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「新しい靴を買わなくちゃ」中山美穂インタビュー

きっかけは北川監督とのメール!
「アオイは自分のままで演じました。」

スクリーンを観ながら「わたしがいる」と強く感じた

Q.監督の北川悦吏子さんとは、何年も前から「一緒に映画を撮ろう」と話していたそうですね。
 
そうなんです。北川さんから「美穂ちゃんとパリで映画を撮りたい」というメールをもらって、わたしも「やれたら楽しそうだね」とか軽いやりとりを繰り返していました。以前に北川さんが脚本を書いたドラマに出演させていただいた時、とても面白かったんです。最初のメールからだいぶ時間がたち、ようやく現実になった感じですね。
 
Q.ということは、このアオイ役は最初から中山さんをイメージして創造されたキャラクターなのですね。
 
割と北川さんが「当て書き」した部分があるみたいですね。だからわたしも演じていて違和感がなかったです。アオイが「どや顔」の意味を少しだけ取り違えるシーンがありますが、わたし自身も実はどや顔がわからなかったので、思わず(共演の)向井さんに意味を聞いちゃいました(笑)。アオイと同じで、わたしもかなり「浦島太郎」なんですよ。
 
Q.アオイはある苦悩を抱えてパリで一人で生活していますが、どのような女性だと捉えて演じましたか?
 
結構、自分のままで演じました。もちろんアオイとわたしの人生の背景はまったく違いますが、パリに住んでいる状況は同じですし、どこにでもいそうな女性だと捉えました。出来上がった映像を観た時は、「わたしがいる」と感じましたね。演技しているんですけど、その場でわき上がった感情が自然に出ていたからかもしれません。自分の作品を観て、こういう感覚はたまにあるのですが、ここまで強く感じたのは珍しいです。
向井理さんとはマルシェの話で盛り上がったそう。
美男美女の共演は必見です!
ハリウッド女優との共演に刺激を受けたという中山さん

向井理に、もっとパリの見どころを教えたかった!?

Q.自然にわき上がる感情は、現場で監督から出された指示とも関係がありそうですね。
 
セリフに関してはアドリブが禁じられました。しかも本番直前にセリフが変更になったりする。だから演じる側としてはチャレンジでしたね。今回、そのチャレンジを乗り越えたことで、女優としてのいい経験になったと思っています。結果的に北川さんの世界がうまくつながって、全体がまとまっていたのですから。
 
Q.その場その場でのチャレンジが要求されたわけですね。そのあたりで相手役がセンを演じる向井理さんでよかったと思えた点は?
 
向井さんとはクランクインの日に初めてお会いしたのですが、その時からセンくんがその場に存在しているように思えました。わたしに向井さんの予備知識がなかったせいもありますが、最初に会った印象がとても強くて。撮影が終わって、取材などで会う機会もあったのですが、「センくんがいる」と感じてしまったほどです。
 
Q.向井さんにパリの見どころを教えたりしたのですか?
 
確かマルシェ(市場)が面白いという話はしました。でも向井さんとは、撮影の合間にあまり話せなかったんです。わたしたちにはマイクが付いていて、常に会話が聞かれている状態だったので……(笑)。
 
Q.共演者には「パルプ・フィクション」などに出演したアマンダ・プラマーもいました。
 
ハリウッドの女優さんとは初めての共演でした。フレンドリーで、とても温かい方でしたよ。岩井(俊二)さんが監督した「ヴァンパイア」にも出演されているんですけど、素晴らしい才能の方だと思いました。ちなみに「ヴァンパイア」自体も衝撃的な映画でしたね。
 
Q.その岩井さんとは「Love Letter」以来の現場でした。
 
撮影の初日に、岩井さんがカメラアングルを決めるのを手伝っていたりして、「あぁ、岩井さんも自分で撮りたいんだろうな」なんて、その姿を眺めていました。北川さんもそうですが、岩井さんとも今、完成した喜びを分かち合っています。
「新しい靴を買わなくちゃ」続編もあり?
晴れの日が多かったというパリでの撮影
そんな美しいパリの風景にもうっとりしてください!

念願のパリでの撮影は、奇跡的に晴天が続いた

Q.本作はパリの風景が見どころの一つになっています。普段生活している中山さんにとってパリはどんな街ですか?
 
土地勘がないと迷子になりやすい街ですね。東京はどこに行ってもキラキラしたものがありますが、パリは建物が似たような色味ですし、どこを歩いているのかわからなくなる。例えば凱旋門の周りは道が放射状に広がっているから、角を曲がっても違う方向に行ってしまったり……。でもその分、歩いていると面白いんです。セーヌ川の右岸と左岸をつなぐ橋を渡る時は、まるで人生と人生がつながっている感覚を味わえる。ちょっと大げさな言い方ですけどね(笑)。
 
Q.そのパリで映画を撮ったということは、感慨深いのでは?
 
今もパリを歩いていると、撮影の日々を思い出します。パリは曇りや雨が多いのですが、わたしたちが撮影している間は、ずっと晴れが続いていました。その奇跡も、映像に焼き付いていると思います。
 
Q.「新しい靴を買わなくちゃ」で、中山さんも新しい一歩を踏み出せたと感じていますか?
 
この作品に限らないですが、自分の信じていたものに対し、今回もまた一つ、「足跡」を付けられたと感じています。その足跡こそ、次に進むための一歩なんですよ。今回もチャレンジを乗り越えたから、また先に進める。この過程は仕事だけでなく、普段の生活でも大切にしていきたいと、今改めて感じています。またいつか、パリで映画を撮れたらいいですね。北川さんや岩井さんとだったら、「新しい靴を買わなくちゃ」の続編もいいかもしれません。
 
Q.ちなみに撮影後、中山さんも「新しい靴」を買いましたか?

買いました。クランクアップしたその日に(笑)! スニーカーと、ちょっとヒールのあるサンダル風のパンプス。
その2足は、この夏の間、ずっと履いていましたよ。
 
 
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映画がクランクアップした時は「どんな仕上がりになるか楽しみ」と話していた中山美穂だが、無事に完成し、公開が間近に迫った現在、心から満足した笑顔を見せる彼女がいた。予想以上にチャレンジが多かった現場を乗り越えられたことも、女優としての自信につながったのだろう。パリに暮らしながら、日本の映画に出るという彼女のスタンスは貴重であり、今後も他の女優にはマネのできない活躍に期待したい。そしていつの日か、フランス映画に出演する中山美穂も、観てみたい!
 
 
(C) 2012「新しい靴を買わなくちゃ」製作委員会
 
映画『新しい靴を買わなくちゃ』は10月6日より全国公開
取材・文:斉藤博昭 / 写真:高野広美 / 編集:シネマトゥデイ