ロシアの破壊者 vs コロンビア出身の嵐
攻撃力の王者 スピードと技巧の挑戦者

  • 2018/09/14

 昨年の11月に返り咲きを果たしたセルゲイ・コバレフ(35=ロシア)の2度目の防衛戦。挑戦者のエレイデル・アルバレス(34=コロンビア)はカナダを主戦場とする技巧派で、3年近くもWBC1位の座を保っていたが、なかなか指名挑戦が実現しないため標的をWBOに変えた経緯がある。そのためWBOでは8位と下位に甘んじているが、歴戦の王者にとっても侮れない相手といえる。
 コバレフは13年8月にネイサン・クレバリー(イギリス)を破ってWBO世界ライト・ヘビー級王座を獲得し、翌14年にはWBA、IBF王者だったバーナード・ホプキンス(アメリカ)にも快勝して3団体の王座統一を果たした。WBC王者のアドニス・スティーブンソン(40=ハイチ)との頂上対決も期待されたが、すれ違いのまま時間が過ぎていった。8度の防衛をこなしながらもモチベーションのキープが難しくなっていたとき、1階級下のスーパー・ミドル級から上げてきた元王者、アンドレ・ウォード(アメリカ)の挑戦を受けた。この試合、コバレフは2回に右のショート・カウンターをヒットしてダウンを奪うなどして優位に立ったが、中盤以降は攻撃が淡白になってウォードのスキルの前に微妙なラウンドを失うことになった。その結果、ジャッジ三者とも114対113という僅差でコバレフは敗れ、V9を阻まれた。もっと痛かったのは翌17年6月のウォードとの再戦で8回TKO負けを喫したことであろう。守勢にまわったときの防御の甘さ、特にボディを攻められたときの脆さを暴露してしまったからだ。これにより相手に与えてきた目に見えない部分の恐怖感は消滅してしまった。
 それでも4ヵ月後にはウォードが返上して空位になったWBO王座をビアチェスラフ・シャブランスキー(ウクライナ)と争い、計3度のダウンを奪って2回TKOで一蹴、返り咲きを果たした。オーラは剥げかかったものの、まだまだトップ戦線に踏みとどまる実力があることを証明したといえる。今年3月の初防衛戦では旧知の間柄でもあるイゴール・ミカールキン(ロシア)の顔面を切り裂いて7回TKO勝ちを収めている。戦績は35戦32勝(28KO)2敗1分、KO率は約80パーセントと高い。
 そんなコバレフと比較すると実績の面では見劣りしてしまう挑戦者のアルバレスだが、こちらも地力は十分にある。アマチュア時代にはコロンビア代表として07年世界選手権、さらに08年北京五輪にも出場したことがある。カナダのGYM(グループ・イボン・ミシェル)とプロモート契約を交わし、09年8月にモントリオールでプロデビュー。以来、23戦全勝(11KO)と負け知らずでここまで来た。コバレフとも対戦経験がある元王者のジャン・パスカル(ハイチ)、アイザック・チレンバ(マラウィ)にいずれも12回判定勝ち。さらに元世界王者のルシアン・ビュテ(ルーマニア)、前後に世界挑戦を経験しているエディソン・ミランダ(コロンビア)、ロバート・ベリッジ(ニュージーランド)にも勝っている。ちなみにチレンバ戦とビュテ戦はWBCの挑戦者決定戦として行われたものだ。
同門のスティーブンソンが長期政権をキープしている影響といえる。
ニックネームは「STORM(嵐)」だが、決して荒っぽいパワー型の選手ではない。スピードのある左ジャブを突いて距離とタイミングを計り、相手の打ち終わりに合わせて攻め返す迎撃タイプといっていいだろう。
 コバレフがプレッシャーをかけながら仕掛け、アルバレスが迎え撃つ展開が予想される。13対3というオッズが出ているように攻撃力で大きく勝る王者有利は揺るがないが、ウォード戦で弱点を晒しているだけにアルバレスのカウンター・アタックには十分な注意が必要だ。

