昇竜のサウスポー王者 vs 正統派パンチャー
体格で勝るスペンスが4対1で有利

  • 2019/03/08

 24戦全勝(21KO)、88パーセントのKO率を誇るエロール・スペンス(29=アメリカ)に、4階級制覇を成し遂げている39戦全勝(30KO)のマイキー・ガルシア(31=アメリカ)が挑む。この試合は単にIBF世界ウェルター級タイトルマッチとしてだけではなく、「パウンド・フォー・パウンド」のトップ10内にランクされるスター同士の対決として世界中のボクシングファンが注目する一戦だ。体格で大きく勝るスペンスが4対1のオッズで有利とみられているが、自ら対戦を望んだガルシアには勝利に向けた揺るぎない自信が感じられる。順当な結果が出るのか、それともガルシアが番狂わせを起こして5階級制覇を成し遂げるのか。アメリカのテキサス州アーリントン、AT&Tスタジアムのリングでゴングが鳴る。

11連続KO中の「トゥルース(本物)」 スペンス

 スペンスはアマチュア時代に12年ロンドン五輪に出場してウェルター級でベスト入りしたほか、09年と11年には世界選手権にも出場している。さらに全米ゴールデングローブ大会優勝、全米選手権優勝など輝かしい実績を残している。プロ転向後も歩みは順調で、スターへの階段を上り始めたころにはフロイド・メイウェザーのスパーリング・パートナーを務めたこともある。その際、5階級制覇王者が「彼こそが私の後継者だ」と太鼓判を押したエピソードが残っている。自信を増したスペンスは15年以降、サミュエル・バルガス(29=コロンビア)、フィル・ロ・グレコ(34=カナダ)、クリス・バン・ヘーデン(31=南アフリカ)、アレハンドロ・バレラ(32=メキシコ)、元世界王者のクリス・アルジェリ(34=アメリカ)、レオナルド・ブンドゥ(シエラレオネ/イタリア)といった実績も実力もある選手たちを連破。そして17年5月には相手の地元に乗り込んでケル・ブルック(32=イギリス)を11回KOで仕留めIBF世界ウェルター級王座を獲得した。初防衛戦では元2階級制覇王者のレイモント・ピーターソン(35=アメリカ)を7回終了で棄権に追い込み、V2戦では22戦全勝(13KO)だった指名挑戦者のカルロス・オカンポ(23=メキシコ)のボディを攻め180秒でキャンバスに沈めた。目下11連続KO勝ちと、手のつけられない強さを見せつけている。
 「ザ・トゥルース(本物)」というニックネームを持つスペンスは身長177センチ、リーチ183センチと体格に恵まれたサウスポーで、スピードとパワー、攻防両面のテクニックなど高レベルでバランスのとれた戦力を備えている。最近は自信に加えアピールすることを意識してか攻撃に重点を置いた戦い方が目立つ。そこが最大の魅力であると同時に、決して小さくないリスクも抱えているといえる。

経験値で勝る4階級制覇王者のガルシア

 5階級制覇を狙って挑むガルシアは、トレーナーを務める父親のエドゥアルド、12歳上の兄で元IBF世界スーパー・フェザー級王者のロベルトに少年時代からボクシングのレッスンを受けてきた。アマチュア時代は全米ジュニア選手権で優勝したものの、全米ゴールデングローブ大会では3位、全米選手権ではテレンス・クロフォード(31=アメリカ/現WBO世界ウェルター級王者)に敗れるなどベストの存在にはなれなかった。その代わり、06年7月にプロ転向を果たしてからはスペンスを上回る実績を残している。13年1月にWBOフェザー級王座を獲得したのを皮切りに10ヵ月後にはWBOスーパー・フェザー級王座、17年1月にはWBCライト級王座、そして18年3月にはIBFスーパー・ライト級王座獲得と、4つの階級で世界一の座についた。昨年8月にはWBCライト級王者としてIBF王者のロバート・イースター(28=アメリカ)と対戦し、ダウンを奪って12回判定勝ちを収めている。世界戦に関しては3戦(全KO勝ち)のスペンスに対し、ガルシアは7戦(全勝3KO)と上回っている。
 ガルシアは巧みな位置どりと右ストレートを中心とした正確で強いパンチを持ち、さらに戦況を見極める勘に優れている。タイプとしては右構えの正統派パンチャーのガルシアだが、機をみて左構えに変える器用さも持っている。また、このところ結果として3試合続けて12回をフルに戦うことになったが、それはスタミナと配分という点で問題ないことを証明しているともいえる。長丁場の経験が少ないスペンスに対して、展開しだいでは無言のプレッシャーになるかもしれない。

