「ミラクルマン」 vs 「テクニシャン」
同門対決は15対8でジェイコブス有利

  • 2018/11/09

 このIBF世界ミドル級王座は6月までゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)が保持していたが、そのゴロフキンがサウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)との対戦を優先させる意向を示したため、IBFが6月に王座を剥奪。それを受け指名挑戦権を持っているセルゲイ・デレビヤンチェンコ(32=ウクライナ)と、3位にランクされる元WBA王者のダニエル・ジェイコブス(31=アメリカ)で決定戦を行うことになった。ふたりはアンドレ・ロージー・トレーナーに師事する同門ということもあり対戦を避けるのではないかともみられたが、7月の入札予定日当日に条件合意して拳を交えることになった経緯がある。
 ジェイコブスは全米ゴールデングローブ大会や全米選手権で優勝するなど144戦137勝7敗の戦績を残し、フロイド・メイウェザー(アメリカ)対リッキー・ハットン(イギリス)の前座でプロデビューを果たした(07年12月)。2年半で20連勝(17KO)を飾ったころには「ヘビー級のパンチ力とライト級のスピードを併せ持ち、かつベテランの巧さを持つ23歳のミドル級」と評されたほどだった。当時はオスカー・デラ・ホーヤ・プロモーターの秘蔵っ子だったことから「ゴールデン・チャイルド」というニックネームで知られていた。しかし、10年7月のWBO世界ミドル級王座決定戦でドミトリー・ピログ(ロシア)に右一発で5回TKO負けを喫してしまう。2連続TKO勝ちで再起路線を歩み始めた矢先、今度は腰部の骨肉腫が判明。手術とリハビリのため1年半近いブランクをつくることになった。このころがジェイコブスにとってどん底時代だったといえよう。
 12年10月に戦線復帰を果たし、5連続KO勝ちでWBA世界ミドル級王座決定戦に辿り着き、今度は08年北京五輪戦士のジャーロッド・フレッチャー(オーストラリア)に5回TKO勝ちを収めて戴冠を果たした。14年8月のことである。「ミラクルマン」と呼ばれるようになったジェイコブスは友人でもあるピーター・クィリン(35=アメリカ)らを相手に4連続KO防衛を果たしたあと3団体王者のゴロフキンと対戦(17年3月)。4回にダウンを喫して小差の12回判定負けを喫したが、17連続KO防衛中だったゴロフキンを終盤に追い込むなど株を下げる内容ではなかった。その後は世界ランカーを相手に2連続判定勝ちを収めている。戦績は36戦34勝(29KO)2敗。KO率は80パーセントを超えている。
 デレビヤンチェンコはアマチュア時代に07年世界選手権ミドル級3位、09年世界選手権8強、08年北京五輪出場(2回戦敗退)など輝かしい実績を残している。アマチュア戦績は410戦390勝20敗と伝えられる。14年7月、ニューヨークでプロデビューした(2回終了TKO勝ち)。ジェイコブスが世界王者になる1ヵ月前のことだ。16年7月にはタフで知られた元世界王者のサム・ソリマン(44=オーストラリア)を3度倒して2回TKO勝ち。昨年8月にはIBF1位のトゥレアノ・ジョンソン(34=バハマ)にも12回TKO勝ちを収めて指名挑戦権を手に入れた。この試合では巧みに立ち位置を変えながら出入りし、最終回には左構えにスイッチした状態から連打。最後は左ストレートでダウンを奪ってけりをつけている。相手を正面からパワーで潰すだけでなく、計算された試合運びができる選手でもある。「テクニシャン」というニックネームに多少の違和感はあるものの、納得させる一面もあるといえる。
 両者は4年間に合計300ラウンド以上もスパーリングをしたことがある。特にジェイコブスがゴロフキンと戦う際はデレビヤンチェンコがメイン・パートナーを務めたほどだ。相手のパンチ力を含め互いに手の内は知り尽くしているといっていいだろう。したがって駆け引きをしながら相手のミスを誘う、あるいはミスを待つ展開になる可能性がある。なお、ロージー・トレーナーがジェイコブスにつくため、アシスタントを務めてきたゲイリー・スターク・トレーナーがデレビヤンチェンコにつく予定と伝えられる。セコンドの指示にも要注目だ。
 接戦が予想されるなか、中盤から終盤にかけてどちらがどう抜け出すのか。15対8のオッズが出ているように、プロでの経験値とスピードで勝るジェイコブスにわずかに分があるとみる。

