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“伝説”では埋まらなかった圧倒的な差。3連覇戦士たちの物語ついに完結〜チェルシーvsレアル・マドリード【CLコラム】

  • 2021/05/07

“伝説”では埋まらなかった圧倒的な差。3連覇戦士たちの物語ついに完結~チェルシーvsレアル・マドリードCLコラム】

セルヒオ・ラモス、アザール、マンディを先発させたことでジネディーヌ・ジダン監督が批判されているが、結局は“伝説”にすがるしかなかった、ということだろう。1st Legで目にした圧倒的な力の差を前にして、技術や戦術やフィジカル「以外の」要因に活路を見出すしかなかったのだ。

それはレアル・マドリードはCLの王者だとか、ジダンは準決勝で負けたことがないとか、今年ほとんどプレーしていないキャプテンが肝心の大一番で帰って来るのは偶然ではないとか、アザールが古巣との対戦で古巣でのプレーのキレを思い出して“恩返し”するとかの架空のストーリーであり、その物語が成立するには主人公たちがグラウンドに立っていなければならない。

物語の主人公は勢ぞろいしたが…

私も1週間前のレビューで「CL3連覇のメンバーの経験値」と書いた。その時に頭の中にあったのは、闘将ラモスが鬼神のごとく立ちはだかりカウンターをシャットアウトし、復讐に燃えるアザールがベンゼマだけでは足りないマジックを前線に加えて得点し――という空想だった。が、現実は厳しい。フタを開けてみれば長期間のケガでほとんどプレーしていなかった3人が、チーム全体のパフォーマンスレベルを下げさらにチェルシーとの差が開いた、に過ぎなかった。
シンプルに言えばジダンは、「大一番では何かをやってくれるはず」というレアル・マドリードの王者伝説とともに心中した。これ、多分、自分が監督でもすがっていたはずで、采配ミスと責める気にはなれない。だって、そこに賭けるしかないだろうってことだ。

伝説の方に現実を合わせた! 逆転の発想

ただ、興味深かったのはジダンの覚悟のほどである。3バックにしたのはキャプテンが本調子でないことを承知していたからだろう。
セルヒオ・ラモスは前へ出て先回りをして守る、しばしば怒涛の攻め上がりを見せる、という本来の大胆なプレーがまったくできず、後ろに控えているだけだった。3バックの底辺に存在しているだけ。よほど調子が悪かったのだろう。だからジダンは脇をエデル・ミリトン、ナチョ・フェルナンデスで固める必要があった――これ、よく考えれば話が逆である。伝説を成立させるために、セルヒオ・ラモスを存在させるために、戦術をいじったことになる。伝説の方に現実を対応させたこの采配に、ジダンの“信仰”を感じた。
戦術をいじった末に玉突き的に生まれたのが、ヴィニシウスの右SB起用である。最も力を発揮するポジションが左サイドのFWで、真逆だからということで、この采配も批判されている。だが、これもジダンの思惑がわからないでもないのだ。

ヴィニシウス右SBの奇手はなぜ?

ヴィニシウスは「攻防の一手」だったと思う。マウントがサイドへ流れリュディガーが攻め上がるチェルシーの左サイドは数的不利になりやすい。よってヴィニシウスを入れて守りを補強した——といっても、もちろん苦手な守備をさせるわけではなく、攻め上がった彼がサイドで脅威になることで相手に攻めさせない、という意味だ。
ロングボールを入れて快速ヴィニシウスを走らせるという選択肢は確保しつつ守備の強度を上げるにはどうすればいいか? 4バックの右SBでは起用できないが、3バックで背後をCB3人では最も信頼できるミリトンにカバーさせた、前目の3バックの右SBなら一挙両得というか一石二鳥となるのではないか、という読みだったと思う。だが、これはご覧の通り、攻守両用どころか攻めても守っても中途半端な、どっちつかずとなって完全に裏目に出た。
右利きのヴィニシウスの右サイド起用。左サイドで対角線侵入ができるのなら、右サイドで縦へ抜け出すこともできるはずだ、と思うのが普通だが、なぜか彼は縦への勝負を捨て、右足で突っついて中へ入るプレーにこだわり、ことごとくボールを奪われた。あと、下がってはボールをもらう姿勢が悪く、半身になれず完全に背中を向けてはプレスの餌食になった。

結論:1st Legの30分間が90分間続く

マンディ、ラモス、アザールは体調不良で、ヴィニシウスは戦術的に、計4人が機能せずという状態では、1st Leg以上に押し込まれるのも無理はない。それでも前半はベンゼマの2本のシュートがあったが、後半は1点取れば延長戦に持ち込めるのに、そのたった1点が取れそうな気配はゼロだった。逆に、チェルシーは何度決定的なカウンターのチャンスをふいにしただろうか? 要は、あの1st Legの前半30分間の一方的な内容が、2nd Legは90分間続いたということだ。
2点目が入るまでの80分間以上、延長戦の可能性が残っていたというのは非常に幸運なことだったが、伝説と経験値と幸運まで味方につけても埋められない差があった。

「一つの時代が終わった……」というのは手垢のついた表現だが、CL3連覇戦士クロース、モドリッチ、セルヒオ・ラモス、そしてジダンの姿を見ていると、レアル・マドリードにも世代交代の時が来たことを感じる。いや、その兆候は昨季からすでにあったのだが、3連覇戦士たちの意地でここまで来て、本当の強敵に当たったことでその後味がより一層鮮やかになった。

トゥヘルの説得力と忠実な兵隊たち

チェルシーというチームの強さ、CLファイナルに進むに相応しいチームであることを象徴するプレーが2つあった。ともに得点に絡むプレーだ。

1つ目はヴェルナーがバーに当たったボールをゴール前まで追い掛けていたこと。セルヒオ・ラモスやカゼミーロは諦めて足を止めたので、完全にフリーでネットを揺らし試合の流れを決定付けた。
チェルシーの選手たちは非常に忠実だ。走り惜しむということをしない。誰もさぼらない。監督の戦術を100%信用しているからだろう。
どんな素晴らしい戦術も選手が納得していなければ機能しない。説得力は監督の重要な資質であり、この点、途中就任でありながらここまで選手の心をつかんだトーマス・トゥヘルには脱帽するしかない(リーガとスペイン代表を追いかけている者の目から見ると、キャプテン、アスピリクエタのりりしい表情から充実ぶりが伝わって来る)。

2つ目はイーブンボールをナチョの足下からかっさらったカンテのプレー。彼はそのまま前進し、CBを引き付けてからプリシッチへパス。プリシッチの折り返しをマウントが押し込んで試合を決めた。84分であの瞬発力と俊敏さは何なのか? どんなフィジカルトレーニングをしているのか?
サッカーは詰まるところ1対1の勝負というのがトゥヘルの理屈なのだろう。肝心な局面での対面のボールの奪い合いで、チェルシーはことごとく勝利した。その「肝心な局面」にレアル・マドリードがボールを支配した64%の時間はほとんど含まれていない。

決勝は、ボールを支配するマンチェスター・シティとプレスからカウンターをうかがうチェルシーという、戦術的には完全に噛み合う、つまり互いの持ち味を消し合うことのない面白い戦いになるだろう。どっちが上なのか想像がまったくつかない。久しぶりに優勝候補のないファイナルになりそうだ。

photo by Getty Images
text by 木村浩嗣


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