「ミドル級最強」説もあるチャーロの初防衛戦
挑戦者は元アマエリートの技巧派サウスポー

  • 2019/01/21

 18年4月、ウーゴ・センティノ(27=アメリカ)を豪快な2回KOで屠ってWBC暫定世界ミドル級王座を獲得したジャーマル・チャーロ(28=アメリカ)の初防衛戦。WBC王者のサウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)、前3団体王者のゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)、現IBF王者のダニエル・ジェイコブス(31=アメリカ)らを差し置いて、一部では「ミドル級最強」との声もあるチャーロが、どんなパフォーマンスを披露するのか。相手のマット・コロボフ(35=ロシア/アメリカ)は、ドーピング違反で挑戦資格を失ったウィリー・モンロー・ジュニア(32=アメリカ)の代役として大舞台に立つことになったが、「チャーロとは噛み合うと思う」と自信をみせている。
 同じ日にWBC世界スーパー・ウェルター級王座のV4戦を行う双子の弟、ジャーメルよりも1分早く産まれたといわれるジャーマル・チャーロは、アマチュアで71戦65勝6敗の戦績を残し、08年9月にプロデビュー。以来、10年のキャリアで27戦全勝(21KO)の快進撃を続けている。15年9月にIBF世界スーパー・ウェルター級王座を獲得し、3度防衛後に返上するとミドル級に転向。挑戦者決定戦を経て暫定王座決定戦に臨み、センティノを圧倒して2階級制覇を果たした。身長183センチ、リーチ187センチの均整のとれた体から繰り出す右ストレート、左フックは強烈で、しばしば戦慄的なKOを生み出している。アルバレスやゴロフキンも対戦に二の足を踏んでいると伝えられるほどだ。今回は急に挑戦者が代わったが、チャーロは「コロボフはモンローと同じサウスポーなので問題はない。トップ選手は誰が相手でも対応できないといけないんだ」と余裕を見せつつ、「でも、コロボフはモンローよりも手強いと思う」と警戒している。その言葉どおりモンロー戦は20対1のオッズだったが、同じく大差でチャーロ有利ながらもコロボフ戦は14対1と差が縮まっている。
 一方、前座でミドル級よりも2ポンド(約900グラム)重い契約体重でコロンビアの選手と試合をする予定だったコロボフは、「肉体的にも精神的にもコンディションはいい。このチャンスを生かしたい」と降って湧いた挑戦を歓迎している。このコロボフはプロでの実績ではチャーロに及ばないが、アマチュア時代には05年、07年の世界選手権を連覇したこともあるエリートで、08年北京五輪2回戦で敗退した際には「金メダルの本命が敗れる」とAP通信が配信したほどだった。312戦300勝12敗のアマ戦績を残して08年11月にプロに転向した。トップランク社の庇護もあり順調に世界への階段を上がっていたが、初めての世界戦でアンディ・リー(イギリス/アイルランド)に逆転の6回TKO負け(14年12月)。挫折後、再起まで1年以上の時間がかかったうえ、このところ4連続判定勝ちとやや精彩を欠いた状態といえる。通算戦績は29戦28勝(14KO)1敗で、KO率では王者に大きく引き離されている。
 パワーをはじめ攻撃力で大きく勝るチャーロが圧倒的に有利であることは間違いない。サウスポー相手に右ストレートを狙い撃つことができれば、中盤を待たずに今回も豪快なKO勝ちが見られるかもしれない。これに対し技巧派のコロボフは立ち位置を変えながら相手に的を絞らせずにカウンター・アタックを狙うことになりそうだ。同じ左構えのオースティン・トラウト(33=アメリカ)がチャーロの粗さを突いて判定まで粘ったように、ダメージを受けずに終盤勝負に持ち込めれば勝機は広がるかもしれない。

ミドル級トップ戦線の現状

WBA SC :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBA   :ロブ・ブラント(アメリカ)
WBC   :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBC 暫定:ジャーマル・チャーロ(アメリカ)
IBF   :ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)
WBO   :デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)

 この1年で17階級のなかで最も大きな動きがあったクラスといっていいだろう。なにしろ17年12月から18年12月までに主要4団体の世界王者がすべて入れ替わったのだから。1年前はゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)がWBAスーパー王座とWBC王座、IBF王座の三つを保持していたが、18年6月にIBF王座を剥奪され、その3ヵ月後にはアルバレスとの再戦でふたつのベルトを手放した。新王者のアルバレスは12月にWBAスーパー・ミドル級王座も獲得しており、どちらのベルトを保持していくのか注目される。WBC指名挑戦者だったジャーマル・チャーロ(28=アメリカ)は、待たされている間にWBCが設けた暫定王座についている。空位のIBF王座にはダニエル・ジェイコブス(31=アメリカ)が君臨することになった。WBAレギュラー王座の持ち主は村田諒太(33=帝拳)からロブ・ブラント(28=アメリカ)に変わり、WBO王座はドーピングの違反のビリー・ジョー・サンダース(29=イギリス)が返上。これを受けた王座決定戦を制したデメトリアス・アンドレイド(30=アメリカ)がベルトを獲得した。
 5人の王者に対し、無冠組も実力者揃いだ。ゴロフキン、サンダース、村田の前王者3人に加え、WBAとWBOで1位にランクされるデビッド・レミュー(30=カナダ)、ジェイコブスに惜敗したセルゲイ・デレビヤンチェンコ(33=ウクライナ)がぴったりとついている。また、村田との連戦で日本での知名度も高い元王者のアッサン・エンダム(34=カメルーン/フランス)もマーティン・マレー(36=イギリス)に勝って存在感を示している。さらにひとつ下の階級のWBAスーパー王者&IBF王者のジェレット・ハード(28=アメリカ)、WBO王者のハイメ・ムンギア(22=メキシコ)らも近い将来、ミドル級進出を目論んでいる。どんなカードが組まれ、誰が勝ち残るのか――しばらくは目が離せないクラスだ。

V4狙う「テキサスの鉄人」
2度目の挑戦に意気込むハリソン

 戴冠試合を含む世界戦4試合で全勝、そのうち3KO勝ちと勢いに乗るジャーメル・チャーロ(28=アメリカ)が、4度目の防衛戦に臨む。挑戦者のトニー・ハリソン(28=アメリカ)は72パーセントのKO率を誇る強打者。序盤からテンポの速い攻防が見られそうだ。
 双子の兄ジャーマルとの兄弟揃い踏みのイベントは、コイントスで負けた弟のジャーメルがセミ格での出場となる。ジャーメル・チャーロはアマチュアで64戦56勝8敗の戦績を残し、兄より9ヵ月早く07年12月にプロデビュー。以来、11年のキャリアで31戦全勝(15KO)をマークしている。兄が27戦全勝(21KO)のハードパンチャーなのに対し弟のKO率は48パーセントと低いが、直近の5試合ではジャーメルも4KO勝ちを収めている。右ストレートの切れが増したためパンチャー型に変貌を遂げた印象もあるが、反面、攻撃を意識するあまり相手の正面に立つケースも目立つ。倒すことに気を取られ過ぎ、持ち味であるスピードと動きが以前よりも減少しているようだ。衝撃的なKOを連発したことで注目度はアップしたが、攻防全体のバランスを考えた場合のプラス面とマイナス面は半々といったところか。
 挑戦者のハリソンは祖父と父親も元選手というボクシングファミリーの出身で、80年代を席捲したデトロイトのクロンク・チームの総帥、エマヌエル・スチュワード・トレーナーにキャリア前半の指導を仰いだ。同氏が亡くなったあとは父親アリ・サラームに師事している。185センチの長身から繰り出す右ストレート、返しの左フック、左アッパーで攻め立てるスタイルを持つが、耐久力に課題を抱えている。29戦27勝(21KO)2敗とKO勝ちが多いが、ふたつの負けもKOによるものだ。そのうちのひとつは17年2月の世界初挑戦でジャレット・ハード(28=アメリカ)に9回で止められたもので、以後は3連勝を収めて2度目の大舞台を迎えた。「俺はカメレオンが色を変えるように自在に戦闘スタイルを変えることができるんだ。多くの人は俺がチャーロに勝てないと思っているようだが、アッと驚かせてみせるよ」と自信満々の様子だ。
 ともにスピードがあり攻防の切り換えが速いタイプだけに、序盤からテンポのいいやりとりが見られそうだ。実績に加え自信を増しているチャーロが8対1とオッズでは大きくリードしており、その予想どおり王者がポイントを重ねたうえで中盤あたりに大きなチャンスをつかむ可能性が高いとみる。ただ、攻め急ぐとハリソンに隙を突かれる危険性もある。

<資料1>チャーロ双子兄弟のデータ比較

  • 名前

    兄ジャーマル

    弟ジャーメル

  • 生年月日/年齢

    1990年5月19日(28歳)

    1990年5月19日(28歳)

  • 出身地

    米国テキサス州リッチモンド

    米国テキサス州リッチモンド

  • アマチュア戦績

    71戦65勝6敗

    64戦56勝8敗

  • プロデビュー

    08年9月

    07年12月

  • 身長/リーチ

    183センチ/187センチ

    180センチ/185センチ

  • 好きな色

  • 好きな音楽

    80年代のソウル

    ヒップホップ、R&B

  • 好きなスポーツ

    ホースレース(競馬)

    バスケットボール

  • 尊敬するボクサー

    トーマス・ハーンズ
    イベンダー・ホリフィールド

    ホアン・グスマン

  • 獲得王座

    IBF世界Sウェルター級
    WBC暫定世界ミドル級

    WBC世界Sウェルター級

  • 世界戦の戦績

    5戦全勝(4KO)

    4戦全勝(3KO)

  • プロ戦績

    27戦全勝(21KO)

    31戦全勝(15KO)

  • KO率

    78%

    48%

  • トレーナー

    ロニー・シールズ

    デリック・ジェームス

  • 戦闘タイプ

    右ボクサーファイター型

    右ボクサー型

  • ニックネーム

    ――

    IRON MAN(鉄人)

<資料2>チャーロ兄弟の過去の揃い踏み

<ジャーマル> <ジャーメル>
08年10月10日@ツーソン 〇4回判定 〇6回判定
12年 3月24日@ヒューストン 〇5回TKO 〇3回TKO
13年 1月26日@ラスベガス 〇5回終了TKO 〇8回KO
14年12月13日@ラスベガス 〇3回KO 〇10回判定
15年 3月28日@ラスベガス 〇10回判定 〇10回判定
16年 5月21日@ラスベガス 〇12回判定 〇8回KO

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R15+指定に相当する場面があると思われるもの
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