KO決着濃厚のベテラン対決
パッキャオのスピードにアドバンテージ

  • 2018/07/06

 スーパー・ライト級のWBC暫定王座とWBAウェルター級の2階級制覇王者、35歳のルーカス・マティセ(アルゼンチン)と、6階級で世界王座を獲得したスーパースター、39歳のマニー・パッキャオ(フィリピン)。実績十分のベテラン強打者同士の一戦はKO決着が濃厚だ。オッズは9対5でパッキャオ有利と出ているが、左右ともに硬質感のあるマティセの強打が、その数字をもひっくり返す可能性は十分にある。「パッキャオをKOして引導を渡す」というマティセの宣言を支持する関係者やファンは少なくない。
 試合はマレーシアの首都クアラルンプールで行われる。決戦の舞台は1万6000人の収容能力を持つアシアタ・アリーナで、プロモーターはパッキャオ自身が務める。マレーシアでボクシングの世界的な注目イベントが開催されるのは1975年7月1日、モハメド・アリ(アメリカ)対ジョー・バグナー(イギリス)の世界ヘビー級タイトルマッチ以来43年ぶりのこととなる。
 昨年7月、ジェフ・ホーン(30=オーストラリア)に小差の判定負けを喫してWBO世界ウェルター級王座を失ったパッキャオは、契約するトップランク社の仕切りのもと4月に再起戦を予定していた。日程と相手が内定していたが、1月に戴冠を果たしたマティセへの挑戦をパッキャオが熱望したため、内定していた試合を見送り、紆余曲折を経て今回のカードが実現することになった。パッキャオが代表を務めるMPプロモーションズが、マティセを擁するゴールデンボーイ・プロモーションズの協力を得てイベントのプロモートを行うのは、こうした経緯があるためだ。試合はアメリカのゴールデンタイムのテレビ放送の時間を優先し、マレーシアの昼のゴングとなる。
 世界王座を持っているのはマティセだが、主役がパッキャオであることは誰もが認めるところであろう。ゴールデンボーイ・プロモーションズのトップでもあるオスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ)と並ぶ6階級制覇を成し遂げているパッキャオは、年末には40歳になる。16歳1ヵ月でデビューしたのが95年1月だから、23年以上もプロのリングに上がり続けている計算だ。その間にフライ級(約50.8キロ以下)からスーパー・ウェルター級(約69.8キロ以下)まで体重の壁を越えて戦い、6つの階級で世界一の称号を手にした。身長166センチ、リーチ170センチと体そのものは決して大きくないが、鋭く的確な踏み込みと上下に打ち分ける左ストレート、右フックを主武器に数々の名勝負を演じてきた。通算戦績は68戦59勝(38KO)7敗2分で、そのうち22度は世界戦(16勝8KO4敗2分)だ。
 ただ、最近は相手から研究されていることもあって、09年11月のミゲール・コット(プエルトリコ)戦の12回TKO勝ちを最後に9年間、13戦もKO勝ちから遠ざかっている。こうしたデータや年齢のこともあり、衰えを指摘する声もある。パッキャオ自身は試合のたびに「まるで20代のときのように溌溂とした動きができる」と強気なコメントを発し続けているが、衰えの自覚の裏返しと解釈することもできそうだ。また、今回の試合を前に17年間も師事してきたフレディ・ローチ・トレーナーとのコンビを解消し、新たにブボイ・サンチェス・トレーナーと組んでいる。このあたりも不安要素といえるかもしれない。
 一方のマティセは実績では及ばないものの、こちらも経験値の高いベテランである。
44戦39勝(36KO)4敗1無効試合、約82パーセントのKO率が示すとおりのハードパンチャーで、デビュー4戦目から19連続KO勝ちをマークしたこともある。36KOのうち23度は3ラウンド以内でけりをつけたもので、特に序盤に強さを発揮するタイプでもある。上体をやや前傾させた構えでプレッシャーをかけ、距離を潰しながら右ストレート、左フック、左右のアッパーを上下に叩きつける好戦的なタイプだ。その戦いぶりは鋼鉄のハンマーをつかった破壊作業を想起させる。極めて危険な相手といっていい。だからこそ「戦いたい」とパッキャオに思わせたのだろう。
 ただ、15年10月にビクトル・ポストル(ウクライナ)に10回KO負けを喫してからは1年7ヵ月のブランクをつくっており、11年から13年にかけて6連続KO勝ちを収めたころのような勢いは感じられない。戦線復帰後は2連続KO勝ちと復調の気配はあるものの、半年前のテワ・キラム(タイ)との王座決定戦では8回で仕留めるまで相手のアウトボクシングに手を焼いていた。
 ともに攻撃型ということで試合は序盤から目の離せない展開になるものと思われる。
いきなり両者が正面からのパンチ交換を望んだ場合は、派手な早期決着も考えられる。一方で、戦術に関しては王者よりも幅広い選択肢を持つパッキャオが前後左右にステップを踏みながら揺さぶりをかけて、マティセに的を絞らせずに勝負を長引かせる可能性もある。その場合はパッキャオのスピードと経験が生きてきそうだ。そういえば、かつてマティセはポストルやキラムのアウトボクシングに手を焼き、かつサウスポーのザブ・ジュダー(アメリカ)、デボン・アレキサンダー(アメリカ)に地元判定の声も出た僅差の判定負けを喫している。そのあたりにヒントを得て、パッキャオが確実に勝利を握ろうとするならば、両者のミックス型がベストの戦い方ということになるかもしれない。オッズは9対5でパッキャオ有利と出ているが、両者の現有戦力や近況を考えれば、ほぼ互角とみてもいいのではないだろうか。

