「メイウェザーの後継者」スペンスのV2戦
挑戦者は22戦全勝の22歳

  • 2018/08/10

 エロール・スペンス(28=アメリカ)には、かつてスパーリングで拳を交えた元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(アメリカ)から、「この男こそ俺の後継者だ」と太鼓判を押されたというエピソードがある。もちろんスペンスが世界王者になる前のことだ。その予言どおり順調な歩みをみせるサウスポーのIBF王者は、メイウェザーの域に近づくためにも、ここでつまずくわけにはいかない。ましてや自らが望んで実現した凱旋防衛戦である。指名挑戦者のカルロス・オカンポ(22=メキシコ)を相手に豪快なKO勝ちが期待されている。
 アメリカのニューヨークで生まれ育ったスペンスは15歳でボクシングを始め、アマチュアで輝かしい実績を残した。08年ごろから全米レベルの大会や世界ユース選手権などに出場するようになり、09年には世界選手権に初出場を果たした。このときは初戦で敗退したが、11年の世界選手権と12年ロンドン五輪ではウェルター級でベスト8入りを果たした。のちにスペンスが成功を収めることになる理由のひとつとして、十分な伸びしろを残してプロに転向した点を挙げることができよう。五輪の3ヵ月後(12年11月)、22歳でプロデビューしたスペンスは圧倒的な強さを見せつけながら世界への階段を駆け上がり、15年から16年にかけてはフィル・ロ・グレコ(カナダ)、クリス・バン・ヘーデン(南アフリカ共和国)、アレハンドロ・バレラ(メキシコ)ら世界ランカーを連破。さらに元世界王者のクリス・アルジェリ(アメリカ)を5回TKOで撃破すると、IBF挑戦者決定戦ではレオナルド・ブンドゥ(シオラレオネ)を6回KOで圧倒した。
 この勢いは止まらず、昨年5月にはイギリスでケル・ブルック(イギリス)を11回KOに屠って世界一の座を奪取。今年1月の初防衛戦ではWBA王座を放棄して戦いに臨んだレイモント・ピーターソン(アメリカ)を7回終了で棄権に追い込んだ。2度の世界戦を含むプロ戦績は23戦全勝(20KO)で、最近は強豪を相手に10連続KOと勢いを増している印象が強い。
 挑戦者のオカンポはスペンスよりも3ヵ月半だけ早くプロデビュー(12年7月)し、以後6年間で22戦全勝(13KO)というレコードを築いている。ただ、王者と比較すると対戦相手の質という点では大きく見劣りしているといわざるを得ない。相手のなかには世界挑戦経験者のホルヘ・パエス・ジュニア(メキシコ)やチャーリー・ナバロ(ベネズエラ)らが含まれているが、いずれも彼らが全盛期を過ぎてからのことである。また、敵地に乗り込んで伸るか反るかの大勝負(ブルック戦)をしてきたスペンスに対し、オカンポはメキシコ国外での試合経験がない。この点も不安要素といえよう。
さらにオカンポはサウスポーとの対戦経験はあるものの、危険極まりない強打者とリング上で対峙するのは初めてとなる。蓋を開けてみないと分からないことが多いのは事実だ。
 サウスポーのスペンスが揺さぶりをかけながら前進し、機をみて左ストレート、右フック、さらに上下へのコンビネーションで攻略を試みるものと思われる。これに対し長身のオカンポは左ジャブから右ストレートで突き放し、相手が入ってきた際は左右のフックで迎え撃ちたいところだが、それが極めて難しい作業であることは本人も覚悟しているはずだ。地元ファンの声援を背にスペンスが初回からエンジン全開で飛ばす可能性があるだけに、試合開始から瞬き厳禁といえよう。

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :キース・サーマン(アメリカ)
WBA   :マニー・パッキャオ(フィリピン)
WBC   :空位
IBF   :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO   :テレンス・クロフォード(アメリカ)

 WBAスーパー王者のキース・サーマン(29=アメリカ)は、右肘の手術や拳の負傷のため昨年3月からリングに上がっていないが、いまなおトップの地位に留まっている。サーマンが活動を休止している間、この階級の最前線は激しさを増してきた印象が強い。WBAのレギュラー王座には、7月にルーカス・マティセ(35=アルゼンチン)を7回TKOで屠った6階級制覇のスーパースター、マニー・パッキャオ(39=フィリピン)が座り、IBF王座には23戦全勝(20KO)のサウスポー、エロール・スペンス(28=アメリカ)が君臨している。一方、WBOのベルトは、6月にジェフ・ホーン(30=オーストラリア)を9回TKOで下したテレンス・クロフォード(30=アメリカ)が巻いている。6月、7月で2団体のベルト保持者が入れ替わったわけだ。
この4王者に、サーマンが返上して空位になったWBC王座の決定戦に出場する元WBC王者のダニー・ガルシア(30=アメリカ)と、その相手となる元IBF王者のショーン・ポーター(30=アメリカ)を加えた6人がトップグループを形成しているといっていいだろう。そのなかでスペンスとクロフォードが先頭争いをし、第2グループに後退していたパッキャオが集団に追いついたという構図か。ブランクが1年半近くになってきたサーマンは、やや遅れをとり始めている印象だ。
 第2グループには元WBO王者のジェシー・バルガス(29=アメリカ)、そのバルガスと引き分けた元4階級制覇王者のエイドリアン・ブローナー(29=アメリカ)、同じく元王者のアンドレ・ベルト(34=アメリカ)、捲土重来を期すホーンら実績のある選手がいる。さらに2度の五輪出場経験を持つエギディウス・カバリアウスカス(30=リトアニア/アメリカ)、08年北京五輪ライト級銅メダリストのヨルデニス・ウガス(32=キューバ/アメリカ)らもぴったりとついている。その後方から、IBFの指名挑戦者、カルロス・オカンポ(22=メキシコ)、カルロス・アダメス(24=ドミニカ共和国)らが割り込みを狙っている。

日本で戴冠&初防衛を果たしたローマンが
長身強打者フローレスを迎え撃つ

 ダニエル・ローマン(28=アメリカ)は昨年9月、京都で久保隼(真正)を9回TKOで破って王座を獲得。初防衛戦では再び来日し、22戦21勝(19KO)1敗のホープ、松本亮(大橋)を大差の12回判定で退けた。今年2月のことである。久保戦の前には挑戦者決定戦で当時WBA3位だったアダム・ロペス(アメリカ)を9回終了TKOで下しており、これらの試合で自信を増すと同時に総合力を大きくアップしたと考えられる。頑丈そうな体を利して圧力をかけながら右クロスを主体にした攻撃を仕掛け、中近距離で回転のいい連打を見舞うタイプで、14年以降は16連勝(6KO)と勢いもある。今回の試合をクリアすればイギリスの大手プロモーション、マッチルーム・ボクシングと契約する話も進んでいるだけに、結果だけでなく内容も求められる試合といえる。
 一方のモイセス・フローレス(31=メキシコ)は3年以上も暫定王者の地位にいる長身強打者で、今回の試合で「暫定(INTERIM)」の文字を取り除くためにローマンと対戦する。フローレスは15年4月にオスカル・エスカンドン(コロンビア)に勝って暫定王座を獲得し、2度防衛後の昨年6月にはスーパー王者のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)と対戦。いったんは初回KO負けが告げられたが、のちにフィニッシュ・ブローがゴング後だったとして結果が無効試合に変更されている。記録上は無敗が保たれた(27戦25勝17KO2無効試合)わけだが、限りなくKO負けに近い試合だっただけに、今回の再起戦で評価を上げたいところだ。
 ともに攻撃型ということで、まずは序盤の主導権争いに注目したい。フローレスは175センチの長身だが、体格を生かすことに頓着はないようで、自分から距離を詰めていくタイプだ。ローマンも積極的なボクシングを身上としており、中間距離での戦いは望むところであろう。16年以降の2年半に2試合しかしていないフローレスと、同じ期間に7試合をこなしているローマン。勢いの差がそのまま試合にも出そうだ。

ドイツのエリート vs イギリスのロッキー
前半からワンツーを軸にしたペース争いか

 タイロン・ツォイゲ(26=ドイツ)はアマチュア時代、ジュニア世代を対象とした世界カデ選手権にしたほか欧州ユース選手権優勝(09年)、ドイツ国内選手権優勝(10年)、欧州選手権出場(11年)となかなかの実績を持っている。12年3月に転じたプロでは6年間に23戦22勝(12KO)1分と無敗を誇る。この23試合にはWBOユース王座戦、IBFインターナショナル王座戦などが含まれるが、すべてドイツ国内で行われたものだ。唯一勝てなかったのは16年7月のジョバンニ・デ・カロリス(イタリア)戦で、これが世界初挑戦だった。4ヵ月後、ツォイゲはカロリスに再挑戦して12回KO勝ち、現在の王座を獲得した。アイザック・エクポ(ナイジェリア)は5回負傷判定勝ちという不完全燃焼だったが、今年3月の再戦では2度のダウンを奪って2回TKO勝ち、きっちりとけりをつけている。
 挑戦者のロッキー・フィールディング(30=イギリス)は27戦26勝(14KO)1敗のレコードを残している185センチの長身選手で、こちらはイギリスを離れて初の試合となる。英連邦王座やWBAインターコンチネンタル王座、WBCインターナショナル王座などツォイゲに劣らぬ地域王座コレクターといえる。唯一の敗北は15年11月、カラム・スミス(イギリス)に3度倒されて初回TKOで敗れたもので、この挫折が出世を妨げてきたといえる。ただ、今回はこの打たれ脆さが王者陣営から逆評価されたとみることもできる。そういった意味では敗北が幸運を呼び込んだともいえる。スミス戦後は5連勝(2KO)と巻き返しており、また相手国での挑戦ということで思い切った攻撃を仕掛けてくることが考えられる。ツォイゲにとっては油断ならない相手といっていいだろう。
 ふたりともワンツーを軸にしたボクシングをするが、ツォイゲの方が積極的で攻撃の幅は広い。フィールディングは守るところは守るタイプで、出てきた相手を迎え撃つこともできる。前半からワンツーを軸にしたペース争いが展開されそうだが、両者の歯車がどう噛み合うか注目したい。オッズは地元のツォイゲが3対1で有利と出ているが、総合的な戦力はほぼ互角といっていいだろう。

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