6階級制覇 vs 4階級制覇
「KOを狙う」とパッキャオ

  • 2019/01/18

10代 20代 30代 40代で世界王座に君臨

 昨年7月、ルーカス・マティセ(アルゼンチン)に7回TKO勝ちを収めウェルター級だけでも4度目の戴冠を果たした6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(40=フィリピン 69戦60勝39KO7敗2分)が、4階級制覇の実績を持つエイドリアン・ブローナー(29=アメリカ 38戦33勝24KO3敗1分1無効試合)を迎え撃つ。WBO王者テレンス・クロフォード(31=アメリカ)、IBF王者エロール・スペンス(28=アメリカ)、さらにWBAスーパー王者としてキース・サーマン(30=アメリカ)、WBC王者ショーン・ポーター(31=アメリカ)と、実力も知名度もあるスター選手が集うウェルター級で、WBAレギュラー王者のパッキャオがどんなパフォーマンスをみせるのか注目される。
 パッキャオは12年から17年までの6年間に9試合を行ったが、そのうち4度は敗北という結果に終わった。一方、5度の勝利のなかにKOによる決着はなかった。フロイド・メイウェザー(アメリカ)、ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)、ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)ら錚々たるメンバーが対戦相手の欄の並んではいるが、それを割り引いても「パッキャオは過去の人」と見られ始めていたことは否めない。そんななか半年前、自らがプロモートしたマティセ戦で09年11月のミゲール・コット(プエルトリコ)戦以来9年ぶり、実に14試合目にしてKO(TKO)勝ちを記録。そのまま5ヵ月後(12月17日)に40歳の誕生日を迎えた。これによりパッキャオは19歳でWBC世界フライ級王座を獲得したのを皮切りに、20代、30代、そして40代でも世界王座に君臨することになった。過去にヘビー級のジョージ・フォアマン(アメリカ)のように20年以上の年月を跨いで20代と40代で世界王者になった例や、ライト・ヘビー級とクルーザー級を制覇したバージル・ヒル(アメリカ)のように20代、30代、40代で世界王座に君臨した例はあるが、パッキャオはこれらの上を行く記録を樹立したのである。早熟かつ晩成、しかも19歳の初戴冠時よりも16キロ近く重い階級で40歳のいまも世界一の座にいるのだから驚異としか言いようがない。また、9年前からは政治活動(10年~フィリピンの下院議員、16年~上院議員)をしながらリングに上がり続けている。パッキャオはいくつもの不可能を可能にしてきた超人といえよう。

高い総合力を持つブローナー

 そんなパッキャオに挑むブローナーは、スーパー・フェザー級、ライト級、スーパー・ライト級、ウェルター級の4階級で世界王者になった実績を持っている。こちらも約7キロの体重の壁を破ってきた実力者だが、それに見当たった評価と人気を得ているとは言い難い。「ザ・プロブレム(問題を起こす男)」のニックネームどおり、自己責任による数々のトラブルが足を引っ張ってきたことが主因といっていいだろう。世界戦で2度の体重超過を犯したのをはじめ、約束した体重を守れずに直前になって契約ウェートを上げたこともあった。強盗事件にかかわって身柄を拘束されたり、飲酒運転で収監されたりとリング外のトラブルが多いことでも知られる。今回の試合を前にした12月下旬にも、過去の交通トラブルが原因で逮捕(のちに釈放)されるなど相変わらずマイナスのニュースが多い。ちょうどパッキャオがタイプの異なる3人のパートナーと懸命にスパーリングをしているという情報が流れたころだけに、「パッキャオ=英雄(ヒーロー) ブローナー=悪役(ヒール)」という印象が植え付けられたとしても仕方ないところといえる。
 ただ、ブローナーも総合的な戦力は高いものを持っている。半身のゆったりとした構えから揺さぶりをかけ、多彩なパンチを自在に打ち込むスタイルを身につけているのだ。一時期は「メイウェザーの後継者」とも呼ばれたが、本家よりも攻撃的といえる。その分、ディフェンスは甘く、KO負けはないものの何度か被弾して窮地に陥ったことがある。

オッズは5対2でパッキャオ有利

 試合2週間前の時点でオッズは5対2、40歳の王者有利と出ている。下馬評に気をよくしたわけではあるまいが、パッキャオ自身も「肉体は25歳のような感じだが、経験から得た知恵がある。マティセ戦でKOの醍醐味を思い出したので、今回も倒して勝ちたい」と珍しくKO宣言をしている。一度は決別したフレディ・ローチ氏がサブ・トレーナーとしてチームに加わったこともパッキャオにとっては自信を増す材料になっているのだろう。
 サウスポーのパッキャオが上体を振りつつプレッシャーをかけ、ブローナーがサークルしながら迎え撃つパターンが予想される。半年前の好感触がイメージとして残っていると思われるパッキャオだが、マティセと違ってブローナーには俊敏な動きと対応力があることを忘れてはなるまい。むしろパンチを出しても急所を外され続けたメイウェザー戦をイメージしていた方がいいのかもしれない。そんななかで左ストレート、右フック、左アッパーといった得意なパンチをクリーンヒットすることができればKO防衛が見えてくる。その一方、ブローナーがパッキャオの圧力に委縮することなくカウンターを合わせることができれば、6階級制覇王者にひと泡吹かせる可能性が上がりそうだ。

<資料1>TALE OF THE TAPE 両選手の体格比較

  • 名前

    パッキャオ

    ブローナー

  • 生年月日/年齢

    1978年12月17日/40歳

    1989年7月28日/29歳

  • 出身地

    キバウェ(比国)

    シンシナティ
    (米国オハイオ州)

  • アマチュア実績

    64戦60勝4敗

    319戦300勝19敗

  • プロデビュー

    95年1月

    08年5月

  • 獲得王座

    フライ級
    Sバンタム級
    Sフェザー級
    ライト級
    ウェルター級
    Sウェルター級

    Sフェザー級
    ライト級
    Sライト級
    ウェルター級

  • 世界戦の戦績

    23戦17勝(9KO)4敗2分

    7戦6勝(6KO)1敗

  • 通算戦績

    69戦60勝(39KO)7敗2分

    38戦33勝(24KO)3敗1分1無効試合

  • KO率

    約57%

    約63%

  • 身長/リーチ

    166センチ/170センチ

    168センチ/175センチ

  • 戦闘タイプ

    左ファイター型

    右ボクサーファイター型

  • トレーナー

    ブボイ・フェルナンデス
    フレディ・ローチ

    マイク・スタフォード

  • ニックネーム

    「パックマン」

    「ザ・プロブレム」

<資料2>パッキャオの戴冠実績

1998年12月 WBC世界フライ級王座獲得(19歳11ヵ月)
2001年6月  IBF世界スーパー・バンタム級王座獲得(22歳)
2008年3月  WBC世界スーパー・フェザー級王座獲得(29歳)
2008年6月  WBC世界ライト級王座獲得(29歳)
2009年11月 WBO世界ウェルター級タイトル獲得(30歳)
2010年11月 WBC世界スーパー・ウェルター級タイトル獲得(31歳)
2014年4月  WBO世界ウェルター級王座獲得(35歳)
2016年11月 WBO世界ウェルター級王座獲得(37歳)
2018年7月  WBA世界ウェルター級王座獲得(39歳)

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :キース・サーマン(アメリカ)
WBA   :マニー・パッキャオ(フィリピン)
WBC   :ショーン・ポーター(アメリカ)
IBF   :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO   :テレンス・クロフォード(アメリカ)

 ミドル級やヘビー級とともに注目度の高いクラスといえる。高い次元で実績や力量が拮抗したスター選手が揃っているという点では、このウェルター級が一番かもしれない。近い将来、王者同士の統一戦が実現する可能性があるが、現時点ではそれぞれが防衛戦をこなしていくことになりそうだ。
 WBAスーパー王者のキース・サーマン(30=アメリカ)はホセシート・ロペス(34=アメリカ)とのV8戦が決まっており、レギュラー王者のマニー・パッキャオ(40=フィリピン)はエイドリアン・ブローナー(29=アメリカ)を相手に1月19日(日本時間20日)、初防衛戦に臨む。IBF王者のエロール・スペンス(28=アメリカ)は3月16日、4階級制覇を成し遂げているWBC世界ライト級王者マイキー・ガルシア(31=アメリカ)との大一番が決まっている。またWBO王者のテレンス・クロフォード(31=アメリカ)は4月にアミール・カーン(32=イギリス)との対戦が予定されている。まずは、これら「ウェルター級 春の陣」とも呼べる4試合で王座の移動があるのかどうか注目したい。
 その先の理想的な展開とすれば、WBAの団体内統一戦を行ったうえで勝者がWBC王者ショーン・ポーター(31=アメリカ)と戦って王座を一本化し、他方でIBF王者とWBO王者が並走。機が熟したタイミングで3強による最終統一戦ということになるだろうか。ビジネス面での主導権争いがあるため王座の一本化は容易ではないだろうが、誰がクラス最強なのかリングの上で決めてほしいところだ。
 無冠組ではWBOの指名挑戦権を持つエギディユス・カバラウスカス(30=リトアニア)、元2階級制覇王者のダニー・ガルシア(30=アメリカ)とジェシー・バルガス(29=アメリカ)、さらに12戦全勝(9KO)のWBA1位、アレクサンデル・ベスプーチン(27=ロシア)、16年リオデジャネイロ五輪戦士のジョシュ・ケリー(24=イギリス)といった新顔にも注目したい。

もっと見る

閉じる

My番組登録とは?

My番組登録で見逃し防止!

見たい番組、気になる番組をあらかじめ登録。
放送時間前のリマインドメールで番組をうっかり見逃すことがありません。

利用するには?

WEB会員IDをご登録のうえ、ログインしてご利用ください。

WEB会員IDをお持ちでない方
WEB会員IDを登録する
WEB会員IDをお持ちの方
ログインする
閉じる

番組で使用されているアイコンについて

初回放送
新番組
最終回
生放送
5.1chサラウンド放送
二カ国語版放送
吹替版放送
字幕版放送
字幕放送
ノンスクランブル(無料放送)
オンデマンドでの同時配信
オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの