賞金トーナメントWBSSの準決勝
ウシクのスキル VS ブリーディスのパワー

  • 2018/04/13

 欧米のプロモーターが協力して開催中の賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」のクルーザー級には、世界的なトップ選手8人がエントリー。そのなかで主要4団体の王者4人が初戦の準々決勝を勝ち抜き、ここから先は統一戦として拳を交えることになった。その準決勝初戦がWBO王者のオレクサンダー・ウシク(31=ウクライナ)対WBC王者のマイリス・ブリーディス(33=ラトビア)の12回戦だ。
 ウシクは08年北京五輪こそベスト8に甘んじたが、12年ロンドン五輪ではヘビー級で金メダルを獲得した。ビタリ&ウラディミールのプロモーション会社「K2」と契約して13年11月にプロ転向を果たし、10戦目にクシシュトフ・グロワキ(ポーランド)を破ってWBO王座を獲得した。プロ転向から3年足らずの順調な出世といえる。次戦ではアメリカ進出を果たし、ここまで3度の防衛に成功している。昨年9月のWBSS初戦では元王者のマルコ・フック(セルビア/ドイツ)を10回TKOで退け、新しい時代が到来したことを印象づけた。
 デビューからの9連続KO勝ちを含め13戦全勝(11KO)と高いKO率(約85パーセント)を誇るウシクだが、強打者という印象は薄い。ウシクは190センチの長身と198センチのリーチを生かしたサウスポーのボクサーファイター型で、絶えず立ち位置を変えながら右ジャブから左ストレート、さらに細かい連打でポイントを稼ぐタイプといえる。重量級にしては迫力不足ともいえるが、運動量の多さは尋常ではない。WBSSでは本命とみられており、今回のブリーディス戦も敵地での試合であるにもかかわらず6対1のオッズで有利とみられている。
 WBC王者のブリーディスはアマチュアで国内王座を3度獲得したが、国際試合で活躍した実績はない。プロ転向は09年10月で、以後、ラトビアだけでなくポーランド、アメリカ、ギリシャ、ドイツ、ロシア、イギリスなどで戦ってきた。2年前に挑戦者決定戦を制して1位まで上がり、昨年4月の王座決定戦で元王者のフックに12回判定勝ちを収めてラトビア初の世界王者になった。比較的両ガードを高くあげた構えで相手に圧力をかけ、踏み込んで右ストレート、左フックを返す攻撃パターンが多い。最大の武器はオーバーハンドの右か。崩しのパターンは多くないが、15年8月には現WBA世界ヘビー級王者のマヌエル・チャー(レバノン/シリア)を5回KOで屠っているように、パンチの破壊力は十分だ。23戦全勝(18KO)。
 地元の声援を背にブリーディスが前進し、サウスポーのウシクが足をつかいながら応戦するという展開が予想される。ブリーディスは相手をロープやコーナーに追い込む時間を多くつくりたいところだが、試合運びにも長けたWBO王者がそれを簡単に許すとは思えない。ブリーディスが勝つには早めの仕掛けと思い切った攻撃が必要といえる。

TALE OF THE TAPE クルーザー級4王者をデータで比較 

WBO王者
ウシク
WBC王者
ブリーディス
IBF王者
ガシエフ
WBA王者
ドルティコス
生年月日/年齢 1987年1月17日/31歳 1985年1月13日/33歳 1993年10月12日/24歳 1986年3月11日/31歳(試合時)
出身地 キエフ(ウクライナ) リガ(ラトビア) ウラジカフカス(ロシア) ハバナ(キューバ)
現在の活動拠点 ウクライナ ラトビア アメリカ アメリカ
アマチュア実績 08年北京五輪8強
12年ロンドン五輪金メダル
08年、09年、11年
ラトビア国内王者
05年、06年 ワールドカップ出場
257戦(勝敗数は不明)
プロデビュー 13年11月 09年10月 11年9月 09年8月
プロ戦績 13戦全勝(11KO) 23戦全勝(18KO) 26戦25勝(18KO)1無効試合 22戦全勝(21KO)
KO率 85% 78% 69% 95%
世界王座獲得年・防衛 16年9月 防衛3度 17年4月 防衛1度 16年12月 防衛1度 16年5月 防衛1度
身長/リーチ 190センチ/198センチ 186センチ/190センチ 192センチ/193センチ 191センチ/203センチ
戦闘スタイル 左ボクサーファイター型 右ボクサーファイター型 右ファイター型 右ボクサーファイター型
トレーナー アナトリー・ロマチェンコ アベル・サンチェス エリック・ティグレ
ニックネーム アイアン(鉄人)
WBSS初戦 10回TKO勝ち
(マルコ・フック)
12回判定勝ち
(マイク・ペレス)
3回KO勝ち
(K・ウロダルチク)
2回TKO勝ち
(D・クドリャショフ)

