返り咲き後の初防衛戦
「破壊者」コバレフの強打に注目

  • 2018/04/13

 セルゲイ・コバレフ(34=ロシア)は16年11月にアンドレ・ウォード(アメリカ)に僅差の判定負けを喫してWBA、IBF、WBO3団体統一王座を失い、翌17年6月の再戦では8回TKOで返り討ちに遭った。ボクサーの強さ指標ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」上位常連だったコバレフだが、ふたつの黒星を機に評価は下落。しかし、ウォードの引退にともなって空位になった3王座のうち、コバレフはWBOで返り咲きを果たした。昨年11月のことである。トレーナーをウズベキスタンの元アマチュア指導者アブロール・タースンプラトフに代えたことも、いまのところ吉と出ているようだ。再び株が上昇しているだけに、今度も圧倒的な強さをみせておきたいところだ。
 コバレフは215戦193勝22敗というアマチュア戦績を残して09年にアメリカでプロデビュー。以来、9年間で34戦31勝(27KO)2敗1分を記録している。このなかにはWBO世界ライト・ヘビー級王座を獲得した試合をはじめ12度の世界戦が含まれており、10勝(8KO)2敗と高いKO率を誇る。正確で強い左ジャブから右ストレートを素早く繋ぎ、さらに左、右と嵩にかかって攻める。「クラッシャー(破壊者)」というニックネームがあるように、攻撃力に関しては文句のつけようがない。不安があるとすれば防御だ。特にウォードとの再戦ではボディを攻められて意外なモロさをさらしているだけに、今後は相手がその弱点を突いてくるケースが増えるだろう。ただし、コバレフを攻略するにはウォード並みのスピードと攻防の技術が必要であることも確かだ。
 挑戦者のイゴール・ミカールキン(32=ロシア)はWBO4位にランクされるサウスポーで、アマチュア時代には現IBF王者のアルツール・ベテルビエフ(33=ロシア)に3勝していると伝えられる。ロシアやヨーロッパのジュニア選手権を制するなど240戦228勝12敗というアマチュア戦績を残し、07年11月にプロに転向。以来、12戦目に10回判定負けを喫した以外は順調に白星を重ね、ここまで22戦21勝(9KO)1敗というレコードを残している。
上体を柔軟に動かしてリズムをとり、右ジャブで牽制したあと左ストレートを伸ばして攻め込むボクサーファイター型だ。EBU欧州タイトルマッチなどで5度も12ラウンドをフルに戦いきっており、スタミナは十分にあるといっていいだろう。ただ、約41パーセントのKO率が示すようにパワーという点ではコバレフに遠く及ばない。気力と手数でどこまでカバーできるか。
 ふたりはアマチュア時代から親交があるため、互いに手の内は知っているものと思われる。ミカールキンは先手をとって王者を慌てさせる展開に持ち込みたいが、それが容易ではないことも分かっているはずだ。攻撃力で大きく勝るコバレフが徐々に追い込んでいく可能性が高い。

正統派王者ビボルのV4戦
1位のバレラを相手に真価が問われる一戦

 14年11月にプロデビューしてから3年余で12戦全勝(10KO)の戦績を収め、2年前に獲得したWBA王座(当時は暫定王座)をすでに3度防衛しているドミトリー・ビボル(27=キルギス/ロシア)の真価が問われる試合といえる。オッズは9対2でビボル有利と出ているが、WBA1位のサリバン・バレラ(36=キューバ)は侮れない相手だ。
 父親がモルドバ、母親が韓国出身というビボルは中央アジアのキルギスで生まれ、6歳のときにボクシングを始めたと伝えられる。12年と14年にロシア選手権で優勝するなどアマチュアで283戦268勝15敗という戦績を残したあとプロに転向した。2年前に暫定王座を獲得したころは脇役の印象が強く、はるか格下相手に2度の防衛を果たしても評価に大きな変化はなかった。しかし、昨年6月、アンドレ・ウォード(アメリカ)対セルゲイ・コバレフ(ロシア)再戦の前座でセドリック・アグニュー(アメリカ)を圧倒したうえで4回TKOで下し、大きく株を上げた。この無冠戦の5ヵ月後、V3戦でも1回KO勝ちを収めている。左ジャブから右ストレート、左フック、さらに右から連打とたたみ込む正統派の強打者で、回転力もある。まったく底をみせていないだけに、今後の展開しだいではライト・ヘビー級の核になる可能性も秘めている。
 挑戦者のバレラは2000年の世界ジュニア選手権ミドル級で優勝しているほか、02年と03年にはキューバの国内選手権でミドル級3位に食い込んでいる。09年8月にアメリカでプロデビューし、9年間に22戦21勝(14KO)1敗というレコードを残している。2年前、ウォードに12回判定負けを喫したのが唯一の敗北で、以後、ビアチェスラフ・シャブランスキー(ウクライナ)、ジョー・スミス(アメリカ)、フェリックス・バレラ(ドミニカ共和国)といった強豪を相手に4連勝(2KO)を飾っている。
 このバレラも左ジャブで切り込んで右ストレート、さらに左の上下に繋げるオーソドックスな戦闘スタイルの持ち主だが、コンビネーションの繋ぎがスムーズではないため、ビボルのような回転力は備えていない。その分、右ストレートの伸びはある。
 ともに正統派だが、パンチの破壊力と連打力という点でビボルが上を行く。決して楽な試合にはならないだろうが、利点を生かしてポイントを重ねる可能性が高いとみる。バレラは左ジャブで突き勝って序盤で流れをつくりたいところだ。