ミドル級トップ戦線の現状

WBA SC :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBA   :ロブ・ブラント(アメリカ)
WBC   :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBC 暫定:ジャーマル・チャーロ(アメリカ)
IBF   :空位 ※ジェイコブス対デレビヤンチェンコ
WBO   :デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)

 この秋、ミドル級トップ戦線には大変動が起こった。まずWBAスーパー王座とWBC王座を持っていたゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)が、サウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)に12回判定負け。8年以上にわたって20度防衛してきた王座を失った。この日の前座では元IBF王者のデビッド・レミュー(29=カナダ)がゲイリー・オサリバン(34=アイルランド)に1回KO勝ちを収め、WBAスーパー王座への指名挑戦権を獲得している。
 それから1ヵ月弱、ドーピング違反が発覚したWBO王者のビリー・ジョー・サンダース(29=イギリス)が王座を返上した。これを受け10月20日にアメリカのマサチューセッツ州ボストンでサンダースに挑む予定だったデメトリアス・アンドレイド(30=アメリカ)は、ウォーター・カウトンドクワ(33=ナミビア)に相手を変えて王座決定戦を行い12回判定勝ち、WBO王座を獲得した。
 同じ日、アメリカのネバダ州ラスベガスでは村田諒太(32=帝拳)対ロブ・ブラント(28=アメリカ)のWBAタイトルマッチが行われ、ブラントが12回判定勝ちを収めて戴冠を果たしている。この秋、ミドル級では3試合で3人の新王者が誕生しているのだ。
 こうしたなかでダニエル・ジェイコブス(31=アメリカ)対セルゲイ・デレビヤンチェンコ(32=ウクライナ)のIBF王座決定戦が挙行されるわけで、引き分けという結果に終わらないかぎり4人目の新王者が誕生することになる。
 多少は整理されたかたちのトップ戦線だが、では敗者が脱落したのかというとそういうわけではない。特にゴロフキンに関しては「2試合ともアルバレスに勝っていた」と推す関係者やファンも多く、まだまだ活躍が期待できる状況といえる。村田同様、技巧派サウスポーのサンダースも戦線復帰が望まれるところだ。レミューの強打も魅力的だ。さらにWBC暫定王者のジャーマル・チャーロ(28=アメリカ)も彼らとの対戦を望んでおり、来年はさらに混戦状態になりそうな気配がする。

28歳の全勝王者 vs 初戴冠狙う29歳
「カリブの爆弾」マチャドの強打が炸裂か

 昨年10月、体重オーバーで王座を剥奪されたジェスレル・コラレス(27=パナマ)に8回KO勝ちを収めてWBA世界スーパー・フェザー級王者になったアルベルト・マチャド(28=プエルトリコ)のV2戦。同級9位の挑戦者、ユアンデール・エバンス(29=アメリカ)は21戦20勝(14KO)1敗の好戦績を残しているが、ディフェンスに甘さがある。一方、20戦全勝(16KO)の王者も力んでガードが疎かになる傾向がある。そんな両者の戦いだけに序盤からスリリングな展開になりそうだ。
 サウスポー同士のカードで、プロでの試合数も近い両者だが、体格と経験値、攻撃力では「エクスプローシボ(爆弾)」というニックネームを持つ王者が大きく勝る。身長178センチ、リーチ183センチのマチャドは右ジャブから左ストレート、右フックを返す攻撃パターンを持つが、必ずしも遠い距離を好むわけではない。戴冠試合となったコラレス戦では乱戦のなかで5回にダウンを喫したが、8回に左のショート・ストレートをカウンターで叩き込んでダウンを奪い返し、そのままKO勝ちを収めている。良くも悪くも気の強い選手といえる。
 挑戦者のエバンスは17年4月にNABA暫定北米スーパー・フェザー級王座、11月にWBC米大陸フェザー級王座を獲得してはいるが、世界的な実績という点では乏しいといわざるをえない。11年7月、とっくに峠を越えた世界挑戦経験者のエマヌエル・ルセロ(メキシコ)に6回TKO勝ちを収めているものの、12年4月にはのちに2階級制覇王者となるハビエル・フォルトゥナ(29=ドミニカ共和国)に1回TKOで完敗を喫している。スピード、パワー、テクニックなど個々の戦力はまずまずだが、飛び抜けたものは感じられない。
 オッズは17対2でマチャド有利と出ている。エバンスは先に仕掛けてかき回したいが、自信を深めている王者がそれを簡単に許すとは思えない。中盤までに「爆弾」が炸裂しそうだ。

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