本命なきグループDは、ホスト国のウクライナが英雄シェフチェンコの2ゴールで白星発進に成功し、他をリードする展開で第2節を迎える。そのウクライナはこの第2節のフランス戦に勝利すると、その時点で、今大会一番乗りとなる準々決勝進出が決定する。一方、初戦を落としたスウェーデンはイングランド戦に負けると、ウクライナvsフランスの結果にかかわらず敗退が決定する。

第1試合のウクライナvsフランスは、予想を立てるのが難しい一戦だ。初戦を理想的な形で勝利したウクライナは、地元の声援を背に勢い天を突かんばかりである。波に乗るホスト国がこのまま一気にグループリーグ突破を決めてもおかしくないように思える。しかし、ウクライナはフランスとの相性が滅法悪い。過去に6回対戦して、3分3敗と、未だフランス相手に勝ち星がないのである。この相性が意外と軽視できないのは、この大会のイタリアvsクロアチアを例に挙げるまでの事もないだろう。一方のフランスは攻撃の中心を担うナスリの使い方が鍵となりそうだ。イングランド戦では3トップの一角でスタートし、フリーに動いてボールを引き出していたが、中盤でキャベイと並べ、もう一枚サイドアタッカーを入れて攻撃に厚み出す選択肢もある。ウクライナのサイドの守備は決して盤石ではないのである。

後がなくなったスウェーデンとイングランドの一戦は、近年“クラシック”という感じの趣を呈している。この2チームは大きな大会で良くマッチアップする。ちなみに、この2チームは過去にこのサッカー欧州選手権の舞台において3度対戦し、戦績はスウェーデンが2勝1分とイングランドを大幅に上回っている。この辺は、スウェーデンの選手にとって大いに発奮材料となるだろう。ルーニー不在のイングランドは、初戦同様にツートップが機能不全に陥ると、セットプレー頼みの厳しい展開となり、歴史を繰り返す事になりかねないだろう。