40戦全勝39KOの王者 vs 27戦全勝19KOの挑戦者
パワーのワイルダー 技のフューリー

  • 2018/11/26

40戦全勝39KOの王者 vs 27戦全勝19KOの挑戦者
パワーのワイルダー 技のフューリー

 一時はWBA、IBF、WBO3団体統一王者のアンソニー・ジョシュア(29=イギリス)と、WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(33=アメリカ)の最終頂上決戦が年内にも行われるのではないかというムードだったが、その後、両陣営間の交渉が停滞。代わりに今回のワイルダー対タイソン・フューリー(30=イギリス)が実現した経緯がある。フューリーは現役の王者ではないが、3年前にはウラディミール・クリチコ(ウクライナ)の長期政権を9年半で止め、いまジョシュアが手にしている3団体王座を獲得した実績を持っている。ワイルダーを脅かす存在であることに間違いはない。身長201センチ、リーチ211センチ、7連続KO防衛を含め40戦全勝(39KO)という驚異的なレコードを誇るワイルダー。身長206センチ、リーチ216センチ、構えを左右に変えるスイッチ・ヒッターで27戦全勝(19KO)の戦績を残しているフューリー。超大型同士の米英全勝対決はみどころ満載のカードだ。

8連続KO防衛を狙うワイルダー

 少年時代にフットボールとバスケットボールの選手だったワイルダーは、19歳のときにボクシングに転向した。生まれた娘が難病にかかっていることが分かり、治療費を稼ぐ必要に迫られたのが理由だと伝えられる。08年北京五輪ヘビー級で銅メダルを獲得するなどアマチュアで35戦30勝5敗の戦績を残し、08年11月にプロ転向。
ワイルダーは身長の割に体重が95キロ~102キロと細身だったこともあり、陣営は慎重なマッチメークを施した。その狙いどおり銅メダリストはKOの山を築き、その数は6年間で32になった。しかもすべて4回以内という早期決着だった。
 15年1月、ワイルダーはバーメイン・スティバーン(ハイチ)の持つWBC世界ヘビー級王座に挑戦し、初めて12回をフルに戦いきって判定勝ち、戴冠を果たした。以後は9回KO、11回TKO、9回KO、8回終了TKO、5回TKO、1回KO、10回TKOと比較的長いラウンドを戦いながら判定を聞くことなく防衛を重ねてきた。戦い方はいたってシンプルだ。長いリーチとスピードを生かして左ジャブを放ち、遠い位置から踏み込んで体重の乗った右ストレートを打ち込む。いつも命中率が高いわけではないが、当たらなければ繰り返し右を狙ってくるため、相手は避けきれなくなってしまう。スピードとパワーがあるため効率的に迎え撃つことも難しい。ワイルダーを相手にカウンターを合わせることができたのは、今年3月にV7を献上したルイス・オルティス(39=キューバ)ぐらいのものである。そのオルティス戦はワイルダーにとって最も厳しい試合だったが、同時に肉体的にも精神的にも一定以上の耐久力を備えていることを証明している。

型がないのがフューリーのスタイル

 挑戦者のフューリーは、元プロボクサーの父親のジョンによると生まれたときは1ポンド(約450グラム)の超未熟児だったという。予定日よりも2ヵ月半早い誕生だったと伝えられる。それが今年8月、30歳の誕生日を迎えた6日後の試合時には258ポンド(約117キロ)を計測しているのだから驚きだ。生まれた当時に大活躍していた世界ヘビー級王者、マイク・タイソン(アメリカ)のファミリー・ネームを名前にもらったフューリーは、アマチュアで35戦(31勝26KO4敗)を経験後、08年12月にプロ転向を果たした。大型だが構えを左右にチェンジするなど器用な面もあり、順調に白星を重ねた。一方、のらりくらりとしていて型がないのがフューリーのスタイルで、そのため実力に懐疑的な見方が多かったのも事実だ。しかし、11年から15年にかけて実力者のディレック・チゾラ(34=ジンバブウェ/イギリス)に2勝したのをはじめ、世界挑戦経験者のケビン・ジョンソン(39=アメリカ)、元世界クルーザー級王者のスティーブ・カニンガム(アメリカ)、世界上位ランカーのクリスチャン・ハマー(31=ルーマニア)らを下して力のあるところをみせつけた。
 現時点でのハイライトは15年11月のクリチコ戦であろう。18度の防衛を記録していた絶対王者をスピードと技で翻弄し、明白な判定で破ったのだ。噛み合わせが甘く、試合そのものは必ずしもエキサイティングとはいえなかったが、それこそがフューリーのボクシング、そして持ち味といえる。
 このあとクリチコとの再戦を再三延期したあげく禁止薬物に手を出したりアルコール依存になったりして一時的に引退したフューリーだが、今年6月、約2年半ぶりに戦線復帰。初戦で4回終了TKO勝ちを収めたあと8月には世界挑戦経験者のフランチェスコ・ピアネッタ(34=イタリア/ドイツ)を完封(10回判定勝ち)し、WBC3位まで浮上してきた。

