二転三転した凱旋V2戦
サウスポーのアウクに白羽の矢

  • 2018/04/06

 WBCのスーパー・フェザー級王座は13年4月から15年11月まで三浦隆司(帝拳)が4度防衛し、それを引き継いだフランシスコ・バルガス(33=メキシコ)から昨年1月に現王者のミゲール・ベルチェルト(26=メキシコ)に持ち主が移った。いずれも打撃戦を厭わない好戦派だが、ベルチェルトは昨年7月、返り咲きを狙ったサウスポーの三浦からアウトボクシングでポイントをピックアップして判定勝ち、別の一面もみせた。今回もサウスポーを迎え撃つだけに、三浦戦で得た自信と策が有効活用できそうだ。
 今回のベルチェルトのV2戦は三浦戦で拳を痛めたために遅れていたもので、もともとは元WBA、WBC、IBF世界スーパー・フライ級王者のクリスチャン・ミハレス(36=メキシコ)と戦う計画だった。しかし、ミハレスが最終契約を前に挑戦を辞退したため主催者は代役を探さなければならなくなった。一度は東洋太平洋王者のカルロ・マガリ(31=フィリピン)が内定したが、前試合からの間隔が短すぎるとしてフィリピンのコミッションが許可を出さず取り消しに。こうしたなか白羽の矢が立ったのがマクスウェル・アウク(ガーナ)だった。このアウクはWBCが発表する世界40傑だけでなくWBA、IBF、WBOでも世界15位内にランクされていないが、事情を考慮して特例での挑戦が認められることになった。もしもアウクが勝てばランク外から一気に世界一という大出世となるが、それは決して容易なことではない。
 ベルチェルトは33戦32勝(28KO)1敗という戦績が示すとおりの強打者で、14年3月に唯一の敗北を喫してからの11戦のうち三浦戦を除く10試合でKO勝ちを収めており、地力に加えて勢いもある。挑戦者としてリングに上がったバルガス戦は打ちつ打たれつのリスキーな打撃戦になったが、三浦戦では徹底したアウトボクシングを展開し、選択肢が多いことをアピールした。また、サウスポーとの対戦も三浦戦を経て、さらに今回もサウスポーのミハレスを想定してトレーニングしてきたため、左対策は問題ないとみていいだろう。
 では、ヴェールに包まれている代理挑戦者のアウクの実力はどの程度なのだろうか。戦績は48戦44勝(30KO)3敗1分で、勝率もKO率も高い。敗北はデビュー5戦目の8回判定負けと、イギリス遠征でのちの世界ランカー、地元のリアム・ウォルシュに12回判定で敗れたもの、そしてインドネシア遠征で同じく地元のダウド・ヨルダンに12回判定で敗れた三つだ。ちなみにウォルシュ戦時はアウク自身がWBA世界スーパー・フェザー級15位だった。活動拠点はガーナだが、南アフリカ共和国、イギリス、ガーナの近隣国でもあるベニン、そしてインドネシアで戦った経験を持っている。12ラウンドをフルに3度戦った経験もあることから、スタミナはあるとみていいだろう。
 アウクは174センチの長身サウスポーで、間合いをとりながら右ジャブを突き、機をみて左ストレートに繋げ、チャンスとなれば左右の連打を叩きつけるボクサーファイター型といえる。KOは30もあるが、その数字ほどの迫力は感じられない。
 三浦戦を見るかぎりベルチェルトはサウスポーに苦手意識を持っているとは思えない。序盤は慎重になるだろうが、徐々に左ジャブを飛ばして牽制し、距離やタイミングがつかめてきたら右ストレートを狙うものと思われる。これに対しアウクが臆せずにカウンターを狙うなど迎撃できるかどうか。王者の攻撃に対応が遅れるようだと中盤を待たずに一気に攻め崩される可能性もある。

スーパー・フェザー級トップ戦線の現状

WBA   :アルベルト・マチャド(プエルトリコ)
WBC   :ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)
IBF   :尾川堅一(帝拳)
WBO   :ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)

 つい2~3年ほど前まではWBA王座に内山高志(ワタナベ)、WBC王座に三浦隆司(帝拳)が君臨し、比較的安定したクラスという印象が強かった。しかし、15年11月に三浦、16年4月に内山が相次いで敗れ、それを機に一気に混戦状態に陥った。4王者のうち最も長く王座を保持しているワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)でも在位は2年に満たない。WBA王者のアルベルト・マチャド(27=プエルトリコ)、WBC王者のミゲール・ベルチェルト(26=メキシコ)、IBF王者の尾川堅一(30=帝拳)の戴冠はいずれも昨年のことだ。
 「ハイテク」というニックネームを持つサウスポーの技巧派、ロマチェンコが長期政権を築くかと思われたが、WBA世界ライト級王者のホルヘ・リナレス(32=帝拳)への挑戦が決まり、先行きは不透明になってきた。もしもロマチェンコが王座を返上するようなことになれば、2位の伊藤雅雪(27=伴流)にも決定戦のチャンスがまわってくる可能性がある。ちなみに1位には23戦全勝(15KO)のクリストファー・ディアス(23=プエルトリコ)がランクされている。
 こうした一方、WBAではヘスス・クェジャル(31=アルゼンチン)対ジャーボンテイ・デービス(23=アメリカ)のカードでスーパー王座決定戦を行うことになっている。WBCはミゲール・ローマン(32=メキシコ)を今回のベルチェルト対マクスウェル・アウク(ガーナ)の勝者に対する指名挑戦者として認定している。
 このほかフランシスコ・バルガス(33=メキシコ)、ジョニー・ゴンサレス(36=メキシコ)、ビリー・ディブ(32=オーストラリア)ら王者経験者がランキング上位に名を連ねている。