<資料1>TALE OF THE TAPE 両選手の体格比較

  • 名前

    マティセ

    パッキャオ

  • 生年月日/年齢

    1982年9月27日/35歳

    1978年12月17日/39歳

  • 出身地

    アルゼンチン

    フィリピン

  • アマチュア実績

    01年世界選手権出場

    64戦60勝4敗

  • プロデビュー

    04年6月

    95年1月

  • 獲得王座

    Sライト級(WBC暫定)
    ウェルター級

    フライ級
    Sバンタム級
    Sフェザー級
    ライト級
    ウェルター級
    Sウェルター級

  • 世界戦の戦績

    6戦4勝(4KO)2敗

    22戦16勝(8KO)4敗2分

  • 通算戦績

    44戦39勝(36KO)
    4敗1無効試合

    68戦59勝(38KO)7敗2分

  • KO率

    82%

    56%

  • 身長/リーチ

    169センチ/175センチ

    166センチ/170センチ

  • 戦闘タイプ

    右ファイター

    左ファイター

  • トレーナー

    ジョエル・ディアス

    ブボイ・サンチェス

  • ニックネーム

    「ラ・マキナ(機械)」

    「パックマン」

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC :キース・サーマン(アメリカ)
WBA   :ルーカス・マティセ(アルゼンチン)
WBC   :空位
IBF   :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO   :ジェフ・ホーン(オーストラリア)

 147ポンド(約66.6キロ)を体重上限とするウェルター級は昨年を機に勢力図が大きく変わった。まず3月、WBAスーパー王者のキース・サーマン(29=アメリカ)がWBC王者のダニー・ガルシア(30=アメリカ)に小差の判定勝ちを収めて王座を統一。5月にはサウスポーのエロール・スペンス(28=アメリカ)がケル・ブルック(32=イギリス)を11回KOで破ってIBF王座を奪い取った。その2ヵ月後、マニー・パッキャオ(39=フィリピン)が伏兵とみられたジェフ・ホーン(30=オーストラリア)に12回判定負けを喫してWBO王座から陥落した。今年に入り、右肘の手術や拳の負傷でブランクが続くサーマンの留守を預かるかたちで、ルーカス・マティセ(35=アルゼンチン)が決定戦を制してWBA王座を獲得している。また、サーマンが返上したWBC王座は、ガルシア対ショーン・ポーター(30=アメリカ)のカードで8月に決定戦が行われる予定だ。
 さらに、この階級にはライト級、スーパー・ライト級の元王者、サウスポーのテレンス・クロフォード(30=アメリカ)が参入してきており、まさに群雄割拠、風雲急を告げる状態といえる。ややサーマンの影が薄くなってしまったが、以前のような力を維持しているならば実績重視でトップに位置づけることができる。ほぼ横並びでスペンス、クロフォードといったところか。サーマンに惜敗しているガルシアとポーターがこれに続く。そして忘れてはならないのがパッキャオだ。近年はフィリピンの上院議員として多忙な政治活動の合間にリングに上がるかたちになっているが、実績や知名度は他者の追随を許さないものがある。今回のマティセ戦で派手なKO勝ちを収めるようならば存在感が再浮上しそうだ。
 このほか元王者のジェシー・バルガス(29=アメリカ)、2年ぶりの戦線復帰戦で1回TKO勝ちを収めたアミール・カーン(31=イギリス)らもトップ戦線をかき回す力がある。

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