「WBSS」シーズン1の決勝
オッズは11対8でグローブス有利

  • 2018/10/26

 この試合はWBA世界スーパー・ミドル級タイトルマッチであると同時に、2017年9月にスタートした賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」シーズン1のスーパー・ミドル級決勝戦でもある。WBAスーパー王者でWBSSでは第1シードのグローブスと、WBC「ダイヤモンド王者」で第2シードのスミス。どちらが「モハメド・アリ・トロフィー」と優勝賞金1000万ドル(約11億2000万円)を手にするのか。
 グローブスはカール・フロッチ(イギリス)に2度敗れたあとバドゥ・ジャック(スウェーデン)にも惜敗と、3度の世界挑戦に失敗。しかし、昨年5月にスーパー王座の決定戦に出場してヒョードル・チュディノフ(ロシア)に6回TKO勝ち、悲願ともいえる戴冠を果たした。そのベルトを持ってWBSSに参戦し、初戦ではサウスポーのジェイミー・コックス(32=イギリス)を右ボディブローで沈めて(4回KO)初防衛に成功。今年2月の準決勝では元WBA暫定世界ミドル級王者のクリス・ユーバンク・ジュニア(29=イギリス)に疑いようのない12回判定勝ちを収めた。これら価値ある3勝を含め16年以降は7連勝(4KO)と好調で、WBSSでも第1シードらしい活躍ぶりといえる。戦績は31戦28勝(20KO)3敗。20KOのうちのひとつはスミスの兄、ポールを2回で屠ったものである(11年11月)。その因縁がこの決勝戦を一層興味深いものにしているともいえる。
 これに対し、ポール、スティーブン、リアムという3人の兄を持つスミス4兄弟の末弟はグローブスより4年遅い12年11月にプロデビューし、6年間に24連勝(17KO)をマークしている。この間、WBCインターナショナル王座、WBCシルバー王座、イギリスの国内王座、EBU欧州王座などを獲得し、16年9月にはWBCの指名挑戦権も手にした。しかし、肝心の世界戦はなかなか実現せず、そんな折りにWBSSに参戦した。9月の準々決勝では26戦全勝(12KO)のエリック・スコッグランド(27=スウェーデン)から11回にダウンを奪って判定勝ち。この勝利でWBCから「ダイヤモンド王者」の称号を授かった。今年2月の準決勝ではユルゲン・ブレーマー(40=ドイツ)と対戦する予定だったが、サウスポーの元王者がインフルエンザに罹患したためリザーバー(代役)のニーキー・ホルツケン(34=オランダ)と拳を交え、大差の12回判定勝ちを収めた。
 因縁含みのイギリス人対決は11対8のオッズでグローブス有利と出ているが、これは直近の2試合でグローブスが派手な4回KO勝ち、知名度の高いユーバンク・ジュニアを下しているからともいえる。その数字とは逆にスミス有利とみる識者やファンも多い。得意の右ストレートでライバルを倒すのではないかと予想しているのだ。
 前半は好戦派のグローブスが低く構えながら圧力をかけ、スミスが適度に足をつかいながら左ジャブを放って押し返す展開になりそうだ。グローブスは体力と手数でライバルを後退させたいところだが、体格とスピードで勝るスミスが簡単に引くとは思えない。駆け引きの多い前半戦を経て中盤あたりに大きな動きがありそうだ。

スーパー・ミドル級トップ戦線

WBA SC :ジョージ・グローブス(イギリス)
WBA   :ロッキー・フィールディング(イギリス)
WBC 休養:デビッド・ベナビデス(アメリカ)
IBF   :ホセ・ウスカテギ(ベネズエラ)
WBO   :ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)

 16年4月に王座を獲得後、4度の防衛を果たしているサウスポーのWBO王者、ヒルベルト・ラミレス(27=メキシコ)が最も長い政権を誇るが、ほかの4王者は17年5月以降の戴冠だ。その4人のなかで頭ひとつ抜けた存在といえるWBAスーパー王者のジョージ・グローブス(30=イギリス)は破壊力を秘めた右が魅力の好戦派で、人気もある。今回のカラム・スミス(28=イギリス)戦を乗り越えるようだと長期政権が見えてくる。ただし、このスミスの評価はグローブスを凌ぐものがあるだけに、厳しい戦いを覚悟しなければなるまい。
 WBAレギュラー王者のロッキー・フィールデング(31=イギリス)は、そのスミスに3度のダウンを喫して1回TKO負けしている(15年11月)が、以後は6連勝(3KO)と復調している。今年5月にはタイロン・ツォイゲ(26=ドイツ)を5回TKOで破って戴冠を果たしている。12月にミドル級のWBAスーパー王座とWBC王座を持つサウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)の挑戦を受けることになっており、世界的な注目を集めることになりそうだ。その試合の結果によってはスーパー・ミドル級の勢力図が大きく変化する可能性もある。
 IBF王者のホセ・ウスカテギ(27=ベネズエラ)は30戦28勝(23KO)2敗の強打者で、どの他団体王者との組み合わせでも興味深いカードになりそうだ。自ら光を放つタイプではないが、危険度の高い選手といえる。
 無冠組では、前IBF王者のジェームス・デゲイル(32=イギリス)、クリス・ユーバンク・ジュニア(29=イギリス)、ジェシー・ハート(29=アメリカ)らに注目したい。