ライト・ヘビー級トップ戦線の現状

WBA   :ドミトリー・ビボル(キルギス)
WBC   :アドニス・スティーブンソン(ハイチ)
WBC 暫定:オレクサンデル・グウォージク(ウクライナ)
IBF   :アルツール・ベテルビエフ(ロシア)
WBO   :セルゲイ・コバレフ(ロシア)

 近年、ボクシング界ではロシアやウクライナ、カザフスタンなど旧ソ連勢の活躍が目立つが、このライト・ヘビー級はその傾向が顕著に出ているクラスといえる。WBO王者のセルゲイ・コバレフ(34=ロシア)は第2次政権だが、このあとどこまで防衛のテープを伸ばせるか。まずは今回のイゴール・ミカールキン(32=ロシア)戦に注目したい。
 アマチュア時代にコバレフに2度敗れているIBF王者のアルツール・ベテルビエフ(33=ロシア)は、昨年11月に王座についた強打者で、12戦全KO勝ちというレコードを誇る。故障が多い点が気になるが、パンチ力はこの階級随一といっていいだろう。WBA王者のドミトリー・ビボル(27=キルギス)は経験値ではほかの王者たちに及ばないが、その分、若くて可能性に満ち溢れている。今回のサリバン・バレラ(36=キューバ)を含めトップレベルでの戦いに慣れていけば、さらに存在感を増すものと思われる。WBCの暫定王座を獲得したオレクサンデル・グウォージク(30=ウクライナ)は、12年ロンドン五輪ライト・ヘビー級銅メダリストで、プロでは15戦全勝(12KO)と負けを知らない。まだ評価を定める段階ではないが、今後の活躍を期待したい。
 こうしたなかカリブ海のハイチ出身のWBC王者、アドニス・スティーブンソン(40=ハイチ)が5年間に8度の防衛を重ねており、コバレフとともに実績ではビボル、ベテルビエフ、グウォージクらを引き離している。ただ、このサウスポーのパンチャーは16年に1試合、17年も1試合とペースが落ちている点が気がかりだ。次は2階級制覇の実績を持つバドゥ・ジャック(34=スウェーデン)の挑戦を受けることになっている。
 興味深いのは、コバレフ、ビボル、グウォージクがアメリカ、スティーブンソンとベテルビエフがカナダを活動拠点にしていることだ。出身地は様々だが、やはりアメリカをはじめとした北米がボクシングの中心地である点は現在も変わっていないということが分かる。
 無冠組では、長いこと挑戦の機会を待っている23戦全勝(11KO)のエレイデル・アルバレス(33=コロンビア)、12年ロンドン五輪出場の実績を持つ21戦全勝(16KO)のマーカス・ブラウン(27=アメリカ)を覚えておきたい。

もっと見る

閉じる

My番組登録とは?

My番組登録で見逃し防止!

見たい番組、気になる番組をあらかじめ登録。
放送時間前のリマインドメールで番組をうっかり見逃すことがありません。

利用するには?

WEB会員IDをご登録のうえ、ログインしてご利用ください。

WEB会員IDをお持ちでない方
WEB会員IDを登録する
WEB会員IDをお持ちの方
ログインする
閉じる

番組で使用されているアイコンについて

初回放送
新番組
最終回
生放送
5.1chサラウンド放送
二カ国語版放送
吹替版放送
字幕版放送
字幕放送
ノンスクランブル(無料放送)
オンデマンドでの同時配信
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの