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「ノン子36歳(家事手伝い)」坂井真紀インタビュー

何も考えないでやってみました。
ダメ過ぎて全然共感しません!!

主人公のノン子にはまったく共感できない!

Q:「ノン子36歳(家事手伝い)」という個性的なタイトルの感想を聞かせてください。
 
このタイトルは監督から初めて聞いたときに、本当に素晴らしいタイトルだと思いました。お気に入りのタイトルです!
 
Q:主人公のノン子に共感する部分はありますか?
 
ノン子には全然共感しません。あまりにもダメ過ぎて(笑)。わたしは割と彼女とは正反対のタイプで、もっと暑苦しい人間だったりするので。でも、共感できないと言いながらも、やはりノン子が彼女なりに必死に生きている中でいとおしい……という部分は演じていてたくさん感じましたね。
 
Q:今回共感できない役柄を演じるにあたり、役作りで苦労されたことはありますか?
 
きっと何かキャラクターを作るときによりどころが必要というか……。例えばノン子は売れない元タレントなんですが、その役をやっていて、そこにどれだけの執着を持っているのかとか、何を目指しているんだろうとか、いろいろなことを考えて監督に質問したところ「何もないです」というのが熊切さん(監督)の答えで、何も考えない、興味を持たないということの難しさを感じましたね。だから今回は本当に何も考えないでやってみました。
 
Q:女性は何かしら欲があるものですが、彼女は欲のない人間ということなのでしょうか?
 
そうですね、いろいろなことに興味がないんだと思います。でも、やはりこう多少なりとも何かがないと、生きているという意味が見いだせないような気がしてしまいまして。じゃあノン子だったらタバコをよく吸っているので、「このタバコうまいなぁ……」って思う瞬間がそうなのかとか。そこは、何となく一つ一つわたし自身も何もないところから始めて、少しずつ感じていったところはあります。
 
Q:普段タバコは吸われるんですか?
 
吸わないです。だから大変でしたね(笑)。でも、やはり演じる者として、吸わない人が吸うときのうそくささのようなものが出てしまうのは悔しいので練習しました。美術の方が少し軽めのタバコを作ったりしてくれていたんですが、やはりアップショットの時は本物のタバコを吸わなければならなくて、しかもそれが結構強いタバコだったので「カット!」の声がかかる度に頭がクラクラしていました(笑)。
 
大好きな猫の話で和んだ表情の坂井さん。

目指せ、年下キラー!?

Q:今回、元ダンナと年下の若い男の子の両方に言い寄られますが、ご自身は年下キラーなのでしょうか?
 
映画の世界だけですね(笑)。プライベートでも年下キラーでありたいんですけどね。わたしは割と年下の方が好きです。年下の子って、年上の人と接するときに男の子は特に頑張ってくれる部分ってあるじゃないですか? そこが無条件にかわいいですね。
 
Q:熊切監督とのお仕事はこれで3回目ですが、現場はいかがでしたか?
 
初めてお会いしたときから熊切さんのスタンスは変わりなく、そこがとても好感が持てます。今回は撮影が始まる前からよく会ってたくさん話をしました。ノン子を含めすべて監督のアイデアでした。監督の映画はだいたいがダメな人たちが出てくるので(笑)、結局ダメな人がいとおしいというか、好きなんでしょうね。
 
Q:監督がダメだというわけではないですよね?
 
熊切さんはどちらかというとダメな方に近い人かもしれないんですが(笑)、でもそれがすごくいとおしいですね。でも、映画の製作に関しては全然ダメじゃないので。本当にかわいい方ですね。
 
Q:お花畑でヒヨコを追いかけるシーンが印象的でしたが、撮影は大変でしたか?
 
大変でした。まずヒヨコが全然わたしたちの思う通りには動いてくれないのでその大変さと、それからお花畑のシーンを熊切さん自身が「僕らしくない、僕らしくない」とずっと現場でも言っていまして(笑)。あまりにもすてきな風景の中を走らせていただいて、わたしもちょっと照れくさかったです。
 
いいシワにあこがれます……
いろんなことを感じてください!

美しく年齢を重ねる秘訣

Q:ノン子はきれいで、きっと周りにもちやほやされて育ったと思うのですが、坂井さん自身美しく生まれたことの悲劇を感じたことはありますか?
 
わたしですか!? ないですよ、全然ない! 本当にないです。きっとこう皆さんに支えられて、少しずつきれいなように見えてきているんだと思います(笑)。本当にそれは周りの方々の力や、仕事のおかげだと思います。
 
Q:美しく年齢を重ねるために何か努力されていることはありますか?
 
やはり見た目や、体の作りに関して老いには勝てないですから。精神的にきちんと年を重ねていくことが、本当にステキな年の取り方の秘けつのような気がします。だから年上の方でも、年配の女優さんでも、本当にいいシワを作っていらっしゃる方っているじゃないですか? そういうのに本当にあこがれますね。
 
Q:あこがれの女優さんはいらっしゃいますか?
 
シャーロット・ランプリングさんとかすごくステキですね。ジェーン・バーキンさんであったり、こちらは同世代なんですが、シャルロット・ゲンズブールさんとかも大好きなので、いい年の取り方をしていきたいと思いますね。
 
Q:お気に入りのシーンがあったら教えてください。
 
撮影の近藤さんがワンカット、ワンカットにすごく魂を入れてステキな映像を撮ってくださったので、一つを選べない感じなんですね。でも、先ほども話に出てきた熊切さん自身もちょっと照れくさいとおっしゃっているお花畑のシーンが、わたし自身も気に入っています。
 
Q:この映画には愛すべきダメダメな人たちが出てくるんですが、そんなダメダメな人たちにエールを送っていただけますか?
 
わたし自身ももちろんどこか欠けている部分があります。そこが人間のいとおしいところだと思うんです。だからダメなところは決してただのダメ、ということではないと思うので、それでいいと思う!
 
Q:最後にこの作品の見どころについて教えてください。
 
すごく何かがいろいろと起こるというような激しいストーリーではなく、本当に日常の淡々とした時間の流れが描かれていると思うんですね。だから観る方がいろいろな想像をしていただけたり、感じられたりする映画だと思うので、そこが見どころだと思っています。
 
 

 
黒くつぶらな瞳と透き通るような白い肌を持つ坂井は、小動物のような愛くるしさを持つ美しい女性だ。自分のことを暑苦しくて不完全で、欲もあると堂々と言える率直な女優というのも今どき珍しい。だが、彼女は何よりもダメな人間をいとおしいと思えるだけの温かい心と包容力を備えている大人の女性なのだ。そして、自分とは正反対のキャラクターさえも、すんなりと受け入れてしまうだけの演技力を持った女優でもある。彼女が吸えないタバコを吸い、ママチャリで田舎町をかっ飛ばし、初めての大胆なラブシーンにも体当たりで望んだダメダメだけど愛すべき人々の物語をこの機会に全身で体感してもらいたい。
 
 
「ノン子36歳(家事手伝い)」は12月20日より銀座シネパトスほかにて全国公開
 
文:平野敦子 / 写真:高野広美 / 編集:シネマトゥデイ / ネックレス・ピアス・リング:CASUCA

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