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再起戦のガルシアに若干の不安も
乱戦に持ち込んで勝機広げたいリオス

  • 2018/03/19

 実力のあるスター選手が揃って注目を集めているウェルター級のWBC王座への挑戦権をかけた試合。前王者で現2位のダニー・ガルシア(29=アメリカ)に、元WBA世界ライト級王者で現WBCウェルター級9位のブランドン・リオス(31=アメリカ)が挑むかたちとなる。ガルシア有利は絶対的なものといえるが、17年3月の統一戦でWBA王者のキース・サーマン(アメリカ)に12回判定負けを喫して以来の再起戦となるだけに、そこに若干の不安も付きまとう。そこを突いてリオスは得意とする乱戦に持ち込んで勝機を広げたい。
 ガルシアは「SWIFT(俊敏な男)」というニックネームを持つ右のボクサーファイター型で、やや変則的なタイミングで打ち出す左フックを得意としている。この左でアミール・カーン(イギリス)やエリック・モラレス(メキシコ)らを夢の国に送り込んでいる。
一見すると特別なスピードやパワーは感じられないが、独特の間合いやタイミングがあるのだろう。モラレスに勝ってスーパー・ライト級王座を獲得(12年3月)してから6年、ウェルター級も制覇して激戦階級で常にトップグループにつけている。ただ、近年は年間2試合のペースに落ち、昨年はサーマン戦の1試合だけに終わるなど間隔が空きつつあるのが気になりもする。
 一方のリオスは元WBA世界ライト級王者だが、世界戦で続けて体重オーバーで失格するなど問題児としても知られる。そうしたこともあってスーパー・ライト級、そしてウェルター級と階級を上げてきた。13年にはファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)にKO負けを喫したマニー・パッキャオ(フィリピン)の再起戦の相手を務め(12回判定負け)、15年にはティモシー・ブラッドリー(アメリカ)の持つWBO世界ウェルター級王座に挑んだが9回TKO負けを喫している。それらを含めた直近6試合は3勝(2KO)3敗だが、攻撃力があるだけに侮れない。
 左フックと頑丈さには定評のあるガルシアだが、まずは左ジャブで相手を突き放してリスクを小さく抑える策をとるものと思われる。リオスがあっさり相手に間合いを与えるようだと勝機は減りそうだが、距離を潰して肉薄できればチャンスは広がるはずだ。それでも左フックという決め手があるガルシアにアドバンテージがあることに変わりはない。ガルシアがボディにもパンチを散らすことができれば、中盤あたりで大きなヤマが訪れる可能性が高い。

Written by ボクシングライター原功

ウェルター級トップ戦線の現状

WBA SC:キース・サーマン(アメリカ)
WBA   :ルーカス・マティセ(アルゼンチン)
WBC   :キース・サーマン(アメリカ)
IBF   :エロール・スペンス(アメリカ)
WBO   :ジェフ・ホーン(オーストラリア

 13年7月にWBA暫定王座を獲得してから5年近くの在位を誇るキース・サーマン(29=アメリカ)が現時点では最も高い総合評価を受けているが、その座を脅かしつつあるのがIBF王者のエロール・スペンス(28=アメリカ)だ。昨年5月に相手の地元に乗り込んでケル・ブルック(31=イギリス)を11回KOで下して王座を獲得し、初防衛戦では2階級制覇の実績を持つレイモント・ピーターソン(34=アメリカ)をパワーで圧倒、7回終了で棄権に追い込んだ。スピードとパンチ力、スキル、強靭なハートと三拍子も四拍子も揃った万能型のサウスポーで、23戦全勝(20KO)と手のつけられない強さをみせている。サーマンが右肘の手術をしたこともあって1年以上もリングから遠ざかっているため、すでに「スペンスがウェルター級最強」との声もある。
 そのふたりに近い評価を得ているのがスーパー・ライト級から上がってきたテレンス・クロフォード(30=アメリカ)だ。WBO王者のジェフ・ホーン(30=オーストラリア)への挑戦が決まっており、圧倒して3階級制覇を果たすようだと「3強」を形成することになりそうだ。そのホーンに昨年7月に敗れたマニー・パッキャオ(39=フィリピン)は再起戦が延び延びになっている。年齢的にみて残された時間に限りがあるだけに、早い時期の戦線復帰が期待される。そのパッキャオから対戦指名を受けたのがWBAレギュラー王者のルーカス・マティセ(35=アルゼンチン)だ。44戦39勝(36KO)4敗1無効試合の「南米のハンマー」とパッキャオの対戦は興味深いところといえる。
 現在は無冠に甘んじているが、WBCの指名挑戦権を持つ元IBF王者のショーン・ポーター(30=アメリカ)、今回、その次の挑戦権をブランドン・リオス(31=アメリカ)と争うダニー・ガルシア(29=アメリカ)も王者級の力を持っている。さらに元WBAスーパー・ライト級および元WBOウェルター級王者のジェシー・バルガス(28=アメリカ)、22戦全勝(13KO)のカルロス・オカンポ(メキシコ)らも虎視眈々とトップの座を狙っている。

2対1の判定を受けた直接再戦
21歳の王者ベナビデスの成長に期待

 このふたりは昨年9月、ラスベガス(アメリカ)で拳を交え、デビッド・ベナビデス(21=アメリカ)がロナルド・ガブリル(31=ルーマニア)に12回判定勝ちを収め、空位になっていたWBC世界スーパー・ミドル級王座についた。しかし、最終回にベナビデスがダウンを喫しており、ジャッジの採点が116対111、117対111でベナビデス、逆にもうひとりは116対111でガブリルを支持と割れたこともあって今回の試合が命じられた経緯がある。ダイレクト・リマッチで因縁にけりをつけるのは21歳のベナビデスなのか、それとも元世界5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーがプロモーターを務めるガブリルなのか。
 ベナビデスは兄のホセとともに兄弟世界王者としても知られているが、この弟の方はまだまだ成長途上にある。187センチの長身と196センチの恵まれたリーチを生かし、相手を突き放す攻撃的なアウトボクシングを磨いていけば、さらにスケールアップする可能性を秘めた選手といえる。細身ながら、1年前にはゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)のスパーリング・パートナーを務めたほどだから見た目以上に頑丈なタイプなのかもしれない。19戦全勝(17KO)。
 雪辱と戴冠を狙うガブリルはアマチュアで180戦165勝15敗の戦績を残し、11年12月にアメリカでプロに転向した。以来、何度もメイウェザーの前座に出場するなど20戦18勝(14KO)2敗の戦績を残している。こちらも身長188センチ、リーチ184センチと大柄だ。
 ともに初戦で相手の手の内は熟知しており、今回はそのうえで工夫が求められる試合となる。前戦でスーパー・ミドル級史上最年少(20歳)で戴冠を果たしたベナビデスが、その一戦でどれだけ成長したのか見ものだ。

Written by ボクシングライター原功

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