ルービックキューブを解けるか

 勝負の最大のカギは、ワイルダーの右が当たるかどうかといっていいだろう。フューリー自身が「彼にパワーがあることは分かっている。でも当たらなければ意味がない。距離やタイミングを外してミスさせる」といった意味合いのコメントを残しているほどだ。その挑戦者側からみれば、構えをスイッチしながら前後左右に動いて相手の得意とする距離を外し、出て来ないとみれば自ら打って出る――クリチコ戦で成功した策がワイルダー相手に通用するかどうかということになる。
 もうひとつのポイントは、王者のサウスポー対策にありそうだ。ワイルダーはV3戦でアルツール・ズピルカ(29=ポーランド)、V7戦でオルティスとサウスポー相手に苦戦を強いられている。右ストレートの距離とタイミングが合わせにくいのかもしれない。トレーニングの段階でどう矯正し、どう対策を練ってリングに上がるのか。
ワイルダーと長年コンビを組んでいるジェイ・ディーズ・トレーナーは、捉えどころのないフューリーのボクシングを「ルービックキューブみたいだ」と評している。そのうえで「でも、ルービックキューブは解ける」と興味深いコメントを残している。
 ワイルダーが左ジャブから右ストレートを狙い、フューリーが間合いを外しつつ駆け引きをしながら迎え撃つ展開が予想される。一瞬で勝負が決まる可能性も十分あるだけに初回から目の離せない試合になりそうだ。ワイルダーのスピードとパワーか、それともフューリーの頭脳と技か――そんな米英対決のオッズは11対8、ワイルダー有利と出ている。

<資料1>TALE OF THE TAPE 両選手の体格比較

  • 名前

    ワイルダー

    フューリー

  • 生年月日/年齢

    1985年10月22日/33歳

    1988年8月12日/30歳

  • 出身地

    タスカルーサ(米国アラバマ州)

    マンチェスター(英国)

  • アマチュア実績

    08年北京五輪ヘビー級銅

    06年世界ジュニア選手権3位

  • アマチュア戦績

    35戦30勝5敗

    35戦31勝(26KO)4敗

  • プロデビュー

    08年11月

    08年12月

  • 獲得王座

    WBC世界ヘビー級王座

    WBA、IBF、WBO3団体統一世界ヘビー級王座

  • プロ戦績

    40戦全勝(39KO)

    27戦全勝(19KO)

  • KO率

    98%

    70%

  • 身長/リーチ

    201センチ/211センチ

    206センチ/216センチ

  • 体重(最新試合)

    97.41キロ

    117.02キロ

  • 戦闘タイプ

    右ボクサーファイター

    スイッチ・ヒッター

  • ニックネーム

    「ブロンズ・ボマー」

    ――

ヘビー級トップ戦線の現状

WBA SC :アンソニー・ジョシュア(イギリス)
WBA   :マヌエル・チャー(レバノン/シリア)
WBA 暫定:トレバー・ブライアン(アメリカ)
WBC   :デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)
IBF   :アンソニー・ジョシュア(イギリス)
WBO   :アンソニー・ジョシュア(イギリス)

 3団体の王座を持つアンソニー・ジョシュア(29=イギリス)と、WBC王座に4年近く君臨して7連続KO防衛を果たしているデオンテイ・ワイルダー(33=アメリカ)が双璧といえる。12年ロンドン五輪スーパー・ヘビー級金メダリストでもあるジョシュアは身長198センチ、リーチ208センチ、体重110キロ~115キロと均整のとれた大型選手で、ボクシングも左ジャブから右ストレートに繋げる正統派だ。17年4月のウラディミール・クリチコ(ウクライナ)戦では元V18王者の右を浴びてダウンを喫するなど窮地に立たされたが、そこから巻き返して11回TKO勝ちを収め、大きく成長した。最近はワンツーに加え右アッパー、左フックなど攻撃の幅を増やしている。反面、クリチコ戦で打たれ脆さをあらためて自覚したのか、以後は慎重な戦い方も目につく。22戦全勝(21KO)。
 ワイルダーは戴冠後も耐久力に疑問がつきまとっていたが、今年3月のルイス・オルティス(39=キューバ)戦で窮地を経験したものの耐え抜いて勝ち、一定以上のタフネスの持ち主であることを証明、総合的な評価を上げた。こちらも身長201センチ、リーチ211センチの大型選手だが、先のオルティス戦では約97キロと体重は軽めだ。その分、ヘビー級では貴重なスピードがある。40戦全勝(39KO)の戦績を示すとおりの強打と合わせ、ずば抜けたふたつの武器を持つのが強みだ。
 このふたりを追うのが元3団体王者のタイソン・フューリー(30=イギリス)と、元WBA暫定王者のルイス・オルティス(39=キューバ)だ。フューリーは3年前にクリチコのV19を阻止して主役の座についたが、その後は自らの不摂生が祟って活動休止という状況に陥った。今回のワイルダー戦で勝てば再び主役に返り咲けるだけに内容と結果に要注目だ。
 オルティスはワイルダー戦で計3度のダウンを喫して10回TKOで敗れたが、7月に再起している。現時点では脇役に甘んじているが、ジョシュアやフューリーと戦っても好勝負を展開しそうだ。
 このほかディリアン・ホワイト(30=ジャマイカ/イギリス)、クブラト・プーレフ(37=ブルガリア)、前WBO王者のジョセフ・パーカー(26=ニュージーランド)、ドミニク・ブリージール(33=アメリカ)らが控えている。また体重140キロ超のジャーレル・ミラー(30=アメリカ)にも注目したい。

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