才能が開花中の27歳 ビボル
タフで鳴らすチレンバを倒せるか

 ドミトリー・ビボル(27=キルギス/ロシア)は、ヘビー級のアンソニー・ジョシュア(28=イギリス)、ミドル級のジャーマル・チャーロ(28=アメリカ)、ウェルター級のエロール・スペンス(28=アメリカ)、バンタム級の井上尚弥(25=大橋)らとともに昇竜の勢いを維持している世界王者のひとりといえる。ビボルはアマチュアで283戦268勝15敗の戦績を残したあと14年11月にプロデビューし、1年半後にWBA暫定世界ライト・ヘビー級王座を獲得。プロ7戦目という早い出世だった。2度防衛後の昨秋、スーパー王者だったアンドレ・ウォード(アメリカ)の引退、レギュラー王者のバドゥ・ジャック(34=スウェーデン)の王座返上にともない正王者に昇格した。暫定王者時代から数えて5度目の防衛戦となる。
 ビボルは身長183センチ、リーチ178センチとライト・ヘビー級では決して大柄というわけではないが、スピーディーで正確な左ジャブで突破口を開き、右ストレートから回転の速い連打に持ち込む攻撃パターンを確立している。正統派のボクサーファイターで、プロでの試合数は13(全勝11KO)と少ないが、伸びしろを残している選手といえる。
 挑戦者のアイザック・チレンバ(31=マラウィ)はアフリカ中南部のマラウィ出身で、ユダヤの血を引くと伝えられるレンバ族の末裔といわれる。これまでWBOアフリカ王座やWBCインターナショナル王座、NABF北米王座などを獲得しているが、2年前の世界挑戦ではセルゲイ・コバレフ(35=ロシア)にダウンを喫して12回判定負けを喫している。その試合を含め一時は3連敗を喫したが、直近の試合では世界挑戦経験者のブレイク・カパレリョ(オーストラリア)に12回判定勝ち、WBCインターナショナル王座を獲得している。32戦25勝(10KO)5敗2分とKO率は高くないが、侮れない実力者といえる。
 ただ、現在の勢いには大きな差があり、若くて自信を増しているビボルが序盤からスピードのあるワンツーで煽る展開が予想される。攻め急ぐようだと隙が生じる可能性があるが、いまのビボルはその心配もないだろう。コバレフもKOできなかったタフなチレンバをKO、あるいはストップするようだとビボル株はさらに上がるはずだ。

ライト・ヘビー級トップ戦線の現状

WBA   :ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)
WBC   :アドニス・スティーブンソン(ハイチ)
WBC 暫定:オレクサンデル・グボジーク(ウクライナ)
IBF   :アルツール・ベテルビエフ(ロシア)
WBO   :セルゲイ・コバレフ(ロシア)

 5年間に9度の防衛を果たしているWBC王者のアドニス・スティーブンソン(40=ハイチ)が安定感と実績でトップを走ってきたが、今年5月のバドゥ・ジャック(34=スウェーデン)戦では12回引き分けという結果に終わっており、やや陰りが見えている。12月に15戦全勝(12KO)の暫定王者、オレクサンデル・グボジーク(31=ウクライナ)との団体内統一戦が大きな山になりそうだ。
 WBO王者のセルゲイ・コバレフ(35=ロシア)は第1次政権では3団体王座を統一したうえ8度の防衛を果たすなどスティーブンソン以上の活躍をみせたが、アンドレ・ウォード(アメリカ)戦の連敗が響き、以前ほどの評価を得られていないのが現状だ。こちらも今回のエレイデル・アルバレス(34=コロンビア)戦がひとつの山といえる。
 09年世界選手権優勝、08年北京大会、12年ロンドン大会と2度の五輪出場、さらにコバレフに2度勝つなどアマチュア時代に輝かしい実績を残したアルツール・ベテルビエフ(33=ロシア)は、プロでも13年6月の初陣から快進撃を続けてきた。昨年11月にIBF王座を獲得した試合を含め12戦全KO勝ちと一点の綻びもない戦績を誇るが、故障やビジネス上の問題で試合間隔が空く傾向がある点が気がかりだ。ハンマーでなぎ倒すような豪快なファイターだけに、活動が活発になればライト・ヘビー級トップ戦線の牽引者になる可能性がある。
 スティーブンソン、グボジーク、コバレフ、ベテルビエフの4人が30代以上なのに対し、唯一の20代王者がドミトリー・ビボル(27=キルギス/ロシア)だ。しかも攻防にまとまりのある正統派でもある。まだ同等の実力者との対戦はないが、将来性という点では群を抜いている。
 これらの王者と同等の実力があるジャックはスーパー・ミドル級時代から戴冠と返上を繰り返しており、どのタイミングでどこに割って入るか要注目だ。このほか12年ロンドン五輪アメリカ代表だったマーカス・ブラウン(27=アメリカ)、16戦全勝(15KO)のアンソニー・ヤード(27=イギリス)の動向にも注目したい。

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