ファッション業界の観点から見たランウェイの見どころは?
才能があるにも関わらず、チャンスや資金がないことで、デビュー出来ないデザイナー志望の方にとってはとても夢のある番組だと思います。デザイン学校、メディア、雑誌、百貨店、ヘアメーキャップブランド、一流デザイナーメーカーといったファッション業界の中での、異業種コラボのサポートという形にすごく意義があります。新しい才能を発掘してデビューに至るまであらゆるサポートしていくのは、プロにとって使命である大切なことだし、見ていて楽しかったです。
第3シーズンで好きなデザイナーは?
途中でドロップしちゃいましたが、個人的には、台湾出身のメイラン。彼はキャラとして興味深いですね。毎回出てはドロップしちゃうのでいつか日の目を浴びるといいなと、キャラ的にもファッション業界にぴったりな感じです。
ファイナリストに残ったデザイナー4人を分析
ローラ・ベネット
ローラはすごくクラシックでエレガンス路線。世界観を確立していますね。彼女の好きなものは定まっていて、シーズン通しても作品にブレがなかったですね。ただ、プロジェクト・ランウェイ的に見ると退屈・つまらないというのも共感できます。センスがよくて綺麗な服を作る人=(イコール)一流のデザイナーになるわけではないので、常に審査員を含め人々をハッと驚かせるような人が求められています。新しいものを常に投入して発信し続けないといけないので、センスは良くてシックなんですが、そういう意味では少し面白みに欠けると言われれば、そうかもしれませんね。ローラ自身のファッションについては、普通マタニティはファッションが緩くなっていくのですが、彼女はきちっとハイヒールを履いて、黒いドレス着てシャキッとしていましたね。大人の女のマタニティモードを実践している素敵な人だと思います。

ジェフリー・セべリア
ジェフリーは、とてもプロフェッショナルなデザイナー。パンチの効いたロックスタイル一辺倒で、それが彼らしいと思ったのですが、最後の方で、「俺はこれ以外にもできる!」というアピールを見せてくれました。でもやっぱり彼に求められているのは、パンチの効いたロックスタイルの中でのバリエーションを見せていくこと。あれも出来る、これも出来る、というのは出方が違うと、ただ器用な人みたいになっちゃうので、もう少しスタイルを貫いてくれた方がよかったかなと…性格的にかなり自信過剰でアグレッシブなので、敵を増やしはしないかと危惧しましたが、意外に子煩悩なパパだったりというシーンをみたらホっとしました。彼の作ったロマンチックな白と青と赤のドレスは個人的には可愛いと思いました。
ただ、ああいうドレスを作るのは彼でなくてもいいかもしれませんね。

マイケル・ナイト
マイケルはいわゆるデイリーウェア(日常着)の完成度がすごく高いと思います。仕立ても綺麗です。ドレス、特にフルレングスのソワレな感じになると、若干下品な感じになったり、あまりにもディーヴァになってリアリティがなかったのですが、膝丈くらいのデイドレス、ボディコンシャスを作った時は非常に綺麗でした。シーズンを通すと若干いい時と悪い時の差があるのですが、センスがあるのでもっと経験を積んでいければ可能性があると思います。

ウーリ・ヘルツナー
ウーリは毎回単純に女の子が着てみたいと思わせる気持ちいいプリントと色が弾けているデザイナー。ただデザインパターンがややワンパターン気味で、プリント柄のドレスが多かったのでバリエーションが増えるといいなと…マイアミにこだわっていたので、他の土地ではビジネスをする気はないのかもしれないのですが、常夏のリゾート地限定だったらいいと思います。特にELLEの誌面を飾ったブルーのドレスはビジュアル的にもインパクトがあり、実際着たいと思ったドレスでいい一着だと思いました。

もしエル・ジャポンでデザイナー特集をするとしたら?
やっぱりウーリですね。これからの春・夏シーズンに向けてということでタイミング的にはちょうどいいですね。開放的な色と弾けるような気持ちのいいドレスをフルレングスで着れるのは、エル・ジャポンの読者もとても好きではないかと思うので、今だったらウーリだと思います。


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