オーストラリアのスズメバチ vs 3階級制覇狙うハンター
クロフォードのスピードと技巧にアドバンテージ

  • 2018/08/03

 昨年7月、6階級制覇の実績を持つスーパースター、マニー・パッキャオ(39=フィリピン)を地元ブリスベン(オーストラリア)に迎え、12回判定で破ってWBO世界ウェルター級王者になったジェフ・ホーン(30=オーストラリア)の2度目の防衛戦。3階級制覇を狙う指名挑戦者のテレンス・クロフォード(30=アメリカ)は「ハンター」の異名を持つスイッチ・ヒッターで、ボクサーの強さ指数ともいうべき「パウンド・フォー・パウンド」の上位常連でもある。スピードとスキルで勝るクロフォード有利の予想が揺るがないなか、アメリカ初登場のホーンは強烈な一刺しを食らわせることができるか。
 ホーンはアマチュア時代に11年世界選手権(2回戦敗退)、12年ロンドン五輪(ベスト8)にオーストラリア代表として出場した実績を残し、13年3月にプロ転向を果たした。決して目立つ存在ではなかったが、4戦目が負傷引き分けに終わった以外は順調に白星を重ねてきた。オーストラリアの国内王座、WBOオリエンタル王座、WBAパンアフリカン王座、PABA王座、IBFインターコンチネンタル王座などを獲得して世界ランクを駆け上がり、一昨年12月にはアリ・フネカ(南アフリカ共和国)との世界ランカー対決を6回TKOで制してパッキャオへの挑戦にこぎ着けた。
 そのパッキャオへの挑戦試合は6対1で不利とみられたが、地元の声援を背にホーンは奮闘。体力で押し込みながら際どくポイントを重ね、終盤のピンチをしのいで3対0の判定勝ちを収めた。初防衛戦では格下のゲイリー・コーコラン(イギリス)を11回TKOで退け、戦績を19戦18勝(12KO)1分に伸ばしている。
 パッキャオに勝ったことで一躍トップ戦線の主役のひとりになったホーンだが、秀でた能力の持ち主かというと必ずしもそうとはいえないタイプだ。むしろ武骨な部類に入るかもしれない。最大の武器は、パッキャオのスピードや動きを抑え込み、被弾にも耐えた頑丈な体とハートだ。加えてスタミナもある。これらを生かすボクシングをさせたら厄介なことになる。
 挑戦する立場にまわったクロフォードは対照的に才能に恵まれた俊敏な選手だ。アマチュア時代にはサダム・アリ(08年北京五輪アメリカ代表、のちのWBO世界スーパー・ウェルター級王者)に敗れて五輪に出場することはできなかったが、ダニー・ガルシア(元世界2階級制覇王者)とは1勝1敗と星を分けている。
 70戦58勝12敗のアマ戦績を残して08年3月にプロデビュー。
5年ほどは慎重なマッチメークが続いたが、13年からは一転して強気なカード組みが目立つようになった。その期待に沿って14年にイギリスでWBO世界ライト級王座を獲得すると、15年にはスーパー・ライト級でもWBO王座を獲得。2年前にWBC王座を吸収したあと昨年8月にはWBA&IBF王者のジュリウス・インドンゴ (ナミビア)に3回KO勝ちを収め、4団体統一を果たした。32戦全勝(23KO)とプロでは挫折を知らず、世界戦だけでも10戦全勝(7KO)をマークしている。目下3連続KOと勢いもある。
 クロフォードは左右どちらの構えでも戦えるスイッチ・ヒッターだが、最近は攻撃に重点を置いているのかサウスポーで戦うケースが多い。ホーンはサウスポーのパッキャオを判定で破っており左構えの選手に苦手意識はなさそうだが、持ち味の馬力を生かすためには中近距離で押し込む展開に持ち込まなければならない。スピードもスキルも備え、頭脳の面でも秀でたクロフォードが、そう簡単に相手の得意パターンにはまるとは思えない。「ハンター」が俊敏に動いて「スズメバチ」に的を絞らせずに主導権を握り、中盤あたりから徐々に攻撃のペースを上げていくことが考えられる。ウェルター級のライバルたちにアピールするためにも、クロフォードは単に勝つだけでなくタフなホーンを倒したいところだ。オッズは4対1でクロフォード有利と出ている。

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :キース・サーマン(アメリカ)
WBA   :マニー・パッキャオ(フィリピン)
WBC   :空位
IBF   :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO   :ジェフ・ホーン(オーストラリア)

