大陸横断鉄道や初取材のアセラ・エクスプレスでフロンティア・スピリットをたどる旅。

鉄道大国アメリカ

大統領選が注目される今、「自由、平等、フロンティア・スピリット」の源泉を訪ねてアメリカ合衆国を縦横断します。東海岸に建国の軌跡を訪ねてフロリダへ南下。そして西部開拓史に思いを馳せつつ大陸横断鉄道で西海岸へ。コロンブス・デーなど秋の祭も楽しみながら、アメリカの文化と歴史を俯瞰する旅です。

[PART4]グランドキャニオンから西海岸へ ウィリアムズ〜グランドキャニオン〜ロサンゼルス〜サンディエゴ

グランドキャニオンから西海岸へ ウィリアムズ〜グランドキャニオン〜ロサンゼルス〜サンディエゴ

ウィリアムズ ルート66とグランドキャニオンの玄関口
ルート66

1926年より、シカゴ〜ロサンゼルス間の約3,755kmを結んでいた国道。アメリカの大動脈として、沿道の町々と南西部の発展に寄与しました。が、より便利な州間高速道路が発達し、40号線のウィリアムズ開通をもって1985年に廃線。しかしジョン・スタインベックが「母なる道」と呼び、ポップカルチャーにも大きな影響を与えたルート66は、今も古き良き時代への郷愁をもって語り継がれています。

ウィリアムズのルート66沿い
ウィリアムズのルート66沿い
標識
標識
クルーザーズ・カフェ66

レトロなカフェやモーテルなど、ウィリアムズにはルート66全盛期の懐かしい町並みが残っています。一番の有名店はクルーザーズ。アメ車やバイク、数多くの66グッズ、巨大なバーガーやステーキなど"らしさ"満点。ピンクのフォード車が目印のツイスターズは、店内が'50年代そのまま。黒い市松模様、コカ・コーラ社の赤、ネオンディスプレイなど、懐かしいアメリカン・スタイルに感激するはず。

クルーザーズ・カフェ66
クルーザーズ・カフェ66
カフェのネオンサイン
カフェのネオンサイン
50年代スタイルのカフェ、ツイスターズ
50年代スタイルのカフェ、ツイスターズ
グランドキャニオン 地球の歴史を刻み込んだ大スケールの峡谷
グランドキャニオン鉄道

ウィリアムズ駅の朝。10時の発車を待つ人々の前で突然、馬上のカウボーイと保安官の銃撃戦が勃発!この歓迎の西部劇ショーと車窓に広がる荒野の景色で、乗客は一気に100年前へ引き戻されます。車内ではウェスタンバンドの演奏、復路ではショーの続き「列車強盗編」も上演。席種はオープンデッキもあるラグジュアリー・パーラーカーや、360度の眺望が臨めるオブザべーション・ドーム車が人気です。

グランドキャニオン鉄道
グランドキャニオン鉄道
西部劇ショー
西部劇ショー
オブザべーション・ドームカーの2階
オブザべーション・ドームカーの2階
ラグジュアリー・パーラーカーのオープンデッキ
ラグジュアリー・パーラーカーのオープンデッキ
ウェスタンバンドの演奏
ウェスタンバンドの演奏
1909年にできた丸太造りの駅
1909年にできた丸太造りの駅
グランドキャニオン国立公園

コロラド川の浸食でできた大峡谷。総面積4,932平方kmは東京都全体の2倍以上。断崖の深さは平均約1,200m。そのスケールは人生観すら変わるほど。訪れるポイントや時間帯も大事です。複雑に入り組んだ地形、20億年分の地層の模様。そこに朝日、夕陽、季節や気温、天候や風などの条件が加味され、景色がまったく違って見えるからです。谷底から断崖を見上げると、また世界観が変わるそうです。

ヤバパイポイント
ヤバパイポイント
ホピポイント
ホピポイント
ヤバパイポイント
ヤバパイポイント
ロサンゼルス 太陽が降りそそぐ西海岸最大の都市
エル・プエブロ州立史跡公園

メキシカンレストランや民芸品の屋台が並ぶオルヴェラ街は、ロサンゼルス発祥の地。1781年にメキシコから移住した11家族44人が初めて集落を作り、19世紀までスペイン様式の建物が並んでいた場所です。現在その周辺は史跡公園となり、街で最古の消防署やホテルなど27の歴史的建造物が保存されています。最古の住宅アヴィラ・アドービでは、1840年代のライフスタイルを垣間見ることができます。

