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「PLASTIC CITY」オダギリジョー&アンソニー・ウォン インタビュー

真剣に質問を聞くオダギリさん
この2人が親子です!

カットになったキリンの少年期に名前の秘密

Q:キリンとユダというユニークな名前の由来は?
 
オダギリ:脚本の第1稿か第2稿に、キリンの少年期が描かれていたんです。そのときの設定では、ユダに拾われて育ててもらっていたとき、ブラジルのストリートキッズとして僕と友達のテツオと、そしてホァン・イーさんが演じたオチョの3人が、お金のために空きビンや空き缶を集めてたんですよ。で、僕の役はいつもキリンビールの缶を集めてくるということで、キリンという名前になったんです。その設定がすごくいいと思ったんですけど、結局カットになってしまったんです。僕、そのときちょうどキリンビールの広告もやっていたんで、ありがたい話だったと思うんですけどね(笑)。
 
アンソニー:オダギリがキリンビールのイメージキャラクターをやっていたから、そう書いたんじゃない(笑)? 僕の場合は、まず「スター・ウォーズ」(のヨーダ)とは全く関係ないと断っておこう(笑)。森の中で違法にダイヤモンドを掘り出そうとしている不法入国者にユダという名前がついているのは、なかなかカッコいいんじゃないかと感じたよ。でもなぜこの名前がつけられたかは、今だにわからない。キリンについては、キリンビールを飲むのが好きだからつけたのかなぁ、と思ってたね。でもブルーガール(香港のビール)じゃなくてよかった。
 
オダギリ:青島(チンタオ)とかね。
 
アンソニー:チンタオならまだ聞こえがいいけど、ブルーガールじゃカッコ悪いよ(笑)。
 
終始冗談が飛び交う和気あいあいのお2人

オダギリの仕事に対する真面目な姿勢に感心

Q:最初のうちは、なかなか打ち解けられなかったそうですね。どういうきっかけでお互いの交流が深まったのでしょうか。
 
オダギリ:僕は基本的にどの人とでも、すぐに打ち解けることは難しいんです。でもアンソニーさんは、芝居をする上で、コミュニケーションをとっていくことの大切さをというものを重要視される方なので、歩み寄ってきてくれて。それが非常に助かりました。日本へのイメージや、興味を分かち合おうとしてくれたんです。たとえば今、剣道を習いたいとか、将棋をやってみたいとか。サムライスピリッツってのはなんだとか(笑)、いろんなことを話しかけてくれて、日本に対する興味みたいなものからだんだんと打ち解け始めたのかもしれないですね。
 
アンソニー:オダギリは非常に慎重な人だね。落ち着いていて、穏やかな感じがして、こういうタイプの人が僕は好きなんだよ。特に仕事に対する真面目な態度には、いつも感心していたね。
 
劇中ではオダギリさんのワイルドなタトゥ姿も

密林での撮影に必要なのは棺桶!?

Qオダギリさんは蚊にさされて大変だったそうですが、ジャングルでの撮影についてのエピソードを教えてください。
 
オダギリ:日本にはいるはずのない虫やバイ菌たち、ウィルス的なものを含めて(笑)、とにかくとても危険だと思っていたので、日本に帰れなくなるんじゃないかと心配していました。だから気は配ってましたね。ふたりで水に入るシーンが多かったんですが、万が一、傷口とかから余計なものが入ると大変なことになるので、毎回、スタッフに「今日は水に入るんだから、シャワーを用意してください。ちゃんと身体を温められて、汚いものを流せる準備をしてください」って言ってたんですけど、最終的に一度もシャワーはなかったですね(笑)。
 
アンソニー:あんなところへ行ってシャワーを用意したところで、何の役にも立たないよ。もし万が一のことがあったら、棺おけを用意した方がいいよ(笑)、現実的にね。ジャングルでは蚊が非常に小さいんだ。とにかくしつこくて陰険で、なぜか背中しか刺さない。僕も刺されたんだけど、香港に帰った後が大変でね。かゆくてかゆくて眠れない。アシスタントなんて医者にかかって診てもらったんだよ。
 
まさにちょい悪オヤジのアンソニーさんは実はとってもオチャメ!!
妖艶なホァン・イーさんとの素敵なシーン

これを乗り越えたなら、この先どんな作品でも乗り越えられる

Q:お二人の俳優人生の中で、この作品はどういう位置づけの作品になりましたか?
 
オダギリ:これだけインターナショナルな、いろんな国が集まる作品というのはないんじゃないかなと思います。フランスと日本の合作とか、アメリカと日本の合作とか、そういう作品は容易に見つかるんですけど、ブラジルと中国と日本でしょう。現場でいろんな言葉を混ぜながら進んでいくというのは、そうあることではないと思うんです。だからこれを乗り越えられたなら、今後どんな作品でも乗り越えられるんじゃないか、そう思える作品です。
 
アンソニー:まだそういう話は早過ぎるんじゃない?
 
オダギリ:どういうこと?
 
アンソニー:どんな映画でももう大丈夫だって。そういうこというのは、まだ早いよ。
 
オダギリ:一応、言っとくんですよ(笑)。
 
アンソニー:この映画は、僕の人生の中で記憶に残る作品になるだろうね。撮影の過程も含めてね。現場では、いろんな面白いことがあった。この面白いという言葉の意味は、好きとか嫌いとかとは違って、ときどきとんでもないようなことも起きるものだと。だから面白い、そう感じたよ。
 
 

 
ひょうひょうとした雰囲気のアンソニー。なぜか裏社会の男を演じることの多い彼だが、実際の彼は非常におちゃめなおじ様という雰囲気で、常に周囲を和ませていた。人と打ち解けるのに時間がかかると話すオダギリも、アンソニーのような人ならば、言葉の壁も越えて通じ合えたのかもしれない。無国籍なムードの中、圧倒的な存在感を放つ彼らが血の繋がりを超えた絆を紡ぐ「PLASTIC CITY プラスティック・シティ」は、2人ならではの男の色気も感じさせてくれる。
 
 
「PLASTIC CITY プラスティック・シティ」は3月14日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿バルト9ほかにて全国順次ロードショー
 
文:望月ふみ / 写真:源賀津巳 / 編集:シネマトゥデイ