。5度目の防衛戦で1位のノルベルト・ヒメネス(28=ドミニカ共和国)の挑戦を受けることになっている。14年12月に来日して河野公平(ワタナベ)と引き分けたヒメネスの力は侮れないが、ヤファイが孤塁を守る可能性が高いとみる。
 4階級制覇を果たしたドニー・ニエテス(36=フィリピン)が返上して空位になったWBO王座は、ニエテスと引き分けた1位のアストン・パリクテ(28=フィリピン)と、ニエテスに惜敗した井岡一翔(30=REASON大貴)で決定戦を行う予定だ。また、新王者誕生を見越して江藤光喜(31=白井・具志堅)対ハビエル・シントロン(24=プエルトリコ)というカードで挑戦者決定戦を行うことになっている。今回のジェルウィン・アンカハス(27=フィリピン)対船井龍一(33=日本)のIBFタイトルマッチと合わせ、いずれにしても王座がアジア圏、中南米、カリブ地域から流出することはないわけだ。
 忘れてはならないのが4階級制覇の実績を持つローマン・ゴンサレス(31=ニカラグア)である。いまは無冠だが、この階級で返り咲きを狙っている。標的はWBA王座といわれるが、膝の手術をしたため挑戦は先延ばしになっている。

KO100%の豪腕王者のV2戦
挑戦者はボスニア・ヘルツェゴビナ出身

 アルツール・ベテルビエフ(34=ロシア)はアマチュア時代、08年北京五輪はライト・ヘビー級2回戦敗退、12年ロンドン五輪はヘビー級ベスト8に甘んじたが、09年の世界選手権ではライト・ヘビー級で優勝している。さらに07年の世界選手権は準優勝、11年の世界選手権ではヘビー級でベスト8入りを果たしている。このほかロシアの国内選手権では現WBO王者のセルゲイ・コバレフ(36=ロシア)に2度勝った実績も持っている。13年6月にプロ転向後は13戦すべてKO(TKO)勝ちを収めており、“豪腕”という形容が似合う強打者といえる。とにかくパワー・パンチを当てることを最重要視したボクシングにこだわりをみせており、攻め急ぐあまりダウンを喫したこともある。それも含めて試合は常にスリリングだ。
 挑戦者のラディボヤ・カライジッチ(27)はボスニア・ヘルツェゴビナ出身で、11年6月にアメリカのフロリダ州タンパでプロデビューした。現在はアメリカ国籍を取得しており、25戦はすべてアメリカ国内で行い24勝(17KO)1敗の戦績を収めている。唯一の敗北は現WBA暫定王者のマーカス・ブラウン(28=アメリカ)戦で、ダウン応酬のすえ2対1の8回判定負けを喫したものだ。以降は3連続KO勝ちを収めている。右のボクサーファイター型で、188センチの長身から繰り出す右ストレートが最大の武器だ。
 特別な攻撃力を持つベテルビエフ有利は絶対的なもので、強いプレッシャーをかけて距離を潰し左右の強打を叩きつけてKO防衛の可能性が高い。番狂わせが起こるとしたら、ベテルビエフの出端にカライジッチが右ストレートをジャストミートさせたときか。いずれにしても、序盤からスリルに富んだ試合になりそうだ。

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