WBC1位と7位の「雄鶏」対決
万能型のエストラーダ有利

  • 2018/10/09

 ファン・フランシスコ・エストラーダ(28=メキシコ)がWBC1位、フェリペ・オルクタ(32=メキシコ)が7位に名を連ねており、WBC世界スーパー・フライ級の指名挑戦者決定戦としての意味を持つ試合だ。経験値を含めた総合力で勝るエストラーダ有利のカードだが、オルクタも攻撃力があるだけに侮れない。
 「ガジョ(雄鶏)」というニックネームを持つエストラーダは9歳(13歳説もある)でボクシングを始め、アマチュアで98戦94勝4敗という戦績を残して08年8月にプロデビュー。19戦目にのちの世界王者、ファン・カルロス・サンチェス(メキシコ)にダウン応酬のすえ8回判定負けを喫したが、7ヵ月後の再戦ではまたもダウン応酬の激闘を展開、今度は10回TKO勝ちを収めた。この余勢を駆って12年11月にローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の持つWBA世界ライト・フライ級王座に挑んだ。圧倒的不利の予想のなかエストラーダはしぶとく食い下がり、判定で敗れはしたものの逆に株を上げた。これで自信を増したエストラーダは4ヵ月半後、階級をフライ級に上げてWBAスーパー王座とWBO王座を持つブライアン・ビロリア(アメリカ)に挑戦。強打の王者を最後にはダウン寸前にまで追い込んで戴冠を果たした。13年4月のことである。
 この2団体王座はミラン・メリンド(フィリピン)、ジョバンニ・セグラ(メキシコ)、エルナン・マルケス(メキシコ)といった、元あるいはのちの世界王者らを含む5人から防衛。打ち合ってよし、離れて戦ってよし――高い次元で安定した戦いを続けていたこともあり、体重を同一と仮定したボクサーの強さ指標ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」の10傑に数えられるほどだった。その後、体重苦からスーパー・フライ級に上げ、昨年9月のカルロス・クアドラス(メキシコ)戦では右ストレートで値千金のダウンを奪い、僅差判定で元王者対決を制した。今年2月にはシーサケット・ソールンビサイ(タイ)の持つWBC王座に挑んだが、2対0の判定で惜敗した。これが再起戦でもある。戦績は39戦36勝(25KO)3敗。
 勝てば代わって最上位に上がる可能性もあるオルクタは、12年のプロキャリアを持つ強打者で、過去に2度の世界挑戦を経験している。いずれもオマール・ナルバエス(アルゼンチン)にアルゼンチンで挑んだもので、13年5月の初戦が2対1、14年9月の再戦は2対0の判定負けだった。徹底して前に出て追いかけたもののサウスポーの王者の動きを止めることができずに惜敗した。その後、15年12月に6回終了TKO負けを喫しているが、これは負傷のため途中棄権したものだ。16年以降は5連続KO勝ちと勢いを取り戻している。40戦36勝(30KO)4敗で、KO率は75パーセントと高い。「ガリート(若い雄鶏)」と呼ばれるオルクタは「エストラーダが強いということは知っているが、パンチ力は私の方がある。パワーで勝負するつもりだ」と打撃戦を挑むことを宣言している。
 中長距離からワンツー、さらにスリー、フォーと手数で攻め込むエストラーダと、アッパーとフックの中間の角度のパンチが多いオルクタ。正面からの打撃戦になる可能性もあるが、これはオルクタの望む展開といえる。エストラーダは巧妙に出入りしながらカウンターをとるボクシングもできるだけに、リスクを小さく抑えるためにこちらの策を選択するのではないだろうか。メキシコの「雄鶏対決」は万能型のエストラーダ有利だが、オルクタの強打が番狂わせを起こす可能性もある。