ガシエフの左か ドルティコスの右か
オッズは11対8と接近

 賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」クルーザー級準決勝第2試合は、IBF王者のムラト・ガシエフ(24=ロシア)対WBA王者のユニエル・ドルティコス(31=キューバ)という興味深いカードになった。ワンツーから返す左フックに破壊力のあるガシエフ、しつこく左ジャブを突きながら右ストレートで仕留めるドルティコス。地の利もあるガシエフがオッズでは11対8で有利とみられているが、逆の結果も十分に 考えられる。いずれにしてもKO決着は間違いない。
 ガシエフは身長192センチ、リーチ193センチの恵まれた体格の持ち主だが、距離をとったボクシングをするタイプではない。ガードを比較的高くあげながら相手にプレッシャーをかけ、ワンツーから左フックを顔面、ボディに打ち分け、さらに連打を叩きつける攻撃的なボクシングをみせる。これはミドル級の3団体統一王者、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)のトレーナーとして知られるアベル・サンチェス氏が教え込んだ戦闘スタイルといわれている。キャリアの途中からアメリカを活動拠点にした点も先輩王者に似ている。
 現在のIBF王座は16年12月、デニス・レベデフ(ロシア)に12回判定勝ちを収めて獲得した。昨年10月には元王者のクシシュトフ・ウロダルチク(ポーランド)にボディブローを叩き込んで3回でKO、初防衛を果たすと同時にWBSSの準決勝に駒を進めている。26戦25勝(18KO)1無効試合。69パーセントのKO率は4王者のなかでは最も低いが、逆に最も攻撃力がある選手といえる。
 WBA王者のドルティコスは22戦全勝(21KO)という戦績が示すとおりのハードパンチャーで、WBSS初戦では危険なスラッガー、ドミトリー・クドリャショフ(ロシア)を2回TKOで下している。ただし、結果的に打撃戦になる場合を除き、リスクを冒して自ら肉弾戦を仕掛けるタイプというわけではない。いつもは正確な左ジャブを丹念に突き、風穴を開けてから十八番の右ストレートを放つことが多い。4王者のなかでは最も高い95パーセントというKO率を誇るが、WBO王者のウシクに次いで慎重なタイプといえるかもしれない。
 攻撃型のガシエフはプレッシャーをかけて出たいところだが、ドルティコスの左ジャブが邪魔になりそうだ。まずは、このあたりの攻防に注目したい。ガシエフが距離を潰して体力勝負に持ち込めればIBF王者が有利な状況といえるが、逆にドルティコスの左ジャブが十分に機能するようだと流れはWBA王者に傾くことになりそうだ。総合力に決定的な差がないだけに、競った状態が続くか、あるいは一発でけりがつく可能性が高い。

クルーザー級トップ戦線の現状

WBA   :ユニエル・ドルティコス(キューバ)
WBA 休養:デニス・レベデフ(ロシア)
WBC   :マイリス・ブリーディス(ラトビア)
IBF   :ムラト・ガシエフ(ロシア)
WBO   :オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)

 クルーザー級は1980年にWBCが新設した階級で、ヘビー級とライト・ヘビー級の間に位置する。以前は190ポンド(約86.1キロ)が体重リミットだったが、ヘビー級の大型化に対応するかたちで21世紀に入ってから200ポンド(約90.7キロ)に上限が引き上げられた。
 ヘビー級の次に重い階級という、やや半端な印象があるためかクルーザー級はスポットの当たりにくい面があったが、今回の賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」の開催によって活況を呈している。主要4団体の王者が揃って参戦したWBSSは、4王者がいずれも初戦を勝ち抜いて王座を防衛、力を誇示したことで一層の盛り上がりをみせている。デニス・レベデフ(38=ロシア)が活動休止中ということもあり、4王者の存在がさらにクローズアップされている。
 4王者はいずれも無敗で、今回のイベントの本命とみられているWBO王者のオレクサンダー・ウシク(31=ウクライナ)が13戦全勝(11KO)、対抗視されているIBF王者のムラト・ガシエフ(24=ロシア)が26戦25勝(18KO)1無効試合、ダークホース的な存在のWBA王者、ユニエル・ドルティコス(31=キューバ)が22戦全勝(21KO)、そしてWBC王者のマイリス・ブリーディス(33=ラトビア)が23戦全勝(18KO)だ。
 4人を追う選手としては前WBO王者のクシシュトフ・グロワキ(31=ポーランド)、WBO1位、WBC2位のマクシム・ウラソフ(31=ロシア)、フロイド・メイウェザーがプロモートする15戦全勝(12KO)のWBC4位、IBF3位のアンドリュー・タビティ(28=アメリカ)らがいるが、現時点では「4強」を崩すまでの力量はなさそうだ。

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