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映画「その日のまえに」記者会見

(C)2008 TIFF

映画「その日のまえに」記者会見に主演の南原清隆、大林宣彦監督が出席

Q.南原さんは学生時代から大林監督の大ファンで、監督の作品がウッチャンナンチャン結成のきっかけとなったそうですが?

南原:高校生のとき、大林監督の「時をかける少女」や「転校生」を観て、映画に恋をしました。恋焦がれたまま20数年経って、その現場に参加することができてうれしいです。(相方の)内村とも映画の話をきっかけに仲良くなったんですよ。以前、テレビの企画で好きなところに行っていいと言われたとき、大林監督が撮影した尾道を選んで、男二人で巡りました(笑)。今となってはいい思い出です。

Q.南原さんの相手役の、永作博美さんは魔性の女を演じられることが多いですが、彼女を起用したきっかけは?

大林:(永作さんは)魔性の女なんですか? 僕は今70歳で、若い人の世界はよくわからない(笑)。幸いなことに、そんなことは知らなかったから、まったく新人の“ひろべえ”と思って一緒に映画を作り上げたんです。役柄に合わせて髪も切ってくれて。本人も新人として参加しますと言って来てくれたんですよ。(もう一度記者に向かって)魔性の女だったの?

南原:アラフォー世代の代表らしいですよ(笑)!

大林:あんなにすてきな少女で……ナンチャンによく似合う子は、ひろべえしかいなかったの。この映画のためにひろべえは、4キロ体重を落としてくれて、ふらふらしてたね。

大林宣彦監督「彼は誠実な役者だった」故・峰岸徹さんの思い出を語る

Q.この映画が、峰岸徹さんの遺作となりましたが、最後に撮影したときの様子はいかがでしたか?

大林:実は、彼はわたしの映画に最多出演している俳優さんです。でもシナリオができる前にガンの発病を知って、今度は不可能だろうと思っていました。ところが撮影が終わって、フィルムの編集をしているときに、彼があさって入院する、これが最後の入院になるでしょうと人づてに聞いて。すぐにカメラを持って彼の家に行って、ナンチャンの祖父役として玄関で撮りました。彼は非常に誠実な役者で、OKと言っても満足しないんです。いつも「監督、もう一回やろう」って。今回も一発OKだったんですが、彼が不安そうな顔をしていたので3回やりました。3回目で「本当にOKだ! お疲れさん!」と言って握手をしたのが最後です。

南原:峰岸さんのカットが増えた結果、自分が演じた役にもより深みが出たような感じがしました。直接お芝居のやりとりはできなかったんですけど、映像を見るとご本人の映画を愛する思いが伝わってきまして。その思いを受け止めて、僕らや次の世代が頑張ってこの大林映画を、果ては日本映画を盛り上げていきたいと思っています。

Q.監督は、原作者の重松清さんとお会いになられたそうですが。

大林:重松さんは、観終わった後に泣いて「40代の僕が書いた小説を、死が隣り合わせにあった戦争体験を持つ大林さんが映画化して、自分が描けなかった深みもあぶり出されているものになった」とおっしゃってくれました。

「70歳の新人監督のつもりで作った映画です。」

Q.最後に一言ずつメッセージを。

南原:泣けるシーンもあるんですけど、観終わった後に、何か爽快(そうかい)な感じがするような、元気が出る映画に仕上がっています。僕2回見たんですけど、2回違うこところで泣きました。また、終わった後に、場面の解釈についていろいろ他人と語りたくなる作品でもあります。皆さんもぜひご覧になって、お互いにいろいろ語り合ってください。

大林:これまでのキャリアでわかってきたことは全部捨てて、70歳の新人監督のつもりで作った映画です。大林宣彦流に整合性を合わせて名作を作るより、矛盾があっても、その不思議さを楽しんでもらえるような。そんな風に思いながら、生と死という永遠にわからない、しかし身近にあるものをテーマとして作り上げました。観終わった方々が、映画についてお互い語り合いたくなるような作品になればうれしいです。