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賞金トーナメント準決勝
3対2でユーバンク・ジュニア有利のオッズ

  • 2018/03/12

 この試合はWBA世界スーパー・ミドル級スーパー王者のジョージ・グローブス(29=イギリス)の2度目の防衛戦であると同時に、賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」の準決勝でもある。このWBSSは欧米の有力プロモーターたちが手を組んで開催したもので、世界王者を含むトップ選手8人が参加。昨年9月と10月に準々決勝4試合が行われ、グローブスが4回KO勝ち、ユーバンク・ジュニアが3回KO勝ちで勝ち上がった。そのふたりが決勝進出をかけて拳を交える。
 グローブスは08年11月のプロデビュー後、英連邦王座、イギリス国内王座、WBAインターコンチネンタル王座、EBU欧州王座、WBCシルバー王座、WBAインターナショナル王座などを獲得したが、一番欲しかった世界王座にはなかなか手が届かなかった。カール・フロッチ(イギリス)に13年、14年と2度挑戦したが、互角に戦いながら中盤に隙をつかれて2度ともTKOで敗れた。さらにバドゥ・ジャック(スウェーデン/アメリカ)には初回に喫したダウンが響いて惜敗した。現在のスーパー王座は昨年5月、決定戦を制して手に入れたもので、10月にはWBSSの準々決勝で同胞のジェイミー・コックスをボディブローで沈めて初防衛を果たしている。気の強さを前面に出した好戦的なタイプで、被せるようにして打ち込む右ストレートは強烈だ。決して器用なタイプではないが、プレッシャーをかけながら長丁場を戦い抜くスタミナとハートを持っている。反面、ディフェンスに課題を残している。戦績は30戦27勝(20KO)3敗。
 一方のユーバンク・ジュニアは、90年代にミドル級とスーパー・ミドル級を制覇したクリス・ユーバンクの息子で、父子世界王者としても知られる。そんなサラブレッドではあるが、自身もWBA暫定世界ミドル級王座を獲得し、いまはスーパー・ミドル級でWBAとWBCで2位にランクされる実力者として注目される存在になっている。
 ユーバンク・ジュニアのプロデビューはグローブスから遅れること3年、11年11月のことで、約6年間に27戦26勝(20KO)1敗のレコードを残している。16年9月にはゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)と戦うチャンスもあったが、契約直前になって見送った経緯がある。その後、スーパー・ミドル級に転向して3連勝(2KO)を収めている。昨年は元世界王者のアルツール・アブラハム(アルメニア/ドイツ)に大差の12回判定勝ち、10月のWBSS準々決勝では世界ランカーのアブニ・イリディリム(トルコ)に痛烈な3回KO勝ちを収めている。スピード、パンチ力、テクニックなどバランスよく戦力を備えた右のボクサーファイター型で、14年11月にビリー・ジョー・サンダース(イギリス=現WBO世界ミドル級王者)に惜敗してからは8戦全勝(7KO)と勢いがある。
 見た目の戦闘スタイルが武骨なグローブスと、シャープで躍動的なユーバンク・ジュニア。その見栄えの差もあってかオッズは4対3で挑戦者有利と出ている。その下馬評どおりユーバンク・ジュニアがスピードを生かしてコントロールしながらポイントを重ねる可能性もある。逆にグローブスのプレッシャーが効いて挑戦者の可動範囲が狭められ、徐々に追い込まれる展開になるケースも考えられる。実力伯仲のイギリス対決だけに、序盤から白熱した攻防がみられそうだ。

Written by ボクシングライター原功

スーパー・ミドル級トップ戦線の現状

WBA SC:ジョージ・グローブス(イギリス)
WBA   :タイロン・ツェーゲ(ドイツ)
WBC   :デビッド・ベナビデス(アメリカ)
IBF   :ケイレブ・トゥルーアックス(アメリカ)
IBF 暫定:アンドレ・ディレル(アメリカ)
WBO   :ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)

 本命のいない激戦クラスといっていいだろう。WBAスーパー王者のジョージ・グローブス(29=イギリス)、WBO王者のヒルベルト・ラミレス(26=メキシコ)に加え、無冠組のクリス・ユーバンク・ジュニア(28=イギリス)、カラム・スミス(27=イギリス)が4強といえるかもしれない。WBC王者のデビッド・ベナビデス(21=アメリカ)は、まだ評価を定める段階ではないが、今後の頑張り次第では上記4選手と肩を並べる、あるいは追い抜く可能性もありそうだ。
 こうしたメンバーに昨秋まではジェームス・デゲイル(32=イギリス)も加わっていたが、肩の故障のブランクが響いたのかケイレブ・トゥルーアックス(34=アメリカ)のラフな戦いに巻き込まれてIBF王座を失い、同時に評価も落とした。
 若手のなかでは17戦全勝(10KO)のキャレブ・プラント(25=アメリカ)が有望か。このほか変わり種としてデンマークを拠点に活動しているコンゴ民主共和国出身の45歳、ロレンガ・モック、08年北京大会で銅メダルを獲得するなど3度の五輪出場経験者で、イギリスのプロモーターと契約を交わしているインド出身のビジェンダー・シン(32)などがいる。ただし、上位に食い込むのには時間とタイミングが必要になるかもしれない。

評価急上昇中のスペンスの初防衛戦
元2階級制覇王者をも圧倒か

 エロール・スペンス(27=アメリカ)は現役の世界王者の中で最もホットで勢いのある選手のひとりといっていいだろう。昨年5月、相手国イギリスに乗り込んでケル・ブルック(イギリス)を11回KOで下してIBF王座を獲得した試合を含め、直近の9試合はすべてジャッジの手を煩わせることなく終わらせている。しかもブルックをはじめ元世界王者のクリス・アルジェリ(アメリカ)、世界ランカーのレオナルド・ブンドゥ(シエラレオネ/イタリア)、クリス・バン・ヘーデン(南アフリカ共和国)といった力のある相手を一蹴しているのだ。12年ロンドン五輪に出場したあとプロに転向し、約5年のキャリアで22戦全勝(19KO)をマークしている。スピード、パワー、テクニックなどトップ選手が必要な要素を高い次元で備えているうえ、カナダ遠征やイギリス遠征を経て一段と逞しさを増しており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いにある。
 対照的に挑戦者のレイモント・ピーターソン(34=アメリカ)は04年9月のプロデビューから13年、39戦35勝(17KO)3敗1分のレコードを残しているベテランだ。勝てなかった相手はティモシー・ブラッドリー(アメリカ=12回判定負け)、ビクター・オルティス(アメリカ=10回引き分け)、ルーカス・マティセ(アルゼンチン=3回TKO負け)、ダニー・ガルシア(アメリカ=10回判定負け)で、いずれも現役や元、のちの世界王者たちだ。スーパー・ライト級に続いて昨年2月にはWBAのウェルター級王座も獲得した実績を持っており、その実力は誰もが認めるところといえる。右のボクサーファイター型で、パワーとタフネスには物足りなさが残るものの総合的な戦力は高いものを持っている。  ピーターソンが侮れない相手であることは多くのファンや関係者が知っているはずだが、それでもオッズは16対1でスペンス有利と出ている。この27歳の俊英に対する評価の高さがうかがえる数字といえる。スペンスはその期待に応えることができるか。今回、元2階級制覇王者を圧倒するようだと、同じ階級のWBA&WBC王者、キース・サーマン(アメリカ)や、下の階級から参入してくるテレンス・クロフォード(アメリカ)らとの対戦がさらに楽しみになってくるはずだ。

Written by ボクシングライター原功

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