オルヴェラ街
オルヴェラ街
アヴィラ・アドービ
アヴィラ・アドービ
アヴィラ・アドービの書斎
アヴィラ・アドービの書斎
エンゼルズ・フライト

約91mしかない世界一短い鉄道。1901年に急坂地域の市民の足として設置され、今日まで断続的に運行してきました。かつては丘の上の住宅地とダウンタウンの商業地域を結んでいましたが、現在は丘の上が金融街やアート地区、下に地元民で賑わうグランド・セントラル・マーケットがあります。車両はオリベットとサイナイという名前が付いていて、朝7時前から夜10時まで、年中無休で活躍しています。

エンゼルズ・フライト
エンゼルズ・フライト
車内
車内
ハリウッド歴史博物館

1910年頃、西部劇の撮影にうってつけだったのが、禁酒法で寂れたロサンゼルスの酒場や荒野。映画監督のセシル・B・デミルとプロデューサーのジェシー・L・ラスキーは古い納屋をスタジオとして使い始め、これがハリウッド映画産業の始まりとなりました。現在はそこに、当時の貴重な品々を展示。『十戒』など名作のセットや衣装・小道具、1910〜20年代のカメラなど興味深いものばかりです。

セシル・B・デミル
セシル・B・デミル
ハリウッド歴史博物館
ハリウッド歴史博物館
『風と共に去りぬ』を撮影したカメラ
『風と共に去りぬ』を撮影したカメラ
チャイニーズ・シアター

中国寺院風の外観が世界中でおなじみ、1927年以来、新作の封切館として常に話題作が上映されている映画館です。プレミアが行われることも多く、レッドカーペットといえばここ。劇場前には200人以上ものスターの手形、足形、サインが埋め込まれ、観光客や映画スターに扮したパフォーマーでごった返しています。周辺はスターの名前を星に記したウォーク・オブ・フェイムが5kmに渡って続きます。

チャイニーズ・シアター
チャイニーズ・シアター
パフォーマーは子どもに人気
パフォーマーは子どもに人気
ウォーク・オブ・フェイム
ウォーク・オブ・フェイム
ロサンゼルス・ユニオン駅

シカゴ、ニューオリンズ、シアトルなどから到着する、長距離列車の終着駅です。パームツリーが映える、白い外壁とオレンジ色の屋根。スパニッシュ・コロニアル様式は、スペイン統治時代の名残です。ここからパシフィック・サーフライナーに乗車。列車はアナハイム近辺から太平洋沿岸を走ります。南下するにつれて車内にスペイン語が目立つようになると、メキシコ国境の町サンディエゴはもうすぐです。

ロサンゼルス・ユニオン駅
ロサンゼルス・ユニオン駅
サンディエゴ スペイン、メキシコ文化が薫る国境の町
パシフィック・サーフライナー

ロサンゼルスからサンディエゴまでは約2時間50分。アムトラックの中で一番大きな機関車に牽引され、エンゼルスタジアム、ビーチ、油田、リゾート地、山越え、オレンジ畑などなど、変化に富んだ車窓が楽しめます。席種はコーチとビジネスの2クラス。すべて2階建てなので眺めも抜群。ビジネスクラスにはサービスコーナーがあり、パンや飲み物が自由にいただけます。

パシフィック・サーフライナー
パシフィック・サーフライナー
サンディエゴ・サンタフェ駅
サンディエゴ・サンタフェ駅
飲み物と軽食のサービスコーナー
飲み物と軽食のサービスコーナー
カブリーヨ国定記念公演

1542年、ポルトガル人探検家のロドリゲス・カブリーヨが、スペイン領であるメキシコ王国の遠征隊長として初めて上陸したロマ岬。サンディエゴ湾を見下ろす高台にはカブリーヨ像と灯台が建ち、国定公園に指定されています。灯台内は19世紀の灯台守の生活用品を展示。1〜2月頃はここからホエールウォッチングができるそうです。対岸には海軍基地があり、戦闘機がひっきりなしに離発着していました。

カブリーヨ像
カブリーヨ像
カブリーヨ国定記念公演
カブリーヨ国定記念公演
デルマー

郊外の町デルマーは、夏の間に開催される競馬で有名。全米からお金持ちが集まり、バカンスを過ごす高級住宅地です。驚くような豪邸が建ち並び、海水浴を楽しむ人々も、ビーチサイドの公園で繰り広げられるバーベキューでさえも、ちょっと豪華でセレブな雰囲気。犬用のドッグビーチ・エリアがあるのも頷けます。サーフィンのメッカでもあり、有名なトップサーファーの姿もよく見かけられるそうです。

デルマーのビーチ
デルマーのビーチ
ウィリアムズ グランドキャニオン ロサンゼルス サンディエゴ