体格差を経験やスキルで埋めきれるか

 総合的に高い戦力を備えているガルシアだが、厳しい戦いになりそうだ。この試合の最大のカギは、やはり体格差にあるといっていいだろう。ウェルター級よりも9.5キロ軽いフェザー級から上がってきたガルシアは身長168センチ、リーチ173センチで、それぞれスペンスよりも9センチ、10センチ劣る。会見時に並んだ際も明らかにガルシアの方がひと回り小さく見えた。単に体重の問題ではなく、アマチュア時代からウェルター級(アマチュアのウェルター級は69キロが体重上限)で戦ってきたスペンスとは体のフレームという点で大きな違いがある。経験やスキルでは、その差を埋めきれないのではないかと思われる。このところ獰猛さを増したスペンスがリングをカットするようにして挑戦者を追い込み、体で押し込んで顔面、ボディに強打を叩きつけるシーンが目に浮かぶ。
 スペンス有利は絶対的といえるが、それでも「エロール(スペンス)が私の能力、長所をすべて引き出してくれるだろう」と話すガルシアの自信は不気味だ。番狂わせが起こるとしたら、ガルシアが巧みにサイドにまわり込んでスペンスに的を絞らせず、そのうえでタイムリーな右ストレートを連続的にヒットするという展開に持ち込んだ場合か。

TALE OF THE TAPE データ比較

  • 名前

    スペンス

    ガルシア

  • 生年月日/年齢

    1990年1月13日/29歳

    1987年12月15日/31歳

  • 出身地

    米国ニューヨーク州ロングアイランド

    米国カリフォルニア州ベントゥーラ

  • アマチュア実績

    12年ロンドン五輪ウェルター級8強

    05年全米GG大会ライト級3位

  • プロデビュー

    12年11月

    06年7月

  • 獲得王座

    IBFウェルター級

    WBOフェザー級
    WBO S・フェザー級
    WBC、IBFライト級
    IBF S・ライト級

  • 世界戦の戦績

    3戦全KO勝ち

    7戦全勝(3KO)※体重超過の試合を含む

  • 通算戦績

    24戦全勝(21KO)

    39戦全勝(30KO)

  • KO率

    88%

    77%

  • 身長/リーチ

    177センチ/183センチ

    168センチ/173センチ

  • 戦闘タイプ

    左ボクサーファイター型

    右ボクサーファイター型

  • トレーナー

    デリック・ジェームス

    ロベルト・ガルシア(兄)

  • ニックネーム

    「ザ・トゥルース(本物)」

    「マイキー」

パウンド・フォー・パウンド ランキング

リング誌 ボクシングシーン ESPN
(1)ワシル・ロマチェンコ クロフォード ロマチェンコ
(2)テレンス・クロフォード ロマチェンコ クロフォード
(3)カネロ・アルバレス ガルシア アルバレス
(4)オレクサンダー・ウシク アルバレス ゴロフキン
(5)ゲンナディ・ゴロフキン ウシク ガルシア
(6)井上尚弥 シーサケット スペンス
(7)マイキー・ガルシア ゴロフキン 井上尚弥
(8)シーサケット・ソールンビサイ 井上尚弥 ウシク
(9)ドニー・ニエテス スペンス シーサケット
(10)エロール・スペンス レオ・サンタ・クルス デオンテイ・ワイルダー

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :キース・サーマン(アメリカ)
WBA   :マニー・パッキャオ(フィリピン)
WBC   :ショーン・ポーター(アメリカ)
IBF   :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO   :テレンス・クロフォード(アメリカ)

 実力はもちろん実績、知名度、スター性を兼ね備えた王者たちが揃った充実のクラスだ。世界的に最も名前が知られているのは、6階級制覇を成し遂げているうえウェルター級だけで4度の戴冠を果たしているWBA王者のマニー・パッキャオ(40=フィリピン)だろう。昨年12月に40歳になったパッキャオは、今年1月には4階級制覇の実績を持つエイドリアン・ブローナー(29=アメリカ)を手数で圧倒し、格の違いを見せつけた。そのパッキャオとWBA内の王座統一戦を望んでいるのがスーパー王者のキース・サーマン(30=アメリカ)だ。かつては147ポンド(約66.6キロ=ウェルター級)の主のような存在だったサーマンだが、肘や拳の負傷で2年近くもリングから遠ざかっていたことが祟り、先の復帰戦では格下のホセシト・ロペス(34=アメリカ)相手に錆が見てとれた。地力があるだけに、どこまで勘を戻せるかが今後のカギになりそうだ。
 このふたりを凌ぐ勢いと強さを見せつけているのがIBF王者のエロール・スペンス(29=アメリカ)とWBO王者のテレンス・クロフォード(31=アメリカ)だ。12年ロンドン五輪戦士のスペンスはサウスポーの攻撃型で、6年間に24戦全勝(21KO)をマーク。一方、スペンスよりも4年早くプロデビューしているクロフォードは3階級にわたって12度の世界戦(全勝9KO)を経験するなど34戦全勝(25KO)と、こちらもみごとな戦績を残している。この両雄の直接対決が見たいものだが、機が熟すまで、もう少し時間がかかりそうな気配だ。そのためにもスペンスは今回のマイキー・ガルシア(31=アメリカ)戦を、クロフォードは4月20日(日本時間21日)に予定されるアミール・カーン(32=イギリス)戦をクリアしなければならない。
 元WBC王者のダニー・ガルシア(30=アメリカ)も王者たちと同等の力量を持つが、ここ数年、試合間隔が空き気味なうえサーマンとショーン・ポーター(31=アメリカ)に競り負けるなど、一時の勢いが失せている点が気になる。WBOの指名挑戦権を持つエギディウス・カバラウスカス(30=リトアニア)も無視できない存在だが、王者たちとは総合力で差がありそうだ。

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