 WBAスーパー王者のキース・サーマン(29=アメリカ)が右肘の手術や拳の負傷のため昨年3月からリングに上がっていない点は寂しいが、その留守中にウェルター級トップ戦線は激しさを増してきた感がある。WBAのレギュラー王座にはルーカス・マティセ(35=アルゼンチン)を7回TKOで屠った6階級制覇のスーパースター、マニー・パッキャオ(39=フィリピン)が座り、IBF王座には24戦全勝(21KO)のサウスポー、エロール・スペンス(28=アメリカ)が君臨している。WBO王座は1年前にパッキャオを破った「THE HORNEST(スズメバチ)」ジェフ・ホーン(30=オーストラリア)がキープしている。
 この4王者がすんなり「4強」とならないところが現在のウェルター級の層の厚さ、質の高さを示しているといえる。ホーン以上、いやサーマンやパッキャオよりも上の評価を得ているといえるのが、今回の挑戦者でもあるテレンス・クロフォード(30=アメリカ)だ。「ハンター」のニックネームを持つこのスイッチ・ヒッターは、敵地となるイギリスでライト級王座を獲得し、次いで王座についたスーパー・ライト級では4団体統一を果たしている。ウェルター級での実績がないにもかかわらず、スペンスに匹敵する実力者と目されているのだ。ここでホーンを倒すようなことがあると、スペンスをも抜いて一気にトップの評価になる可能性が高い。
 第1グループは彼ら5人だけではない。サーマンが返上して空位になったWBC王座の決定戦に出場する元WBC王者のダニー・ガルシア(30=アメリカ)と、その相手となる元IBF王者のショーン・ポーター(30=アメリカ)もぴったりと付いている。
 7人を追う第2グループには元WBO王者のジェシー・バルガス(29=アメリカ)、そのバルガスと引き分けた元4階級制覇王者のエイドリアン・ブローナー(29=アメリカ)、2度の五輪出場経験を持つエギディウス・カバリアウスカス(30=リトアニア/アメリカ)、08年北京五輪ライト級銅メダリストのヨルデニス・ウガス(32=キューバ/アメリカ)らがいるが、トップグループとの差は小さくない。

心機一転の元王者 vs KO率64%のWBO5位
ペドラサが危険なチャレンジ

 実績やネームバリューでは元IBF世界スーパー・フェザー級王者のホセ・ペドラサ(29=プエルトリコ)が大きく勝るが、相手のアントニオ・モラン(25=メキシコ)は25歳と若いうえ25戦23勝(16KO)2敗と高いKO率(64パーセント)を残しているだけに、どう転ぶか分からないカードといえる。
 ペドラサは08年北京五輪に出場後の2011年にプロデビューし、7年間で24戦23勝(12KO)1敗の戦績を残している。身長174センチ、リーチ179センチと恵まれた体格の持ち主で、左右どちらの構えでも戦えるスイッチ・ヒッターだ。右構えのときは中長距離から右ストレートを狙うことが多く、左構えで戦うときは打撃戦を仕掛けることも少なくない。「スナイパー(狙撃手)」というニックネームほどの迫力は感じられないが、総合的に見て穴の少ない選手といえよう。昨年1月にジャーボンテイ・デービス(アメリカ)に7回TKO負けを喫して世界王座から陥落したが、トップランク社とプロモート契約を交わして今年3月にライト級で再起した。現在はライト級でWBO14位、WBC16位にランクされている。
 モランは実績ではペドラサに及ばないが、今回はWBO中南米王者として挑戦を受ける立場にある。現在の肩書もWBOライト級5位で、ペドラサよりも上位にいる。モランは12年3月にメキシコでプロデビューし、25試合すべて国内で行ってきた。これがアメリカのリング初登場となる。ペドラサよりも9センチ大きい183センチの長身選手で、左ジャブから右ストレートを狙うタイプだ。16年12月に元WBA暫定世界スーパー・フェザー級王者のエマヌエル・ロペス(メキシコ)に2対1の8回判定負けを喫してからは3連続KO勝ちと勢いを取り戻している。
 ともに最も得意とするパンチは右ストレートだが、まずはペドラサが左右どちらの構えでスタートするか注目したい。右構えで戦う場合は、足をつかいながら距離と角度に気をつけて出入りするものと思われる。左構えを選択した場合は打撃戦を仕掛ける可能性もある。経験値や引き出しの数で勝るペドラサが3対1のオッズで有利とみられているが、接戦が予想される。

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