コットを破った王者 vs 21歳の大型ホープ
オッズは接近 11対8でアリ有利

  • 2018/07/18

 昨年12月、12対1のオッズをひっくり返してミゲール・コット(プエルトリコ)に12回判定勝ち、WBO世界スーパー・ウェルター級王座を奪ったサダム・アリ(29=アメリカ)の初防衛戦。挑戦者のハイメ・ムンギア(21=メキシコ)は28戦全勝(24KO)、86パーセントのKO率を誇る強打者だが、まだ実力を計る相手との対戦がない。評価を定める段階ではないが、若いうえに体が大きく、勢いがあるだけに危険度の高い挑戦者といえる。オッズはアリ有利だが、11対8と接近している。
 中東イエメンからの移民の両親のもとアメリカのニューヨークで生まれ育ったアリは、8歳でボクシングを始めた。アマチュア時代には全米ゴールデングローブ大会で優勝し、08年北京五輪にも出場した(ライト級1回戦敗退)経験を持つ。09年1月にプロデビューし、挫折知らずの22連勝をマークして世界上位に進出。しかし、16年3月に迎えた初の大舞台、WBO世界ウェルター級王座決定戦ではジェシー・バルガス(アメリカ)の右ストレートを浴びて9回TKO負けに退いた。再起後は元暫定世界王者ジョアン・ペレス(ベネズエラ)を下すなど3連勝(1KO)を収めたが、評価が大きく上向いたとはいえなかった。
 そんな折りに舞い込んだのがコットへの挑戦だった。すでに引退を決めていたコットが有終の美を飾るため、リスクの少ない相手としてアリを選んだのだ。ウェルター級がベスト体重だったアリはスピードやテクニックこそあるもののパワーは中の上で、バルガスに倒されたように耐久力には課題を抱えていた。しかし、アリは右ストレートや左フックで何度か4階級制覇王者を追い込み、3対0の判定勝ちを収めてみせた。この勝利で一躍、スーパー・ウェルター級王座のひとつを占めることになったアリだが、今後は防衛を重ねながらコット戦の勝利がフロックではなかったことを証明していかなければならない。
 その初防衛戦では、3代前の王者で現1位のリアム・スミス(29=イギリス)の挑戦を受ける予定だったが、スミスが皮膚炎のため十分なコンディションがつくれないとして辞退。そこで代役として白羽の矢が立ったのがムンギアだった。
 ムンギアは、ドーピング違反のため5月の挑戦を辞退したサウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)の代わりにゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)と対戦する意思を示していたが、ネバダ州のコミッションから「待った」がかかったため挑戦を見送ったところだった。そんなタイミングで舞い込んだのがアリへの挑戦話だった。
 このムンギア、13年7月に16歳でプロデビューし、5年間で28の白星を積み上げてきた。アルバレスの台頭期と重なるイメージがある。まだ全体的な実力を計る相手との手合わせはないが、圧力をかけながら183センチの長身から右ストレート、左フックを思い切り振り抜くタイプで、24KOのうち20度は3ラウンド以内で仕留めている速攻型でもある。ただ、勝負が6ラウンド以降にずれこんだことは3度だけで、まだスタミナや耐久力に関しては十分に試されているとはいえない。
 大舞台の経験や試合運び、テクニックなどではアリが勝っていると思われる。王者はそのアドバンテージを生かしながら序盤を無難に乗り切り、勝負を長引かせて相手の弱点を探っていきたいところだ。一方、体格で勝るムンギアは圧力とパワーで押し込み、アリを後退させるような展開に持ち込みたい。
 挑戦者の若さが怖いもの知らずの勢いとなってプラス効果をもたらすのか、それとも経験不足というマイナスのかたちで出るのか。その点が最大の注目ポイントといえそうだ。

スーパー・ウェルター級トップ戦線

WBA SC :ジャレット・ハード(アメリカ)
WBA SC :ブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)
WBC   :ジャーメル・チャーロ(アメリカ)
IBF   :ジャレット・ハード(アメリカ)
WBO   :サダム・アリ(アメリカ)

