「7回逆転KO」の結果を受けた直接再戦
オッズは3対2でアルバレス有利

  • 2019/02/22

 2018年8月にアメリカのニュージャー州アトランティックシティで行われた両者の初戦は、「アップセット(番狂わせ)・オブ・ザ・イヤー」のひとつに挙げられた。王座復帰戦と初防衛戦を2回TKO、7回TKOで飾っていたセルゲイ・コバレフ(35=ロシア)が13対3のオッズで有利とみられていたからだ。挑戦者のエレイデル・アルバレス(34=コロンビア)の前評判も高かったが、パワーと大舞台の経験で勝るコバレフが総合力で一枚上との下馬評が多かった。はたして試合はコバレフのペースで進んでいった。左ジャブから右ストレートという繋ぎで主導権を握り、ジャッジと観客に好印象を与えてポイントを重ねた。6回が終了した時点の採点は59対55が二者、58対56がひとり、3-0でコバレフがリードしていた。
 ところが7回、アルバレスが右ストレートをクロス気味に命中させ起死回生のダウンを奪う。続いて連打から左フックで2度目、さらに右から左フックをねじ込んで3度目のダウンを奪ってフィニッシュ。ダメージを最小限に抑えながらボディを攻めつつ後半勝負と読んだアルバレス陣営の作戦勝ちともいえたが、同時にコバレフが脆さを露呈した試合でもあった。
 この勝利でアルバレスは一気にライト・ヘビー級トップ戦線の主役に躍り出たわけだが、もともと「STORM(嵐)」の異名を持つこのコロンビア出身者はチャンピオン級の実力の持ち主とみられてもいた。アマチュア時代に07年世界選手権、08年北京五輪に出場(いずれもライト・ヘビー級2回戦敗退)するなど活躍したアルバレスは、カナダに移住してプロデビュー。コバレフ戦を含めて24戦全勝(12KO)という戦績を残している。同門のアドニス・スティーブンソン(ハイチ/カナダ)が長いことWBC王座に君臨していたため世界挑戦の機会に恵まれなかったが、その間にアイザック・チレンバ(36=マラウィ)を下して同団体の指名挑戦権を獲得。さらに元王者のルシアン・ビュテ(ルーマニア)、ジャン・パスカル(36=ハイチ/カナダ)を連破するなど実績を積み上げてきた。コバレフ戦との初戦は番狂わせではあったが、そう驚くことではなかったともいえる。なお、アルバレスが契約を交わしているカナダのプロモート会社GYM(グループ・イボン・ミシェル)は、コバレフとの初戦後にアメリカのトップランク社と提携しており、今回はその初戦でもある。
 雪辱と返り咲きを狙うコバレフは、五輪出場は果たせなかったがアマチュアで215戦193勝22敗(213戦195勝18敗説もある)の戦績を残したあと09年7月にアメリカでプロデビュー。13年8月にWBO王座を獲得すると、14年にはWBA王座とIBF王座を吸収して3団体統一王者になった。通算8度の防衛後、アンドレ・ウォード(アメリカ)に敗れて三つのベルトを手放し、再戦ではボディを攻められて8回TKO負けを喫した。17年11月にWBO王座に返り咲いたが、2度目の防衛戦でアルバレスに敗れている。戦績は36戦32勝(28KO)3敗1分。2度のKO(TKO)負けで印象が薄らいだ感はあるが、全盛期には常にパウンド・フォー・パウンドの上位にランクされたほどで、当時、その強さは群を抜いていた。
 初戦の結果が反映されてか、今回のダイレクト・リマッチは3対2でアルバレス有利というオッズが出ている。KO率は50パーセントと決して高くはないアルバレスだが、確かなテクニックに加えコバレフを倒すだけのパワーは証明済みで、同時に一定以上の耐久力やスタミナも初戦で十分に示している。今回は前半の失点を抑えるために早い段階からペースを上げることが考えられる。
 問題はコバレフであろう。初戦であらためて打たれ脆さを露呈したうえ、スタミナそのものとペース配分、ディフェンスに課題を残しただけに、どう修正してくるか。「クラッシャー(破壊者)」の異名どおり強引に相手を潰しにくるのか、それともガードを固めて左ジャブを多用する堅実なボクシングを選択するのか。前戦で敗れたあとに組んだ元世界王者のバディ・マクガート・トレーナーとどんな策を練って試合に臨むのか要注目だ。

ライト・ヘビー級トップ戦線の現状

WBA   :ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)
WBA 暫定:マーカス・ブラウン(アメリカ)
WBC   :オレクサンダー・グボジーク(ウクライナ)
IBF   :アルツール・ベテルビエフ(ロシア)
WBO   :エレイデル・アルバレス(コロンビア)

 175ポンド(約79.3キロ)を体重リミットとするライト・ヘビー級は、いま最も充実したクラスのひとつといえる。WBA王者のドミトリー・ビボル(28=キルギス/ロシア):15戦全勝(11KO)、WBA暫定王者のマーカス・ブラウン(28=アメリカ):23戦全勝(16KO)、WBC王者のオレクサンダー・グボジーク(31=ウクライナ):16戦全勝(13KO)、IBF王者のアルツール・ベテルビエフ(34=ロシア):13戦全KO勝ち、そしてWBO王者のエレイデル・アルバレス(34=コロンビア):24戦全勝(12KO)――ベルトを持つ5人の王者すべてが全勝なのである。また、5人とも北米を主戦場としているが、国籍はまちまちだ。底を見せていない王者同士による統一戦が期待されているが、残念ながらマネージメントやプロモートの壁があり、なかなか具体化に向け進展していないのが現状といえる。ちなみにグボジークはドウドウ・ヌグンブ(37=コンゴ民主共和国/フランス)とV2戦、ビボルはジョー・スミス(29=アメリカ)と6度目の防衛戦が決まっている。
 ランカーのなかでは17戦全勝(16KO)の快進撃を続けているWBO1位、アンソニー・ヤード(27=イギリス)に注目したい。 16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストで、プロ転向後は9戦全勝(7KO)の快進撃を続けているジョシュア・ブアチ(25=ガーナ/イギリス)は、昨年7月にWBAインターナショナル王座を獲得、最新のWBAランキングでは5位まで上がってきた。まだ先物買いの印象は拭えないが、要注目のホープであることは間違いない。

