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【木村浩嗣コラム】1st Leg、2nd Leg、PSG相手のバルセロナの「進化」はなぜ?

  • 2021/03/12

【木村浩嗣コラム】1st Leg、2nd Leg、PSG相手のバルセロナの「進化」はなぜ?

「長いポゼッションすらできないのか! どうしようもない奴らめ!」から「素晴らしい試合だった。仲間のことが誇らしい」へ。
この2つのピケの言葉にバルセロナの進化が象徴されている。
前者は、チャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦の1st Leg前半、背走を強いられ続け怒り心頭に達した時のもの。罵詈雑言ぶりはここで訳せないほどだった。後者は、ケガで出場できなかった2nd Legの試合後のものだ。
ここ3週間、ピケを豹変させるほどのバルセロナの何が変わったのか?

怒声から称賛。ピケを変えさせたもの

1st Leg(1-4)と2nd Leg(1-1)のスコアを通算すれば2-5。これだけ見れば大敗であり、近年の流れを変えられなかったかに見える。昨季はバイエルンに2-8、一昨季はリヴァプールに0-4、その前はローマに0-3と、欧州での別れは悲しいものだった。だが、今回は違う。ピケが胸を張る通り、今後の明るさを予感させるものだった。

1-1で迎えた前半アディショナルタイム、メッシがあのPKを決めていたらとひょっとするとひょっとしたかもしれない。少なくともPSGを慌てさせることができたはずだ。後半、試合は妙に落ち着いた。マウリシオ・ポチェッティーノ監督が修正(最終ラインを上げさせた)してきたこともあるが、バルセロナの選手側の諦めもうかがえた。

試合なんて気持ちの持ちようですぐ変わる。
パニックになった方は信じられないミスを犯し、自信を持った方は実力以上のものを出す。1st Legで見えたほどバルセロナは弱くはないし、2nd Legの前半と試合終了前の15分間で見えたほどPSGは脆くはない。残り45分の両チームの取り組み方に決定的な影響を与えたあのPKは、決めれば2点分に相当するような、気持ちの上では同点に等しいターニングポイントだった。横っ飛びのGKケイラー・ナバスが足でシュートを弾き出した瞬間に、実質試合は終わっていたのだ。

ピケ苦戦のエンバペを完封できたわけ

1st Legと2nd Legの差で面白かったのが、フィジカル差が逆転したこと。
前の試合でことごとく当たり負けていたバルセロナだったが、昨日の試合で倒され芝生の上に転がったのはPSGだった。3週間で体格が変わるわけがない。変わったのは、後がなくなり前へ出るしかなくなった者と、スコア差を守ろうと後ろ向きになった者という、両者の立ち位置である。

ポチェッティーノが“下がってゴール前で守れ”なんて指示をするわけがない。だが、大量失点さえしなければ勝ち抜けるという安心感が、点を取りに行くよりも防戦することを選択させた。1st Legでは自陣ゴール前からも丁寧にパスを繋ぎ、プレスを掛けさせておいてからかわして、相手DF陣の背後のスペースを使ってエンバペが決定的な仕事をした。(だから背走続きのピケの堪忍袋の緒が切れた)。が、昨日の試合ではボールロストのリスクを負わず、前へ大きくクリアするだけだから、ミンゲサやジュニオルがピケの手に負えなかったエンバペを楽に完封した。
走り出せば止まらないから、空中のボールに先に触ってカットする。頭上のボールを見ながら半身で走るエンバペと、正面からのボールに正対して当たれるミンゲサやジュニオルがぶつかり合えば、どちらが倒れるかは明らかである。コンタクトプレーを流した主審に対しファウルをアピールするのは、3週間前はバルセロナの選手だったが、昨日はPSGの選手だった。

フィジカルのハンディを克服したハート

同じようなことはセビージャ対ボルシア・ドルトムントの1st Legと2nd Legでも起きている。純粋なアスリートとしてのフィジカル差はリーガ勢とドイツ、フランス勢の間には厳然としてある、と思う。体格で劣るからこそ、当たられる前にボールを動かす、というパスサッカーがスペインで発展して代表やバルセロナが成功したのだ。だが、リスクを負う覚悟で1タッチ、2タッチでパスを回せば、フィジカルのハンディは克服範囲内であることを昨日のバルセロナは証明した。

安全第一でクリアを繰り返し、それでも先制されて焦るPSGがボールを持てないのは当たり前だった。カウンターを恐れてパスやトラップがブレた1st Legのバルセロナと同じである。ボール支配者も1st Legと2nd Legで入れ替わった。ポゼッションというと純粋に技術と戦術(ポジショニング)の問題だととらえがちだが、やはり気持ちが大いに関係する。ビビッて足が縮こまれば精度は落ちる。当たり前の話だ。
もちろん、バルセロナの進化の裏には監督の介入もある。ロナルド・クーマンは1st Legの[4-3-3]から2nd Legの[3-5-2]へシステムを変えた。フラットラインで無理に高いDFラインを保つよりも、センターにカバー役のCBを1人余らせることで守備が安定した。

ロナルド・クーマンが開く明るい未来

プレスのできないメッシとデンベレが前にいることで、前からのプレスでボールを奪いラインを上げてコンパクトに保つ、という数年前までの戦い方は、今季はできなくなっていた。ラインの上げ方はそこそこ(ミドルブロック)で、攻守の切り替えも早くなく、ある程度後退して守るというスタイルだったから、4バックから3バックへの変更はデメリットよりもメリットの方が多かった。
国王杯準決勝1st Leg、4バックでセビージャに完敗(2-0)した後に3バックでリーガで完勝(0-2)、さらに2nd Legで大逆転勝ち抜き(3-0)と“予行練習”は済ませてあった。昨日の試合ではピケをケガで欠いていたが、3人目のCBとしてMFデ・ヨングを抜擢した。彼がボール出しを安定させたことでポゼッションも安定した。

デ・ヨングが本領を発揮しデンベレが復活したのは明らかにロナルド・クーマンのお陰。昨日出たミンゲサ、イライクス、ペドリの他、アラウホ、アンスー・ファティと下部組織出身者や若手を躊躇なく起用する勇気も称賛されるべきだろう。資金難で来夏、大物補強をする可能性はほぼないが、その分若手の底上げが見込める。
メッシの去就も欧州での競争力次第だったが、昨日の戦いぶりであれば、残留の目もあるだろう。折しも、先週末の会長選挙でメッシと懇意のラポルタ新会長が選ばれたばかり。心機一転、再出発の切っ掛けという意味でも昨日の試合は大きかった。

アスレティックとの決勝を残す国王杯、首位アトレティコ・マドリードと6ポイント差のリーガ。
「シーズンは長い。最後まで戦おう。上を見て、続けよう!」(ピケ)

photo by Getty Images
text by 木村浩嗣


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