26戦全勝22KOの21歳 ムンギアに注目

 メキシコは軽量級の選手層が厚いが、中重量級でも人気のあるハードパンチャーを輩出することがある。サウル・カネロ・アルバレス(27)などが好例だ。そのアルバレスの後継者として期待を集めているのがハイメ・ムンギア(21)だ。まだ世界ランクはWBC9位だが、近い将来、上位にアップしてくることは間違いないだろう。
 エリック・モラレス(メキシコ)ら13人もの世界王者を輩出したバハカリフォルニア州ティファナ出身のムンギアは、13年7月に16歳でプロデビュー。10戦目から13連続KO勝ちを記録するなど26戦全勝(22KO)の快進撃を続けている。上体をリズミカルに振りながら圧力をかけ、クロス気味に打ち込む右、左フックの上下打ちを得意としている。まだディフェンス面に甘さが残り耐久力も試されていないが、躍動感のある攻撃的なボクシングは人気が出そうだ。今回、地域王座とはいえ初のタイトルを獲得して上位進出のきっかけをつかみたいところだ。
 相手のホセ・カルロス・パス(27=アルゼンチン)は、14年から15年にかけて今回争うWBC中南米王座を保持していた実績を持っている。28戦21勝(12KO)6敗1分の通算戦績のうち15年以降は11戦5勝(3KO)5敗1分けとスランプ気味だが、昨年10月のメキシコ遠征では元世界ランカーのホルヘ・パエス・ジュニア(メキシコ)に10回判定勝ちを収めており、侮れない相手といえる。
 パスは距離を詰めて左右フックを叩きつけたいところだが、体格やスピード、パワーなど総合的な戦力で勝るムンギアがそれを許すとは思えない。

賞金トーナメント「WBSS」の準決勝戦

 この試合は欧米のプロモーターたちが提携して開催中の賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」のスーパー・ミドル級準決勝として行われる。WBCダイヤモンド王者に認定されているカラム・スミス(27=イギリス)が圧倒的有利とみられているが、デビューから13連勝(10KO)中のニーキー・ホルツケン(34=オランダ)の勢いも無視はできない。
 WBSSの初戦となる準々決勝でエリック・スコッグランド(スウェーデン)に12回判定勝ちを収めて準決勝に進出してきたスミスは、本来ならば元世界ライト・ヘビー級王者のユルゲン・ブレーマー(39=ドイツ)と戦うはずだった。しかし、ブレーマーがインフルエンザに罹患、ベストのコンディションがつくれないためホルツケンに出番がまわってきた経緯がある。
 スミスはイギリスの「スミス4兄弟」の末弟として知られ、兄弟のなかでは最も才能に恵まれているといわれる。ヘビー級並みの191センチの長身から打ち下ろすストレート系のパンチだけでなく、腕を折り畳んでコンパクトなアッパーやフックなどパンチは多彩だ。左のボディ打ちも得意としている。
 対するホルツケンはWBC35位だが、気の強さを前面に出した好戦的な選手で、ガードが固いため崩しにくいタイプといえる。降って湧いたチャンスを生かそうと思いきった攻撃を仕掛けてくるものと思われる。
 すでにWBSSの決勝にはWBAスーパー王者のジョージ・グローブス(イギリス)が駒を進めており、その目の前でスミスは圧勝しておきたいところだ。実力がそのまま試合に反映されればスミスの勝利は不動だが、妙な色気を出すと墓穴を掘る可能性もないとはいえない。

連敗とケガから復帰のブルックに注目

 前IBF世界ウェルター級王者、ケル・ブルック(31=イギリス)が、2連敗と眼窩底骨折というどん底からリングに戻ってくる。元世界上位ランカーのセルゲイ・ラブチェンコ(32=ベラルーシ)を相手に、従来よりも1階級上のスーパー・ウェルター級でどんなパフォーマンスをみせるのか注目したい。
 ブルックはIBFウェルター級王座を3度防衛中の16年9月、クリス・ユーバンク・ジュニア(28=イギリス)が見送った世界ミドル級王者、ゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン)への挑戦を買って出たが、善戦はしたものの5回TKOで敗れた。この試合で右目の眼窩底を骨折したため、V4戦は8ヵ月半後の17年5月になった。ところが、エロール・スペンス(28=アメリカ)との指名防衛戦では11回KO負けを喫したうえ、今度は左目の眼窩低を骨折。またまたブランクをつくることになった。こうしたなかブルックはスーパー・ウェルター級に転向し、今回の再起戦を迎えるわけだ。もともとウェルター級でも大柄だっただけに1階級上げても体格負けすることはないだろう。
 ただ、今回の相手、ラブチェンコは元世界上位ランカーで地力があるだけに楽観視はできない。勝利は揺るがないだろうが、少なからずリスクもある――ブルックの復帰度を計るにはラブチェンコは恰好の相手といえる。

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