 昨秋の時点ではWBAスーパー王座にエリスランディ・ララ(35=キューバ/アメリカ)、WBO王座に37歳のミゲール・コット(プエルトリコ)が君臨していたが、このふたりが敗れたことでトップ戦線は一気に若返った。ララに勝って2団体王者になったジャレット・ハード(アメリカ)が27歳、WBAレギュラー王座を持つブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)とWBC王者のジャーメル・チャーロ(アメリカ)が28歳、そしてコットから王座を引き継いだWBO王者のサダム・アリ(アメリカ)が29歳と、4人とも20代だ。戦績はハードが22戦全勝(15KO)、カスターニョが15戦全勝(11KO)、チャーロが31戦全勝(15KO)、アリが27戦26勝(14KO)1敗で、4人合わせて95戦94勝(55KO)1敗という数字になる。今回、WBO王者のアリに挑む28戦全勝(24KO)のハイメ・ムンギア(21=メキシコ)が勝利を収めるようなことがあると、平均年齢はさらに若くなり、4王者全員が全勝ということになる。なお、アリ対ムンギアの勝者に対しては、元王者のリアム・スミス(29=イギリス)が指名挑戦権を行使することになりそうだ。
 こうしたなか、さらなる統一戦の機運が高まっている。特にハードとチャーロは直接対決を強く望んでおり、メディアを通じた舌戦も展開している状態だ。ただ、ハードに対しては4月に対戦して最終回にダウンを喫して惜敗したララが再戦を要求しており、今後に関しては不透明な部分が多い。
 ランカー陣では、今年3月に再起を果たした元IBF世界ウェルター級王者のケル・ブルック(32=イギリス)、WBCとIBFで1位に名を連ねるジュリアン・ウィリアムス(28=アメリカ)が王者たちを脅かす力量を持っている。WBA4位にランクされる14戦全勝(11KO)のカルロス・アダメス(24=ドミニカ共和国)にも要注目だ。

KO防衛狙う王者 vs アルメニア出身の「クレイジーA」
体格と経験で勝るバルガス有利

 レイ・バルガス(27=メキシコ)は昨年2月、長谷川穂積(真正)が返上して空位になった王座の決定戦に出場し、ギャビン・マクドネル(イギリス)に12回判定勝ちを収めて戴冠を果たした。その後、ロニー・リオス(アメリカ)、オスカル・ネグレテ(コロンビア)に大差をつけて王座を守っており、これが3度目の防衛戦となる。
 安定した力を発揮している一方、戴冠試合を含めた3度の世界戦はいずれも判定まで長引いており、このあたりでKO勝ちが欲しいところだ。オッズは9対2でバルガス有利と出ている。
 31戦全勝(22KO)と70パーセントを超すKO率を残しているように、もともとバルガスは強打者として売り出してきた。172センチの長身から打ち下ろす右や回転の速い連打、接近した際の左右アッパーなどが主武器で、ルーキー時代には14連続KO勝ちをマークしたこともある。このあたりで派手なKO防衛を果たすようだと評価は再び上昇するはずだ。
 挑戦者のアザト・ホバニシヤン(29=アルメニア)は「クレイジーA」というニックネームを持つ好戦的な選手で、こちらも16戦14勝(11KO)2敗と高いKO率(約69パーセント)を誇る。1年ほど前までは無名に近い存在だったが、昨年9月にWBC米大陸王座を獲得して頭角を現し、今年3月にはバルガスに挑んだリオスを6回でKO、世界戦線に割り込んできた。リオスを倒した右と細かい連打を主武器とする好戦的なタイプで、構えを左にスイッチすることもある。
 バルガスとホバニシヤンはアマチュア時代、ともに09年世界選手権に出場した経験を持つ。バルガスがバンタム級1回戦でルーク・キャンベル(イギリス=12年ロンドン五輪金)にポイント負けを喫したのに対し、フェザー級に出場したホバニシヤンは準々決勝でオスカル・バルデス(メキシコ=現WBO世界フェザー級王者)にポイント負けを喫したもののベスト8という実績を残している。
ひょっとしたら会場ですれ違っていた可能性もある。
 距離を潰したいホバニシヤンが積極的に仕掛け、バルガスが足と左ジャブで間合いを外しながら迎撃の機会をうかがうという展開が予想される。このところ8戦全勝(6KO)と好調のホバニシヤンとすれば自身のリスクを承知で打撃戦に持ち込みたいところだが、バルガスがそれに簡単に応じるとは思えない。体格と経験値で勝る王者が着々と加点していきそうだが、その先(KO勝ち)に繋げることができるか。

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