WBSS スーパー・ミドル級トーナメント表

2階級制覇に照準合わせるユーバンク・ジュニア
WBSS敗退から7ヵ月で再起戦

 今年2月、賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」スーパー・ミドル級準決勝でジョージ・グローブス(30=イギリス)に12回判定負けを喫したクリス・ユーバンク・ジュニア(29=イギリス)の再起戦。元WBA暫定世界ミドル級王者は2階級制覇に照準を合わせており、大柄なJJマクドナー(32=アイルランド)を相手にどんなパフォーマンスを見せるか注目される。
 ユーバンク・ジュニアは15年2月にWBA暫定世界ミドル級王座を獲得し、90年代に2階級制覇を成し遂げている父親に続いて世界制覇を達成した。17年にスーパー・ミドル級に転向し、元王者のアルツール・アブラハム(38=アルメニア/ドイツ)に12回判定勝ち。WBSSの初戦ではアブニ・イリディリム(29=トルコ)に鮮やかな3回KO勝ちを収めている。トリッキーな動きも交えながら立ち位置を変え、回転の速い左右の連打を叩き込むチャンスをうかがう右のボクサーファイター型だが、慎重な一面もある。イリディリム戦では初回にタイミング抜群の右アッパーでダウンを奪い、3回には連打からカウンターの左フックで痛烈なダウンを追加、圧勝している。
 マクドナーは188センチの長身サウスポーで、長い左ストレートと右フックが主武器といえる。2年前にライト・ヘビー級のWBAインターナショナル王座を獲得したことはあるが、世界的な強豪との対戦は皆無といえる。
 個々の戦力に加えて経験値でも勝るユーバンク・ジュニアが足とスピードを生かして序盤から主導権を握る可能性が高い。戦績はユーバンク・ジュニアが28戦26勝(20KO)2敗、マクドナーが20戦16勝(8KO)4敗。

強打のIBF王者がノンタイトル戦
五輪出場経験者マデルナを圧倒か

 今年3月、アンドレ・ディレル(35=アメリカ)を8回終了TKOで下してIBF暫定世界スーパー・ミドル級王座を獲得したホセ・ウスカテギ(27=ベネズエラ)が、ノンタイトル戦で元WBC中南米王者のエセキエル・マデルナ(31=アルゼンチン)と対戦する。戴冠後、団体内統一戦を拒んだジェームス・デゲイル(32=イギリス)がベルトを返上したため正王者に昇格したウスカテギは、 力の差を見せつけることができるか。
 ウスカテギは身長188センチ、リーチ194センチの恵まれた体格から積極的にワンツー、左右フック、アッパーと打ち込んでいくタイプで、29戦27勝(23KO)2敗とKO率(約79パーセント)も高い。踏み込みながら打つためパンチが予想以上に伸びるのだろう、相手にとっては戦いにくいタイプといえそうだ。技巧派サウスポーのディレルは初戦こそウスカテギの反則打で勝利を拾ったが、再戦では持ち味を封じられて途中で棄権したほどだ。
 マデルナも身長は188センチとウスカテギと同じだが、こちらはガードそのものに加え防御意識も高い正統派だ。適度に足をつかいながら中長距離でやりとりする右のボクサーファイター型で、10年のプロキャリアで30戦26勝(16KO)4敗の戦績を残している。08年北京五輪に出場(ミドル級1回戦敗退)したことから、「エル・オリンピコ」のニックネームを持つ。
 マデルナは攻防のバランスがとれた好選手だが、飛び抜けたものがないだけにウスカテギのような攻撃型を止めるのは容易ではなさそうだ。ノンタイトル戦ということでウスカテギのコンディションとモチベーションが気になるところだが、それさえ問題なければテンポの速い攻撃ボクシングで王者が着々とポイントを重ねていくのではないだろうか。ボディを攻めて相手の戦力を削ることができれば、中盤から終盤にかけてKOチャンスも出てきそうだ。

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