4階級制覇狙う36歳 vs KO率77%の27歳
史上3度目の世界戦フィリピン人対決

 フィリピンは40人以上の世界王者を輩出しているボクシング強国のひとつだが、興味深い現象(データ)がふたつある。ひとつはサウスポーの割合が極めて高いことだ。歴代世界王者の半数近くが左構えなのである。日本が約26パーセント(90人中23人)、プエルトリコやメキシコは20パーセント未満なのだから、その比率の高さが分かるだろう。もうひとつはフィリピン人同士の世界戦が極端に少ないことだ。初代王者のパンチョ・ビラが1925年に同胞のクレバー・センシオを15回判定で退けて世界フライ級王座を守ってから、今年5月にジェルウィン・アンカハス対ジョナス・スルタンのIBF世界スーパー・フライ級タイトルマッチが行われるまで、実に93年も空白があったのだ。これはビラとセンシオが対戦してから1年以内に両選手が不幸な死を迎えたことと関係があるのかどうか不明だが、経済的な理由だけではないと邪推することはできる。
 今回のドニー・ニエテス(36)対アストン・パリクテ(27)のWBO世界スーパー・フライ級王座決定戦は、史上3度目のフィリピン人同士の世界戦となる。歴史的なデータは脇に置くとして、この試合そのものが興味深いカードであることは間違いない。15年のプロキャリアを持つニエテスが勝てば4階級制覇となり、同国の先輩でもあるマニー・パッキャオ(6階級制覇)、ノニト・ドネア(5階級制覇)に続くことになる。
 一方、世界的には無名に近いパリクテだが、こちらが勝てば初戴冠となる。元3階級制覇王者を倒すようなことがあれば、アンカハスに次いで軽量級のニュースターとしてアメリカで注目を集める存在になる可能性も出てくる。まして今回は「SUPERFLY(一流)」と銘打たれた3度目のイベントである。パリクテが身上とする思い切りのいい攻撃的なボクシングは、多くのファンや関係者の目に留まるはずだ。
 17度の世界戦で16勝(7KO)1分のニエテスと、「MIGHTY(強い男)」のニックネームを持つパリクテ。8対3のオッズが出ているようにニエテス有利は不動といえる。ミニマム級、ライト・フライ級時代はテクニックに加えパワーでも特別感があったが、フライ級に上げてからは技巧派のカラーが濃く出ている。年齢に合った戦い方を身に着けているということなのだろう。これを長身から繰り出すパリクテの右ストレート、左フックが凌駕できるかどうか。そこが最大の注目ポイントといえる。年齢や体格が大きく異なるだけに、チーム力、戦術も敗を分けるカギになりそうだ。戦績はニエテスが46戦41勝(23KO)1敗4分、パリクテが26戦24勝(20KO)2敗。

スーパー・フライ級トップ戦線の現状

WBA   :カリド・ヤファイ(イギリス)
WBC   :シーサケット・ソールンビサイ(タイ)
IBF   :ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)
WBO   :空位

 世界王者を含めトップの総合戦力が接近しており、誰が抜け出すのか興味深いクラスといえる。現時点では、かつての「パウンド・フォー・パウンド」ローマン・ゴンサレス(31=ニカラグア)に2度勝っているWBC王者のシーサケット・ソールンビサイ(31=タイ)が先頭を走っているが、IBF王者のジェルウィン・アンカハス(26=フィリピン)がぴったりと付いている。さらに9月に再起を果たしたゴンサレス、2階級制覇を目指しているファン・フランシスコ・エストラーダ(28=メキシコ)もトップグループを形成している。WBA王者のカリド・ヤファイ(29=イギリス)は24戦全勝(15KO)の戦績を誇っており、ゴンサレスとの対戦を望んでいると伝えられる。
 この階級の近未来をひと際興味深いものにしているのが、新たに参入してきた井岡一翔(29)とドニー・ニエテス(36)だ。ともにミニマム級、ライト・フライ級、フライ級の3階級で王座を獲得した実績を持つ元王者で、スーパー・フライ級でベルトを腰に巻けば4階級制覇となる。今回、井岡よりもひと足早くニエテスが夢を叶えることができるかどうか。
 八重樫東(35=大橋)、石田匠(26=井岡)、船井龍一(33=ワタナベ)、江藤光喜(30=白井・具志堅)ら日本勢も数多く世界ランクに入っており、挑戦の機会をうかがっている。

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