KO率83%のコミーに注目
ガーナ9人目の世界王者誕生か

 昨秋、マイキー・ガルシア(31=アメリカ)が返上して空位になった王座の決定戦。1位のリチャード・コミー(31=ガーナ)は29戦27勝(24KO)2敗、3位のイサ・チャニエフ(26=ロシア)は14戦13勝(6KO)1敗。オッズは9対2でコミー有利と出ている。ガーナ9人目の世界王者誕生しそうな気配だ。
 身長175センチ、リーチ180センチと大柄なコミーは右ストレートから左フックを強振する攻撃型の選手で、チャンスをつかむと強引ともいえる連打を叩きつける。やや体力に頼ったボクシングだが、ダイナミックで分かりやすい戦い方といえる。出身地のガーナのほかイギリス(4度)、デンマーク(3度)、ロシア、ドイツ、南アフリカ共和国(各1度)などで戦った経験を持ち、アメリカのリングはこれが5度目となる。2敗はいずれも12回を戦いきった末に2対1にジャッジの見解が割れたもので、16年9月のロバート・イースター(28=アメリカ)戦はIBFライト級王座決定戦だった。もうひとつの黒星はデニス・シャフィコフ(33=ロシア)との挑戦者決定戦で喫したものだ。イースター戦から3ヵ月後のことだった。2試合とも「コミーが勝っていた」という声があったことを付記しておく必要があるだろう。昨年3月にはアレハンドロ・ルナ(27=アメリカ)に殴り勝って指名挑戦権を手にしている。
 チャニエフはロシアをベースにフィンランド、ラトビア(2度)、リトアニアのリングに上がった経験を持つが、アメリカで試合をするのは今回が初めてとなる。小刻みに体を動かしながら相手に圧力をかけ、距離を潰して左右のフック、アッパーを繰り出す好戦的なタイプだが、コミーのようなパンチの切れや破壊力は感じられない。基本は右構えだが、サウスポーで戦うこともある。
 チャニエフはリズミカルに体を動かすことは多いものの小細工を用いるタイプではないため、コミーにとっては戦いやすい相手といえそうだ。中間距離でパンチを交換する展開になった場合、コミーのパワーが主導権を握るものと思われる。

21歳の昇竜 vs 世界挑戦経験者
パワーがテクニックを凌駕か

 16年リオデジャネイロ五輪に両親の出身国ホンジュラス代表として出場(ライト級1回戦敗退)し、プロでは11戦全勝(9KO)をマークしている21歳のテオフィモ・ロペス(アメリカ)が、2度の世界挑戦経験者のディエゴ・マグダレノ(32=アメリカ)と対戦する。ロペスの保持するUSBA全米、NABF北米ライト級王座の初防衛戦として行われるが、経験値の高いサウスポーとどう戦うかテストされる試合でもある。
 ロペスはトップランク社と契約を交わして16年11月にプロ転向後、きれいに11個の白星を重ねてきた。最近になって対戦相手のクォリティも上がってきており、昨年7月にはWBO15位にランクされていたウィリアム・シウバ(31=ブラジル)に6回TKO勝ちを収めてWBC米大陸王座を獲得。12月には元ランカーのメイソン・メナード(30=アメリカ)をわずか44秒、右一発で失神させてUSBA全米王座とNABF北米王座を手に入れた。現在はWBA8位、WBC11位、WBO10位にランクされている。まだまだ十分に試されているとはいえないが、パンチ力と勢いは上位を脅かすものがある。鮮やかなKOを量産している一方、試合直後に敗者の隣でバック転したりダンスしたりといったパフォーマンスが非難の対象にもなっている。
 元WBO世界スーパー・バンタム級王者、ジェシー・マグダレノの兄としても知られるマグダレノはロペスの3倍の試合数(33戦31勝13KO2敗)をこなしている32歳のベテランで、13年と15年には世界挑戦も経験している。初挑戦こそ惜敗だったが、2度目の挑戦はテリー・フラナガン(29=イギリス)に3度のダウンを喫して2回でストップされるという完敗だった。以後は試合間隔が空き、16年以降は3度しかリングに上がっていない(3勝1KO)。いまは世界15傑からも外れている。マグダレノはスピード、テクニック、ディフェンスなどバランスのとれた戦力を備えており、穴の少ない選手といっていいだろう。しかし、裏返せば突出したものがないともいえる。それが出世を妨げてきた要因といえるかもしれない。ここで新鋭の壁になれば再びチャンスが巡って来るだけに奮起を期待したいところだ。
 ただ、11対1というオッズが示すとおり現在の勢い、パワーの差は歴然で、マグダレノがロペスを空転させることは考えにくい。序盤からロペスがハイペースで飛ばし、中盤あたりで仕留めてしまいそうだ。

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